空き家のミカタ

空き家の固定資産税が最大6倍に|1分でわかる6倍化チェックと大阪市・堺市の指定基準・3つの回避策比較【2026年最新】

八木宏樹(宅地建物取引士・大阪府知事(1)第65646号)|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)
放置された空き家の外観。特定空き家に指定されると固定資産税が最大6倍になる

Q: 空き家の固定資産税はいつから6倍になりますか? A: 空き家が「特定空き家」または「管理不全空き家」に指定され、市区町村から勧告を受けた翌年度分から最大6倍になります(土地の固定資産税のみ。建物込みの実質税負担は最大4.2倍程度)。2023年12月の法改正で「管理不全空き家」が新設され、指定のハードルが下がっています。「助言・指導」の段階ではまだ6倍化していません。

空き家を放置すると固定資産税が最大6倍になります。「特定空き家」に指定されると住宅用地の固定資産税の特例(課税標準額を最大6分の1に軽減する措置)が解除されるためです。2023年12月の法改正で「管理不全空き家」制度が新設され、指定のハードルが下がりました。土地と建物の合計で見た実質的な税負担増は最大4.2倍程度ですが、土地のみに限れば最大6倍になります。早期の売却・活用が最も有効な回避策です。

空き家を放置して「特定空き家」に指定されると、住宅用地の固定資産税の特例(最大6分の1の軽減措置)が解除されます。その結果、固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。さらに2023年の法改正で「管理不全空き家」も特例解除の対象に加わり、指定のハードルが下がりました。

この記事では、6倍化の対象になるかどうかを確認する診断フロー、大阪市・堺市の実際の運用事例、そして売却・賃貸・解体の3択を費用・期間・手取り額で比較した表をお伝えします。


「6倍化対象か?」1分でチェック

固定資産税の書類と電卓。6倍化対象かどうかを書類で確認する

以下の3項目を順番に確認してください。いずれかに該当する場合は、早めの対応が必要です。

チェック①:固定資産税の課税明細書を確認する

毎年5〜6月に届く納税通知書に「課税明細書」が同封されています。土地の欄を確認してください。

確認ポイント安全要注意
土地の課税区分「小規模住宅用地」「一般住宅用地」と記載あり記載がない・空欄・「その他宅地」になっている
前年度との比較税額がほぼ同じ税額が急増している(前年の2倍以上)

「小規模住宅用地」の記載がない場合、住宅用地の特例が解除されている可能性があります。すぐに市区町村の固定資産税担当窓口に確認してください。

チェック②:自治体からの通知を確認する

市区町村の空き家担当窓口から以下の通知が届いていませんか?

通知の種類固定資産税への影響対応の緊急度
助言・指導まだ6倍化していない★★★☆☆(早めに対応)
勧告翌年度から6倍化が始まる★★★★★(即座に対応必要)
命令6倍化中+行政代執行リスク★★★★★(緊急)

「助言・指導」の段階なら、まだ6倍化していません。この段階で売却・賃貸・修繕のいずれかを選べば、税負担の増大を回避できます。

チェック③:建物の現状を確認する

以下の状態が1つでも当てはまれば、近隣からの通報や行政のパトロールで調査対象になる可能性があります。

  • ☐ 屋根・外壁が破損・剥落している
  • ☐ 庭の雑草が繁茂し、道路にはみ出している
  • ☐ 窓ガラスが割れたままになっている
  • ☐ 郵便物・チラシがポストに溢れている
  • ☐ 悪臭・害虫・害獣の被害が出ている
  • ☐ 不法投棄されたゴミが敷地内に放置されている
  • ☐ 不審者の侵入・不法占拠が疑われる

2項目以上に該当する場合は、特定空き家または管理不全空き家の指定を受けるリスクが高い状態です。

宅建業者の視点:当社に相談に来られる方の中には、この税負担の増加を知らないまま数年間空き家を放置していたケースが少なくありません。特に遠方にお住まいで実家の状態を確認できていない方は、早めにご相談ください。


