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訳あり物件の買取 手続き|必要書類12点・告知書の書き方・契約不適合責任の免責まで6ステップで宅建業者が解説

空き家のミカタ編集部|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)
結論から先に。訳あり物件の買取 手続きは、①相談・情報整理 ②机上査定 ③現地調査 ④価格提示と条件のすり合わせ ⑤売買契約 ⑥決済・引渡し の6ステップで、書類がそろっていれば2〜4週間で終わります。仲介との最大の違いは、広告・内覧・購入申込みを待つ期間と、買主の住宅ローン審査が丸ごと無いことです。そして手続き上いちばん重要なのは価格交渉ではなく、告知書(物件状況等報告書)を正直に書くことです。売主が個人・買主が宅地建物取引業者の買取では契約不適合責任を全部免責にする特約を結べますが(宅地建物取引業法40条は業者が売主のときの規定なので適用されません)、民法572条により「知りながら告げなかった事実」だけは免責特約があっても責任が残ります。つまり、書いた人が守られる仕組みです。

訳あり物件の買取 手続き|売買契約書に署名する場面 - 空き家のミカタ

「訳あり物件でも買い取ります」という会社は、検索すればいくらでも出てきます。けれど、実際に問い合わせようとしたときに手が止まる方が多いのは、価格が分からないからではありません。そのあと自分が何をさせられるのかが分からないからです。

  • 何の書類を、どこで、いつまでに取ればいいのか
  • 建物の不具合を正直に言ったら、あとで責任を追及されるのではないか
  • 逆に黙っていたら、どうなるのか
  • 契約の日と、お金が入る日は同じなのか
  • 共有名義だが、他の兄弟に知られるのはいつなのか

この記事は、その5つに順番どおり答えるために書きました。私たちは大阪市生野区に事務所を置く宅地建物取引業者で、大阪府内の訳あり物件を自社で買い取っています。ここに書いてあるのは、私たちが現場で実際に踏んでいる順番そのものです。法律の根拠がある部分は、条文と国土交通省のガイドラインの原文にあたって書きました。

なお、登記の代理申請は司法書士、税額の判断は税理士、権利の争いは弁護士の領域です。私たちがお手伝いできるのは「その不動産を、いくらで、どういう順序で手放せるか」という部分に限られます。


訳あり物件の買取 手続きは全6ステップ|相談から入金までの順番と日数

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まず全体像です。訳あり物件の買取の手続きは、次の6つで終わります。

ステップ やること 売主がすること 日数の目安
① 相談・情報整理 物件の特定と状況の共有 住所・固定資産税の納税通知書を見ながら伝える 当日〜2日
② 机上査定 登記簿・公図・取引事例から価格帯を出す 待つ(業者が調べます) 2〜3日
③ 現地調査 建物・敷地・接道・境界・近隣を実地で確認 立会いは任意。鍵を預けても可 1日
④ 価格提示・条件のすり合わせ 金額・引渡し時期・残置物・免責の範囲を決める 条件を選ぶ 3〜5日
⑤ 売買契約 契約書・告知書・付帯設備表に署名押印 告知書を書く/実印・印鑑証明書を用意 1日
⑥ 決済・引渡し 代金の振込・登記申請・鍵と書類の引渡し 決済場所へ行く(1時間ほど) 契約から1〜2週間

合計で2〜4週間。これは「買主が宅地建物取引業者本人である」ことによって出てくる数字です。仲介の場合、ここに媒介契約の締結、レインズへの登録、広告掲載、内覧の対応、購入申込み、買主の住宅ローン事前審査・本審査という工程が挟まります。訳あり物件はそもそも買い手が付きにくいため、この「待つ工程」が数か月から年単位になることがあります。

買取の手続きが速いのは、手を抜いているからではなく、待つ相手がいないからです。

日数の話でひとつ正直に書いておきます。上の表は「書類がそろっている場合」です。実際に手続きが長引く原因は、価格交渉ではありません。ほぼ必ず相続登記が終わっていないか、共有者の一人と連絡が取れないかのどちらかです。この2つについては後半の「手続きが止まる3つの場所」で扱います。

