相続した家どうすればいい?売る・貸す・放置のリスクと手続きを宅建業者が解説
Q: 相続した家はどうすればいいですか? A: ①相続を知ってから3ヶ月以内に「相続放棄するか否か」を決定 → ②相続登記(3年以内・義務化済み・違反で10万円以下の過料)→ ③売却・賃貸・自己使用の3択、の順で進めてください。空き家として放置すると固定資産税・管理費が累積し、2023年12月施行の改正空き家特措法で「管理不全空き家」指定を受けると固定資産税が最大6倍になるリスクがあります。相続から3年を経過する年の12月31日までに売却すれば3,000万円特別控除が適用できます。空き家のミカタ(宅建業免許: 大阪府知事(1)第65646号)は相続した家の直接買取に全国対応。査定・相談は無料です。
(出典: 不動産登記法第76条の2・空家等対策特別措置法改正2023年12月施行・租税特別措置法第35条)
相続した家はどうすればいい? まず「相続登記」を3年以内に完了させ、①売却 ②賃貸 ③自分で住む ④相続放棄 の4択から選ぶのが基本手順です。2024年4月から相続登記が義務化されており、正当な理由なく放置すると10万円以下の過料が科される可能性があります。
・まず動く期限:相続を知ってから3ヶ月以内に「相続放棄するか否か」を決定
・登記期限:相続登記は3年以内(2024年4月〜義務化・違反で10万円以下の過料)
・売却の場合の税優遇期限:相続日から3年を経過する年の12月31日まで(3,000万円控除)
・放置リスク:固定資産税・管理費の累積 + 2023年法改正で「管理不全空き家」も固定資産税6倍化の対象に
親が亡くなった後の実家は、①売却する ②賃貸に出す ③自分で住む ④相続放棄するの4つが基本的な選択肢です。どの選択肢を選ぶにしても、まず相続登記(名義変更のこと)を済ませなければ売却も賃貸もできません。
この記事では、親の家の手続きで何から始めればいいのかわからない方に向けて、49日法要後からの具体的な流れを順を追って紹介します。
まず知っておきたい全体の流れ
親が亡くなってから実家を処分するまでの流れは、大きく5つのステップに分かれます。
| ステップ | 内容 | 目安の時期 |
|---|---|---|
| ①死亡届・相続人の確定 | 戸籍謄本の収集、相続人の特定 | 死亡後〜1ヶ月 |
| ②遺産分割協議 | 相続人全員で「誰が何を相続するか」を決める | 1〜3ヶ月 |
| ③相続登記 | 法務局で不動産の名義変更 | 3〜6ヶ月 |
| ④遺品整理・残置物の処分 | 家の中の荷物を片付ける | 並行して進める |
| ⑤売却・賃貸・居住の決定と実行 | 不動産会社への相談、契約 | 6ヶ月〜 |
49日法要が終わるまでは、精神的にも手続き的にも落ち着かないものです。法要が済んでから本格的に動き始めるご家庭が多いですが、相続放棄の期限は「相続を知ってから3ヶ月以内」なので、放棄を検討している場合は早めに家庭裁判所へ申述する必要があります。
ステップ①:相続人の確定
まず、亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて集めます。これによって法定相続人が誰なのかを確定します。
戸籍の収集先は、本籍地のある市区町村の役所です。転籍が多い方は複数の自治体から取り寄せる必要があり、戸籍収集だけで1〜2ヶ月かかるケースも珍しくありません。2024年3月からは「広域交付制度」が始まり、最寄りの市区町村窓口で他自治体の戸籍もまとめて請求できるようになりました。
ステップ②:遺産分割協議
相続人が確定したら、全員で遺産分割協議を行います。遺言書がある場合は原則その内容に従いますが、ない場合は相続人全員の話し合いで決めます。
協議がまとまったら遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・実印で押印します。この書類は相続登記の際に法務局へ提出するため、必ず作成してください。
宅建業者の視点:当社に相談に来られる方の約4割が「兄弟間で意見が合わない」という問題を抱えています。特に実家の扱いは感情が絡みやすく、「売りたい人」と「残したい人」で対立するケースが目立ちます。話がまとまらない場合は、弁護士や家庭裁判所の調停を利用するのも一つの手段です。
