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遺産分割調停とは?不動産で揉めた場合の流れ・費用・解決策

空き家のミカタ編集部|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)

「相続した実家を売りたいが、兄弟が反対していて動けない」「調停を起こしたいが、費用も期間もわからない」——そうした状況に直面している方は少なくありません。

遺産分割調停とは、相続人間で遺産の分け方について合意できない場合に、家庭裁判所の調停委員が仲介する手続きのことです。ただし平均1年以上かかることが多く、費用も弁護士を立てると総額50万円を超えるケースもあります。不動産が絡むとさらに複雑になります。

この記事では、遺産分割調停の仕組みと流れ、費用・期間の実態、そして「調停を待たずに解決できる方法」まで、わかりやすくお伝えします。

この記事のポイント

  • 遺産分割調停の平均期間は12〜18ヶ月(3ヶ月以内に終わるのは約20%)
  • 申立費用は収入印紙1,200円×相手方の人数+弁護士費用(着手金10〜30万円〜)
  • 審判で「換価分割(競売)」になると、市場価格の50〜70%程度しか手元に残らないケースがある
  • 調停中でも、自分の共有持分だけを先に売却することは法的に可能

遺産分割調停が必要になる3つの場面

相続が発生すると、相続人全員で「誰が何を相続するか」を決める遺産分割協議を行います。全員が合意すれば「遺産分割協議書」を作成して完了です。

しかし相続人の誰か一人でも反対すると、協議は成立しません。その場合に次のステップとして活用されるのが、家庭裁判所での遺産分割調停です。

不動産をめぐる相続トラブルで特に多いのは、次の3つのパターンです。

売りたい vs 住み続けたい

「相続した実家を売って現金を分けたい」という相続人と、「自分が住みたい」「思い出があるから売りたくない」という相続人が対立するケースです。特に親と同居していた相続人が売却を拒否するパターンが多く見られます。

不動産の評価額で意見が割れる

不動産の価値について「路線価で計算すべきか、実勢価格で計算すべきか」で揉めることがあります。路線価と実勢価格では2〜3割の差が生じることも珍しくなく、金額が大きいほど対立が深まります。

介護・生前贈与などの不公平感

「親の介護を長年してきた分を多く取るべきだ(寄与分)」「一人だけ生前に多額の援助を受けていた(特別受益)」といった主張が絡むと、不動産の分け方だけでなく法律的な争点が複数生じます。

家族が書類を囲んで話し合いをしている様子 相続不動産を巡る家族間の話し合いが行き詰まるケースは珍しくありません


遺産分割調停の流れ(ステップ別)

STEP 1:申立書の作成・提出

相手方(他の相続人)のうち1名の住所地を管轄する家庭裁判所に、申立書を提出します。申立書のほか、戸籍謄本一式・遺産の資料(登記事項証明書・固定資産評価証明書等)を添付します。

申立費用は相手方1人につき収入印紙1,200円と郵便切手代(数千円程度)です。相手方が3人いれば3,600円分の収入印紙が必要です。

STEP 2:調停期日(話し合い)

調停は通常、1〜2ヶ月に1回のペースで開催されます。1回あたり2〜3時間程度で、調停委員(弁護士などの法律専門家や社会経験豊富な市民)が双方の意見を個別に聞き、折り合える点を探していきます。

当事者が直接顔を合わせない形式が基本なので、感情的な対立があっても比較的落ち着いた環境で進められます。

STEP 3:調停成立 or 不成立

全員が合意に達すると「調停調書」が作成され、調停成立となります。調停調書は確定判決と同じ効力を持ちます。

合意に至らなかった場合は「調停不成立」となり、自動的に遺産分割審判に移行します。

専門家と書類を確認している様子 調停では調停委員が仲介役となり、双方の言い分を個別に聞きながら合意点を探ります


遺産分割調停の費用と期間

費用の実態

費目金額の目安
申立費用(収入印紙)1,200円×相手方の人数
郵便切手代3,000〜6,000円程度(裁判所による)
戸籍謄本・証明書類数千〜1万円程度
弁護士費用(依頼した場合)着手金10〜30万円+報酬金5〜15%
不動産鑑定費用(必要な場合)20〜50万円程度

