不動産の査定額はなぜ会社によって違う?高すぎる査定に注意
不動産の査定額が会社によって数百万円の差がつくのは珍しいことではありません。査定額の差は「売れる価格」と「売りたい価格(売主を引きつけるための価格)」の違いから生まれます。高い査定額を出した会社が良い会社とは限りません。
この記事では、査定額に差がつく理由と、適正な査定額の見分け方を当社の宅地建物取引士の視点から解説します。
査定方法の3種類
不動産の査定には、主に3つの方法があります。
| 査定方法 | 内容 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 取引事例比較法 | 近隣の類似物件の成約価格をもとに算出 | 住宅(マンション・戸建て・土地) |
| 収益還元法 | 将来得られる家賃収入から逆算 | 投資用物件・賃貸物件 |
| 原価法 | 同じ建物を新築した場合の費用から経年劣化分を引く | 戸建て住宅の建物部分 |
住宅の売却では「取引事例比較法」が最も多く使われます。近隣で実際に売れた物件の価格を基準に、面積・築年数・階数・方角などの違いを調整して算出する方法です。
この方法では、どの事例を選ぶか、どの補正をかけるかによって結果が変わります。なお、売却の全体的な流れははじめての不動産売却ガイドで解説しています。そのため、同じ物件でも査定する会社によって数百万円の差が生じるのです。
一括査定サイトの仕組みと注意点
「一括査定で最高額を比較」というサービスは、多くの方が利用しています。公益財団法人不動産流通推進センターの調査によると、不動産売却者の約35%がインターネットの一括査定を利用しているとされています。
しかし、一括査定サイトの仕組みを理解しておく必要があります。
一括査定サイトのビジネスモデル
一括査定サイトは、売主から査定依頼を受けると、複数の不動産会社にその情報を送ります。不動産会社はサイトに対して1件あたり1万〜1.5万円程度の紹介料を支払います。つまり、一括査定サイトは「送客ビジネス」です。
この仕組みが何を生むか。不動産会社は紹介料を回収するために、なんとしても売主と媒介契約(売却の委託契約)を結びたい。そのため、他社より高い査定額を提示して「うちなら高く売れます」とアピールする動機が働きます。
宅建士の視点:一括査定サイト自体が悪いわけではありません。複数の会社の対応を比較できるメリットはあります。ただし、「査定額が一番高い会社に依頼する」という選び方は危険です。査定額の根拠と、その金額で本当に売れる見込みがあるかを確認することが大切です。
高い査定額を出す会社の狙い
不動産業界には「高預かり」と呼ばれる手法があります。
高預かりの流れ
- 相場より高い査定額を提示して、売主と媒介契約を結ぶ
- 高い価格で売りに出すが、当然ながら買い手がつかない
- 1〜3ヶ月経って「やはりこの価格では厳しいので値下げしましょう」と提案
- 値下げを繰り返し、最終的に相場並み、あるいは相場以下で売却
この方法で売主が被る損害は大きく分けて2つです。
- 時間の損失:売却までに6ヶ月〜1年以上かかることがある
- 価格の損失:長期間売れ残った物件は「売れ残り物件」というイメージがつき、相場より低い価格でしか売れなくなることがある
国土交通省の調査では、不動産売却にかかる期間は平均で約6ヶ月〜1年とされていますが、適正価格で売り出した場合は3〜6ヶ月で成約するケースが多いとされています。
適正な査定額の見分け方
1. 根拠を聞く
適正な査定をする会社は、「なぜこの金額になったか」を具体的に説明できます。「近隣の◯◯マンションが◯◯万円で成約しているため」「築年数の差を考慮して◯%減価しました」といった説明があるかどうかを確認してください。
2. レインズの成約事例と比較する
レインズ(REINS)とは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営する不動産取引情報ネットワークです。一般の方でも「レインズマーケットインフォメーション」(https://www.contract.reins.or.jp/)で過去の成約価格を調べることができます。
査定額がレインズの成約事例と大きくかけ離れている場合は要注意です。
3. 複数社の査定額を比較する
3社以上から査定を受けた場合、極端に高い金額と極端に低い金額を除いた中間の金額が相場に近いと考えられます。
4. 売出価格と成約価格の違いを理解する
不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME’S等)に掲載されている価格は「売出価格」であり、実際の成約価格ではありません。成約価格は売出価格より5〜15%程度低いのが一般的です。
宅建士の視点:当社では、査定の根拠となったレインズの成約事例を全てお見せしています。売主に対して「高い査定額で契約を取って、後から値下げ」という手法は取りません。最初から売れる価格をお伝えし、短期間での成約を目指す方針です。
当社の査定の考え方
合同会社アルシェでは、以下の方針で査定を行っています。
- レインズの直近の成約事例をベースにした査定:過去6ヶ月〜1年以内の近隣成約事例を重視
- 査定根拠の全面開示:どの事例をもとに、どのように計算したかを書面で提示
- 売出価格と成約見込み価格の両方を提示:「この価格で売り出して、この範囲で成約する見込み」と幅を持って説明
- 売れない場合の対策も事前に提示:「◯ヶ月で反応がなければ◯◯万円に見直す」というプランを最初から共有
まとめ
査定額は高ければ良いというものではありません。根拠が明確で、実際に売れる価格を提示してくれる会社を選ぶことが、結果的に早期売却・高値売却につながります。
当社の無料査定では、レインズの成約事例をもとにした根拠付きの査定書を作成します。
- LINE:空き家のミカタ
- 電話:06-7509-5696(折り返し対応)
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よくある質問
Q. 査定と鑑定の違いは何ですか?
査定は不動産会社が行う売却想定価格の算出で、通常は無料です。鑑定は不動産鑑定士が行う法的根拠のある価格評価で、費用は20〜50万円程度かかります。通常の売却であれば査定で十分です。鑑定が必要になるのは、相続税の申告で路線価と大きく乖離する場合や、裁判で価格が争点になる場合などに限られます。
Q. 査定額で売れなかったらどうなりますか?
査定額はあくまで「この価格なら売れるだろう」という見込み価格です。売出後に反応がなければ、価格の見直し(値下げ)を検討することになります。一般的には、売り出しから1〜2ヶ月で問い合わせがなければ5〜10%程度の見直しを検討するのが目安です。
Q. リフォームすれば査定額は上がりますか?
リフォーム費用に見合うだけ査定額が上がるとは限りません。例えば200万円のリフォームをしても、査定額が200万円上がるケースは稀です。特に築年数が古い物件は、リフォームせずに「現状渡し」で売却した方が手取り額が多くなることがほとんどです。買主がリフォーム内容を自分で決めたいケースも多いためです。