机上査定とは?空き家・訳あり物件を現地確認前に相談する方法
机上査定とは、現地を見る前に、物件の所在地と手元にある情報、どなたでも確認できる公的な情報から、価格の見当をつける査定のことです。相続した空き家や訳あり物件でも、資料がそろうのを待たずに、この段階から相談を始められます。
ただし、机上で出せるのは「見当」までです。建物の傷みや室内の荷物の量は、現地を確認してから数字が固まります。そして机上でも現地でもわからず、所有者の方に教えていただくしかない情報もあります。
この記事では、机上査定でわかること・わからないことを3つに分け、現地確認の前に何を伝えればどこまで進められるかを、相談用の確認表とあわせてお伝えします。
机上査定とは|現地を見る前にわかることと、わからないこと
査定には大きく分けて、現地を見ずに概算を出す「机上査定(簡易査定)」と、現地を見て金額を出す「訪問査定」があります。査定額が会社によって違う理由は不動産の査定額はなぜ会社によって違う?で整理しています。
ここでは「机上でどこまでわかるのか」に絞ります。相続した空き家・訳あり物件の場合、情報の出どころは次の3つに分かれます。
| 情報の出どころ | 主にわかること | 机上査定での扱い |
|---|---|---|
| ① どなたでも確認できる公的な情報 | 登記された名義・共有者の持分・抵当権などの権利、前面道路の種別の目安、周辺の取引の傾向 | 机上で確認できる |
| ② 現地を見てはじめてわかる情報 | 建物の傾き・雨漏り・白蟻の跡、室内に残っている荷物の量、境界の目印、実際の道路の幅や間口 | 机上では仮の前提を置くしかない |
| ③ 所有者の方にしかわからない情報 | 入居状況・家賃、困っていること、売却の時期、鍵の所在、対応者の有無、建物内の出来事 | 教えていただいた範囲で反映する |
① 公的な情報は、所有者でなくても確認できます
登記事項証明書(登記簿の写し)は、手数料を納めればどなたでも法務局に請求できます(不動産登記法119条)。名義が誰になっているか、共有者がいるか、抵当権が残っているかは、ここで確認できます。売主の方が先に取り寄せておく必要はありません。
ただし、登記や道路の種別を調べるには、市区町村だけでなく地番(番地)まで物件を特定する必要があります。所在地や名義がわかる資料があれば、机上で確認を進める段階で伺います。
前面の道路が建築基準法上のどの道路にあたるかも、大阪市の場合は「マップナビおおさか」で公開されています。ただし大阪市は、この地図が正確な道路幅や境界位置を示すものではなく、参考図として使うものだと明記しています。再建築できるかどうかに関わる部分は、机上では「目安」までと考えてください。
② 現地で固まる情報は、机上では仮の前提になります
建物の状態や荷物の量は、公的な情報には出てきません。机上査定では「一般的な傷み具合」「荷物がある程度残っている」といった仮の前提を置いて見当をつけることになります。
そのため、机上の見当と現地確認後の数字がずれることがあります。査定の根拠として現地で何を見ているかは、次の記事にまとめています。訳あり物件の買取価格はどう決まる?査定の根拠と現地調査の8チェックポイント
③ 所有者の方にしかわからない情報が、机上査定の精度を左右します
入居者がいるか、家賃はいくらか、いつまでに手放したいか。こうした情報は、登記簿にも地図にも載っていません。
建物の中で過去に起きた出来事も同じです。国土交通省の「人の死の告知に関するガイドライン」でも、仲介する宅地建物取引業者は、売主の方に告知書(物件状況等報告書)への記入を求めることで調査の義務を果たしたものとされています。つまり、所有者の方からの情報がそのまま判断材料になるということです。
告知の範囲については心理的瑕疵とは?事故物件の告知義務の範囲をご覧ください。
物件の種類ごとに、机上で見当をつけやすい点・現地で確かめる点

同じ机上査定でも、物件の種類によって「机上で進めやすい部分」と「現地で確かめる部分」が変わります。
| 物件の種類 | 机上で見当をつけやすい点 | 現地で確かめる点 | 最初に伝えていただくと進めやすいこと |
|---|---|---|---|
| 相続した一戸建て(空き家) | 所在地、名義、土地・建物の登記内容 | 建物の傷み、荷物の量、境界の目印 | 困っていること(管理・修繕・費用など)、鍵の所在 |
| 相続したアパート一棟 | 所在地、名義、登記内容 | 空室の状態、共用部分の傷み | 入居状況(入居中・一部入居・空室)、家賃の明細の有無 |