固定資産税の仕組みと住宅用地の特例

まず、なぜ「6倍」になるのかを理解しましょう。

住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用されており、固定資産税が減額されています。

区分固定資産税の軽減率都市計画税の軽減率
小規模住宅用地(200㎡以下の部分)評価額の6分の1評価額の3分の1
一般住宅用地(200㎡超の部分)評価額の3分の1評価額の3分の2

この特例が解除されると、固定資産税の計算に使う課税標準額が6倍に戻ります。

大阪市内の具体的な計算例

大阪市内の土地200㎡、固定資産税評価額1,800万円の場合で比較します。

特例あり(通常の住宅用地)

  • 固定資産税:1,800万円 × 1/6 × 1.4% = 約4.2万円
  • 都市計画税:1,800万円 × 1/3 × 0.3% = 約1.8万円
  • 合計:約6.0万円/年

特例なし(特定空き家に指定後)

  • 固定資産税:1,800万円 × 1.4% = 約25.2万円
  • 都市計画税:1,800万円 × 0.3% = 約5.4万円
  • 合計:約30.6万円/年

差額は年間約24.6万円。5年放置すると約123万円の追加負担になります。

築40年・木造戸建ての税額試算(土地評価額1,200万円・200㎡以下)

大阪市平野区・東住吉区・鶴見区など住宅密集エリアで親から相続した築40年の木造戸建て(土地固定資産税評価額1,200万円、200㎡以下)での試算です。

項目特定空き家指定前特定空き家指定後
固定資産税(土地)1,200万×1/6×1.4%=2.8万円1,200万×1.4%=16.8万円
都市計画税(土地)1,200万×1/3×0.3%=1.2万円1,200万×0.3%=3.6万円
合計(年間)約4.0万円約20.4万円
増加額+16.4万円/年

5年放置すると+82万円、10年放置すると+164万円の追加負担になります。


特定空き家の4つの判断基準

空家等対策特別措置法では、以下の4つの状態のいずれかに該当する空き家を「特定空き家」に指定できると定めています。

①倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

  • 建物の基礎に著しい不同沈下がある
  • 柱・梁が腐食・破損し、倒壊の危険がある
  • 屋根・外壁が脱落・飛散するおそれがある

②著しく衛生上有害となるおそれのある状態

  • ごみの不法投棄や放置により悪臭が発生している
  • 害虫・害獣(ネズミ・ハクビシン等)が繁殖している
  • アスベストが飛散するおそれがある

③適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

  • 窓ガラスが割れたまま放置されている
  • 外壁の落書きが放置されている
  • 庭の樹木が繁茂し、道路にはみ出している

④周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態

  • 不審者の侵入が疑われる
  • 枝折れ・落雪で通行人に危険がある
  • 動物の糞尿被害が近隣に及んでいる

大阪市・堺市の実際の運用事例

同じ「特定空き家」の基準でも、自治体によって運用に差があります。大阪市と堺市の例をお伝えします。

大阪市の場合

大阪市では、空き家等対策推進室が中心となって特定空き家の認定・指導を行っています。近隣からの通報が入ると、市職員が現地調査を実施します。通報から助言・指導の通知までは平均2〜4ヶ月かかるとされています。大阪市内の空き家は約27.7万戸(2023年住宅・土地統計調査)にのぼり、特に木造密集地域(平野区・生野区・東住吉区等)では対策が強化されています。

2023年の法改正後、大阪市では管理不全空き家の認定基準として「庭木の越境(道路・隣地への飛び出し)」「外壁の剥落」「ポストへの郵便物の大量滞留」を具体的な確認ポイントとして運用しています。

堺市の場合

堺市は2016年に「堺市空家等対策計画」を策定し、府内でも早期から空き家対策に取り組んできた自治体です。堺市内の空き家は約7万戸以上(2018年住宅・土地統計調査)にのぼります。

