相続した家を現状渡しで売る方法|片付け・修繕なしで買取できる理由【2026年版】
「相続した実家を売りたいけど、荷物が山積みのまま……片付けなければ売れないの?」
そんな不安を抱えている方は多くいらっしゃいます。答えは「片付けなしで売る方法があります」です。これを現状渡し(現況引渡し)と呼びます。
ただし、現状渡しが使えるかどうかは売却先の種類によって大きく違います。一般の仲介では難しいケースが多く、訳あり不動産の買取専門業者であれば現況のままでの購入に対応できます。
この記事では、現状渡しの仕組みと注意点、買取業者ならなぜ現状のまま買えるのか、売却手順と費用感まで、わかりやすく解説します。
目次
- 現状渡し(現況引渡し)とは
- 一般的な仲介で現状渡しが難しい理由
- 買取専門業者なら現状のまま購入できる理由
- 現状渡しでも必要な「告知義務」について
- 片付け費用と買取価格の比較
- 現状渡し売却の流れ
- よくある質問
- まとめ・無料相談のご案内
1. 現状渡し(現況引渡し)とは
現状渡し(現況引渡しとも表記します)とは、物件を「修繕・清掃・荷物の撤去をせず、今ある状態のまま引き渡す」売却方法です。
一般的な不動産売買では、売主が物件を清掃し、壊れた箇所を修繕し、家具・荷物を全て搬出した状態で引き渡すことが多いです。しかし現状渡しの場合、こうした作業をせずにそのままの状態で買主に渡します。
相続した家で現状渡しのニーズが多い理由として、以下が挙げられます。
- 親が長年住んでいた家具・家財が大量に残っている
- 遠方に住んでいるため頻繁に片付けに来られない
- 遺族全員が片付けに来るスケジュール調整が難しい
- 築古・雨漏りなど修繕費用が高額になりそうで手が出ない
- できるだけ早く現金化して相続税の納付に充てたい
2020年(令和2年)の民法改正により、不動産売買における「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」(民法562条)に変更されました。現状渡しで売却する場合は、この「契約不適合責任を免除する特約」を売買契約書に明記するのが一般的です。ただし、知っている不具合(瑕疵)を告知する義務はなくなりません(詳しくは後述)。
2. 一般的な仲介で現状渡しが難しい理由
仲介業者(不動産会社)を通じて一般の買主(個人)に売る場合、現状渡しは非常に難しいのが実情です。
その理由は買主側にあります。個人の買主は「すぐに住める状態」か「きれいになった状態」の物件を求めることがほとんどです。荷物が残っていたり、壁紙が剥がれていたり、給湯器が壊れていたりすると、内見に来た人が「やっぱりやめよう」となるケースが多く、買主が見つかりません。
また、住宅ローンを使って購入する買主にとっては、銀行の審査で「担保評価」が問題になることもあります。老朽化が著しい物件は銀行がローンを認めないケースもあるため、買主の選択肢が狭まります。
その結果、仲介での現状渡し物件は:
- 売り出しても問い合わせが来ない
- 来ても価格交渉で大幅値引きを迫られる
- 数か月経っても売れず、その間も固定資産税や管理費が発生し続ける
…という状況に陥りがちです。
実務の視点:相続した実家を仲介に出して6か月待ち続けたケースで、最終的に片付け・リフォームをすることになり、その費用が200万円を超えた事例を経験しています。最初から買取業者に相談していれば、片付け費用ゼロで2〜4週間以内に現金化できた計算になります。
3. 買取専門業者なら現状のまま購入できる理由

訳あり不動産の買取専門業者が「現状のまま」で購入できる理由は、ビジネスモデルの違いにあります。
仲介業者は「買主を探す代わりに仲介手数料をもらう」仕組みです。一方、買取業者は自社で直接購入し、その後リフォームや再販・活用をして利益を得ます。
そのため:
- 荷物・家具が残っていても、購入後に自社で処分または活用できる
