解体費用は確定申告でどう扱う|相続した家の取壊し費用を取得費と譲渡費用に振り分ける【2026年版】
結論:相続した家の解体費用は、その土地を売るために壊したのであれば「譲渡費用」になります(国税庁 No.3255)。「取得費」になるのは、建物付きの土地を買って、おおむね1年以内に壊した場合など、はじめから土地の利用が目的だったと認められるケースです(国税庁 No.3252)。相続した家を壊して売る場面のほとんどは譲渡費用側であり、解体費用が経費になるのは「解体した年」ではなく「売った年」の確定申告です。
相続した実家を解体して土地を売った方から、毎年2月と3月に同じご相談をいただきます。「解体に150万円かかったのに、確定申告のどこに書けばいいのか分からない」というものです。
税務署の記載例には「譲渡費用」という欄はあっても、そこに解体費用を書いてよいとは書かれていません。ネットで調べると「取得費になる」と書いてあるページと「譲渡費用になる」と書いてあるページの両方が出てきます。どちらも間違いではなく、場面が違うだけです。この記事では、その場面の分け方を国税庁の条文どおりに整理します。
結論|解体費用の行き先は「何のために壊したか」で決まる
先に判断の軸を置きます。解体費用がどこに入るかは、金額でも時期でもなく、取壊しの目的で決まります。
| 何のために壊したか | 解体費用の行き先 | 根拠 |
|---|---|---|
| その土地を売るために壊した | 譲渡費用 | 国税庁 No.3255 |
| 土地を使うために建物付きで買い、おおむね1年以内に壊した | 取得費(土地の取得費) | 国税庁 No.3252 |
| 賃貸をやめるために壊した(売っていない) | 不動産所得の必要経費 | 国税庁 No.1373 |
| 壊しただけで売っても貸してもいない | その年は計上できない | 譲渡所得・不動産所得のいずれも発生しない |
相続した実家の話であれば、ほぼ1行目です。親から相続した家を解体して更地にし、その土地を売った。この場合の解体費用は譲渡費用になります。
そして見落としやすいのが4行目です。解体費用は「支払った年」に自動的に経費になるのではなく、売った年の譲渡所得の計算で初めて差し引ける費用です。2026年に解体し、2027年に売れたなら、解体費用を書くのは2028年に提出する2027年分の申告です。
用語の整理|取得費・譲渡費用・必要経費・債務控除は全部別物
この4つは混同されやすいので、先に分けておきます。
取得費:その不動産を手に入れるためにかかったお金。購入代金、建築代金、購入手数料のほか、設備費や改良費も含まれます(国税庁 No.3252)。
譲渡費用:土地や建物を売るために直接かかった費用。仲介手数料、売主が負担した印紙税、立退料などです。国税庁は「修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用、売った代金の取立てのための費用などは譲渡費用になりません」と明記しています(国税庁 No.3255)。
必要経費:不動産所得(家賃収入)や事業所得を計算するときに、収入から差し引く費用。譲渡所得とは別の所得区分の話です。
債務控除:相続税を計算するときに、相続財産から差し引ける被相続人の借金。所得税の話ではありません。
解体費用の相談で起きる取り違えは、ほとんどがこの4つのどれかを別のどれかと入れ替えてしまうことから起きています。
相続した家の解体費用が譲渡費用になる根拠(国税庁 No.3255)
国税庁は「譲渡費用となるもの」として、次の6つを主なものとして挙げています。
- 土地や建物を売るために支払った仲介手数料
- 印紙税で売主が負担したもの
- 貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
- 土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額
- すでに売買契約を締結している資産をさらに有利な条件で売るために支払った違約金
- 借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など
4番目がそのものです。「土地などを売るために」建物を取り壊した場合の取壊し費用と書かれています。相続した実家を更地にして売るという行為は、この文言にそのまま当てはまります。