堺市の特徴は、「空き家等適正管理ハンドブック」を作成して所有者への周知を強化していること。近隣通報からの調査着手が速く、また2023年の法改正後は管理不全空き家への対応も本格化しています。堺市では特定空き家の指定に至る前に「改善勧奨(任意の改善要請)」を行うケースが多く、この段階で連絡を取れば指定を回避しやすい状況です。

宅建業者の視点:大阪市と堺市のどちらも、「勧告」の前に「助言・指導」の段階があります。この段階で売却・賃貸・修繕のいずれかを進めれば、6倍化は回避できます。自治体から通知が来た段階でご相談いただくケースが多いですが、来る前の早い段階の方がより多くの選択肢が残っています。


2023年法改正:「管理不全空き家」の新設

2023年12月に施行された法改正により、「管理不全空き家」というカテゴリが新設されました。これは特定空き家の一歩手前の状態の空き家を指します。

管理不全空き家に指定され、市区町村からの勧告を受けると、特定空き家と同様に住宅用地の特例が解除されます。

つまり、「まだそこまでひどくないから大丈夫」とは言えなくなりました。窓ガラスが1枚割れている、庭の雑草が伸び放題、といった状態でも管理不全空き家に指定される可能性があります。


「指定前」vs「指定後」売却タイミングの緊急性

特定空き家に指定されるタイミングによって、税負担と選択肢が大きく変わります。

タイミング固定資産税売却価格への影響推奨度
指定前(今すぐ)軽減措置あり(低い)通常価格で売却可能◎ 最適
勧告後(指定時)軽減措置なし(最大6倍)価格への影響は少ない△ 税負担増
命令・行政代執行後軽減措置なし+行政費用請求解体費用分が差し引かれリスク大× 最悪

指定前に相談・売却することで、年間最大16万円以上の税負担増を回避できます。


回避策3択の費用・期間・手取り額を比較

固定資産税6倍化の回避策を比較する電卓と書類。売却・賃貸・解体の3択をシミュレーション

固定資産税6倍化を回避するための主な選択肢は3つです。費用・期間・手取り額を比較してご確認ください。

方法初期費用(目安)期間(目安)固定資産税の変化手取り額の目安こんな方に向いている
①売却(直接買取)0円(仲介手数料なし)最短3日〜1ヶ月即座に解消相場の70〜80%早く手放したい・遠方在住・老朽化が進んでいる
②賃貸30〜100万円(リフォーム代)入居まで1〜3ヶ月住宅用地の特例が継続(6倍化なし)3〜8万円(管理費・修繕積立控除後)物件がまだ使える状態・毎月収入がほしい
③解体して売却120〜180万円(30坪木造の場合)解体〜売却まで3〜6ヶ月建物がなくなり特例解除だが売却で清算土地評価額から解体費用を差し引いた額建物の老朽化が激しく修繕が不可能・取り壊し後に土地を活用したい

各方法の詳細

①売却(直接買取)の場合

仲介に出さず直接買取業者に売却する場合、仲介手数料が一切かかりません。現況のまま(片付け不要)で査定・購入するため、リフォーム費用も不要です。売却後は固定資産税の支払いが即日解消されます。買取価格は市場相場の70〜80%程度になることが多いですが、維持費や管理コストを考えると手元に残る額が大きくなるケースもあります。

②賃貸の場合

賃貸に出す場合、住宅として使用している状態が続くため住宅用地の特例が維持されます。固定資産税の6倍化は回避できます。ただし、入居可能な状態にするためのリフォーム費用(最低30万円〜)と、入居後の管理・修繕費の負担があります。老朽化が著しい建物や、交通利便性の低いエリアでは入居者が見つかりにくいケースもあります。

③解体して売却(更地化)の場合

建物を解体して更地にすることで、特定空き家の指定リスクをなくせます。注意点は、更地にすると住宅用地の特例がなくなるため固定資産税は上がります。そのため、解体後は速やかに売却することが得策です。解体費用の相場は木造住宅で坪4〜6万円(30坪の家なら120〜180万円)です。解体費用が先行するため、まとまった費用が必要になります。