関連: 訳あり物件の買取の流れ|相談から最短2週間で現金化する5ステップ不動産売却は買取・仲介・放置どれが正解?4軸で徹底比較


手続きの前半でやること|現地調査までに用意する情報と、実際に見られる場所

手続きの前半でやること|現地調査までに用意する情報と、実際に見られる場所のイラスト - 空き家のミカタ

訳あり物件の現地調査|空き家の室内を確認する調査担当 - 空き家のミカタ

査定に最低限必要なのは2つだけです

「書類が何もそろっていないので、まだ相談できない」とおっしゃる方が本当に多いのですが、机上査定に必要なのは、物件の所在地と、固定資産税・都市計画税の納税通知書の2つだけです。

納税通知書には、地番・家屋番号・地積・床面積・構造・築年・固定資産税評価額が載っています。これがあれば、業者側で登記事項証明書(法務局で1通600円、オンライン請求・送付で520円)と公図を取得して、権利関係と接道の見当を付けられます。

登記簿・公図・測量図の取得は業者の仕事です。売主が先回りして書類を集める必要はありません。集めてから相談しようとして半年動けなかった、という例をいくつも見てきました。

現地調査で実際に見ている場所

現地調査は1〜2時間です。訳あり物件の場合、私たちが見ているのは次の点です。

  1. 接道:前面道路の幅員、間口、道路の種別(建築基準法42条の何項か)。再建築の可否を決める最大の要素です。
  2. 重機が入るか:解体費用が大きく変わります。大阪市内の長屋・密集地では、道路が狭くて重機が入らず手壊しになる区画があります。
  3. 越境と境界:ブロック塀・屋根・樋・木の枝が隣地に出ていないか。境界標が現地にあるか。
  4. 建物の状態:傾き、雨漏りの跡、白蟻、給排水の状況。
  5. 残置物の量:家財が残っていても買い取れますが、量によって処分費用が変わります。
  6. 隣地・近隣の状況:共同の私道か、通行の同意が要るか。

立会いは任意です。遠方にお住まいの方には、鍵をお預かりして調査し、写真をお送りする形も取っています。片付けは不要です。むしろ、片付ける前に見せていただいたほうが、残置物込みの価格を正確に出せます

関連: 相続した家を現状渡しで売る方法|片付け・修繕なしで買取できる理由買取査定の根拠を確かめるチェックリスト


訳あり物件の買取 手続きで必要な書類12点|そろわないときの代わりも一覧にしました

訳あり物件の買取 手続きで必要な書類12点|そろわないときの代わりも一覧にしましたのイラスト - 空き家のミカタ

訳あり物件の買取 手続きで必要な書類|書類がとじられたファイルの束 - 空き家のミカタ

契約から決済までに必要になるのは、次の12点です。右の列が「無いときにどうするか」です。ここを知らないまま「権利証が無いから売れない」と思い込んでいる方が非常に多いので、先に書いておきます。

# 書類 いつ必要か 無いときの代わり
1 登記識別情報通知(権利証) 決済日 不動産登記規則70条の事前通知、または資格者代理人(司法書士)による本人確認情報の提供。売却は問題なくできます
2 実印 契約・決済 印鑑登録をやり直す(紛失時は市区町村へ「登録印鑑の亡失の届」)
3 印鑑証明書 決済日 作成後3か月以内のものが必要(不動産登記令16条3項)。期限切れは取り直し
4 本人確認書類 契約・決済 運転免許証・マイナンバーカード・パスポート等
5 固定資産税・都市計画税の納税通知書 査定〜決済 市区町村で固定資産評価証明書を取得
6 登記事項証明書 査定 業者側で取得します(1通600円)
7 公図・地積測量図 査定〜契約 業者側で取得。測量図が無い土地は現況のまま取引できます
8 建築確認済証・検査済証 契約 特定行政庁で「台帳記載事項証明書」を取得。無くても買取は可能
9 境界確認書・越境の覚書 契約 無い場合は「境界非明示」の条件で取引(買取では一般的です)
10 住民票 決済日 登記簿上の住所と現住所が違うときのみ。転居が複数回なら戸籍の附票
11 相続関係書類(戸籍一式・遺産分割協議書・相続登記後の登記事項証明書) 契約前 相続登記が終わっていないと売れません。司法書士へ(後述)
12 抵当権抹消書類(解除証書・登記識別情報・委任状) 決済日 金融機関へ事前連絡。決済と同時に抹消します

