改修・インフラ工事をした物件の査定への影響|机上で確認できる範囲
改修やインフラの工事をした物件で査定に効くのは、「工事をしたかどうか」ではなく、「何の工事を、どこまでやって、記録が残っているか」です。かけた費用がそのまま査定額に足される、という形にはなりません。
そして、この3点の多くは机上(現地に行かずに、書類や写真だけで確認すること)で先に整理できます。工事の書類が手元になくても、わかる範囲をお伝えいただければ相談は始められます。
この記事では、工事の種類ごとに査定での見られ方がどう違うか、なぜ「記録」が繰り返し聞かれるのか、そして相談のときに何を伝えればよいかをお伝えします。
査定に効くのは「工事をしたか」ではなく「何の工事か」
改修・インフラの工事は、査定での見られ方によって大きく3つに分かれます。ご自身がした(または前の所有者がした)工事が、どれにあたるかを確かめてください。
| 工事の区分 | 具体例 | 机上で確認できること | 現地で確かめること |
|---|---|---|---|
| ①インフラ(敷地への引込み) | 上下水道・浄化槽・電気・ガスの引込み、排水設備 | 整備状況、請求書の有無、記録の有無 | 通水・通電、メーター・枡の位置、使用可否 |
| ②建物の骨組み・外皮 | 屋根・外壁の改修、柱・梁・基礎の工事、耐震補強 | 確認済証・検査済証、設計図書、見積書・契約書 | 施工の状態、雨漏りの跡、傾き、白蟻の被害 |
| ③建物の中身(内装・設備) | 壁紙、床、キッチン・浴室・トイレの入れ替え、給湯器 | 工事の時期と範囲、取扱説明書等 | 現在の使用可否、劣化の進み方 |
①に近いほど、物件の使い道そのものに関わります。上下水道が引き込まれていない土地は、住むにも貸すにも先に工事が要ります。そのため、引込みが済んでいるかどうかは、査定の入口で確認する項目になります。
一方で③は、次にその物件を使う人の好みで入れ替えられる部分です。きれいに直してあっても、買主が改めて直す前提であれば、かけた費用の分だけ査定が動くとは限りません。「内装にお金をかけたのに、思っていた金額と違った」というご相談は、この差から生じていることが多いです。
②はその中間で、記録が残っているかどうかで扱いが大きく変わります。次の章でお伝えします。
工事の「記録」が繰り返し聞かれる理由|法律上の説明事項だから

「工事の書類はありますか」と何度も聞かれて、煩わしく感じられたかもしれません。これには理由があります。
宅地建物取引業者が物件を売るときには、契約が成立するまでの間に、次の項目を買主へ説明することが法律で決められています(宅地建物取引業法35条1項)。
- 飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況を説明する必要があります(同項4号)。整備されていない場合は、その整備の見通しと、整備についての特別の負担も説明します
- 既存の建物については、設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況(同項6号の二ロ)。建物状況調査を実施しているかどうかとその結果の概要も同じ号で定められています(同号イ)
つまり、インフラの整備状況と、工事の記録が残っているかどうかは、法律上あとから確かめられる項目です。当社は買主として直接買い取るため、売る側ではなく買う側の立場になりますが、確かめる項目は同じです。早い段階で伺うのは、あとから話が戻るのを避けるためです。
記録が無いこと自体は、相談を止める理由になりません。「記録が無い」とわかっていること自体が、机上で確認できたひとつの結果です。無い前提でどう進めるかを一緒に考えます。
大規模なリフォームには建築確認が要る場合があります

改修工事のうち、規模の大きなものは、工事の前に建築確認を受けることとされています。
建築基準法では、大規模の修繕を「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕」と定義しています(建築基準法2条14号)。大規模の模様替も同じく「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替」と定義されています(同条15号)。
次の建築物でこれらの工事をするときは、工事に着手する前に確認の申請書を提出しなければなりません。確認済証の交付を受ける必要もあります(同法6条1項)。
- 別表第一(い)欄に掲げる用途の特殊建築物で、その用途の部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるもの(同項1号)
- 上記を除き、2以上の階数を有し、又は延べ面積が200平方メートルを超える建築物(同項2号)
