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相続放棄したら家はどうなる?手続きの流れと注意点

宅地建物取引士

相続放棄しても、不動産の管理責任が残る場合があります。放棄の期限は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内です。この期限を過ぎると原則として放棄できなくなるため、早めの判断が求められます。相続登記の義務化についても併せて確認しておきましょう(相続登記の義務化ガイド)。

この記事では、相続放棄を検討している方に向けて、手続きの流れ・費用・注意点を当社の宅地建物取引士の視点からお伝えします。

相続放棄とは

相続放棄とは、亡くなった方(被相続人)の財産も借金もすべてまとめて引き継がないと宣言する手続きです。家庭裁判所に「相続放棄の申述」を行うことで成立します。

ここで重要なのは、相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も含めて全て放棄するということ。「借金は放棄して家だけ相続する」ということはできません。

司法統計によると、相続放棄の申述受理件数は2022年に約26万件にのぼり、10年前の約1.5倍に増加しています。空き家問題や「負動産」という言葉の広まりとともに、相続放棄を選ぶ方が増えている現状があります。

相続放棄の手続きの流れ

ステップ1:期限の確認

相続放棄の期限は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内です。通常は被相続人が亡くなったことを知った日から3ヶ月と理解してください。

3ヶ月で判断がつかない場合は、家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立て」を行うことで、期間を延ばしてもらえる場合があります。

ステップ2:必要書類の準備

  • 相続放棄の申述書(裁判所の書式)
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍)謄本
  • 申述人(放棄する人)の戸籍謄本
  • 収入印紙800円分
  • 郵便切手(裁判所により異なるが、概ね400〜500円分)

ステップ3:家庭裁判所への申述

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に書類を提出します。郵送での申述も可能です。

ステップ4:照会書への回答

申述後、裁判所から照会書(質問書)が届きます。「放棄の意思に間違いはないか」「相続財産を処分していないか」などの質問に回答して返送します。

ステップ5:受理通知

問題がなければ、申述から約1〜2ヶ月で「相続放棄申述受理通知書」が届きます。これで手続きは完了です。

相続放棄にかかる費用

項目費用
収入印紙800円
郵便切手約400〜500円
戸籍謄本等の取得1通450〜750円 × 必要枚数
司法書士に依頼した場合3〜5万円
弁護士に依頼した場合5〜10万円

自分で手続きする場合、実費は数千円程度で済みます。ただし、期限が迫っている場合や書類の取得が複雑な場合は、専門家への依頼を検討した方が安全です。

宅建士の視点:相続放棄は一度受理されると撤回できません。不動産の価値がわからないまま放棄を決めてしまうと、実は売却すれば借金を返済してもプラスが残るケースを逃すことがあります。放棄を決める前に、不動産の査定だけでも受けておくことをおすすめします。

全員が放棄した場合はどうなるか

相続人全員が相続放棄した場合、不動産は「相続人不存在」の状態になります。この場合、以下の流れで処理されます。

1. 相続財産清算人の選任 利害関係人(債権者など)や検察官が家庭裁判所に申し立てて、相続財産清算人が選任されます。選任費用として予納金20〜100万円程度が必要になることがあります。

2. 債権者への弁済 相続財産清算人が財産を換価(売却等)して、債権者に弁済します。

3. 残余財産の国庫帰属 債権者への弁済後に残った財産は、最終的に国のものになります。

管理責任の問題(2023年民法改正)

2023年4月の民法改正により、相続放棄後の管理責任のルールが変わりました。

改正前は「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」とされていました。

改正後は、「相続の放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているとき」に限り管理義務があると明確化されました。つまり、放棄した人が実際にその家に住んでいたり、鍵を管理していたりする場合に限って管理責任が生じます。

ただし、この管理責任は次の管理者(他の相続人や相続財産清算人)が管理を始めるまで続きます。全員が放棄し、かつ相続財産清算人も選任されない場合、現に占有している放棄者の管理責任が長期間続く可能性があります。

宅建士の視点:相続放棄しても管理責任から完全に逃れられない場合があるという点は、多くの方が見落としがちです。特に遠方の実家を放棄しても、倒壊して近隣に被害を与えた場合の責任問題が残るケースがあります。「負の遺産」と思い込んでいる不動産でも、売却すれば管理責任から解放されることがあるため、放棄前に売却の可能性を探ることをおすすめします。売却の手順については相続不動産の売却完全ガイドをご覧ください。

「負の遺産」でも放棄前に売却を検討すべきケース

以下に当てはまる場合は、相続放棄ではなく売却を検討する価値があります。

  • 土地に一定の価値がある場合:建物がボロボロでも、大阪市内の土地は一定の需要がある
  • 借金の総額が不動産価値を下回る場合:売却して借金を返済し、残りを手元に残せる
  • 他のプラスの財産がある場合:預貯金や有価証券もすべて放棄することになる
  • 限定承認という選択肢:プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ方法もある(ただし手続きが複雑で、相続人全員で行う必要がある)

まとめ

相続放棄は「借金が多い」「管理できない不動産がある」場合の有力な選択肢ですが、3ヶ月の期限があるため早めの情報収集が重要です。

当社では、相続した不動産の査定を無料で行っています。放棄すべきか売却すべきか迷っている方は、まず不動産の価値を確認するところから始めてみてください。

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よくある質問

Q. 相続財産の一部だけ放棄できますか?

できません。相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産もすべて放棄する制度です。「家は要らないが預貯金は欲しい」という選択はできません。プラスの財産の範囲内で借金を引き継ぐ「限定承認」という制度はありますが、相続人全員で行う必要があり、手続きも複雑です。

Q. 放棄後に遺品を持ち出してもいいですか?

注意が必要です。経済的価値のある物を持ち出すと「相続財産の処分」とみなされ、相続を承認したことになる可能性があります。写真やアルバムなど経済的価値のない思い出の品は問題ないとされていますが、判断に迷う場合は弁護士に相談してください。

Q. 借金があっても家だけ相続できますか?

相続放棄では不可能です。ただし、前述の「限定承認」を使えば、不動産を含むプラスの財産の範囲内でのみ借金を引き継ぐことができます。また、不動産を売却して借金を返済し、残額を受け取るという方法もあります。いずれにしても、まずは不動産の価値と借金の総額を正確に把握することが第一歩です。

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