買取を断られる物件の特徴7つ|断られる理由は「次の買主に融資が付かない」から。再査定を通す準備リスト【2026年版】
「うちは買取もしてもらえないのか」と落ち込んでご相談に来られる方が、毎月いらっしゃいます。仲介で3社、買取で2社に断られてから連絡をくださるケースも珍しくありません。
結論から書きます。
買取会社が断る理由は、物件の傷み方ではありません。買い取ったあと次に売る相手が「現金で買える人」しかいなくなる物件を、断っています。
つまり判断の中心にあるのは、あなたの物件の見た目ではなく、次の買主に住宅ローンが付くかどうかです。
そして融資が付かない理由は5つの類型にほぼ収まります。この5類型のどれで止まっているかを特定できれば、資料をそろえるだけで再査定の結論が変わることがあります。
この記事では、買取を断られる物件の特徴を7つに整理し、それぞれについて「売れる可能性を上げるために、いま何ができるか」を具体的に書きます。断られた理由がわからないまま放置している方に、次の一手を持ち帰っていただくことが目的です。

買取会社が断る本当の理由は「出口が現金客しかない」から
買取会社は、物件を買って終わりではありません。買い取った物件を修繕したり用途を変えたりして、次の買主に売ることで資金を回収します。この「次に売ること」を出口と呼びます。
一般の買主は、住宅ローンを使って家を買います。ローンを出すのは金融機関で、金融機関はその物件を担保に取ります。ここで担保評価が出ない物件は、買主が住宅ローンを組めません。すると買える人は、手元の現金で買える人だけになります。
現金で数百万円から一千万円を動かせる買主は、市場のごく一部です。出口がそこに限られる物件は、買取会社にとって「いつ売れるか読めない在庫」になります。読めない在庫は抱えられないため、断るという判断になります。
断られたときに「物件がひどいからだ」と受け取る必要はありません。実際に判断されているのは、物件そのものの価値ではなく、次の買主が使える資金の種類です。ここを分けて理解すると、打てる手が見えてきます。
なお、空き家そのものは全国で増え続けています。令和5年住宅・土地統計調査(総務省)では空き家は900万戸、空き家率は13.8%と過去最高でした。賃貸・売却用や別荘などを除いた、いわゆる放置されている空き家は385万戸で、総住宅数の5.9%にあたります。売りに出せば買い手が並ぶ市場ではない、という前提は押さえておいてください。
金融機関が担保評価を出しにくい5つの類型
買主のローンが通らなくなる物件は、次の5類型にほぼ収まります。
| 類型 | 何が問題になるか | 買主の資金手段 |
|---|---|---|
| ①再建築不可(接道不足) | 建て替えができず、担保としての処分価値が読めない | 現金・不動産担保ローン |
| ②共有持分のみ | 単独では物件全体を使えず、担保評価の対象になりにくい | 現金が中心 |
| ③借地(底地が他人名義) | 地主の譲渡承諾が前提となり、条件が確定しない | 現金・条件次第で融資 |
| ④違法建築・増築部分の未登記 | 登記や検査済証と現況が一致せず、適法性を確認できない | 現金・是正後に融資 |
| ⑤築古木造で法定耐用年数を超過 | 建物価値をゼロ評価され、融資期間が伸ばせない | 現金・短期の融資 |
⑤について補足します。木造の住宅用建物の法定耐用年数は22年です(減価償却資産の耐用年数等に関する省令)。これは税務上の年数ですが、金融機関が融資期間を決めるときの目安にもなっています。築40年を超える木造住宅は建物評価がほぼ残らず、土地の担保価値だけで判断されることになります。
大切なのは、この5類型は「物件が悪い」ことを意味しないという点です。①も④も、書類がそろって条件が確定すれば買主の選択肢は広がります。逆に、条件が確定していないから断られている物件が、かなりの数あります。
フラット35の技術基準で落ちる条件
買主が住宅ローンを検討するとき、中古住宅で候補になりやすいのがフラット35です。フラット35を使うには、住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す適合証明書が原則として必要になります。
中古住宅の技術基準のうち、訳あり物件で引っかかりやすいのは次の点です(住宅金融支援機構「中古住宅の技術基準の概要」)。
- 接道:住宅の敷地は、原則として一般の交通の用に供する道に2m以上接すること
- 床面積:一戸建て・連続建て・重ね建ては50㎡以上、共同住宅(マンション等)は30㎡以上
- 併用住宅:住宅部分の床面積が、店舗・事務所などの非住宅部分の床面積以上であること