宅建業者の視点:解体前に必ず不動産業者に相談ください。古い建物でも「リノベーション前提の購入希望者」がいる場合は、解体せずにそのまま売却した方が手元に残る金額が多くなることがあります。当社では解体の要否も含めて最適な売却方法をご提案しています。


固定資産税6倍化を回避する5ステップ(HowTo)

ステップ①:課税明細書と通知書を確認する

固定資産税の課税明細書(毎年5〜6月)で住宅用地の特例が適用されているかを確認します。市区町村から「助言・指導」「勧告」の通知が届いていないかも確認してください。

ステップ②:建物の現状をセルフチェックする

外壁・屋根・庭木・窓ガラスの状態を確認します。遠方にお住まいで現地確認が難しい場合は、近隣の方や不動産業者に写真を送ってもらう方法もあります。

ステップ③:回避策の費用対効果を比較する

売却・賃貸・解体の3択を、ご自身の状況(物件の老朽化度・所在地・資金状況)に合わせて比較します。上記の比較表を参考にしてください。

ステップ④:助言・指導の段階で行動する

「勧告」を受ける前に行動することが最も重要です。助言・指導の段階で対応を始めれば、固定資産税の6倍化は回避できます。修繕・管理を行う場合は記録写真を撮り、自治体の担当窓口に報告することで勧告への移行を防げます。

ステップ⑤:不明な点は無料相談で確認する

「どの方法が自分の物件に合っているか」「解体した方がいいか、そのまま売った方がいいか」など、個別の判断が必要な場合は宅建業者への無料相談をお勧めします。当社では査定・相談を無料でお受けしています。


大阪市・堺市の空き家相談窓口

大阪市の場合

堺市の場合

  • 堺市都市整備局建築都市局建築安全課(空家担当):072-228-7037
  • 堺市空き家等相談窓口:各区の区役所でも受付
  • 堺市では「空家等適正管理ハンドブック」を無料配布(区役所窓口で入手可)

よくある質問(FAQ)

Q. 特定空き家にはいつ指定されますか?突然ですか?

いきなり指定されるわけではありません。一般的には、①近隣からの通報や行政のパトロール → ②立入調査 → ③助言・指導 → ④勧告 → ⑤命令 → ⑥行政代執行という段階を踏みます。住宅用地の特例が解除されるのは「勧告」の段階からです。助言・指導の段階で改善すれば、指定を免れることができます。

Q. 近所の人が通報したら指定されてしまいますか?

近隣からの通報は行政が調査を始めるきっかけの一つにはなりますが、通報だけで指定されることはありません。行政職員が現地を確認し、上記の4つの基準に照らして判断します。ただし、2023年の法改正後は管理不全空き家の基準が加わったため、以前より指定されやすくなっているのは事実です。

Q. 一度指定されたら解除はできますか?

特定空き家や管理不全空き家の指定は、指摘された状態を改善すれば解除されます。具体的には、建物の修繕、敷地内の清掃・草刈り、危険箇所の除去などを行い、市区町村の確認を受けます。改善が認められれば勧告が取り消され、住宅用地の特例も翌年度から復活します。

Q. 売却・賃貸・解体のうち、どれがおすすめですか?

物件の状態と所有者の状況によります。老朽化が進んでいる場合や遠方にお住まいの場合は、費用なし・手間なしで済む直接買取(売却)が最も合理的なケースが多いです。物件がまだ住める状態なら賃貸も選択肢になりますが、リフォーム費用と管理の手間がかかります。解体は維持費をゼロにできますが、解体費用が先行します。


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執筆: 八木宏樹(宅地建物取引士・大阪府知事(1)第65646号)|空き家のミカタ代表。大阪市を中心に全国の空き家・訳あり不動産の買取を手掛ける。特定空き家・管理不全空き家の指定対策から売却まで一貫対応。

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