このほかに、告知書(物件状況等報告書)と付帯設備表を契約時に作成します。これは既存の書類ではなく、売主ご本人が書くものです。次の章がその話です。

「12点もあるのか」と思われたかもしれませんが、①②③④⑩⑫は決済日に持っていくもの、⑥⑦は業者が取るもの、⑧⑨は無ければ無いで進むものです。売主が事前に用意するのは、実質的に⑤の納税通知書と、⑪の相続関係書類だけと考えてください。

関連: 権利証を紛失した不動産は売れるのか|事前通知と本人確認情報の実務相続登記を自分でやる費用はいくら?司法書士との比較


訳あり物件 売買 告知は告知書に書く|書けない欄は空欄にせず「不明」と書く

ここが、訳あり物件の買取 手続きでいちばん大事な一枚です。

告知書(物件状況等報告書)は、売主が知っている物件の不具合や事実を書いて買主に渡す書面です。主な欄はこうなっています。

  • 雨漏り/シロアリの被害/建物の傾き・不同沈下
  • 給排水管の故障・詰まり
  • 増改築・修繕の履歴、未登記の増築の有無
  • 浸水・土砂災害などの過去の被害
  • 地中埋設物(旧建物の基礎・浄化槽・産業廃棄物)
  • 土壌汚染の可能性
  • 境界の紛争、越境
  • 近隣との申し合わせ、騒音・臭気
  • 人の死に関する事案(自殺・他殺・特殊清掃が行われた孤独死など)

「正直に書くと不利になる」は逆です

多くの方が、不具合を書くと価格を下げられると心配されます。買取においては、これは逆です。理由は2つあります。

理由1:書かないと免責が効かなくなるからです。後述のとおり、買取では契約不適合責任を全部免責にする特約を結ぶのが普通です。ところが民法572条は、担保責任を負わない旨の特約をしても、「知りながら告げなかった事実」については責任を免れることができないと定めています。つまり、免責特約を守ってくれるのは告知書に書いた事実だけです。黙っていた不具合は、免責特約を突き抜けて売主に戻ってきます。

理由2:どのみち買取価格には織り込まれているからです。私たちは解体・残置物撤去・境界処理の費用を見込んだうえで金額を出しています。雨漏りの申告で価格が下がるのは、その修繕を前提にしていなかった場合だけです。訳あり物件の買取では、そもそも建物の性能に期待していません。

記憶が曖昧な欄は「不明」と書いてください

相続した実家のように、売主自身が長く住んでいない物件では「分からない」欄が必ず出ます。ここで空欄にするのがいちばん危険です。空欄は「無い」と読まれる可能性があります。

国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」は、調査の過程で売主から「不明であると回答された場合、あるいは無回答の場合には、その旨を告げれば足りる」としています。「不明」は正式に許された回答です。堂々と書いてください。

人の死について、売買に「3年ルール」はありません

よく誤解されている点なので、原文にあたって書きます。

同ガイドラインが示す「おおむね3年間を経過した後は、原則として、借主に対してこれを告げなくてもよい」という基準は、賃貸借取引についてのものです。売買については、この年数の基準は書かれていません。

売買で「告げなくてもよい」とされているのは、次の場合です。

  • 自然死(老衰・持病による病死など)
  • 日常生活の中での不慮の死(自宅の階段からの転落、入浴中の溺死や転倒事故、食事中の誤嚥など)
  • 取引の対象ではない隣接住戸や、日常的に使わない共用部分で起きた事案

ただし、自然死であっても長期間放置されて特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合は、告げる対象になります。そして、買主から問われた場合や、買主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合は、いずれにせよ告げることになります。