ここで大事なのは「売るために」という目的の部分です。解体と売却がつながっていることを説明できる状態にしておくことが、実務上の要点になります。解体前に買主が決まっていた、あるいは不動産会社と媒介契約を結んだうえで更地にした、という時系列が資料に残っていれば説明は簡単です。
取壊し費用だけでなく「建物の損失額」も条文に書かれている
No.3255の4番目には、取壊し費用と並べて「その建物の損失額」と書かれています。これは、壊した建物そのものの価値のうち、まだ費用にしていない部分を指す言葉です。
築古の実家であっても、建物の取得費がゼロと決まっているわけではありません。非業務用の建物は減価償却費相当額を差し引いても、取得価額の95%が限度とされているため、どれだけ古くても建物の取得費が0円になることはありません(国税庁 No.3261)。被相続人が買ったときの売買契約書が残っていれば、この部分を拾える可能性があります。
ただし注意点があります。取得費が分からず概算取得費(譲渡価額の5%)を使う場合、その5%には土地と建物の両方の取得費が含まれているという整理になるため、建物の損失額を別枠で上乗せできるとは限りません。ここは事案ごとの判断になるので、税務署または税理士にご確認ください。取壊し費用そのものが譲渡費用になる点は、概算取得費を使っても変わりません。
取得費になる解体費用は「買ってからおおむね1年以内」(国税庁 No.3252)
一方、解体費用が取得費になる場面もあります。国税庁は「取得費となるもの」の一つとして、次を挙げています。
「建物付の土地を購入して、その後おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用」
つまり、土地が欲しくて古家付きの土地を買い、すぐに壊したというケースです。このときは、壊した建物の購入代金と取壊し費用の両方が土地の取得費になります。将来その土地を売るときの取得費として使えるという意味です。
なお、同じNo.3252には、登録免許税(登記費用を含む)・不動産取得税・特別土地保有税(取得分)・印紙税も取得費に含まれると書かれています。ただし「業務の用に供される資産の場合には、これらの税金は取得費に含まれません」という但し書きが付いています。賃貸に出していた物件かどうかで扱いが変わる、という点は覚えておいてください。
【早見表】解体費用の4つの行き先を条件で引く
自分がどこに当てはまるかを、状況から引ける表にしました。
| あなたの状況 | 行き先 | いつの申告で使うか |
|---|---|---|
| 相続した実家を解体し、更地で売った | 譲渡費用 | 売った年の譲渡所得 |
| 相続した実家を解体し、まだ売っていない | 保留(将来の譲渡費用) | 将来売った年の譲渡所得 |
| 相続した実家を解体し、自宅を建てた | 経費にならない | ー |
| 相続した実家を解体し、駐車場にして貸した | 不動産所得の必要経費(取扱いの確認が必要) | 解体した年以降の不動産所得 |
| 古家付き土地を買い、1年以内に壊して自宅を建てた | 土地の取得費 | 将来その土地を売った年 |
| 相続したアパートを解体し、土地を売った | 譲渡費用 | 売った年の譲渡所得 |
| 相続したアパートを解体したが、売っていない | 不動産所得の必要経費(No.1373) | 解体した年の不動産所得 |
3行目の「自宅を建てた」が、いちばん残念な形です。解体して自分が住む家を建てた場合、その解体費用はどこにも入りません。譲渡していないので譲渡費用にならず、業務にも使っていないので必要経費にもならないためです。
解体費用が1円も引けなくなる4つのパターン
実際にご相談を受けた中で、費用が使えずに終わった典型を挙げます。
①更地にしてから何年も売れていない 売却という収入がなければ、費用を差し引く相手がありません。解体だけが先行して土地が売れない状態は、固定資産税の住宅用地特例も外れるため負担だけが増えます。着工前に売却の見通しを立ててください。
