相続アパートを手放したい方へ|売却の流れ・税金・失敗しない判断基準を宅建業者が完全解説【2026年最新】
「親が亡くなって、アパートを相続した。でも、どうしたらいいかわからない」という方は多くいます。管理できない・遠方にある・入居者がいる・築古すぎて仲介では売れない――そういった悩みをお持ちの方に向けて、相続アパートの処分方法を宅建業者の立場から完全解説します。
相続後のアパート処分フローチャート
相続アパートをどう処分するか、全体の流れを確認しましょう。
【相続発生】
↓
【STEP1: 現状把握(1ヶ月以内)】
アパートの賃貸状況・ローン・管理状況を確認
↓
【STEP2: 相続するかどうかの判断(3ヶ月以内)】
プラスの遺産 vs マイナスの遺産 → 相続放棄の期限
↓
【STEP3: 遺産分割協議(相続人全員の合意)】
誰がアパートを相続するかを決定
↓
【STEP4: 相続登記(義務化・3年以内)】
法務局で所有権移転登記
↓
【STEP5: 処分方法を選ぶ】
├── 賃貸を継続する
├── 仲介で売却する
└── 買取業者に直接売却する
↓
【STEP6: 売却・引き渡し】
(買取なら最短2週間)
↓
【STEP7: 確定申告(翌年2月〜3月)】
譲渡所得税の申告・節税特例の適用
STEP1:相続発生直後にやること
相続が発生したら、まずアパートの現状を把握することが重要です。
確認すべき項目:
- アパートのローン残高(ある場合は金融機関に連絡)
- 入居者の状況(入居者数・賃料収入・空室数)
- 管理会社との契約状況
- 固定資産税の金額(毎年1月1日時点の所有者に課税)
- 建物の状態(雨漏り・老朽化の有無)
管理会社がいる場合は、オーナー変更の連絡を早めに行いましょう。家賃の振込先が変更されていないと、売却後のトラブルにつながります。
STEP2:賃貸継続 vs 売却|どちらが得か?
相続アパートを持ち続けるか手放すかで悩む方が多くいます。判断の基準は「10年間保有した場合のトータルコスト」で考えることです。
賃貸継続のメリット・デメリット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 毎月の家賃収入が得られる |
| メリット | 相続税評価額が低くなる(借家権割合控除) |
| デメリット | 固定資産税・管理費・修繕費が毎年かかる |
| デメリット | 空室が増えると収支がマイナスになるリスク |
| デメリット | 老朽化が進むほど大規模修繕が必要になる |
| デメリット | 遠方の場合は管理が困難 |
売却のメリット・デメリット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 管理・修繕リスクから即座に解放される |
| メリット | まとまった現金が手に入る |
| メリット | 相続税の納税資金に充てられる |
| デメリット | 売却益に譲渡所得税がかかる(節税特例あり) |
| デメリット | 仲介の場合は売却まで時間がかかる |
判断の目安
以下に1つでも当てはまる場合は、売却を優先的に検討することをおすすめします。
- 空室率が50%以上
- 築30年以上で大規模修繕が近い
- 遠方で管理が難しい
- ローン残高が家賃収入を上回っている
- 相続人が複数いて管理方針の合意が難しい
- 他に不動産を持っており管理が手に余る
STEP3:相続アパートにかかる税金
税金は「相続税」と「売却時の税金(譲渡所得税)」の2種類を理解しておく必要があります。
相続税の基礎知識
相続税は、相続した財産の合計が基礎控除額を超えた場合に発生します。
基礎控除額の計算式:
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
例)相続人が3人の場合 → 3,000万円 + 600万円×3 = 4,800万円が基礎控除
アパートの相続税評価額は「土地(路線価方式)+建物(固定資産税評価額)」で算出しますが、賃貸中の物件は自用より評価額が低くなります(借地権割合・借家権割合の控除)。
売却時の税金(譲渡所得税)
売却益(譲渡所得)に対して以下の税率がかかります。