「◯年経ったから黙っていい」と年数で判断するのはやめて、事実を告知書に書き、買主に判断してもらってください。それが売主にとっていちばん安全です。

関連: 心理的瑕疵とは?事故物件の告知義務の範囲・売却時期・価格への影響事故物件の売却費用は誰が払う?特殊清掃・原状回復の相場と負担者


訳あり物件 買取 中古住宅 契約不適合責任|免責特約が有効になる条件と、免責でも消えないもの

訳あり物件の売買契約|契約不適合責任の免責特約を確認する場面 - 空き家のミカタ

2020年4月の民法改正で「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わりました。中古住宅の売買では、この責任がどこまで残るかが手続き上の最大の論点です。

契約不適合責任で買主ができること

引き渡された物が契約の内容に適合しないとき、買主は次の4つを請求できます。

請求 根拠 内容
追完請求 民法562条 修補・代替物の引渡し・不足分の引渡し
代金減額請求 民法563条 追完の催告をしても直らないとき、不適合の程度に応じて減額
損害賠償請求 民法564条・415条 損害の賠償
契約の解除 民法564条・541条・542条 契約の解除

期間の制限は民法566条で、買主が不適合を知った時から1年以内に通知しなければ、上の4つはできなくなります。ただし売主が引渡しの時にその不適合を知っていた、または重大な過失で知らなかったときは、この制限は働きません。

買主が宅建業者の買取なら、全部免責の特約を結べます

ここが仲介との決定的な違いです。

宅地建物取引業法40条は、「宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において」担保責任について民法566条より買主に不利な特約をしてはならない(引渡しの日から2年以上とする特約を除く)と定め、これに反する特約は無効としています。

読んでいただくと分かるとおり、この条文が縛るのは「業者が売主」のときです。訳あり物件の買取は「個人が売主・業者が買主」ですから、40条は適用されません。同じ理由で、宅地建物取引業法37条の2のクーリングオフをはじめとする、いわゆる8種制限も働きません(宅地建物取引業法78条2項は、これらの規定を業者間の取引に適用しないと定めています)。

したがって、買取の売買契約書には「売主は本物件について契約不適合責任を負わない」という全部免責の特約を入れることができ、実務でもそうしています。プロが物件の状態を承知のうえで買うのだから、あとから素人の売主に責任を回さない、という考え方です。

売主にとっては、これが買取の最大の安心材料です。仲介で個人の買主に売った場合、引渡しの2〜3か月後に「雨漏りがした」「シロアリが出た」と連絡が来る可能性が残り続けます。買取ではその可能性を契約の時点で閉じられます。

ただし、免責でも消えない責任が1つあります

繰り返しになりますが、民法572条です。

売主は、(中略)担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

免責特約は、売主が知らなかったことについてのお守りです。知っていて隠したことには効きません。この一文があるからこそ、告知書を正直に書くことが売主自身の防具になります。

なお、買主が宅地建物取引業者である場合、その業者は買主として宅地建物取引業法47条1号の禁止(重要な事項について故意に事実を告げない・不実のことを告げる行為の禁止)を受ける立場でもあります。訳あり物件 買取業者 責任という観点では、業者は「安く買えればよい」のではなく、売主に対して条件を正確に説明する義務を負っています。免責の範囲を口頭で済ませ、契約書のどの条項かを示さない業者は、この時点で外して差し支えありません。


買主が宅建業者だと省ける手続き3つ・増える手続き1つ

手続きの数の話をします。買取は、仲介と比べて売主のやることが減ります。

省けるもの①:媒介契約と仲介手数料 業者が買主本人なので媒介(仲介)ではありません。宅地建物取引業法46条の報酬は「代理又は媒介」に対するものなので、仲介手数料は発生しません。媒介契約書を交わす手続きそのものが不要です。

省けるもの②:売主への重要事項説明 宅地建物取引業法35条の重要事項説明は、宅地又は建物を取得しようとする側(買主・借主)に対して行うものです。買主が業者自身である買取では、売主に対する重要事項説明という工程はありません。宅地建物取引士の日程を押さえて説明を受ける時間が要らない、ということです。