| 再建築できないかもしれない土地・建物 | 前面道路の種別の目安 | 実際の道路の幅、間口、隣地との関係 | 所在地(市区町村)、困っていること |
| 共有名義の不動産 | 登記上の共有者と持分 | 物件の状態 | 他の共有者と連絡が取れているかどうか |
| 建物内で出来事があった物件 | ―(公的な情報ではわからない) | 物件の状態 | わかる範囲の事実(言いにくい場合は、その旨だけでも構いません) |
相続したアパートは、入居状況と家賃の明細があるだけで、机上で整理できる範囲がかなり広がります。逆に空き家の一戸建ては、建物の状態を現地で見るまで数字が動きやすい物件です。
共有名義の物件で、他の共有者に知られずに査定できるか気になる方もいます。共有持分は兄弟に内緒で査定できる?をご覧ください。
現地確認の前に伝えておくこと|相談を始めるための確認表
空き家のミカタへ最初に状況を伝えるための記入欄です。書きにくい欄は「不明」「未定」のままで構いません。資料がそろうまで相談を待つ必要もありません。
| 確認すること | ご自身の状況を書く欄 |
|---|---|
| 物件の所在地 | 府県: 市区町村: |
| 物件の種類 | 一戸建て/アパート一棟/区分マンション/土地/その他/不明 |
| 入居状況 | 入居中/一部入居/空室/不明 |
| 困っていること | 管理/修繕/相続関係/費用/その他: |
| 売却を考える時期 | 未定/希望時期: /期限がある理由: |
| 手元にある情報 | 所在地・名義がわかる資料/入居状況/家賃の明細/その他/資料なし |
| 現地確認について伝えたいこと | 鍵の所在:わかる・不明/現地で対応できる人:いる・いない・未確認 |
| 相談して確認したいこと | 机上でどこまで確認できるか/必要な追加情報/現地確認の進め方/その他: |
この表は、ご相談の準備のための記入欄です。氏名・連絡先・口座番号・身分証明書を書く必要はありません。
最低限、この3つがあれば相談を始められます
- 物件のある市区町村
- 入居状況(入居中・一部入居・空室・不明)
- 売却を考えている理由
この3つは「相談を始めるため」のものです。番地まで伝えにくい場合は、最初は市区町村までで構いません。登記や道路の種別を机上で調べる段階になったら、所在地や名義がわかる資料があるかを改めて伺います。対応地域は物件の所在地が大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山のものです。所有者の方のお住まいは問いません。
「現地確認について伝えたいこと」の欄は、そのまま書いてください
鍵が見当たらない、遠方で現地に行ける人がいない、という状況は珍しくありません。「鍵の所在:不明」「現地で対応できる人:未確認」とそのまま書いていただければ十分です。
ここを先に伝えていただくと、机上でどこまで進め、現地確認に進む場合にどう段取りするかを、最初のやり取りの中で一緒に考えられます。
現地確認の前にどこまで進められるか|相談の進め方

机上査定を相談してから現地確認までの進め方は、次のとおりです。
- 確認表のわかる範囲を伝える LINEまたはフォームで、所在地(市区町村)・入居状況・売却を考える理由など、わかる項目だけをお送りください。
- 机上で確認できる範囲と、追加で必要な情報を確認する 公的な情報で確認できることと、所有者の方に追加で伺いたいことを整理してお伝えします。
- 現地確認に進むかどうかと、その進め方を決める 所在地と物件の状況、鍵の所在や現地で対応できる人がいるかどうかをふまえて、一緒に決めます。
- 直接買取の可否・条件をお伝えする 直接買取の可否と条件は、所在地と物件の状況を確認して判断します。状況によっては、ご希望に沿えない場合もあります。
大切なのは、「相談を始めること」と「価格が確定すること」は別の段階だという点です。机上の段階でも、物件の状況を整理し、何が決まっていて何が未確認かをはっきりさせることはできます。一方で、机上の見当だけで買取価格が決まるわけではありません。
相談・査定は無料です。相談したからといって、その場で売却を決める必要はありません。
手続き全体の流れ(契約・決済まで)は、次の記事にまとめています。訳あり物件の買取 手続き|必要書類・告知書の書き方
机上査定の結果を受け取ったときに確かめたいこと
机上査定の金額を受け取ったら、数字だけでなく、その数字がどんな前提で出されたかを確かめてください。どの会社に相談する場合も使える確認点です。
- 建物の状態を、どう仮定しているか(傷みがある前提か、ない前提か)
