大阪市24区のハザードマップと不動産売却|洪水・土砂災害リスク告知義務まとめ【2026年版】

「相続した大阪市内の実家を売ろうとしたら、ハザードマップに引っかかった」「重要事項説明でハザードマップをどう説明すればいいかわからない」——こうしたご相談は、大阪市内の物件で特に多く寄せられます。
大阪市は淀川・大和川・寝屋川などの大河川に囲まれた低平地であり、かつ大阪湾に面しているため、全24区のうち相当数の区で洪水浸水想定区域・高潮浸水想定区域が広がっています。また南部・東部の一部には土砂災害警戒区域も存在します。
このガイドでは、大阪市24区別のハザードマップリスクの概要と、不動産売却時に必要な告知義務の実務、そしてハザードマップ指定区域でも売却できる方法を解説します。
2020年法改正:ハザードマップ告知が義務化された背景
何が変わったのか
2020年8月28日、宅地建物取引業法施行規則の一部が改正(国土交通省令第97号)され、不動産取引の重要事項説明において水害リスクの告知が義務化されました。それ以前は土砂災害警戒区域の告知義務はあったものの、洪水・内水(雨水出水)・高潮については任意でした。
改正後、宅建業者が仲介する不動産取引では、以下3種類の水害リスクについてハザードマップを示しながら説明することが法律上の義務になりました。
| 水害の種類 | 根拠となる区域指定 | 指定機関 |
|---|---|---|
| 洪水 | 洪水浸水想定区域(水防法第14条) | 国土交通省・都道府県 |
| 雨水出水(内水氾濫) | 雨水出水浸水想定区域(下水道法) | 市区町村 |
| 高潮 | 高潮浸水想定区域(水防法第14条の2) | 都道府県 |
土砂災害警戒区域・特別警戒区域については、2001年の土砂災害防止法制定当時から重要事項説明での告知が義務付けられています。
大阪府の対応
大阪府・大阪市は、この改正に対応するため宅建業者向けの案内資料を公開しています。大阪市危機管理室の案内ページでは、大阪市が水防法に基づき作成した水害ハザードマップ(洪水・内水・高潮・津波)の最新版が公開されており、重要事項説明の際に活用することが求められています。
大阪市24区のハザードマップリスク早見表
以下の表は、大阪市が公開する水害ハザードマップおよび国土交通省・大阪府公表の洪水浸水想定区域図・土砂災害警戒区域等マップに基づく各区のリスク概要です。実際の売却前には、必ず国土交通省ハザードマップポータルサイトで個別物件の住所を確認してください。

| 区名 | 洪水浸水リスク | 高潮・津波リスク | 土砂災害リスク | 主なリスク要因 |
|---|---|---|---|---|
| 此花区 | 高 | 高 | 低 | 大阪湾沿岸・安治川流域。湾岸埋立地が多く広範囲に浸水想定 |
| 西淀川区 | 高 | 高 | 低 | 淀川・左門殿川に囲まれた低地。想定最大規模で区全域が浸水想定 |
| 淀川区 | 高 | 中 | 低 | 淀川右岸の低地。堤防決壊時の浸水深が大きいエリアが存在 |
| 東淀川区 | 高 | 低 | 低 | 淀川・神崎川流域の低地。L2(想定最大規模)で広範囲が浸水想定 |
| 港区 | 高 | 高 | 低 | 大阪湾に面した埋立地。高潮・津波浸水想定が広範囲に及ぶ |
| 大正区 | 高 | 高 | 低 | 木津川・尻無川に囲まれた島状地形。浸水リスクが特に高い区 |
| 住之江区 | 高 | 高 | 低 | 大阪湾沿岸・木津川流域。南港地区は津波・高潮リスクが高い |
| 住吉区 | 中 | 低 | 低 | 南海トラフ地震時の津波浸水想定は一部エリア。洪水は中程度 |
| 東住吉区 | 中 | 低 | 低 | 平野川・駒川流域に洪水浸水想定あり |