弁護士を立てずに申立・交渉を行うことも法的には可能ですが、不動産が絡む遺産分割は争点が多く複雑です。費用が心配な方は法テラス(日本司法支援センター)の無料法律相談を活用できます。

期間の実態(最高裁判所統計 2021年)

最高裁判所の司法統計によると、遺産分割調停の終結までの期間は以下の通りです。

  • 3ヶ月以内:約20%
  • 6ヶ月以内:約38%
  • 1年以内:約61%
  • 1年超:約39%

平均すると12〜18ヶ月が目安です。相続人の人数が多い場合や不動産の鑑定が必要な場合は、さらに長引く傾向があります。


調停不成立→審判になったら何が変わるか

調停が不成立になると、自動的に遺産分割審判に移行します。審判官(裁判官)が証拠を検討し、強制的に分割方法を決定します。

不動産の分割方法は主に3種類があります。

分割方法内容主なリスク
現物分割不動産を特定の相続人が取得他の相続人への補償が必要
代償分割1人が取得し、他者に金銭で補償補償金を用意できないと選べない
換価分割競売して代金を分ける市場価格の50〜70%程度になりやすい

特に注意が必要なのが換価分割(競売)です。競売では入札者が限られるため、市場で売った場合と比べて大幅に低い金額での売却になるのが一般的です。「もめていたけれど、競売になったら全員が損をした」というケースは少なくありません。


調停を待たずに解決できる選択肢

遺産分割調停には時間もお金もかかります。次に挙げる方法で、より早く損失を少なく解決できる場合があります。

全員が合意して早期売却する

相続人全員が「売却して代金を分ける」ことに合意できれば、競売を避けて市場価格に近い金額で売却できます。仲介よりも買取業者を使えば、スピードも速くなります。ただし1人でも反対すると進められません。

自分の共有持分だけを売却する

相続が発生して遺産分割が完了していない状態では、各相続人は法定相続分に応じた共有持分を持っています。民法206条の規定に基づき、各相続人は自分の持分を他の共有者の同意なしに処分・売却できます。

通常の不動産会社は共有持分だけの購入を断るケースがほとんどです。共有持分の買取に対応している専門業者に相談することで、調停の結果を待たずに現金化できる可能性があります。

ご相談事例:相続した実家をめぐって兄弟3人の意見が割れ、調停申立を検討していた方からご連絡をいただきました。「とにかく早く手放して次の生活を始めたい」というご要望で、まずご自身の共有持分だけを当社で買い取りました。残りの2名についても、その後の協議で全体売却の合意に至り、最終的に全員が納得できる形で解決しました。調停を経ることなく、約2週間で手続きが完了しています。

書類に署名・捺印する様子 全員の合意が取れた場合は、遺産分割協議書に署名・捺印して売却手続きに進みます


合わせて確認したいこと:相続登記の義務化

2024年4月1日から、相続登記(不動産の名義変更)が義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。

遺産分割調停が長引いている間に期限が来てしまうケースもあります。その場合は「相続人申告登記」という中間的な手続きがあり、調停終了前でも過料を回避できます。

詳しくは相続登記義務化の完全対応ガイド2026をご参照ください。


まとめ:調停は最後の手段、早めの相談が鍵

遺産分割調停のポイントをまとめます。

  • 調停は平均12〜18ヶ月かかる長期戦。弁護士費用を含めると総額50万円超になることも
  • 審判での換価分割(競売)は市場価格の50〜70%程度しか手元に残らないリスクがある
  • 自分の共有持分だけ先に売却することは法的に可能(他の相続人の同意不要)
  • 相続登記義務化(2024年4月施行)により、放置すると10万円以下の過料が発生するリスクがある

家族間で意見が割れている場合は、早めに専門家に相談することで解決の選択肢が広がります。「全員の合意が取れなくても動ける方法」を知っておくことが、長引く相続トラブルの出口になります。

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