| 所有期間 | 税率(所得税+住民税) |
|---|---|
| 5年以下(短期) | 約39.63% |
| 5年超(長期) | 約20.315% |
「取得費加算の特例」で節税できる場合:
相続税を支払った方が、相続開始から3年10ヶ月以内に売却した場合、支払った相続税の一部を取得費に加算できます。これにより譲渡所得を圧縮できます。
節税特例の期限は相続開始日から3年10ヶ月。この期限を過ぎると特例が使えなくなります。
STEP4:売却方法の選択|仲介 vs 買取
仲介での売却
不動産仲介業者が買主を探してくれる方法です。
- 売却価格:市場価格に近い(相場の80〜100%程度)
- 売却期間:3ヶ月〜1年以上
- 仲介手数料:売却価格の3%+6万円(上限)
- 向いているケース:状態が良い・入居者がいる・急がない
買取業者への直接売却
不動産買取業者が直接買い取る方法です。
- 売却価格:市場価格の50〜80%程度
- 売却期間:最短2週間
- 仲介手数料:不要
- 向いているケース:築古・空室多め・遠方管理・急いで手放したい
訳あり物件(築古・旧耐震・遠方・複雑な権利関係)は仲介では売れないケースが多く、買取が現実的な選択肢になります。
STEP5:相続アパートの売却でよくある失敗例
❌ 失敗例1:相続登記を後回しにして過料を受けた
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。2024年4月以前の相続も対象で、猶予期限は2027年3月31日です。
対策: 遺産分割協議と並行して、司法書士に相続登記の手続きを依頼しましょう。
❌ 失敗例2:3年10ヶ月の期限を過ぎて節税特例を逃した
「取得費加算の特例」は相続開始から3年10ヶ月以内に売却しなければ使えません。「いつか売ればいい」と先延ばしにしていると、税負担が数百万円増えることがあります。
対策: 相続後1年以内に売却の方向性を決め、早めに動き始めましょう。
❌ 失敗例3:維持費を計算せずに保有し続けて赤字になった
固定資産税(年10〜30万円程度)・管理費(月1〜3万円)・修繕費(給湯器交換15〜25万円など突発的に発生)が積み重なり、空室が続くと収支が大幅なマイナスになるケースがあります。
対策: 相続後すぐに今後10年間のシミュレーションを行い、保有コストと売却益を比較しましょう。
❌ 失敗例4:相続人全員の合意を先送りにして売却機会を逃した
相続人全員の合意がないと売却できません(全員での一括売却の場合)。合意形成に時間がかかっている間に、特例の期限が切れたり、物件が老朽化したりするケースがあります。
対策: 早期に相続人全員で話し合い、専門家(弁護士・司法書士)を交えて遺産分割協議を進めましょう。
❌ 失敗例5:複数業者に査定を依頼しなかった
1社だけに査定を依頼し、その価格が相場より大幅に低かったことに気づかないまま売却してしまうケースがあります。
対策: 複数の業者に査定を依頼し、査定価格の根拠を確認しましょう。
相続アパート処分の10ヶ月タイムライン
相続税の申告・納付期限(相続開始から10ヶ月以内)を軸に、処分のスケジュールを確認しましょう。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1ヶ月目 | 死亡届・アパートの現状把握・管理会社への連絡 |
| 3ヶ月目 | 相続放棄するかどうかの最終判断(放棄期限) |
| 4ヶ月目 | 準確定申告(賃料収入があった場合) |
| 5〜8ヶ月目 | 遺産分割協議・アパートの査定依頼・処分方針決定 |
| 9〜10ヶ月目 | 相続税申告・納付 + 相続登記 + 売却手続き開始 |
| 3年10ヶ月以内 | 取得費加算の特例を使った売却の完了 |
関連ガイド・エリア別情報
相続アパート関連
- 相続アパートの買取|管理できない入居者付きアパートも直接買取
- 相続アパートの買取|収益計算・管理リスク・売却方法
- 相続アパートはいつ売るべき?売却タイミングの判断基準
- 相続発生から10ヶ月でやること完全タイムライン
- 相続アパートの維持費シミュレーション(10年試算)
- 入居者がいるアパートの売却方法
- 相続登記の義務化でアパート売却はどう変わる?