②解体後に月極駐車場として貸してしまった これはマイホームの3,000万円特別控除で直接効いてきます。国税庁は、取り壊した家屋の敷地について「家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと」を要件としています(No.3302)。空き地のままにしておくのがもったいないという判断が、3,000万円の控除を失わせることがあります。
③解体費用を相続税の債務控除に入れようとした 所得税と相続税を取り違えたケースです。次の見出しで詳しく説明します。
④領収書がない 知人の業者に現金で払った、という事例が実際にあります。金額を推計で書くことはできません。工事請負契約書と振込記録は必ず残してください。
相続税の債務控除と取り違えない|解体費用は被相続人の債務ではない
「解体費用は相続財産から引けますか」というご質問をいただくことがあります。
相続財産から控除できる債務は、「死亡したときに現に存在した被相続人の債務で確実と認められるもの」とされています(国税庁 No.4126)。相続が起きたあとに相続人が解体業者と契約して支払った工事代金は、被相続人の債務ではありません。したがって、原則として債務控除の対象にはなりません。
葬式費用は例外的に控除が認められていますが、控除できるのは火葬・埋葬・納骨、遺体や遺骨の回送、通夜、読経料などであって、家屋の解体は含まれていません(国税庁 No.4129)。
なお、被相続人が生前に解体工事を発注し、亡くなった時点で工事代金が未払いだったという場合は、被相続人の債務として扱われる余地があります。この形に当てはまる方は、契約日と亡くなった日を並べて税理士にご相談ください。
賃貸アパートを解体したときは、譲渡費用ではなく必要経費になる場合がある
相続したのが実家ではなくアパートだった場合、扱いが分かれます。
解体して土地を売ったなら譲渡費用です。ここは実家と同じです。一方、入居者が退去したので取り壊したが、土地はまだ売っていないという場合、不動産所得の必要経費として検討することになります。
国税庁は、賃貸用固定資産の取壊し・除却などの資産損失について、次のように区分しています(No.1373)。
- 不動産の貸付けが事業として行われている場合は、その全額を必要経費に算入する
- それ以外の場合は、その年分の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入する
「事業として行われている」かどうかの目安も同じページに示されています。貸間・アパート等については貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上、独立家屋の貸付けについてはおおむね5棟以上であれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。
相続した木造アパート1棟(6室)というよくある規模は、この基準では事業的規模になりません。その場合、取壊しによる資産損失を引けるのはその年の不動産所得の金額までで、引ききれなかった分を他の所得と通算することはできません。相続したアパートの家賃収入と申告については、相続したアパートの家賃収入にかかる税金と確定申告|準確定申告・不動産所得・手放す判断で扱っています。
3,000万円特別控除と解体|期限が2つあるので着工前に確認する
解体を伴う売却でいちばん金額が動くのが、3,000万円の特別控除です。取壊しの時期を間違えると使えなくなるため、着工前に確認してください。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(No.3306)
- 家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたこと
- 区分所有建物登記がされている建物でないこと
- 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
- 売却代金が1億円以下であること
- 平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売ること
- 令和6年1月1日以後の譲渡については、譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に、一定の耐震基準を満たすこととなったこと、または被相続人居住用家屋の全部の取壊し等を行ったこと
