相続不動産の測量費用が払えない|測量なしで売れるケースと買取の使い方
Q: 相続した不動産の測量費用が払えない場合でも売れますか? A: 売れます。測量なしで売却できるケースがあります。特に、買取業者への直接売却は測量費用ゼロのまま売却完結が可能で、測量費用(30〜100万円)を用意できない状況でも最短2〜4週間で現金化できます。
「相続した土地や家を売ろうとしたら、不動産会社に『まず測量してください』と言われた」「測量費用が50万円以上かかると聞いて途方に暮れている」というご相談は少なくありません。
相続後の口座が少ない状態で、急な出費は大きな負担です。この記事では、測量費用を用意できない場合でも相続不動産を売る方法を、宅建業者として実際の相談事例をもとに解説します。
相続不動産の「測量」とはどんな手続きか
不動産の売却で話題になる「測量」は、大きく2種類あります。
① 現況測量(参考測量)
現在の建物・フェンス・構造物の位置を把握するための測量です。隣地の立会いや境界確認は行わないため、法的な境界確定にはなりません。費用は10〜30万円程度で、売却前に物件の概要を確認する目的で使われます。
② 境界確定測量(確定測量)
隣地所有者・道路管理者(市区町村)立会いのもとで境界を確定させる測量です。境界確認書(筆界確認書)に全員の署名・捺印を得て、法務局に地積測量図を提出します。売却時に「境界が明確な物件」として引き渡すために行うのが一般的です。
仲介売却(一般の買主への売却)で問題になるのは主にこの境界確定測量です。費用が高くなりやすく、隣地権利者の協力が得られないと手続きが止まることもあります。
測量費用の相場|なぜ高くなるのか
| 種別 | 費用目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 現況測量 | 10〜30万円 | 現況把握のみ。境界確定なし |
| 境界確定測量(道路隣接のみ) | 30〜50万円 | 接道面が道路のみの場合 |
| 境界確定測量(民有地隣接あり) | 50〜80万円 | 隣地に一般の権利者がいる場合 |
| 境界確定測量(難易度高) | 80〜120万円以上 | 隣地多数・古い図面なし・境界紛争あり |
費用が高くなる主な理由は隣地権利者の数と立会い調整の難しさです。隣地が多い・権利者が遠方に住んでいる・相続で権利者が増えているなどの場合、土地家屋調査士の作業量が増えて費用も跳ね上がります。
相続後の資金が少ない状態でこの費用を急に求められても、対応が難しいのは当然です。
測量なしでも売れる3つのケース
すべての相続不動産に測量が必要なわけではありません。以下の条件が揃う場合は、測量なしでの売却が現実的に可能です。
ケース① 法務局に地積測量図が登録されている
過去に一度でも測量・分筆登記が行われた土地は、法務局に地積測量図が残っています。その図面が現在の境界標(コンクリート杭・金属杭等)と整合するなら、改めて測量しなくても境界の根拠として使えます。
登記情報は法務局の窓口またはオンライン(登記情報提供サービス)で取得できます(1通450〜600円)。まず図面の有無を確認するだけなら費用は数百円です。
ケース② 境界標が現地に残っており隣地と争いがない
コンクリート杭・石杭・金属プレート等の境界標が現地に残っており、隣地との関係も良好な場合、買取業者は現地確認と公図照合で十分と判断できることがあります。
「昔から近所との仲は良く、境界に異議を唱えられたことは一度もない」という状況であれば、測量なしで進められる可能性があります。
ケース③ 買取業者への直接売却
これが最も確実な方法です。買取業者は土地のプロとして現況のまま不動産を購入するため、売主に対して測量を求めません。測量費用は業者が自社負担し、取得後に自社で手続きを進めます。
仲介売却(一般の買主)では住宅ローンを利用する買主の金融機関が「境界確定済み物件」を求めるため、事実上、測量が必要になります。買取はその制約がないため、測量費用が払えない方に特に向いています。
仲介売却で測量が必要になる理由
なぜ仲介だと測量が必要になるのでしょうか。仕組みを整理しておきます。