| 平野区 | 中 | 低 | 低 | 大和川流域・瓜破周辺に洪水浸水想定あり。区東部は比較的安全 |
| 西成区 | 高 | 中 | 低 | 木津川・東横堀川流域の低地。広範囲に浸水想定 |
| 浪速区 | 高 | 中 | 低 | 道頓堀川・東横堀川流域。大阪の歴史的低地エリア |
| 西区 | 高 | 中 | 低 | 木津川・道頓堀川・尻無川の流域。ほぼ全域が洪水浸水想定域 |
| 中央区 | 高 | 中 | 低 | 東横堀川・道頓堀川流域。商業・住宅が混在する低地 |
| 北区 | 高 | 低 | 低 | 淀川・大川流域。梅田・天満橋周辺は浸水深が大きいエリアも |
| 都島区 | 高 | 低 | 低 | 淀川・寝屋川に挟まれた低地。想定最大規模では広範囲が浸水想定 |
| 福島区 | 高 | 低 | 低 | 淀川・堂島川流域。ほぼ全域が洪水浸水想定区域 |
| 天王寺区 | 中 | 低 | 低 | 上町台地に立地するため他区より洪水リスクは低め |
| 阿倍野区 | 低〜中 | 低 | 低 | 上町台地の南端。比較的高台で洪水リスクは低い傾向 |
| 旭区 | 中 | 低 | 低 | 寝屋川・古川流域に浸水想定あり |
| 城東区 | 中 | 低 | 低 | 第二寝屋川・古川流域に洪水浸水想定あり |
| 鶴見区 | 中 | 低 | 低 | 寝屋川流域に浸水想定あり。区東部は比較的安全 |
| 東成区 | 中 | 低 | 低 | 平野川流域に洪水浸水想定あり |
| 生野区 | 中 | 低 | 低 | 平野川・猫間川流域に浸水想定あり |
※本表は大阪市公表の水害ハザードマップおよび大阪府公表の洪水浸水想定区域図を基に作成した概要情報です。区単位の大まかなリスク感を示したものであり、個別物件の指定状況は国土交通省ハザードマップポータルサイトまたは大阪市水害ハザードマップで必ず個別確認してください。
特に注意が必要なエリア:大阪市の水害リスク地帯
淀川・左門殿川流域(西淀川区・淀川区・東淀川区・北区・都島区)
淀川は大阪市内を貫く最大の河川で、上流の琵琶湖から流入する水量は圧倒的です。国土交通省近畿地方整備局が公表する淀川浸水想定区域図によると、想定最大規模(L2)の洪水時には堤防沿いの低地で浸水深5m超の区域も存在します。
特に西淀川区・東淀川区は区全域がほぼ浸水想定区域に含まれており、不動産取引時のハザードマップ告知が必須のエリアです。「淀川沿いの物件」という情報だけで買い手が敬遠するケースも少なくありません。
大阪湾沿岸・海抜ゼロメートル地帯(此花区・港区・大正区・西淀川区・住之江区)
大阪湾に面したこれらの区は、高潮・津波浸水想定区域との重複が多い地帯です。南海トラフ巨大地震が発生した際の津波浸水想定では、海岸線に近い埋立地エリアを中心に広範囲での浸水が想定されています。
大正区は木津川・尻無川・岩崎運河に囲まれた「島」のような地形のため、水害時に孤立するリスクも指摘されています。高潮・津波に加え、大雨時の内水氾濫リスクも高く、不動産取引での告知が特に重要なエリアです。
大和川流域(平野区・東住吉区)
大和川は大阪府南部から流れ込む二級河川で、過去にも水害被害の記録があります。平野区・東住吉区の川沿い低地には洪水浸水想定区域が広がっており、特に平野区の大和川沿いは浸水深が大きい区域も含まれます。
売却時の告知義務:具体的に何をすれば良いか

重要事項説明でのハザードマップ提示
宅建業者が仲介する場合、重要事項説明書にハザードマップ情報を記載し、売主・買主双方に説明する義務があります。具体的には以下の手順が求められます。
- 最新版のハザードマップを入手する——大阪市のホームページまたは国土交通省ハザードマップポータルサイトで最新版を取得
- 物件の位置を示す——ハザードマップ上で取引対象物件のおよその位置を示す(区域内・区域外のどちらにあるかを明示)