- 耐震性:昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた住宅は、機構の定める耐震評価基準への適合が必要
- 住宅の規格:2以上の居住室、炊事室、便所、浴室を備え、独立して生活できること
接道2mは、建築基準法43条の接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接する)と重なります。再建築不可の物件は、建築基準法でも住宅ローンの技術基準でも同じところで止まるということです。
床面積50㎡未満の狭小住宅、1階が店舗の元商店、風呂のない長屋なども、この基準に当たります。大阪市内で相談が多い連棟式の長屋や町工場併用住宅は、複数の項目に同時に触れることがあります。

買主の金利が変わると、月返済はいくら違うのか
「融資が付かない」と言われても、実感が湧きにくいと思います。買主側の負担がどれだけ変わるかを数字で見てみます。
2026年8月資金受取分のフラット35(新機構団信付き・融資率9割以下)の借入金利は、返済期間21年以上35年以下で年3.290%から年5.570%、返済期間20年以下で年2.970%から年5.250%です(住宅金融支援機構)。
一方、フラット35や銀行の住宅ローンが使えない物件では、買主はノンバンクの不動産担保ローンを検討することになります。金利は商品や担保評価によって大きく変わるため、ここでは仮に年8.0%だった場合の試算として比べます。実際の条件は各社の商品概要書でご確認ください。
1,000万円を25年(300回)元利均等で借りた場合
| 金利 | 毎月の返済額 | 総返済額 |
|---|---|---|
| 年3.290%(フラット35の最低金利・2026年8月) | 約48,900円 | 約1,468万円 |
| 年5.000%(仮の試算) | 約58,400円 | 約1,753万円 |
| 年8.000%(仮の試算) | 約77,100円 | 約2,315万円 |
金利が3.29%から8.0%になると、毎月の返済は約2万8,000円増え、総返済額では約847万円の差になります。1,000万円の物件を買うのに、返済総額で800万円以上の差が出るということです。
買主の立場に立てば、同じ予算なら融資が付く物件を選びます。これが「訳あり物件が仲介で動かない」ことの実質的な理由です。売主の努力不足でも、価格設定だけの問題でもありません。

買取を断られる物件の特徴7つと、売れる可能性の上げ方
ここまでの構造をふまえて、実際に断られやすい特徴を7つに整理します。それぞれに「いま打てる手」を添えます。
特徴①:接道が2m未満、または前面道路が建築基準法上の道路ではない
もっとも多い理由です。前面が私道や通路で、そもそも建築基準法上の道路として扱われていないケースもあります。
上げ方:まず役所の道路担当課で、前面道路の種別(42条1項1号・2項道路など)を確認します。接道が足りない場合でも、隣地の一部を買うか借りることで2mを確保できる場合があります。建築基準法43条2項2号の許可(かつての但し書き許可)の見込みを特定行政庁に相談しておくと、価格の前提が変わります。私道であれば、所有者から通行・掘削の承諾が取れる見込みがあるかどうかが分かれ目になります。
特徴②:検査済証がない、または増築部分が未登記
建物の登記面積と現況が合わない、増築部分の確認申請が出ていない、といったケースです。買主が融資を申し込んでも、金融機関が適法性を確認できず止まります。
上げ方:検査済証が手元になくても、特定行政庁で建築計画概要書や台帳記載事項証明書を取得できることがあります。増築部分については、現況の平面図・撮影日のわかる写真をそろえます。是正できるかどうかの結論を出す必要はありません。「調べようがない物件」から「条件が見えている物件」に変えることが目的です。
特徴③:共有名義で、共有者の同意や所在が取れない
兄弟3人の共有のまま10年経っている、共有者の1人と連絡が取れない、というご相談です。全体の売却には全員の同意が必要なため、話が止まります。
上げ方:自分の持分だけであれば、他の共有者の同意なく売却できます(民法206条)。全体売却より価格は下がりますが、固定資産税を払い続ける状態からは抜けられます。共有者が何人で、誰と連絡が取れるのかを整理して伝えるだけで、判断の速度が変わります。
特徴④:借地で、地主の譲渡承諾が確認できていない
借地上の建物は、譲渡に地主の承諾が必要です(承諾が得られない場合は裁判所の許可を求める手続もあります)。承諾料の水準が読めないと、買取会社は価格を出せません。
上げ方:借地契約書、地代の領収書、更新時の合意書を探します。契約書が見つからない場合も、地代の支払い実績がわかる資料があれば前に進みます。地主と直接交渉する必要はありません。条件が未確定であること自体を、そのまま伝えて構いません。