- 雨漏り・シロアリ・老朽化があっても、自社でリフォームして再販できる
- 再建築不可・接道不良・旗竿地などの訳あり物件も活用策を持っている
- 住宅ローン不要の自社資金で購入するため銀行審査がなく、スピードが速い
具体的に「現状のままOK」な例を挙げると:
| 状態 | 仲介(個人向け) | 買取専門業者 |
|---|---|---|
| 家具・家財が残っている | △(買主が嫌がる) | ○(残置物ありで対応可) |
| 雨漏り・傾きあり | ×(ローン審査不可も) | ○(現況買取可) |
| リフォーム未実施 | △(値引き交渉多数) | ○(現況価格で査定) |
| ゴミ屋敷状態 | ×(買主が見つからない) | △(要相談、基本対応可) |
| 再建築不可・旗竿地 | ×(ほぼ売れない) | ○(専門業者が買取) |
当社(空き家のミカタ)では、家具・荷物が残ったままの相続物件を現況のまま購入することができます。仲介手数料も不要です。
4. 現状渡しでも必要な「告知義務」について
現状渡しで売る場合でも、売主には「告知義務」があります。これは「修繕しなくていい」という意味であり、「知っている問題を隠していい」という意味ではありません。
告知が必要な代表的な事項は以下のとおりです:
建物の状態に関する告知
- 雨漏りの有無・過去の雨漏り歴
- シロアリ被害・白蟻処理の有無
- 給排水管の不具合(詰まり・漏水等)
- 腐食・傾き・土台の損傷
- アスベスト含有(1981年以前の建物は可能性あり)
権利・利用状況に関する告知
- 境界の未確定・越境(隣地の塀や建物が敷地にはみ出している等)
- 近隣トラブルの履歴
- 事故物件(自殺・孤独死等)に該当する場合
法的制限に関する告知
- 再建築不可・建築条件等の法的制限
- 埋設物(古井戸・浄化槽・地下構造物等)の有無
これらを「物件状況報告書(告知書)」に記入して買主に渡すことが求められています。告知を怠ると、後日「契約不適合」として買主から損害賠償を請求されるリスクがあります(民法562〜564条)。
買取業者への売却では告知義務はどうなる?
買取業者(プロ)への売却でも告知義務の基本は変わりませんが、プロ同士の売買のため契約不適合責任を免除する特約を入れることが一般的です。また、業者側が建物調査(インスペクション)を実施するため、隠れた不具合のリスクを業者側が引き受ける形になります。これが「安心して現状渡しできる」理由の一つです。
5. 片付け費用と買取価格の比較
「片付けてから仲介で売る」と「現状のまま買取業者に売る」を費用面で比較すると、見かけの価格差より手取り額の差が小さいケースが多いです。
遺品整理・片付け費用の目安
| 間取り | 遺品整理費用(目安) |
|---|---|
| 1K・1R(25〜40㎡) | 8〜20万円 |
| 1LDK・2K(40〜60㎡) | 15〜35万円 |
| 2LDK・3DK(60〜80㎡) | 30〜55万円 |
| 3LDK・4DK(80〜100㎡以上) | 40〜80万円以上 |
※遺品整理業者によって大きく異なります。作業員の人数・処分品の量・エレベーターの有無等で変動します。
比較シミュレーション(例:3LDKの空き家、仲介相場1,500万円の場合)
| 項目 | 仲介で売る場合 | 買取業者に売る場合 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 1,500万円 | 約1,050〜1,200万円 |
| 仲介手数料(3%+6万円+税) | ▲約56万円 | なし |
| 遺品整理費用 | ▲約40〜80万円 | なし |
| リフォーム費用(最低限) | ▲約50〜200万円 | なし |
| 売却期間 | 3か月〜1年 | 2〜4週間 |
| 手取り概算 | 約1,160〜1,354万円 | 約1,050〜1,200万円 |