省けるもの③:広告・内覧・購入申込みを待つ期間 レインズ登録も、ポータルサイトへの掲載も、案内看板もありません。近隣に売りに出していることが知られないのは、この構造から来ています。共有持分や事故物件では、これが価格以上に重要になることがあります。

増えるもの:告知書を売主自身が書くこと 買主はプロなので、質問が具体的で細かくなります。「雨漏りしていましたか」ではなく「どの部屋の、どの天井ですか」「何年ごろですか」「補修しましたか」と聞かれます。面倒に感じられるかもしれませんが、これは前章のとおり売主の免責を成立させるための作業です。

関連: 近所に知られずに不動産を売る方法|広告なしで進める買取の仕組み訳あり物件の買取業者に手数料はかかる?仲介手数料ゼロの根拠と実費7項目


契約から決済・引渡しまで|当日の段取りと売主が負担する費用

売買契約日

契約日にやることは、①契約書の読み合わせ、②告知書・付帯設備表の作成、③署名押印、④手付金の授受(買取では手付を省いて契約と決済を同日にすることもあります)です。所要1時間ほど。

契約書には印紙税がかかります。不動産の譲渡に関する契約書は軽減措置の対象で、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成されるものについて次の税額です(記載金額が10万円を超えるもの)。

契約金額 軽減後の印紙税額
10万円超 50万円以下 200円
50万円超 100万円以下 500円
100万円超 500万円以下 1,000円
500万円超 1,000万円以下 5,000円
1,000万円超 5,000万円以下 10,000円
5,000万円超 1億円以下 30,000円

訳あり物件の価格帯(数十万円〜数千万円)では、200円〜1万円に収まります。

決済日(引渡し日)

決済は、買主の事務所か金融機関の応接室で行います。出席するのは売主・買主・司法書士、抵当権が付いていれば金融機関の担当者です。順番は決まっています。

  1. 司法書士が本人確認と書類の確認をする(ここで登記できると判断されて初めて先へ進みます)
  2. 買主が売買代金を振り込む
  3. 売主の口座で着金を確認する
  4. 鍵と物件関係書類を引き渡す
  5. 固定資産税・都市計画税を日割りで精算する(引渡し日以降の分を買主が負担する慣行)
  6. 司法書士が法務局へ登記を申請する

所要時間は1時間前後。お金が入るのと、名義が動くのは同じ日です。「先に名義を移して代金は後日」という進め方はしません。もしそう提案されたら、その場で断ってください。

売主が負担する費用

費目 金額の目安 負担者
印紙税 200円〜1万円(上表) 売主
抵当権抹消の登録免許税 不動産1個につき1,000円 売主
抵当権抹消の司法書士報酬 1〜2万円程度 売主
所有権移転の登録免許税 土地は固定資産税評価額の1,000分の15(令和11年3月31日まで/本則1,000分の20)、建物は1,000分の20 買主(慣行)
相続登記の登録免許税 固定資産税評価額の1,000分の4 売主
譲渡所得税・住民税 譲渡益がある場合のみ 売主
仲介手数料 0円

土地の所有権移転の登録免許税は、令和11年3月31日までに登記を受ける場合、本則の1,000分の20が1,000分の15に軽減されます。買主負担が慣行なので売主の手残りには影響しませんが、見積書に売主負担で書かれていたら質問してください。


共有持分 買取 相談 プライバシー|他の共有者にいつ伝わり、いつまで伝わらないのか

共有名義の物件では、手続きの内容よりも「兄弟に知られるかどうか」を先に心配される方が多いので、時系列で正確に書きます。

段階 他の共有者に伝わるか 根拠
相談・情報のやり取り 伝わりません こちらから連絡しません
机上査定・現地調査 原則伝わりません(現地で会えば別です) 敷地に立ち入る場合は事前に調整します
価格提示・検討 伝わりません 同意も通知も法律上不要です
売買契約 伝わりません 持分の処分は単独でできます
持分の移転登記 伝わります 登記簿の名義が変わるため
登記後の管理・分割の協議 必ず伝わります 買主が共有者として関与します

