【2026年版】相続した不動産の売り方 完全ガイド|実務手順・費用・業者選定を買取業者が解説
相続した不動産の売却は、通常の不動産売却よりも手順が複雑です。「誰に売ればいいのか」「費用はいくらかかるのか」「どんな税金が発生するのか」——こうした疑問をお持ちの方は多くいます。
この記事では、相続不動産の売却実務を10年以上経験してきた買取業者の視点から、実務手順・かかる費用・業者の選び方を具体的に解説します。難しい専門用語はできるだけ使わず、はじめて相続不動産を売る方でも順を追って理解できるようにまとめました。
売却前に確認すべき3つのポイント
相続不動産の売却を進める前に、必ず確認しておくべき事項が3つあります。ここを飛ばして進めると、後から手続きがストップすることがあります。
1. 相続人全員の同意があるか
不動産の売却には、相続人全員の同意が必要です。一人でも反対する相続人がいると、売却は進められません。特に相続人が多い場合や、疎遠な親族がいる場合は早めに連絡を取り合うことが重要です。
遺言書がある場合は遺言書の内容に従います。遺言書がない場合は「遺産分割協議」を行い、誰がどの財産を相続するかを決定します。
2. 相続登記(名義変更)が済んでいるか
不動産の名義が亡くなった方(被相続人)のままでは売却できません。必ず相続登記を行い、相続人名義に変更する必要があります。
2024年4月から相続登記は義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記を行わないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。売却を急いでいる場合も、まず相続登記を先に進めてください。
3. 売却期限(節税特例の期限)を把握しているか
相続した空き家を売却する場合、「3,000万円特別控除(空き家特例)」という節税制度があります。適用期限は「相続から3年を経過する日が属する年の12月31日まで」です。
この期限を過ぎると、数百万円単位の節税が受けられなくなります。売却を急ぐ必要はありませんが、期限から逆算してスケジュールを立てることをおすすめします。
相続不動産の売却 7ステップ実務手順
実際に売却を進める際の手順を、ステップごとに解説します。
STEP1:相続人の確定と遺産分割協議
まず、誰が法定相続人なのかを確定します。被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)を取り寄せて、すべての相続人を洗い出します。
相続人が確定したら、全員で「遺産分割協議」を行います。不動産を一人が相続して売却する場合も、全員が相続放棄または同意する必要があります。合意内容は「遺産分割協議書」に記載し、全員が署名・実印で捺印します。
必要な書類(例)
- 被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡)
- 各相続人の戸籍謄本・住民票・印鑑証明書
- 不動産の登記事項証明書(法務局)
- 固定資産税評価証明書
STEP2:相続登記の申請
遺産分割協議書が整ったら、法務局に相続登記を申請します。司法書士に依頼するのが一般的です。
費用の目安:司法書士報酬3〜8万円 + 登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)
例えば固定資産税評価額が1,000万円の土地・建物であれば、登録免許税は4万円が目安です。
登記が完了すると「登記識別情報通知」(旧・権利証に相当するもの)が発行されます。売却時に必要になるため、大切に保管してください。
STEP3:査定依頼と業者選定
相続登記が完了したら、いよいよ査定依頼です。仲介業者と買取業者の両方から査定を取ることをおすすめします。どちらが自分の状況に合っているかは、後述の「仲介 vs 買取の判断基準」で詳しく解説します。
査定の際に確認すべきポイントは以下の通りです。
| 確認ポイント | 仲介の場合 | 買取の場合 |
|---|---|---|
| 売却価格の目安 | 市場相場の80〜100% | 市場相場の60〜80% |
| 売却までの期間 | 3〜6ヶ月(目安) | 最短2週間〜1ヶ月 |
| 仲介手数料 | 売却価格×3%+6万円+税 | なし |
| 内覧対応 | 必要 | 不要 |
| 契約不適合責任 | 通常あり | 免除が多い |
STEP4:媒介契約または買取契約の締結
仲介を選んだ場合: 媒介契約(専任・専属専任・一般媒介の3種類)を締結します。専任・専属専任媒介は業者1社のみと契約し、レインズ(不動産情報ネットワーク)への登録義務があります。一般媒介は複数社と同時契約できますが、情報が拡散しやすい反面、業者の優先度が下がる可能性があります。
買取を選んだ場合: 買取業者と直接売買契約を締結します。価格・引き渡し日・特約条項を確認し、疑問点はすべて質問してから署名してください。
STEP5:売却活動(仲介の場合のみ)
仲介の場合、業者がSUUMOやat homeなどのポータルサイトに物件情報を掲載し、購入希望者を募ります。内覧が入った際は鍵を渡すか立会いが必要です。