- 相続アパート「売る・貸す・管理委託する」三択を徹底比較(10年・20年手取りシミュレーター付き)
- 共有持分の買取|相続アパートで共有名義になった場合の解決策
- 特定空き家に指定される前に確認|固定資産税6倍化の判定チェックリストと5ステップ回避策
相続・税金・手続き
- 相続から売却完了までのタイムライン
- 相続した不動産を売却する完全ガイド
- 相続税はいくらから?基礎控除の計算方法
- 不動産を売った時の税金はいくら?
- 相続登記の義務化はいつから?罰則と対策
- 相続放棄したら家はどうなる?
エリア別の買取相場
よくある質問
Q. 相続アパートは仲介と買取どちらで売るべきですか?
築古・空室多め・旧耐震基準の物件は仲介での売却が難しく、買取が現実的な選択肢です。仲介は市場価格に近い金額が期待できますが、売れるまで3〜12ヶ月かかります。買取は市場価格の50〜80%程度になりますが、最短2週間で現金化できます。まずはご相談ください。
Q. 相続登記が終わっていない状態でも相談できますか?
はい、ご相談・査定は可能です。相続登記が未了でも、同時進行で進めることができます。提携の司法書士をご紹介することもできますので、登記と売却をまとめてご相談ください。
Q. 相続人が遠方にいますが、手続きはできますか?
大丈夫です。全国対応しており、現地調査はこちらで手配します。契約手続きも郵送・オンラインで対応可能です。遠方にいる相続人の方も、来社不要で手続きを進められます。
Q. 築50年以上のアパートでも買い取ってもらえますか?
はい、築年数に関係なく査定いたします。買取業者は建替えや土地活用を前提に購入するため、築年数が古くても対応できます。まずはお気軽にご相談ください。
相続不動産売却 俯瞰チェックシート
相続発生から売却完了まで、必要書類・手続き期限・仲介vs買取の選択肢を一枚で確認できるチェックシートです。
相続登記〜売却の必要書類一覧
相続登記(名義変更)に必要な書類
| 書類 | 取得先 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡の全部) | 本籍地の市区町村窓口 | 1通450円 |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 各本籍地の市区町村 | 1通450円 |
| 相続人全員の住民票 | お住まいの市区町村 | 1通300円 |
| 固定資産評価証明書 | 不動産所在地の市区町村 | 1通300円 |
| 遺産分割協議書(相続人全員の実印・署名) | 自作 or 司法書士作成 | 司法書士依頼:3〜10万円 |
| 相続人全員の印鑑証明書 | お住まいの市区町村 | 1通300円 |
| 相続関係説明図 | 自作 or 司法書士作成 | ― |
売却時に追加で必要な書類
| 書類 | 取得方法 |
|---|---|
| 登記識別情報通知(権利証に相当) | 相続登記完了後に法務局から交付 |
| 建築確認済証・検査済証 | 手元にない場合は市区町村で台帳記載事項証明を申請 |
| 固定資産税納税通知書(直近1年分) | 毎年4〜6月に所有者あてに郵送 |
| 賃貸借契約書の写し(入居者がいる場合) | 管理会社 or 手元保管 |
仲介売却 vs 買取 比較表
Q: 相続アパートは仲介と買取のどちらが適していますか?