売却期間中も固定資産税・火災保険・管理費用が発生し続けます。6か月売れなかった場合、その間の維持費が年間15〜30万円かかると、コスト差はさらに縮まります。
「いくら手元に残るか」で比較すると、買取業者への現状渡しが思っているより合理的な選択になるケースが多くあります。
6. 現状渡し売却の流れ

相続した家を現状渡しで売却する場合の流れは以下のとおりです。
STEP 1. 現状確認・資料の準備
- 登記簿謄本(法務局またはオンライン)を取得
- 固定資産税の納税通知書・評価証明書を確認
- 建物の状態(雨漏り・シロアリ等)を把握しておく
STEP 2. 相続登記(名義変更)の手続き
2024年4月から相続登記が義務化されました(3年以内・違反で10万円以下の過料)。売却には相続人名義への変更が必要です。司法書士に依頼する場合の費用目安:
- 司法書士報酬:3〜7万円
- 登録免許税:固定資産税評価額 × 0.4%
STEP 3. 買取業者に相談・査定を依頼
複数の買取業者に査定を依頼します(2〜3社が目安)。現状渡しを前提に、「残置物ありで査定してほしい」と明示して依頼しましょう。
STEP 4. 告知書(物件状況報告書)の作成
知っている不具合を告知書に記入します。正直に記載することで後トラブルを防げます。
STEP 5. 売買契約の締結
現況引渡しの旨、残置物の扱い、契約不適合責任の免除特約などを契約書に明記します。
STEP 6. 決済・引渡し
買取業者への売却の場合、決済日に代金を受け取り、鍵を渡して終了です。残置物は業者が引き受けます。最短で相談から2〜4週間で完了します。
相続登記と売却手続きは並行して進めることが可能です。「登記が済んでから相談しよう」と待つ必要はなく、まず相談して段取りを決めてから登記手続きを進めるケースが多いです。
よくある質問
Q. 荷物を全部残したままでも売れますか?
買取業者への売却であれば対応できます。「残置物として業者が引き受ける」形が一般的です。ただし残置物の量・種類によって査定価格に影響が出ることがあるため、事前に業者へ現状を伝えてください。
Q. 相続した家の売却で確定申告は必要ですか?
必要です。不動産を売却して売却益(譲渡所得)が発生した場合、翌年の確定申告が必要です。相続した家を売却した場合は「相続空き家の3,000万円特別控除(措置法35条3項)」が使えるケースがあり、一定の要件を満たせば最大3,000万円の譲渡所得控除が適用されます。詳しくは税理士に確認することをお勧めします。
Q. 相続した家が「再建築不可」でも現状渡しで売れますか?
売れます。再建築不可物件(接道義務を満たさない物件)は一般の仲介では非常に難しいですが、訳あり不動産の買取専門業者は再建築不可物件を専門に取り扱っています。現状渡しでの対応も可能です。
Q. 共有名義の家(兄弟で相続した)を現状渡しで売れますか?
全員の同意が必要です。共有名義の不動産を売却するには、共有者全員が売却に合意する必要があります(民法251条)。全員の同意が得られれば、現状渡しでの買取も可能です。
まとめ
相続した家を現状渡しで売ることは可能です。特に訳あり不動産の買取専門業者であれば、荷物が残ったまま・修繕なしの状態でも現況のまま購入できます。
ポイントをまとめます:
- 現状渡しとは:片付け・修繕なしのままで売ること
- 一般仲介では難しい:個人の買主は「きれいな状態」を求めるため
- 買取業者ならOK:自社でリフォーム・活用するため現況買取が可能
- 告知義務は免除されない:知っている不具合は告知書に記入する
- 費用比較が重要:片付け・仲介手数料を差し引くと手取り差は小さい
- 最短2〜4週間で現金化:急ぎの相続税納付にも対応
「実家に荷物が残ったままで、どうしていいかわからない」という段階でも、まずご相談ください。現状を確認した上で、最適な方法をご提案します。
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