特徴⑤:相続登記が終わっていない、相続人の一部が非協力
名義が亡くなった方のままだと、売主が誰なのかが確定しません。買取会社は売買契約の相手方を確定できないため、査定で止まります。
上げ方:相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になります。放置している理由が費用なのか、相続人間の話し合いなのかで手順が変わります。登記の完了を待たずに査定は依頼できます。登記と売却の段取りは並行して進められます。
特徴⑥:境界が確定していない、越境がある
隣地の屋根やブロック塀が越境している、給排水管が隣地を通っている、地積測量図がない、といったケースです。買主に「引き渡し後にもめる可能性」が残るため、判断が止まります。
上げ方:まず法務局で地積測量図と公図を取得し、図面があるかどうかを確認します。越境がある場合は、隣地との覚書があるかを探します。確定測量を先に済ませる必要はありません。越境の事実を隠さず伝えていただくほうが、結果的に話が早く進みます。
特徴⑦:引き渡しの状態が確定できない(残置物・占有者・家賃滞納)
家財がそのまま残っている、賃借人が家賃を滞納したまま住んでいる、親族が無償で住み続けている、といったケースです。買取会社は「いつ空になるか」を読めないため断ります。
上げ方:残置物は片付けなくて構いません。現況のまま引き渡す前提で査定を依頼するほうが、費用も時間も節約できます。占有者がいる場合は、賃貸借契約書と滞納の月数、直近の連絡状況を整理します。占有者がいる状態での買取に対応できるかどうかは、会社によって差が出るところです。
再査定を依頼する前にそろえる書類リスト
断られた物件の再査定で結論が変わるのは、たいてい資料が増えたときです。以下は、あると判断が進む書類です。すべてそろわなくても構いません。
| 書類 | 取得先 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 登記事項証明書(土地・建物) | 法務局(窓口・オンライン) | 書面請求1通600円 |
| 公図・地積測量図・建物図面 | 法務局 | 証明書は1筆・1個ごと500円 |
| 固定資産税の課税明細書 | 毎年届く納税通知書に同封 | 手元にあれば無料 |
| 建築計画概要書・台帳記載事項証明書 | 特定行政庁(市の建築指導課等) | 自治体により数百円 |
| 前面道路の種別がわかる書類 | 市の道路担当課 | 閲覧は無料の場合が多い |
| 借地契約書・地代の領収書 | 手元・地主 | — |
| 賃貸借契約書・滞納状況の記録 | 手元・管理会社 | — |
登記手数料は2025年4月1日に改定されています(法務省)。自治体の証明書手数料は市区町村ごとに異なるため、窓口でご確認ください。
これらの資料を「前回どこで断られたか」と一緒に渡すと、確認の順番を組み立てられます。断られた理由を伝えることは、不利にはなりません。むしろ、同じところで二度止まるのを防げます。

仲介で待つ場合と、現況買取で決める場合の比較
「もう少し仲介で粘る」という選択もあります。ただし、待っている間に出ていく費用があります。訳あり物件を1,000万円想定で仲介に出した場合と、現況買取で決めた場合を並べます。
| 比較項目 | 仲介で買主を待つ | 現況のまま買取 |
|---|---|---|
| 売却価格の目安 | 市場価格に近い金額を狙える | 市場価格の5割から7割程度 |
| 買主の資金 | 融資が付かないため現金客に限られる | 買取会社の資金で完結 |
| 仲介手数料 | 成約価格の3%+6万円+消費税が上限 | かからない |
| 修繕・残置物処分 | 買主が付くよう求められることがある | 現況のまま引き渡せる |
| 固定資産税 | 売れるまで毎年発生 | 引き渡し以降は発生しない |
| 管理・見回りの手間 | 売れるまで継続 | 引き渡しで終了 |
| 期間の目安 | 現金客が現れるまで読めない | 相談から2週間から1か月程度 |
訳あり物件の仲介でむずかしいのは、期間が読めないことです。買主が現金客に限られるため、3か月で決まることもあり、1年以上動かないこともあります。実際のご相談でも、仲介に2年出したまま固定資産税と草刈り費用だけが出ていった、というケースがあります。
金額の絶対値だけを比べると仲介が有利に見えます。しかし「待つ期間の費用」と「決まらない可能性」を含めて比べると、順位が入れ替わることがあります。どちらが正解というものではないので、査定額を取ってから並べて判断していただくのが確実です。
