空き家のミカタ

大阪市の空き家対策と補助金制度|使える支援を宅建業者がまとめ

宅建業者|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)

大阪市には空き家の解体・改修に対する複数の補助金制度があります。2026年度(令和8年度)は、解体(除却)補助で重点対策地区の場合は最大200万円(集合住宅)/100万円(戸建)、改修補助で最大300万円(まちづくり活用型)が利用可能です。申請は着工前が必須で、予算枠に限りがあるため年度初め(4〜6月)の早期確認が重要です。

この記事では、大阪市および大阪府の空き家対策補助金制度を宅建業者が2026年度版として整理してお伝えします。

大阪市の空き家の現状

総務省の「住宅・土地統計調査」(2023年)によると、全国の空き家数は約900万戸で空き家率は約13.8%。大阪府の空き家率は約14.3%で全国平均を上回っています。

大阪市内の空き家の特徴として、以下の点が挙げられます。

空き家の選択肢(売却・賃貸・解体)の比較は空き家の選択肢ガイドをご覧ください。

  • 木造長屋が多い:戦前〜戦後に建てられた木造長屋が密集するエリアがある
  • 狭小地・旗竿地が多い:接道条件が悪く、再建築が難しい物件が多い
  • 高齢化による空き家増加:所有者の高齢化・施設入所・死亡により管理されない空き家が増加

大阪市が公表しているデータでは、市内の空き家に関する苦情・相談件数は年間1,000件を超えています。

大阪市の空き家関連補助金制度

1. 解体(除却)補助制度

大阪市には2種類の主要な解体補助制度があります。

① 狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度(2026年度)

密集住宅市街地の防災性向上を目的に、幅の狭い道路に面した老朽木造住宅の解体費を補助する制度です。

補助額(2026年度確認値)

地区区分補助率戸建住宅(上限)集合住宅(上限)
対策地区1/275万円150万円
重点対策地区2/3100万円200万円

主な対象条件

  • 対策地区:幅員4m未満の道路沿い、昭和25年以前に建てられた木造住宅
  • 重点対策地区:幅員6m未満の道路沿い、昭和56年5月31日以前に建てられた木造住宅
  • 解体工事の着工前に申請(着工後は不可)

対象区域の目安:淀川・旭・都島・福島・鶴見・城東・東成・生野・天王寺・大正・阿倍野・西成・平野・東住吉・住吉・住之江区の一部(約3,800ha)

② 老朽危険建築物除却補助(一般)

倒壊の危険がある老朽建築物を対象にした一般的な補助制度。

補助額

  • 木造住宅の場合、工事費の1/2以内で上限75万円程度(年度により変動)

主な要件

  • 行政の事前調査で「老朽危険建築物」に認定されること
  • 前年度所得が一定額以下(所得要件あり)

宅建業者の視点:補助金の予算枠は年度ごとに限りがあり、申請が集中すると年度途中で受付終了になることがあります。解体を検討している場合は、年度の早い時期(4〜6月頃)に区役所に問い合わせることをおすすめします。

2. 空き家利活用改修補助事業(2026年度)

大阪市では、空き家を改修して活用する場合の費用を補助する制度があります。2種類の補助タイプがあり、目的に応じて使い分けられます。

補助額(2026年度確認値)

補助タイプ内容補助上限
住宅再生型バリアフリー・省エネ等の性能向上改修を行い住宅として活用75万円/戸
まちづくり活用型子ども食堂・高齢者サロン等に改修して地域活用300万円/件

まちづくり活用型の対象例

  • 地域の集会所、子育て支援施設、高齢者の居場所などへの改修

住宅再生型は個人オーナーが活用しやすく、まちづくり活用型は地域のまちづくりに資する用途への転用が条件となります。

3. 耐震診断・耐震改修補助

空き家に限らず、大阪市では旧耐震基準(1981年5月31日以前の建築確認)の建物に対する耐震診断・改修の補助制度があります。

  • 耐震診断:木造住宅は無料(大阪市の派遣制度)
  • 耐震改修:工事費の一部を補助(上限100万円程度、年度により変動)
  • 除却(建替えのための解体):耐震性が不足する建物の除却に対する補助

補助金申請の手順(ステップ形式)

解体補助・改修補助を申請する場合の一般的な流れは以下のとおりです。

ステップ1:制度の確認(4〜5月が理想) 物件のある区の区役所(まちづくり担当課)または大阪市住まい情報センターに問い合わせ、対象地区・対象建物に該当するか確認。年度初めは予算に余裕があるため早めの確認を。