ステップ③:相続登記(名義変更)— 2024年4月から義務化
2024年4月1日から、相続登記は義務化されました(不動産登記法第76条の2)。以下の3点を押さえてください。
・期限:相続を知った日から3年以内に登記申請が必要
・罰則:正当な理由なく期限を過ぎると10万円以下の過料(行政罰)
・遡及適用:2024年4月1日より前に発生した相続にも適用される(猶予期間は2027年3月31日まで)
「過料」は刑事罰ではなく行政罰ですが、裁判所から通知が届くため精神的負担は小さくありません。特に2027年3月31日が過去の相続分の期限となるため、親の家を相続したまま放置している方は早急に対応が必要です。
相続登記の費用の目安は以下の通りです。
| 費目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 登録免許税 | 固定資産税評価額の0.4% |
| 司法書士への報酬 | 5〜12万円程度 |
| 戸籍謄本等の取得費用 | 数千円〜1万円程度 |
たとえば固定資産税評価額が1,500万円の不動産であれば、登録免許税は6万円。司法書士報酬と合わせて合計12〜19万円程度が目安です。詳しい手続きや費用については相続登記の義務化ガイドで解説しています。
八木宏樹(合同会社アルシェ代表)の実務経験から:相続登記を後回しにしたまま何年も経過し、相続人が増えて手続きが複雑化してしまったケースを何度も見てきました。特に兄弟姉妹の中でさらに相続が発生すると(数次相続)、関係者が10人以上になり費用も期間も膨らみます。「まだ大丈夫」と思わず、できるだけ早く済ませることを強くおすすめします。
ステップ④:遺品整理・残置物の処分
家を売却するにしても賃貸に出すにしても、家の中の荷物を片付ける必要があります。
遺品整理の費用相場は、部屋の広さや荷物の量で大きく変わります。
- ワンルーム・1K:5〜10万円
- 2LDK・3DK:15〜30万円
- 一軒家(4LDK以上):20〜60万円
業者を選ぶ際は、「遺品整理士」の資格を持つスタッフがいるか、一般廃棄物収集運搬業の許可があるかを確認してください。許可のない業者に依頼すると、不法投棄のリスクがあります。大阪市内であれば3社以上の相見積もりを取るのがおすすめです。
宅建業者の視点:遺品整理を先に済ませてから不動産会社に相談される方が多いですが、当社では残置物がある状態でもご相談をお受けしています。残置物の処分費用を差し引いた買取価格を提示できるケースもありますので、まずはお気軽にご連絡ください。
4つの選択肢を徹底比較
相続した家の対処法は、大きく4つに分かれます。それぞれの初期費用・維持費・期間・リスクを比較します。
| 選択肢 | 初期費用の目安 | 年間維持費 | 現金化までの期間 | 主なリスク |
|---|---|---|---|---|
| ①売却する | 登記12〜19万円 + 仲介手数料(売価の3%+6万円+税) | 0円(売却後) | 1〜6ヶ月 | 相場下落・買い手が見つからない |
| ②賃貸に出す | リフォーム50〜300万円 + 登記費用 | 管理費・修繕積立(家賃の10〜20%) | — | 空室リスク・入居者トラブル |
| ③自分で住む | 引越費用 + リフォーム費用 | 固定資産税10〜20万円 + 修繕費 | — | 通勤・生活環境の変化 |
| ④相続放棄 | 0〜3万円(家裁への申述費用) | 0円 | — | 全財産を放棄・管理責任が残る場合あり |
④相続放棄の注意点:相続放棄をすると不動産だけでなく預貯金・有価証券などすべての遺産を放棄することになります。また、2023年4月施行の改正民法により、相続放棄をしても次の相続人が管理を始めるまでは管理義務が継続します(民法第940条)。「空き家だけ放棄して現金は相続する」ということはできません。
売却を選ぶ場合の注意点
相続した空き家を売却する場合、一定の条件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できる特例があります(租税特別措置法第35条第3項)。売却の具体的な手順は相続不動産の売却完全ガイドをご覧ください。