- 令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋および敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は2,000万円まで
6つ目が2024年(令和6年)に加わった部分です。売主が引渡し前に壊しておかなくても、買主が翌年2月15日までに取り壊せば適用の余地があるということです。解体費用を売主が負担せずに済む可能性が出てきたため、売買契約の条件の組み方が変わりました。詳しい要件は相続した空き家を売るときの3,000万円特別控除|適用条件・2024年改正・申告方法にまとめています。
マイホームを売ったときの特例(No.3302)
自分が住んでいた家を取り壊して敷地だけを売る場合は、2つの期限があります。
- その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結されること
- かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと
取得費加算の特例と重ねて使う(国税庁 No.3267)
相続税を納めた方であれば、譲渡費用としての解体費用に加えて、取得費加算の特例を重ねられる場合があります。
- 相続や遺贈により財産を取得した者であること
- その財産を取得した人に相続税が課税されていること
- 相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
加算されるのは「相続税額 ×(譲渡資産の相続税評価額 ÷ 取得財産総額)」で計算した金額で、これが譲渡益を超える場合は譲渡益が限度です。相続税の申告期限は死亡を知った日の翌日から10か月以内なので、実質的な期限はおおむね相続開始から3年10か月です(国税庁 No.4205・No.3267)。計算の詳細は取得費加算の特例|相続税の一部が経費になる3年10か月の期限と計算式をご覧ください。
【計算例】大阪市の実家を解体して1,800万円で売った場合
数字で追いかけます。次の前提で計算します。
- 父が昭和55年に大阪市内に建てた木造戸建(延床99平方メートル・約30坪)
- 2026年に相続、購入時の売買契約書は見つからない
- 解体費用150万円(税込)を支払い、更地にして2026年中に1,800万円で売却
- 仲介手数料 66万円(税込)、売買契約書の印紙代1万円
ステップ1:取得費 契約書がないため概算取得費を使います。1,800万円 × 5% = 90万円(No.3258)。
ステップ2:譲渡費用 解体費用150万円 + 仲介手数料66万円 + 印紙代1万円 = 217万円。
ステップ3:譲渡所得 1,800万円 − 90万円 − 217万円 = 1,493万円。
ステップ4:税率 相続で取得した不動産の取得の時期は被相続人から引き継ぐため(No.3270)、所有期間の起算は昭和55年です。譲渡した年の1月1日で5年を超えているので長期譲渡所得となり、20.315%(所得税15%・住民税5%・復興特別所得税は基準所得税額の2.1%)が適用されます(No.3208)。
ステップ5:税額 1,493万円 × 20.315% ≒ 303万円。
ここで、解体費用150万円を譲渡費用に入れ忘れた場合と比べます。
| 項目 | 解体費用を計上した場合 | 計上し忘れた場合 |
|---|---|---|
| 収入金額 | 1,800万円 | 1,800万円 |
| 取得費(概算5%) | 90万円 | 90万円 |
| 譲渡費用 | 217万円 | 67万円 |
| 譲渡所得 | 1,493万円 | 1,643万円 |
| 税額(20.315%) | 約303万円 | 約334万円 |
差は約30万円です。150万円 × 20.315% がそのまま税額の差になります。領収書1枚の有無で30万円が動く、という言い方がいちばん実感に近いと思います。
さらに、この物件が空き家特例(No.3306)の要件を満たすなら、譲渡所得1,493万円から3,000万円を控除できるため税額は0円になります。昭和55年建築であれば「昭和56年5月31日以前に建築」という築年数の要件は満たします。まず特例が使えるかを確認し、そのうえで解体の時期を決めるという順番になる理由がここにあります。