法律の根拠はこうです。民法206条は「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と定めており、共有持分もその持分の限りで各共有者の所有物です。他の共有者の同意が必要になるのは民法251条の「共有物に変更を加える」場合であって、自分の持分を売ること自体には他の共有者の同意も事前通知も要りません

一方で、不動産登記は公示の制度です。持分が移転すれば登記簿に反映され、誰でも登記事項証明書を取れば分かります。「最後まで一切知られずに終える」ことは、制度上できません。そう約束する業者がいたら、その約束のほうを疑ってください。

私たちがお約束できるのは、売るかどうかを決めるまでの間、こちらから他の共有者に連絡しないことです。売却を決めた後、他の共有者への伝え方(登記後に買主から連絡するのか、その前に売主から一言入れるのか)は、ご希望に合わせて決めています。

関連: 共有持分を他の共有者に内緒で査定できるか共有持分の買取|相場・流れ・トラブル回避を宅建業者が解説


手続きの面から見た訳あり物件 買取 業者 選び方|7つの質問

価格の比較は誰でもします。ここでは手続きの面だけで業者を見分ける質問を並べます。この7問に即答できない相手とは、契約書の段階で必ずもめます。

  1. 「御社が買主ですか。それとも仲介ですか」 買主なら仲介手数料は発生しません。「買取」と言いながら媒介契約を持ってくる会社があります。
  2. 「免許番号を教えてください」 国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で商号・所在地・免許行政庁を照合できます。名刺の番号と一致するか、その場で確認して構いません。
  3. 「契約不適合責任は免責になりますか。契約書の第何条ですか」 条項を示せるかどうかを見ます。「大丈夫です」だけの回答は不可です。
  4. 「告知書は誰が作りますか。書き方は教えてもらえますか」 売主に丸投げして助言しない業者は、後で「聞いていない」と言い出す余地を残しています。
  5. 「決済までに私が用意する書類を、いま全部言えますか」 前掲の12点を、物件の状況に合わせて言えるかどうかです。
  6. 「決済日は確定できますか。融資特約は付きますか」 自己資金で買う業者なら決済日を確定できます。融資特約が付く=白紙解除の可能性が残るということです。
  7. 「この査定額から、あとで引かれるものはありますか」 残置物処分・解体・測量を後から差し引く手口を防ぐ質問です。

関連: 訳あり不動産買取業者の選び方|悪質業者の5手口と7チェックリスト訳あり不動産買取の悪質業者5つの手口と安全な相見積もり手順


私たちが大阪・滋賀の現場で実際にやっている手続きの順番

上位の解説記事にはあまり書かれていない、実務の順番の話をします。教科書どおりではありません。

まず登記簿と公図を取ります。物件を見に行く前にです。訳あり物件では、売主ご本人が権利関係を正確に把握していないことが珍しくありません。「自分と弟の2人の名義だと思っていたら、亡くなった叔父の持分が未分割で残っていた」「土地は自分名義だが建物が親名義のままだった」というケースが、大阪市内の長屋や古い住宅地では実際に出ます。ここを先に潰さないと、現地を見て価格を出しても契約に進めません。

次に固定資産税の納税通知書を突き合わせます。登記簿に載っていない未登記の物置や増築部分が、納税通知書には家屋として載っていることがあります。逆に、登記簿にはあるのに現地に建物が無い(滅失登記が未了)こともあります。この不一致は、決済当日ではなく最初に見つけておかないと日程が飛びます。

そのうえで現地に行きます。ここまでで、接道・権利・課税の3つが分かっている状態なので、現地で見るべき点が絞れます。

価格を出すときは、解体・残置物・境界の3費目を分けて示します。「まとめていくら」ではなく、何にいくら見込んで差し引いたのかを書いて渡します。他社と比較する材料にしていただくためです。

大阪府知事免許の業者として大阪市24区を中心に動いていますが、滋賀県内の物件についても、同じ順番で調べたうえでご相談を受けています。


訳あり物件の手続きが止まる3つの場所と、止まったときの外し方

10年単位で放置されていた物件ほど、手続きは同じ3か所で止まります。逆に言えば、ここさえ外れれば残りは事務です。

① 相続登記が終わっていない

亡くなった方の名義のままでは売れません。売買の当事者になれるのは現在の所有者だけだからです。相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になります。過去に相続した分も対象です。