2025年4月に施行された改正で、木造建築物の建築確認検査の対象が非木造と同じ規模に見直されました。国土交通省は「木造戸建の大規模なリフォームは建築確認手続きが必要になります」と案内しています。2階建ての木造住宅は上記2号にあたるため、屋根や外壁、柱・梁といった主要構造部の過半に及ぶ工事をする場合は、手続きの対象になり得ます。
また、確認を受けた工事が完了して検査に通ると、検査済証が建築主へ交付されます(同法7条5項)。
ここで大事なのは、ある工事が「大規模の修繕」にあたるかどうかは、工事の範囲で決まるという点です。判断するのは建築主事等や指定確認検査機関(建築確認を審査する自治体や民間の機関)です。
当社が可否を判定するものではありませんし、「手続きをしていないから買い取れない」と決まるものでもありません。相談のときは、確認済証・検査済証が手元にあるかどうかを「ある・無い・不明」でお伝えいただければ十分です。
インフラの工事は「敷地の外」も関わります
上下水道やガスの引込みは、敷地の中だけで完結しないことがあります。相談の中で確認したいのは次の点です。
- 前面道路が公道か私道か。私道の場合、配管が通っている土地の所有者が誰かで、工事のときの段取りが変わります
- 配管が他人の土地を通っていないか。古い分譲地や、一つの敷地を後から分けた土地では起こり得ます
- 引込みの口径や、いつの工事か。以前に引込みをしたと聞いていても、現在そのまま使える状態とは限りません
これらは所在地がわかると机上で調べ始められる部分と、現地や管理者への確認が必要な部分に分かれます。どちらにあたるかを最初のやり取りで切り分けて、次に何を確かめるかをお伝えします。ご自身で先に調べてからでなくて構いません。
工事をしても、出口が広がらない場合があります

改修に費用をかけても、買主が住宅ローンを使えない物件では、売り先そのものが限られます。
住宅金融支援機構の【フラット35】(買主が中古住宅を買うときによく使う住宅ローンの一種)は、中古住宅の技術基準を定めています。技術基準のひとつが、接道が2メートル以上であることです。また、一戸建ては住宅部分の床面積が50平方メートル以上(共同住宅は30平方メートル以上)であることも基準のひとつです。
さらに、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた住宅は、耐震評価基準等への適合が必要とされています(フラット35技術基準)。
そのため、再建築不可の物件や、接道が足りない物件では、内装をどれだけきれいに直しても、融資を使って買う一般の買主に届きにくくなります。この場合、工事をしてから売るより、現況のまま買い取る相手を探すほうが手残りが多くなることがあります。どちらが有利かは物件ごとに違うため、まず状況を伺ってからお伝えします。
なお、これから工事をするかどうか迷っている段階のご相談もお受けしています。工事を終えてからでないと相談できない、ということはありません。
相談のときに伝えること|確認表の記入例
最初にお送りいただきたいのは、次の項目です。空欄・不明・未定のままで構いません。
| 確認すること | 書いていただく内容の例 |
|---|---|
| 物件の所在地 | 府県:大阪府 市区町村:◯◯市(番地までは不要です) |
| 物件の種類 | 一戸建て/アパート一棟/区分マンション/土地/その他/不明 |
| 入居状況 | 入居中/一部入居/空室/不明 |
| した工事の種類 | インフラ(上下水道・電気・ガス)/屋根・外壁・構造/内装・設備/不明 |
| 工事の時期 | ◯年ごろ/相続前で不明/前の所有者がしたらしいが時期は不明 |
| 工事の記録 | 請負契約書・見積書/確認済証・検査済証/図面/取扱説明書等/資料なし/不明 |
| 困っていること | 管理/修繕/相続関係/費用/その他 |
| 売却を考える時期 | 未定/希望時期: /期限がある理由: |
| 相談して確認したいこと | 机上でどこまで確認できるか/必要な追加情報/現地確認の進め方 |
太字の3行が、この記事の内容にあたる部分です。すべて「不明」でも相談は進められます。相手の氏名・連絡先・口座番号・身分証明書を、この段階で書いていただく必要はありません。
物件の所在地は、大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山が対象です。所有者の方がどこにお住まいでも構いません。相談・査定は無料です。直接買取の可否と条件は、所在地と物件の状況を確認して判断します。
よくあるご質問

Q. リフォームにかけた費用は、そのまま査定額に上乗せされますか? かけた費用がそのまま上乗せされるとは限りません。査定で見るのは、工事にいくらかかったかではなく、工事のあとの状態で何ができるか(貸せるか・住めるか・建て直せるか)です。同じ金額をかけた工事でも、インフラの引込みのように物件の使い道そのものに関わる工事と、内装のように好みで入れ替えられる工事とでは、反映のされ方が違います。金額の見当は物件の所在地と状況を確認してからお伝えします。