なお、この例で使った解体費用150万円は、木造30坪・前面道路4メートル以上で重機が入る標準的な条件の目安です。大阪市内は狭あい道路に面した密集市街地が多く、重機が入らない場合は240万円を超えることもあります。条件別の相場は大阪市の解体費用の相場【2026年】道路4m未満・重機不可の坪単価と自己負担額にまとめています。
確定申告の実務|どこに書き、何を残しておくか
書く場所:譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)の「譲渡に要した費用」欄です。仲介手数料や印紙代と並べて、費用の種類に「取壊し費用」、支払先に解体業者名、支払年月日と金額を記入します。
申告の時期:譲渡した年の翌年2月16日から3月15日までです。譲渡の日は原則として引渡日ですが、売買契約の効力発生日で申告することもできます(国税庁 No.3102)。
残しておく資料
- 工事請負契約書(解体の目的と工期が分かるもの)
- 領収書または振込明細(税込の支払額)
- 解体前後の工事写真
- 建物滅失登記の完了を示す書類
- 補助金を受けた場合は交付決定通知書(自己負担額の確定に使います)
補助金を受けた場合、譲渡費用にできるのは補助金を差し引いた自己負担額です。大阪市には解体に使える補助制度があり、対象地区に当たるかどうかで自己負担が大きく変わります。制度の内容は大阪市の空き家補助金は最大200万円【2026年最新】で確認できます。
【現場の視点】解体してから売るか、現況のまま買取に出すか
ここからは条文の話ではなく、実際に買取をしている立場からの見方です。
解体費用が譲渡費用になっても、戻ってくるのは税率分だけです。上の例なら150万円払って30万円の節税、正味の持ち出しは120万円です。「経費になるから」という理由だけで解体を決めるのは、計算が合いません。
解体してから売るほうが有利になりやすいのは、次のような場合です。
- 更地にすると土地としての買い手が明確に増える(整形地・接道良好・住宅需要のある立地)
- 解体費用の見積りが相場の範囲に収まっている
- 補助金の対象地区に入っていて自己負担が半分以下になる
逆に、現況のまま買取に出したほうが手残りが多くなりやすいのは、次の場合です。
- 前面道路が狭く重機が入らないため、解体見積りが200万円を超える
- 残置物が大量に残っていて処分費が読めない
- 売れるまでの期間が読めず、更地の固定資産税を何年も払う可能性がある
- 相続人が複数いて、解体費用を誰が立て替えるかで話がまとまらない
固定資産税は1月1日時点の状況で決まるため、売却先が決まらないまま年内に更地にすると、翌年度から住宅用地の特例が外れて負担だけが先に増えます。この判断で迷ったときは、解体費用の見積りと、現況のままの買取価格を並べて比べるのがいちばん確実です。両方の数字が出れば、どちらが手残りで勝つかは引き算で決まります。
解体費用の工面そのものに詰まっている場合の選択肢は、相続した実家の解体費用が払えない|補助金・現況買取で費用ゼロで手放す3つの方法にまとめています。
よくある質問
Q. 解体した年と売った年が違います。どちらの申告で書きますか?
A. 売った年です。譲渡費用は譲渡所得を計算するときに収入金額から差し引く費用なので、収入がある年の申告で使います。解体した年の申告には書きません。
Q. 相続人が3人で、解体費用を長男が全額立て替えました。誰の譲渡費用になりますか?
A. 譲渡所得は共有者それぞれの持分に応じて計算し、譲渡費用も持分割合で按分するのが原則です(国税庁 No.3308)。立て替えた人が全額を自分の譲渡費用にできるわけではないため、精算の方法を決めてから申告してください。共有名義の按分計算は親子共有名義の不動産を売却|取得費・譲渡所得の按分計算を持分ごとに解くで詳しく扱っています。
Q. 残置物の処分費やアスベスト調査費も譲渡費用に入れられますか?
A. 売却のための取壊し工事の一部として支払ったものであれば、同じ工事の費用として整理できます。工事請負契約書の内訳に含まれている形にしておくと説明がしやすくなります。工事とは別に、家財の処分だけを別業者に依頼した分については、税務署にご確認ください。