住宅ローンを利用する買主が不動産を購入するとき、金融機関は担保評価のために境界が確定した状態を求めます。境界が不明確な物件は抵当権設定ができず、融資審査が通らないからです。
また、仲介業者(不動産会社)は「境界明示義務」のもと、境界が不明確なまま売却することを避けます。将来、買主・隣地との境界トラブルが起きた場合の媒介業者責任を回避するためです。
その結果、仲介経由の売却では「測量してから売ってください」が実質的な条件になりやすいのです。
買取なら測量費用ゼロで売却できる理由
買取業者が測量を売主に求めない理由は3つあります。
1. 自社で対処できる
買取業者は不動産のプロです。公図・登記事項証明書・現地確認で現況を自ら把握でき、測量が必要な場合でも取得後に自社負担で対応します。
2. 売却価格に織り込んで査定する
測量費用・境界確定費用・場合によっては解体費用まで、業者側のコストはすべて買取価格の中に計算されます。売主からみると「その分だけ価格が低くなる」という形になりますが、自己資金を一切使わずに手放せます。
3. 「現況のまま」が前提のビジネスモデル
訳あり不動産の買取専門業者は、残置物あり・老朽化あり・境界未確定といった「面倒な状況の物件」を扱うことが前提です。測量が未済であること自体は大きな障壁になりません。
相続不動産を買取で売る流れ(4ステップ)
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| 1. 相続登記 | 所有権を相続人名義に移す(義務化済み)。司法書士費用5〜15万円 | 2〜4週間 |
| 2. 現況確認・査定依頼 | 買取業者に連絡し、公図・登記情報・現地写真を送付。無料査定 | 3〜7日 |
| 3. 売買契約 | 査定価格に合意後、売買契約書を締結。印紙代のみ発生 | 1〜2週間 |
| 4. 決済・引き渡し | 残置物そのまま・現況のまま引き渡し。売却代金が入金される | 1〜2週間 |
相続登記が完了してから最短2〜4週間で手元に現金が入ります。固定資産税は所有権移転日を基準に日割り精算するため、売却後は翌年から税負担もゼロになります。
買取価格と仲介価格の違いを理解しておく
買取は便利な反面、仲介売却と比べて売却価格が低くなる点は事実です。一般的には市場価格の60〜80%程度が買取の目安と言われます(物件状況・立地によって大きく変わります)。
ただし以下の費用・労力を差し引いて比較する必要があります。
- 仲介手数料ゼロ(仲介だと売却価格の3.3%+6万6千円)
- 測量費用ゼロ(50〜100万円の節約)
- 解体費・片付け費ゼロ(残置物・老朽建物はそのまま)
- 売却期間の短縮(仲介は3〜6ヶ月かかることも)
- 固定資産税の早期終了
「測量に50万円かけて仲介で高く売るより、測量ゼロで買取に出した方が手残りが多かった」というケースは少なくありません。まず査定だけでも受けてみて、数字を比べてから判断するのが現実的です。
よくある質問
Q. 相続人が複数いる場合でも測量なし・買取で売れますか?
売れます。ただし共有物件の売却は全員の合意が必要です(共有持分の全部売却の場合)。相続人の一部が行方不明・認知症・海外在住の場合はそれぞれ別途手続きが必要になります。相続人全員の同意が取れていれば、測量未済でも買取で売却できます。
Q. 境界が隣人と揉めているが、買取で売れますか?
売れるケースがあります。境界紛争中でも訳あり買取に対応した業者であれば査定可能です。ただし売主には既知のトラブルを正確に告知する義務があります(告知義務・宅建業法第47条)。隠して売却すると後から契約不適合責任を問われます。
Q. 相続登記義務化でいつまでに登記しなければなりませんか?
相続の開始を知った日から3年以内に相続登記の申請が必要です(不動産登記法第76条の2・2024年4月1日施行)。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。売却を検討しているなら、測量の前に相続登記を先に済ませることをお勧めします。
「測量費用が払えない。でも早く手放したい」方へ
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