なお、相続した空き家を売る場合は、譲渡所得の3,000万円特別控除が使える可能性があります。適用期間は平成28年4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの譲渡です。相続人が3人以上のときは控除額が2,000万円になります。令和6年1月1日以後の譲渡については、買主が譲渡の翌年2月15日までに耐震改修または除却を行う場合も対象になりました(国土交通省・国税庁)。税額の判断は税理士にご確認ください。
よくある質問
Q. 5社に断られました。もう売れないということですか。 断られた理由が5社とも同じであれば、その1点を動かせるかどうかが分かれ目になります。接道なのか、登記なのか、占有なのかを特定するところから始めます。理由が会社ごとに違っていた場合は、単に対応範囲の違いであることが多いです。
Q. 買取の査定を頼むと、必ず売らなければいけませんか。 査定を受けたあとにお断りいただいて問題ありません。金額を知ってから考える、という使い方をしていただいて構いません。
Q. 先にリフォームすれば、断られなくなりますか。 融資が付かない理由が接道や登記にある場合、リフォームでは変わりません。工事費が戻らないまま結論が同じになるおそれがあります。先に査定を取って、理由を特定してから支出を判断してください。
Q. 資料が何も見つかりません。それでも相談できますか。 できます。物件の所在地がわかれば、登記や公図はこちらで調べられます。手元にある納税通知書だけをお持ちいただくところから始めていただいて構いません。
Q. 大阪市以外の物件でも相談できますか。 ご相談はお受けします。大阪を中心に、兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山の物件のご相談に対応しています。買取の可否・条件は所在地と物件の状況を確認してご案内します。上記の対応地域外の物件は買取・査定の対象外です。対応地域外の物件は、物件所在地の不動産会社へご相談ください。
断られた理由の特定から、一緒に始めます
買取を断られた物件でご相談いただく場合、最初にするのはどこで止まっているのかの特定です。接道・登記・共有・借地・占有のどれなのかがわかれば、そこから先の手順は決まります。
査定は無料で、資料がそろっていない段階でも構いません。残置物の片付けや修繕を先に済ませる必要もありません。現況のままの状態で価格帯をお伝えします。
対応しているのは、大阪府内の訳あり不動産です。
相談無料・秘密厳守。査定後にお断りいただいても問題ありません。
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出典・参考
- 住宅金融支援機構「【フラット35】中古住宅の技術基準の概要」(接道2m以上・床面積50㎡/30㎡以上・併用住宅・昭和56年5月31日以前の耐震基準・適合証明書)
- 住宅金融支援機構「最新の金利情報」(2026年8月資金受取分・新機構団信付き・融資率9割以下)
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果」(空き家900万戸・空き家率13.8%・賃貸売却用等を除く空き家385万戸)
- e-Gov法令検索「建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)」第42条・第43条
- e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」第206条
- 法務省「登記手数料について」(2025年4月1日改定の手数料額)
- 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
- 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」(適用期間の令和9年12月31日までの延長・相続人3人以上の場合の2,000万円)
- e-Gov法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和四十年大蔵省令第十五号)」(木造住宅用22年)
返済額の試算は元利均等返済・借入1,000万円・返済期間25年(300回)で計算した概算です。年5.000%・年8.000%は、融資が付きにくい物件で買主が高い金利の借入を使う場合の影響を示すための仮の数値であり、特定の金融機関の適用金利ではありません。実際の条件は各社の商品概要書でご確認ください。買取価格の目安・期間の目安は個別の物件により変わり、結果を保証するものではありません。税額の判断は税理士に、登記・訴訟の判断は司法書士・弁護士にご相談いただくのが確実です。