ステップ2:事前調査の申請 行政の担当者が現地調査を行い、老朽度・危険度を判定。解体補助は「老朽危険建築物」の認定が必要。改修補助は工事内容の事前確認が必要。

ステップ3:補助金申請書の提出 申請書・見積書・建物謄本等を揃えて窓口に提出。着工前の申請が必須。着工後の申請は一切受け付けられません。

ステップ4:交付決定 審査後、交付決定通知が届く(通常2〜4週間)。交付決定後に工事着手。

ステップ5:工事完了・実績報告 工事完了後に実績報告書と工事写真・領収書を提出。

ステップ6:補助金受取 審査後、指定口座に補助金が振り込まれる(工事完了後1〜2ヶ月が目安)。

宅建業者の視点:申請から交付まで2〜3ヶ月かかります。「年内に解体したい」場合は遅くとも8月には申請を始めることをおすすめします。

各区の空き家率の差

大阪市内でも、区によって空き家率に大きな差があります。

エリア空き家率の傾向特徴
都心部(中央区・北区・西区等)比較的低い(10%前後)再開発が進み、需要が高い
南部(西成区・住之江区等)高い(20%前後の地域も)木造密集地域が多く、高齢化が進む
東部(生野区・東住吉区等)やや高い(15〜18%程度)長屋・文化住宅が多いエリア
北部(東淀川区・淀川区等)中程度(12〜15%程度)ファミリー層の需要がある

空き家率が高いエリアほど行政の補助制度が充実している傾向がありますが、逆に売却価格も低くなりがちです。なお、空き家を放置した場合の固定資産税6倍のリスクについても把握しておきましょう。

大阪市の空き家相談窓口

大阪市住まい情報センター

  • 住所:大阪市北区天神橋6丁目4-20
  • 電話:06-6242-1177
  • 空き家に関する一般的な相談、法律相談(予約制)が可能

各区役所の窓口

  • まちづくり担当課で空き家に関する相談を受け付けている
  • 老朽危険建築物の補助金申請もここで行う

大阪府の空き家相談窓口

  • 大阪府住宅まちづくり部が空き家対策の情報提供を行っている
  • Webサイトで補助制度の最新情報を確認できる

宅建業者の視点:行政の相談窓口は手続きや制度の説明が中心です。「売るべきか」「いくらで売れるか」といった具体的な売却相談は、不動産会社に直接相談した方が実践的なアドバイスを得られます。当社では行政の補助制度を踏まえた上で、売却・解体のどちらが有利かをトータルでご提案しています。

大阪府・大阪市の補助制度比較(2026年度)

解体・改修補助

自治体制度名補助上限対象
大阪市狭あい道路老朽住宅除却促進(重点対策地区)戸建100万円 / 集合200万円密集市街地の老朽木造住宅
大阪市老朽危険建築物除却補助(一般)75万円老朽危険認定物件
大阪市空家利活用改修補助(住宅再生型)75万円/戸性能向上改修後に住宅として活用
大阪市空家利活用改修補助(まちづくり活用型)300万円/件地域施設等への転用
東大阪市空き家解体費補助制度50万円危険空き家

移住・定住支援(大阪府内市町村)

自治体補助内容上限額
堺市子育て世帯等空き家活用定住支援別途確認
豊能町空き家バンク物件リフォーム費補助30万円(費用の1/2)
河内長野市テレワーク目的移住世帯 引越費補助10万円/世帯

宅建業者の視点:大阪市は密集市街地対策の観点から解体補助の水準が高いのが特徴です。府内でも自治体によって補助内容が大きく異なるため、物件所在地の市町村に個別確認が必要です。

相続した空き家が大阪市外にある場合は、所在する自治体の補助制度を個別に確認する必要があります。

補助金と売却の組み合わせ

補助金を活用した上で売却を進めるパターンとして、以下のような流れがあります。

パターン1:補助金で解体→更地で売却 解体補助金を使って費用を抑え、更地にしてから売却する方法。補助金の申請から交付までに2〜3ヶ月かかるため、スケジュールに余裕を持つことが大切です。

パターン2:耐震診断→改修→売却 耐震診断で補助を受け、改修費用も補助制度を活用してから売却する方法。ただし、改修費用に見合うだけ売却価格が上がるかは物件によります。

パターン3:補助金は使わず古家付き土地で売却 補助金申請の手間をかけず、そのまま古家付き土地として売却する方法。手続きがシンプルで早く売却できるメリットがあります。

まとめ

大阪市の空き家対策補助金は、条件に合えば解体費用の負担を減らせる有効な制度です。ただし、補助金の申請には時間がかかり、予算枠にも限りがあるため、早めの情報収集が重要です。

当社では、補助金の活用も含めた空き家の売却プランをご提案しています。まずはLINEで物件情報をお送りください。

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よくある質問

Q. 補助金の申請手続きはどうすればいいですか?

まず、物件がある区の区役所(まちづくり担当課)に相談してください。行政の担当者が現地調査を行い、補助対象に該当するかを判定します。申請は解体工事の着工前に行う必要があります。着工後の申請は受理されないため、先に解体業者と契約してしまわないよう注意してください。

Q. 補助金の対象外になるケースは?

主に以下のケースで対象外になります。建物の老朽度が基準に達していない場合(危険度の判定で基準値を下回る場合)、前年度の所得が一定額を超えている場合すでに解体工事に着工している場合税金の滞納がある場合です。また、年度の予算枠が埋まっている場合も新規受付が停止されます。

Q. 補助金をもらってから売却することはできますか?

可能です。補助金を受けて解体した後に更地として売却するケースは珍しくありません。ただし、補助制度によっては一定期間の用途制限(「まちづくり活用型」の場合は活用目的の継続が求められるなど)がつくことがあります。除却補助の場合は通常そのような制限はなく、解体後すぐに売却可能です。

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