【2026年版】相続した不動産を売却する完全ガイド|宅建業者が全手順を解説
相続不動産の売却は①相続登記(2024年4月から義務化・3年以内)→ ②査定 → ③売却方法選択(仲介か買取か)→ ④引き渡しの順で進む。相続人が複数いる・築古・訳あり物件は直接買取が最短2週間で完結。節税(3,000万円特別控除)を使うなら相続後3年以内が期限。早めの行動が選択肢を広げる。
相続したアパート・家・土地を売却するには、①相続登記 ②査定 ③媒介契約 ④売却活動 ⑤引渡しの5ステップで進めます。2024年4月から相続登記が義務化されたため、まずは名義変更を済ませることが最優先です。
この記事では、大阪で相続不動産(アパート・一戸建て・土地)の売却を数多くサポートしてきた当社の宅建業者の経験をもとに、手続きの全体像から費用・税金まで、わかりやすく解説します。
ステップ①:相続登記(名義変更)
相続した不動産は、亡くなった方の名義のままでは売却できません。まず法務局で相続登記(名義を相続人に変更する手続き)を行います。
2024年4月1日から相続登記は義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料(罰金のようなもの)が科される可能性があります。相続登記の詳しい手続きや費用については相続登記の義務化ガイドで解説しています。
相続登記に必要な書類
- 被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票
- 遺産分割協議書(相続人が複数の場合)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 固定資産評価証明書
- 登記申請書
費用の目安
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 登録免許税 | 固定資産評価額の0.4% |
| 司法書士報酬 | 3〜10万円(依頼する場合) |
| 戸籍等の取得費 | 数千円〜1万円程度 |
自分で手続きすることも可能ですが、戸籍の収集や書類作成に手間がかかるため、司法書士に依頼するのが一般的です。
ステップ②:不動産の査定
相続登記が完了したら、不動産会社に査定を依頼します。査定とは、その不動産がいくらで売れそうかを専門家に見積もってもらうことです。
査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
- 机上査定:データだけで概算を出す方法。早い(即日〜数日)が精度は低め
- 訪問査定:実際に物件を見て査定する方法。時間はかかるが精度が高い
売却を本格的に進める場合は、訪問査定を受けることをおすすめします。査定は通常無料です。
ステップ③:媒介契約
売却を任せる不動産会社が決まったら、媒介契約(売却の仲介を正式に依頼する契約)を結びます。
媒介契約には3種類あります。
| 種類 | 他社への依頼 | 自分で買主を探す | 報告義務 |
|---|---|---|---|
| 専属専任媒介 | 不可 | 不可 | 1週間に1回以上 |
| 専任媒介 | 不可 | 可能 | 2週間に1回以上 |
| 一般媒介 | 可能 | 可能 | なし |
相続物件の場合、不動産会社が積極的に動いてくれる専任媒介がおすすめです。
ステップ④:売却活動
不動産会社が買主を探す活動を行います。具体的には以下のような方法です。
- 不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME’S等)への掲載
- レインズ(不動産業者間のデータベース)への登録
- チラシの配布
- 内覧(購入希望者に物件を見てもらう)の対応
売主としては、内覧時の準備(掃除・整理整頓)が大切です。相続物件の場合、荷物の片付けが必要になることも多いです。
ステップ⑤:売買契約・引渡し
買主が見つかったら、売買契約を結びます。契約時には手付金(売買価格の5〜10%が一般的)を受け取ります。
その後、残代金の決済と同時に物件の引渡しを行います。この時点で所有権が買主に移転します。
売却にかかる費用と税金
費用一覧
| 費用項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 売買価格 × 3% + 6万円(税別)※800万円以下の物件は上限30万円(税別) |
| 相続登記費用 | 3〜10万円 |
| 印紙税 | 1千円〜6万円(売買価格による) |
| 測量費用 | 30〜80万円(土地の場合、必要に応じて) |
| 解体費用 | 100〜300万円(古家を解体する場合) |
税金:譲渡所得税
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税がかかります。
譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用
税率は所有期間によって異なります。
| 区分 | 所有期間 | 税率(所得税+住民税) |
|---|---|---|
| 短期譲渡 | 5年以下 | 39.63% |
| 長期譲渡 | 5年超 | 20.315% |
※相続の場合、被相続人の取得時期を引き継ぎます。
3,000万円特別控除
相続した自宅を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できる特例があります。空き家を相続した場合にも適用できる「空き家の3,000万円特別控除」(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除)があります。
適用要件は複雑なため、税理士や不動産会社に確認することをおすすめします。譲渡所得税の計算方法や節税対策については不動産売却の税金ガイドで詳しく説明しています。
よくある失敗パターン
- 相続登記をせずに放置する:義務化により過料のリスク。また、時間が経つほど相続関係が複雑になる
- 相続人間で合意しないまま進める:後からトラブルになるケースが多い
- 査定を1社だけで済ませる:複数社に依頼して比較することが重要
- 税金の確認を後回しにする:売却後に想定外の税金が発生するケースがある
- 空き家を長期間放置する:管理コストがかかり、建物の劣化で売却価格も下がる
まとめ
相続した不動産の売却は、手続きが多くて不安に感じるかもしれません。しかし、一つずつ順番に進めていけば、完了させることができます。
大切なのは、早めに専門家に相談することです。相続登記の義務化もあり、先延ばしにするほど手続きが複雑になります。
関連する相談事例
このガイドで解説した手順を実際に使って、相続不動産を手放した方の体験談です。
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