- 区域外でもハザードマップは提示する——取引物件の所在地がハザードマップの浸水想定区域外にある場合も、ハザードマップにおける位置を示す説明が義務(全日本不動産協会の解説より)
- 説明内容を重要事項説明書に記載する
過去の浸水履歴がある場合の追加告知
ハザードマップの指定状況に加え、過去に実際に浸水被害を受けた経緯がある物件については、物件の物理的状態に関わる情報として告知が必要です。「知っていたのに告げなかった」場合は、民法上の契約不適合責任(旧来の「瑕疵担保責任」)として損害賠償・契約解除の対象になり得ます。
土砂災害警戒区域の場合
大阪市内の一部丘陵地(上町台地周辺など)では、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域(イエローゾーン)または土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されている物件があります。特別警戒区域に指定された建物には建築制限があり、売却価格にも影響します。大阪府が公開する土砂災害警戒区域等に関する情報で確認できます。
ハザードマップ指定区域でも売却できる方法
なぜ訳あり買取専門業者なら対応できるのか
洪水浸水想定区域・高潮浸水想定区域・土砂災害警戒区域に指定された物件が一般仲介で売れにくい最大の理由は、買主の住宅ローンが通りにくい点にあります。金融機関はハザードマップリスクの高い物件を担保評価で低く評価するため、融資額が希望に届かず成約に至らないケースが続出します。
訳あり買取専門業者が直接購入する場合は、住宅ローンを使わず自社資金で購入するため、担保評価に左右されません。告知義務はありますが、リスクを織り込んだ上で査定価格を算出するため、「売れない」という状況にはなりません。
ハザードマップ区域物件の買取価格の目安
一般的に、洪水浸水想定区域(浸水深が大きいほど)や土砂災害特別警戒区域の物件は、同等条件の区域外物件と比べて10〜30%程度買取価格が低くなる傾向があります。ただし以下の条件によって変わります。
- 浸水深の大きさ(0.5m未満 vs 3m以上では大きく異なる)
- 建物の状態(過去の浸水被害による劣化があるか)
- 土砂災害区域の種別(警戒区域 vs 特別警戒区域)
- 立地・接道条件・周辺環境
固定資産税・管理費・火災保険料を払い続けるコストと比較すると、早期に現金化した方が合理的なケースも少なくありません。
まずハザードマップを確認してから相談を
売却を検討している方は、以下の手順で事前確認をお勧めします。
- 国土交通省ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ)に物件住所を入力
- 洪水・内水・高潮・土砂災害のすべてのリスクを確認する
- 区域内であれば浸水深の色分けを確認(0.5m未満か、それ以上か)
- 確認結果を持って査定相談——告知義務の内容は専門業者がサポートします
大阪市の水害ハザードマップ(市公式ページ)では、24区それぞれの区版ハザードマップも公開されています。
まとめ
大阪市は平野部・河川沿い・海岸部が大半を占める地形上、全24区のうち多くの区で洪水浸水想定区域や高潮浸水想定区域の指定があります。2020年の宅建業法改正でこれらのリスクに関する告知義務が明確化されたことで、「知らなかった」では済まない状況になっています。
しかし、告知義務を果たした上であれば、ハザードマップ指定区域の物件でも売却は可能です。一般仲介で長期間売れ残るよりも、訳あり買取専門業者への直接売却を選択することで、早期かつ確実に現金化できるケースがあります。
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