増築・未登記部分がある家の売却|登記不一致と固定資産税の問題を宅建業者が解説
増築・未登記部分がある家を売るとき、最大の問題は「登記簿に載っている建物」と「実際に建っている建物」が一致しないことです。この不一致は仲介での売却を難しくし、場合によっては固定資産税の過去分追徴リスクも引き起こします。
「親が勝手に増築した部屋がある」「昭和に建て増しした納屋が未登記のまま」「確認申請なしで2階を拡張した」——こうした物件のご相談は非常に多く寄せられています。
この記事では、増築部分の未登記がなぜ問題になるのか、固定資産税との関係、そして最短で解決できる方法を宅建業者の立場からわかりやすく解説します。
増築・未登記とはどういう状態か
「増築未登記」とは、建物を増築(建て増し)したにもかかわらず、その部分を法務局に登記変更していない状態を指します。
新たに建物を建てたときは表題登記が必要ですが、既存建物を増築した場合は建物表示変更登記(表題変更登記)が必要です。不動産登記法第51条により、建物の構造・種類・床面積に変更が生じた場合は1ヶ月以内に変更登記の申請が義務づけられています(申請しない場合は10万円以下の過料)。
しかし現実には、昭和〜平成初期に建てられた家屋を中心に、増築後も変更登記をしていないケースが全国に多数残っています。よくあるパターンは次の通りです。
- 親世代が離れや車庫を建て増ししたが手続きを放置した
- 「小さい増築だから登記は不要」と思い込んでいた
- 建築確認申請も出さずに増築した(後日、違法増築が判明)
- 相続した家を調べたら登記面積より実際の床面積が大きかった
このような状態のまま売却しようとすると、さまざまな問題が浮上します。
登記不一致が売却で引き起こす3つの問題
問題1:買主の住宅ローンが通らない
仲介で一般の方に売却する場合、買主は多くの場合、住宅ローンを利用します。金融機関は融資額を決める際に登記簿の内容をもとに担保評価を行います。
登記面積と現況面積が一致しない場合、金融機関はその差異を担保評価に反映できず、融資否決や減額になるケースが多いです。買主が現金購入できる方でなければ、事実上売買が成立しません。
問題2:重要事項説明で必ず告知が必要
宅建業者が仲介する場合、売買契約前の重要事項説明で「登記面積と現況面積の不一致」を必ず買主に告知する義務があります。買主はこの事実を事前に知った上で購入判断をしなければなりません。
問題は告知後の反応です。多くの一般購入者は「なぜ登記と実際が違うのか」「この先問題が起きないか」と不安を感じ、購入を見送るケースが増えます。
問題3:契約不適合責任のリスク
仮に売却できたとしても、後から買主が「登記に記載のない部屋がある」「構造に問題がある」と発見した場合、契約不適合責任(民法第562条)を問われる可能性があります。
未登記増築部分が違法建築(建築確認を取っていない・接道義務違反・建ぺい率・容積率オーバー)を伴う場合は特にリスクが高く、売却後の紛争につながるケースもあります。
固定資産税への影響|未登記でも課税される?されない?
増築部分が未登記の場合、「固定資産税が安くなるのでは?」と思う方もいます。しかし、これは大きな誤解です。
固定資産税は「現況課税」が原則
固定資産税は地方税法第343条に基づき、登記の有無にかかわらず「現況」をもとに課税されます。市区町村は定期的に現地確認(実地調査)を行い、建物の現況を把握して固定資産課税台帳を管理しています。
そのため、増築部分が法務局に登記されていなくても、市区町村が現地確認で増築を把握していれば、その部分についても固定資産税が課税されているケースが多いです。
市区町村が把握していない場合のリスク
一方で、増築から年数が経過しており、市区町村の現地調査が入っていない場合、増築部分が固定資産課税台帳に反映されていないこともあります。
この場合、売却の過程で市区町村が増築の事実を把握すると、過去数年分の固定資産税を追徴課税されるリスクがあります。一般的に固定資産税の時効は5年(地方税法第18条)であるため、最大5年分の追徴課税が発生する可能性があります。
| 状況 | 固定資産税の扱い |
|---|---|
| 市区町村が増築を把握している | 増築部分にも課税済み(差額なし) |
| 市区町村が把握していない | 増築部分が未課税 → 売却時に追徴課税リスク |
| 登記のみで判断(誤解) | 登記と課税は別の仕組み。登記がなくても課税される |
建物表示変更登記の手順と費用
もし正規に登記を整えてから売却する場合は、建物表示変更登記(表題変更登記)が必要です。この手続きは土地家屋調査士に依頼します。
手順の概要
- 土地家屋調査士に相談・依頼
- 建物の実測調査(床面積・構造・用途の確認)
- 必要書類の収集(建築確認通知書、固定資産税課税台帳等)
- 登記申請書類の作成・法務局への申請
- 登記完了(申請から2〜4週間が目安)
費用の目安
土地家屋調査士への報酬は10〜20万円程度が目安です。増築面積が大きい・建物形状が複雑・書類が揃わないケースでは費用が上乗せになることもあります。
さらに増築が建築確認申請なしで行われた違法増築の場合、表題変更登記の前に是正措置(増築部分の除却や適法化)が必要になるケースもあり、対応が大幅に複雑化します。
仲介では難しい理由と現況買取が最短解決策である理由
登記変更の費用・時間・手間を考えると、売主にとって仲介(一般の買主への売却)よりも訳あり物件専門の買取業者への直接売却の方が現実的な選択肢になるケースが多いです。
なぜ仲介は難しいのか
- 一般の買主は住宅ローンが通らない可能性が高い
- 不一致を告知した後、値下げ交渉や購入取り消しが多発する
- 書類整備・違法建築の是正に時間とコストがかかる
- 売却期間が長期化(1年以上かかるケースも)
現況買取が向いているケース
訳あり物件専門の買取業者(空き家のミカタのような宅建業者)に現況のまま直接売却する場合、以下のメリットがあります。
- 登記と現況の不一致があっても買取可能
- 住宅ローンが不要(現金買取)なので不一致を理由とした破談がない
- 土地家屋調査士・司法書士と連携し、登記手続きを買取業者側で進められる
- 売主は現況を開示するだけで売却が完結する
- 最短数週間〜2ヶ月で現金化できる
建築確認申請のない違法増築・接道義務違反・登記面積との大きな乖離があるケースでも、現況を事前に確認した上で査定・買取を行います。
よくある質問
Q: 登記面積より現況面積が大きい場合、査定額はどうなりますか?
A: 現況面積の方が大きい場合、一般的に査定額は現況面積をベースに算出します。ただし違法増築・接道義務違反等のリスクがある場合は価格に影響します。まず査定にお申し込みいただくことをおすすめします。
Q: 相続で受け取った家で、増築部分が未登記と判明しました。どこから動けばいいですか?
A: まず当社にご連絡ください。現況を伺った上で、土地家屋調査士や司法書士と連携してどの方法が最短・最小コストで解決できるかをご提案します。相続登記の義務化にも対応しています。
Q: 増築した部分が老朽化していて、取り壊すことも考えています。
A: 増築部分を取り壊してから売却する場合、減築の変更登記が必要になるケースもあります。取り壊し費用と登記費用を考慮した上で、現況のまま買取に出す方が費用面で有利なケースが多いです。ご相談いただければ試算をお出しします。
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宅建業免許: 大阪府知事(1)第65646号
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