Q. 工事の書類が手元にありません。相談できませんか? 書類がなくても相談していただけます。「資料なし」とお伝えください。相続で引き継いだ物件では、工事の記録がご本人の手元にないことのほうが多いです。工事をした会社の名前、だいたいの時期、どこを直したかを覚えている範囲で伺えれば、机上で整理できる部分から進められます。書類を探し切ってから相談する必要はありません。
Q. 上下水道が引き込まれているかどうかは、どう確かめればよいですか? わからないままお伝えいただいて構いません。宅地建物取引業者が物件を売るときは、飲用水・電気・ガスの供給施設と排水のための施設の整備の状況を買主へ説明することが法律で決められています(宅地建物取引業法35条1項4号)。そのため当社が買い取る側でも、同じ項目を確認します。所在地がわかれば調べられる部分があるので、まずは市区町村と、水道・ガスの請求書が来ていたかどうかを教えてください。
Q. 大規模なリフォームをしたのに、確認申請をした記憶がありません。問題になりますか? その場でお困りごとが起きるとは限りませんが、あとから売るときに確かめられる項目です。建築基準法では、2階建て以上または延べ面積200平方メートル超の建築物が対象になります。これらの建築物で大規模の修繕・大規模の模様替をするときは、工事の前に建築確認を受けることとされています(建築基準法6条1項)。ある工事がこれに当たるかどうかは工事の範囲で決まり、判断するのは建築主事等や指定確認検査機関です。当社が可否を判定するものではありません。相談のときは、わかっている範囲で工事の内容をお伝えいただければ十分です。
まとめ
- 査定に効くのは工事の有無ではなく、「何の工事を・どこまで・記録が残っているか」です。かけた費用がそのまま上乗せされる形にはなりません。
- インフラの整備状況と書類の保存状況は、法律上あとから確かめられる項目です(宅建業法35条1項4号・6号の二ロ)。だから早い段階で伺います。
- 2階建て以上または200平方メートル超の建築物の大規模な改修は、建築確認の対象になり得ます(建築基準法6条1項)。確認済証・検査済証の有無は「ある・無い・不明」でお伝えください。
- 再建築不可・接道が足りない物件は、工事をしても買主の融資が付きにくく、出口が広がらないことがあります。現況のまま手放すほうが手残りが多くなる場合もあります。
- 工事の書類がなくても、工事をする前でも、相談は始められます。
工事の記録が無い段階から、ご相談ください
「どんな工事をしたか、はっきりわからない」「書類は何も残っていない」「これから直すべきか迷っている」という段階からのご相談をお受けしています。上の確認表のうち、わかる項目だけをお送りください。
空き家のミカタは、大阪市生野区に事務所を置く宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)です。大阪を中心に、兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山の物件を対象に、当社が買主として直接買取のご相談をお受けしています。建築確認の要否は建築主事等・指定確認検査機関へ、登記の手続きは司法書士へ、税金の判断は税理士へご確認ください。
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出典(2026年9月16日確認)
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第35条第1項第4号・第6号の二)。飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(整備されていない場合はその整備の見通し及び特別の負担に関する事項)を定めています。あわせて、既存建物における建物状況調査の実施の有無と結果の概要、設計図書・点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況も定めています。
- e-Gov法令検索「建築基準法」。第2条第14号・第15号で大規模の修繕・大規模の模様替の定義を、第6条第1項で確認済証の交付を受けるべき建築物の規模を、第7条第5項で完了検査後の検査済証の交付を定めています。
- 国土交通省の案内。建築基準法改正で、木造建築物の建築確認検査の対象が非木造と同じ規模に見直されました。「木造戸建の大規模なリフォームは建築確認手続きが必要になります」と案内しています。
- フラット35技術基準。接道2メートル以上、一戸建て等は住宅部分の床面積50平方メートル以上(共同住宅は30平方メートル以上)です。建築確認日が昭和56年5月31日以前の住宅は、耐震評価基準等への適合が必要です。