Q. 建物滅失登記の費用も譲渡費用になりますか?
A. 取壊しに伴って必要になった登記費用は、取壊し費用の一環として整理されることが多い項目です。ただし国税庁のページに明記された列挙ではないため、金額が大きい場合は事前に税務署にご相談ください。
Q. 譲渡所得が赤字になったら、他の所得と通算できますか?
A. 土地建物の譲渡所得は分離課税で、他の所得との損益通算は原則としてできません。マイホームの買換えや譲渡損失の特例に当てはまる場合を除きます。相続した空き家の売却では該当しないことがほとんどです。
Q. 査定を受けたら売らないといけませんか?
A. いいえ。査定は無料で、査定を受けたからといって売却の義務は生じません。解体するかどうかを判断するための金額の目安としてお使いいただいて構いません。
まとめ|解体費用を経費にするための判断順序
迷ったときは、この順序で確認してください。
- 何のために壊したかを決める。売るためなら譲渡費用、土地を使うために買って壊したなら取得費
- 売却があったかを確認する。売っていなければ、その年は計上できない
- 特例が使えるかを先に調べる。空き家特例(No.3306)は取壊しが翌年2月15日まで、マイホーム特例(No.3302)は取壊しから1年以内に契約
- 解体の着工時期を決める。売却先が決まらないうちに更地にすると、固定資産税の住宅用地特例が外れる
- 相続税の債務控除と混ぜない。相続後に相続人が発注した工事は被相続人の債務ではない
- 領収書と工事請負契約書を保管する。150万円の解体費用は、税率20.315%なら約30万円の税額差になる
- 解体後の売却額と、現況のままの買取額を並べて比べる。経費になることと、手残りが増えることは別
解体は、決めてしまうと元に戻せない工事です。税金の扱いを確認するのは着工の前であって、確定申告の前ではありません。この順序さえ守れば、あとから「先に相談しておけばよかった」となる場面はほとんどなくなります。
無料査定・ご相談はこちらから
「解体してから売るべきか、このまま売るべきか分からない」「解体費用の見積りが高くて動けない」「更地にしたが売れずに固定資産税だけ払っている」——その段階のご相談を歓迎しています。査定は無料で、査定を受けたからといって売却の義務は生じません。
空き家のミカタは、大阪市生野区に事務所を構える宅地建物取引業者です。大阪府を中心に、兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山の近畿6府県で、空き家・長屋・再建築不可物件・共有持分を扱っています。残置物がそのまま、相続人が複数、解体費用を出せない、という状態でも現況のまま査定にお応えできます。当社が買主として直接買い取りますので、仲介手数料はいただきません。なお、譲渡所得の申告と税額の判断は税理士へ、登記の代理申請は司法書士へご確認ください。お手伝いできるのは、その不動産をいくらで、どういう順序で手放せるかという部分です。
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出典(2026年9月8日確認)
- 国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm(土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額/修繕費や固定資産税などの維持管理費用は譲渡費用にならない)
- 国税庁「No.3252 取得費となるもの」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3252.htm(建物付の土地を購入し、その後おおむね1年以内に建物を取り壊すなど当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用/登録免許税・不動産取得税・印紙税は業務用資産では取得費に含まれない)
- 国税庁「No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm(アパート等はおおむね10室以上・独立家屋はおおむね5棟以上/賃貸用固定資産の取壊し等の資産損失は、事業として行われている場合は全額、それ以外は資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度に必要経費)
- 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm(昭和56年5月31日以前に建築/区分所有建物登記がされている建物でない/相続開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかった/売却代金1億円以下/平成28年4月1日から令和9年12月31日まで/令和6年1月1日以後の譲渡は翌年2月15日までの取壊し等も対象/相続人が3人以上の場合は2,000万円)
- 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm(敷地の譲渡契約は家屋を取り壊した日から1年以内/住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで/取壊しから譲渡契約締結日まで貸駐車場などその他の用に供していないこと)
- 国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm(相続税が課税されていること/相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの譲渡/加算額は譲渡益が限度)
- 国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm(概算取得費=売った金額の5%相当額)
- 国税庁「No.3261 建物の取得費の計算」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3261.htm(非業務用は取得価額×0.9×償却率×経過年数/減価償却費相当額は取得価額の95%が限度)
- 国税庁「No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3270.htm(取得費・取得時期は前の所有者から引継ぎ)
- 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm(譲渡年1月1日で所有期間5年超/所得税15%・住民税5%・復興特別所得税は基準所得税額の2.1%)
- 国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm(所有期間5年以下/所得税30%・住民税9%)
- 国税庁「No.3102 譲渡所得の申告期限」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3102.htm(譲渡の日は原則引渡日・契約効力発生日での申告も可/申告は翌年2月16日から3月15日)
- 国税庁「No.3308 共有のマイホームを売ったとき」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3308.htm(譲渡所得の計算は共有者の所有権持分に応じて行う/確定申告書は一人一人が提出)
- 国税庁「No.4126 相続財産から控除できる債務」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4126.htm(控除できる債務は死亡したときに現に存在した被相続人の債務で確実と認められるもの)
- 国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4129.htm(火葬・埋葬・納骨、遺体や遺骨の回送、通夜、読経料など)
- 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm(死亡を知った日の翌日から10か月以内)
本記事は2026年9月8日時点の公表資料にもとづいて作成しています。法令・税制は改正があるため、実際の申告の前に国税庁のページと所轄の税務署で最新の内容をご確認ください。記事内の解体費用・税額は前提を置いた試算であり、実際の金額を保証するものではありません。個別の事案についての税務判断は税理士、登記は司法書士、法律判断は弁護士の判断が優先します。