この特例の主な要件は以下の通りです。
- 相続日から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
- 被相続人が一人暮らしだった家であること
- 売却代金が1億円以下であること
- 1981年5月31日以前に建築された建物であること(旧耐震基準)
期限があるため、売却を検討しているなら相続後できるだけ早く動くことが重要です。
八木宏樹(合同会社アルシェ代表)の実務経験から:「とりあえず1年は様子を見よう」と言って2〜3年経過し、3,000万円控除の期限を過ぎてしまった方を何人も見てきました。売却益が出る物件では、この控除が使えるかどうかで手取りが数百万円変わることもあります。迷ったら早めに査定だけでも取っておくことをおすすめします。
空き家のまま放置するリスク — 空き家特措法の改正に要注意
「とりあえず置いておこう」と放置すると、以下のリスクが発生します。
- 固定資産税が年間10〜20万円かかり続ける(大阪市内の一般的な住宅用地の場合)
- 建物の劣化が進み、資産価値が年3〜5%ずつ下がっていく
- 2023年12月施行の改正空き家特措法で、従来の「特定空き家」に加え「管理不全空き家」のカテゴリが新設
①管理不全空き家(2023年12月〜新設):窓が割れている・草木が繁茂している等の状態で指定。市区町村から勧告を受けると、住宅用地の固定資産税の軽減措置(最大1/6)が解除され、税額が最大6倍に。
②特定空き家:倒壊の危険・衛生上有害等、さらに深刻な状態で指定。勧告→命令→行政代執行(強制解体・費用は所有者負担)まで進む可能性あり。
つまり、以前は「倒壊寸前」レベルでなければ指定されなかったのに対し、改正後は「窓が割れている」「草が伸びている」程度でも管理不全空き家に指定される可能性があります。放置のリスクは以前より格段に高まっています。
大阪市内の事情
大阪市の空き家率は約17.1%(2023年住宅・土地統計調査)で、全国平均の13.8%を上回っています。特に東住吉区・生野区・平野区などの住宅密集地域では、接道条件(幅4m以上の道路に2m以上接していること)を満たさない物件が多く、通常の売却が難しいケースもあります。
こうした物件でも、隣地の方への売却や不動産買取業者への売却で処分できる場合がありますので、「売れないだろう」と諦めずにまずはご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 兄弟で実家の処分について意見が分かれています。どうすればいいですか?
まずは各相続人の希望と理由を整理し、冷静に話し合う場を設けることが大切です。どうしても合意に至らない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。調停では裁判官と調停委員が間に入って話し合いをサポートしてくれます。弁護士費用の相場は着手金20〜30万円程度です。
Q. 遺品整理業者の選び方を教えてください
①見積もりは3社以上から取る、②一般廃棄物収集運搬業の許可番号を確認する、③遺品整理士の資格を持つスタッフがいるか聞くの3点をチェックしてください。極端に安い業者は不法投棄のリスクがあります。大阪市の許可業者は大阪市のホームページで確認できます。
Q. 相続放棄はいつまでにすればいいですか?
相続放棄の期限は、「自分が相続人であることを知った時から3ヶ月以内」です。この期限内に家庭裁判所に申述する必要があります。ただし、相続放棄をすると不動産だけでなく預貯金などすべての遺産を放棄することになるため、慎重に判断してください。期限の延長(熟慮期間の伸長)を裁判所に申し立てることも可能です。
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執筆: 八木宏樹(合同会社アルシェ代表/宅建業免許: 大阪府知事(1)第65646号)|空き家のミカタ
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