空き家の場合、内覧前に簡単な清掃・整理をしておくと印象が良くなります。ただし高額なリフォームは回収できないことが多いため、実施前に業者に相談してください。
STEP6:売買契約・決済・引き渡し
買主が決まったら、売買契約を締結します。重要事項説明を受け、物件の状態(告知義務のある事項を含む)を確認し、手付金(売却価格の5〜10%程度)を受け取ります。
決済日には残代金を受け取り、司法書士立会いのもとで所有権移転登記を行います。固定資産税などは日割り精算します。
STEP7:確定申告
売却益(譲渡所得)が発生した場合は、翌年の確定申告期間(2月〜3月)に申告が必要です。取得費・譲渡費用・特別控除を正確に計上するため、税理士への相談を強くおすすめします。
かかる費用の全体像
相続不動産の売却には、さまざまな費用が発生します。事前に把握しておくことで、手取りの見込みが立てやすくなります。
費用早見表
| 費用項目 | 金額の目安 | 発生タイミング | 備考 |
|---|---|---|---|
| 相続登記費用 | 6〜15万円 | 売却前 | 司法書士報酬+登録免許税 |
| 仲介手数料 | 売却価格×3%+6万円+税 | 引き渡し時 | 仲介のみ。買取は不要 |
| 測量費 | 30〜60万円 | 売却前(場合による) | 境界不明確な土地のみ |
| 解体費 | 50〜300万円 | 引き渡し前(場合による) | 更地渡しの場合 |
| 登録免許税(売主) | 売却価格×0.3%程度 | 決済時 | 所有権移転時 |
| 印紙代 | 2〜6万円程度 | 売買契約時 | 売却価格による |
| 譲渡所得税 | 売却益×20.315% | 翌年3月 | 5年超所有の場合。取得費控除後 |
手取り計算の例
売却価格2,000万円・仲介手数料あり・取得費300万円・所有期間5年超の場合
- 仲介手数料:2,000万円×3%+6万円+消費税 ≒ 72万円
- 相続登記費用:約10万円
- 印紙代:約3万円
- 譲渡所得:2,000万円 − 300万円 − 72万円 − 3万円 = 1,625万円
- 譲渡所得税:1,625万円×20.315% ≒ 330万円
- 手取り概算:2,000万円 − 72万円 − 10万円 − 3万円 − 330万円 ≒ 1,585万円
※概算です。取得費・特別控除の有無により大きく変わります。詳細は税理士にご相談ください。
買取業者の視点: 仲介手数料と契約不適合責任のリスクを考えると、条件が複雑な物件(共有持分・再建築不可・築古・遠方)では買取の実質的な手取りが仲介に近づくケースがあります。「買取は損」と一概には言えません。
仲介 vs 買取:業者選びの判断基準
相続不動産の売却で最も迷うのが「仲介業者に頼むか、買取業者に直接売るか」という選択です。状況によってベストな選択は異なります。
仲介が向いているケース
- 時間的な余裕がある(3〜6ヶ月以上)
- 物件の状態が良く、一般市場で需要がある
- 売却価格を最大化したい
- 相続人間で意見がまとまっており、手続きがスムーズに進む
買取が向いているケース
- 早期に現金化したい(相続税の支払い期限が近い等)
- 物件が再建築不可・事故物件・共有持分・築古など「訳あり」物件
- 遠方に住んでいて内覧対応が難しい
- 相続人が多く、早く売って現金分配したい
- 仲介で売り出したが買主が見つからなかった
- 契約不適合責任のリスクを負いたくない
業者選びで確認すべきこと
どちらの業者を選ぶ場合も、以下の点を必ず確認してください。
- 宅地建物取引業の免許を持っているか(国土交通省・各都道府県のサイトで検索可)
- 相続不動産の取り扱い実績があるか(事例の数・対応エリア)
- 査定の根拠を説明してくれるか(根拠が不明確な業者は避ける)
- 契約不適合責任の扱いがどうなっているか
- 担当者との相性(不安なことを気軽に質問できるか)
よくある失敗パターンと回避策
相続不動産の売却でよく見られる失敗パターンをご紹介します。事前に把握しておくことで回避できます。
❌ 相続登記を後回しにして売却が止まった
登記完了前に売却交渉を進めてしまい、買主が見つかったのに登記手続きの遅れで取引が流れてしまうケースがあります。登記と売却活動は並行して進めるのが正解です。
❌ 3,000万円特別控除の期限を見逃した
相続から3年以上経過してから売却を決断し、節税機会を逃すケースです。相続発生と同時に期限をカレンダーに入れておきましょう。
❌ 1社だけの査定で売却価格を決めた
査定は業者によって200〜300万円以上の差が出ることがあります。最低3社に査定依頼することをおすすめします。
❌ リフォームしてから売ろうとした
相続した築古物件を高額リフォームして売ろうとしたが、リフォーム費用を回収できなかったというケースがあります。リフォームの要否は必ず業者に相談してから判断してください。
ご相談はLINEまたはフォームから
「相続した不動産をどうすればいいかわからない」「仲介か買取か迷っている」という方は、まず無料でご相談ください。
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相続した不動産の売却は、一人で抱え込まずに専門家に相談することが、結果的に一番スムーズな解決につながります。お気軽にご連絡ください。