A: 築30年以上・空室率50%以上・旧耐震基準・遠方管理のいずれかに当てはまる場合は、仲介では買い手が見つかりにくく、買取が現実的な選択肢になります。最短2週間で現金化できる点も買取の大きなメリットです。
| 比較項目 | 仲介売却 | 買取(直接売却) |
|---|---|---|
| 売却価格の目安 | 市場価格の80〜100% | 市場価格の50〜80% |
| 売却までの期間 | 3ヶ月〜1年以上 | 最短2週間 |
| 仲介手数料 | 売却価格×3%+6万円(税別、上限) | 不要 |
| 物件の状態 | 良好な物件が有利 | 築古・旧耐震・空室多めも対応可 |
| 残置物・修繕 | 原則撤去・一定の修繕が必要 | 現状渡し可・残置物もそのまま |
| 引き渡し日 | 買主との交渉が必要 | 売主の希望日に合わせやすい |
| 向いているケース | 急がない・できるだけ高額で売りたい | 早く現金化・管理が負担・旧耐震・遠方 |
相続不動産 期限・申告カレンダー
| 相続発生からの期限 | 手続き | 期限を過ぎると |
|---|---|---|
| 3ヶ月以内 | 相続放棄の申立て(家庭裁判所) | 期限超過で放棄不可・負債も引き継ぐ |
| 4ヶ月以内 | 準確定申告(被相続人に賃料収入があった場合) | 無申告加算税・延滞税が発生 |
| 10ヶ月以内 | 相続税の申告・納付 | 延滞税(年2.4〜8.7%)・無申告加算税が発生 |
| 相続を知った日から3年以内 | 相続登記(2024年4月1日から義務化) | 10万円以下の過料(罰則) |
| 相続発生から3年10ヶ月以内 | 取得費加算の特例を使って売却完了 | 節税特例が失効。譲渡税が数百万円増える場合も |
| 売却翌年の2月16日〜3月15日 | 譲渡所得税の確定申告 | 無申告加算税・延滞税が発生 |
相続・空き家問題 公的統計データ
| 統計項目 | 最新値 | 出典 |
|---|---|---|
| 全国の空き家数(2023年) | 900万2千戸(過去最多) | 総務省「令和5年住宅・土地統計調査」(2026年5月参照) |
| 空き家率(2023年) | 13.8%(全住宅の約7戸に1戸) | 同上 |
| 放置空き家(賃貸・売却用等を除く) | 385万戸(前回調査比+37万戸) | 同上 |
| 相続登記義務化(2024年4月施行)後の動向 | 43都道府県で前年比増加(うち19都道府県が20%超増) | 法務省「相続登記の申請義務化」(2026年5月参照) |
| 譲渡所得税率(長期:所有5年超) | 約20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%) | 国税庁「土地や建物を売ったとき(譲渡所得)」(2026年5月参照) |
| 相続税の基礎控除額 | 3,000万円+600万円×法定相続人数 | 国税庁「相続税の基礎控除」(2026年5月参照) |
執筆・監修:八木 宏樹(宅地建物取引士・大阪府知事(1)第65646号)
相続アパート関連ガイド
入居者付き・老朽化でも最短2週間で現金化 相続アパートのコストシミュレーション
維持費・売却益・税金を試算 相続アパートの売却タイミング
いつ売るべきか判断基準を解説 売却vs賃貸継続vs管理委託 比較
3択の損得を数字で徹底比較 固定資産税・維持費シミュレーター
アパートの年間維持コストを無料試算
まとめ:相続アパートは「早めの相談」が最善策
相続アパートの処分で後悔しないためのポイントをまとめます。
- 相続登記は3年以内に(2027年3月31日が旧相続分の猶予期限)
- 取得費加算の特例は3年10ヶ月以内の売却が条件
- 維持費・管理リスクを定量化して保有コストを把握する
- 複数業者に査定を依頼し、買取か仲介かを比較する
- 相続人全員での早期合意が売却を早める最短経路
「まだ迷っている」という段階でも、査定だけなら無料で対応しています。まずはLINEまたはお問い合わせフォームからご連絡ください。
相続アパートのお悩み、無料でご相談できます
査定・相談は完全無料。仲介手数料なし。全国対応。
LINEで無料相談するまたは
お問い合わせフォームへ宅建業免許:大阪府知事(1)第65646号 合同会社アルシェ