- 室内に残っている荷物を、どう扱っているか(処分費用を見込んでいるか)
- 入居者がいる前提か、空室の前提か
- 現地確認で変わる可能性がある項目はどれか
この前提の説明がないまま高い金額だけが示された場合は、現地確認のあとで大きく下がることがあります。机上の段階では、金額の高さよりも「何が確認済みで、何が未確認か」を説明してもらえるかどうかで比べるほうが、あとで困りにくくなります。
よくあるご質問
Q. 机上査定だけで売却価格は決まりますか? 決まりません。机上査定で出せるのは、所在地や手元の情報をもとにした価格の見当までです。建物の傷み、室内に残っている荷物の量、境界の目印の有無などは、現地を確認してはじめて数字が固まります。空き家のミカタでも、直接買取の可否・条件は所在地と物件の状況を確認して判断しています。
Q. 書類がそろっていなくても机上査定を相談できますか? 相談できます。資料がそろうまで相談を待つ必要はありません。最初は物件のある市区町村、入居状況、売却を考えている理由を、わかる範囲でお伝えください。わからない項目は「不明」「未定」のままで構いません。
Q. 鍵の場所がわからない、現地に行ける人がいない場合でも相談できますか? 相談を始めることはできます。最初のご相談では「鍵の所在がわかるか・不明か」「現地で対応できる人がいるか・いないか・まだ確認していないか」をそのままお伝えください。そのうえで、机上で確認できる範囲と、現地確認をどう進めるかを一緒に整理します。鍵がないまま査定が完了することや、現地確認をしないまま買取価格が決まることをお約束するものではありません。
Q. 遠方に住んでいても、近畿の物件の机上査定を相談できますか? できます。空き家のミカタが対応しているのは、物件の所在地が大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山の不動産です。所有者の方がどこにお住まいかは問いません。相談・査定は無料です。
Q. 机上査定を相談するとき、氏名や口座番号まで伝える必要がありますか? 最初に状況を伝える段階では必要ありません。この記事の確認表は、物件の状況を整理するための記入欄です。氏名・連絡先・口座番号・身分証明書を確認表に書く必要はありません。
まとめ
- 机上査定は、所在地・手元の情報・公的な情報から価格の見当をつける段階です。
- 建物の状態や荷物の量は現地で固まり、入居状況や事情は所有者の方の情報で決まります。
- 資料がなくても、市区町村・入居状況・売却を考える理由がわかれば相談を始められます。
現地確認の前に、まず状況をお聞かせください

「机上でどこまでわかるか知りたい」「鍵の場所がわからない」「遠方で現地に行けない」という段階からのご相談をお受けしています。上の確認表のうち、わかる項目だけをお送りください。
空き家のミカタは、大阪市生野区に事務所を置く宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)です。大阪を中心に、兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山の物件を対象に、当社が買主として直接買取のご相談をお受けしています。登記の手続きは司法書士へ、税金の判断は税理士へご確認ください。
関連記事
- 不動産の査定額はなぜ会社によって違う?高すぎる査定に注意
- 訳あり物件の買取価格はどう決まる?査定の根拠と現地調査の8チェックポイント
- 訳あり物件の買取手続き|必要書類・告知書の書き方
- 相続した家を現状渡しで売る方法
- 相続アパートを売りたい方へ【大阪・近畿対応】
- 共有持分は兄弟に内緒で査定できる?
- 心理的瑕疵とは?事故物件の告知義務の範囲・売却時期・価格への影響
出典(2026年9月14日確認)
- e-Gov法令検索「不動産登記法」(第119条第1項)。何人も、登記官に対し、手数料を納付すれば、登記事項証明書の交付を請求できます。
- 大阪市「道路種別と道路判定等」。敷地前面道路の道路種別は、計画調整局の道路参考図閲覧コーナーや「マップナビおおさか」で確認できます。同市はこの地図情報について、正確な道路幅・境界位置・始終端位置等の形状を示すものではなく、参考図として利用するものと明記しています。
- 国交省GL。国土交通省公表の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」です。媒介を行う宅地建物取引業者は、売主に告知書(物件状況等報告書)への記載を求めることで調査義務を果たしたものとされています。