外し方は、司法書士に依頼して相続登記を先に済ませることです。期間は戸籍の収集を含めて1〜2か月。遺産分割協議がまとまっていれば、売買と並行して進められます。相続登記の費用を売買代金から精算する形も可能なので、手元にお金がないことは理由になりません。

② 共有者の一人と連絡が取れない

物件全体を売るには共有者全員の合意が要ります。連絡が取れない共有者がいると、そこで止まります。

外し方は2つ。自分の持分だけを売る(前章のとおり単独でできます)か、共有物分割請求の手続きを取るかです。前者なら数週間で終わります。後者は裁判所の手続きになるため年単位です。「早く手を離したい」が目的なら、持分だけの売却が現実的な答えになることが多いです。

③ 抵当権が残っていて、残債が価格を上回る

抵当権は決済と同時に抹消するのが原則ですが、売買代金で残債を返しきれないと抹消できません。これは手続きの問題ではなく金額の問題です。

外し方は、金融機関と調整して抵当権を外してもらう任意売却の手続きに切り替えることです。ここまで来ると私たちだけでは完結しないため、早い段階で残債の額を確認させてください。いちばんよくないのは、残債を伏せたまま話を進めることです。決済日の直前に判明すると、全部やり直しになります。

関連: 相続登記の義務化|3年以内の申請と10万円以下の過料未登記の建物は売れるのか|表題登記と買取の実務任意売却で残った残債はどうなるのか


内覧なし・現状のままで進められるか(鍵・立会い・机上査定)

ここまで読んでいただいた方が最後に迷うのは、たいてい「内覧なしで相談を始めていいのか」「現状のままで大丈夫なのか」「言うべき事情があるが、先に言うと不利にならないか」の3点です。

机上で確認できることと、現地確認が必要になることの切り分け

前述のとおり、机上査定に最低限必要なのは、物件の所在地と固定資産税・都市計画税の納税通知書の2つだけです。片付けや修繕をしていない現状のままでも、この2つがあれば価格帯の見当をつけるところまでは進められます。

一方で、傾き・雨漏り・白蟻の有無、残置物の量、境界標の有無といった項目は、現地を確認してはじめて数字が固まる部分です。「現状のまま相談を始められるか」と「価格を最終的に確定するまで現地確認が要らないか」は別の質問で、最初のご相談では前者だけお答えできれば十分です。後者は相談を進める中で一緒に整理します。

鍵が見当たらない・現地に行ける人がいない場合

遠方にお住まいだったり、鍵の所在がわからなかったりする場合は、その状況をそのまま最初の相談時点で伝えてください。鍵の所在がわかるか不明か、現地で対応できる人がいるかいないか(まだ確認していない場合はその旨)を伝えていただくだけで、そのあとの進め方を一緒に検討できます。立会いが難しい場合の調査の進め方は、前述の「現地調査で実際に見ている場所」で触れたとおりです。

告知が必要な事情がある場合も、先に伝えたほうが手続きは早い

人の死に関する事案や、雨漏り・シロアリなど、あとで告知書に書くことになる事情がある場合も、契約書の作成段階まで待たず、相談の時点で伝えていただいたほうが手続きは早く進みます。前述のとおり、告知書に書くべき事実を先に伝えることは売主にとって不利にはならず、むしろ免責特約を成立させるための情報になります。

関連: 訳あり物件の買取業者の選び方|「売った後の責任」で決める8判定と契約不適合責任の免責相続アパートを売りたい方へ|最短2週間で現金買取・収益試算シミュレーション付き


よくあるご質問

Q. 査定を受けたら、売らなければいけませんか。 いいえ。査定は無料で、査定を受けたことで売却の義務は生じません。買取では媒介契約も結びませんので、「他社にも相談してはいけない」といった拘束も一切ありません。

Q. 建物が傾いています。それでも買取の手続きは進みますか。 進みます。傾き・雨漏り・白蟻は、買取の場合いずれも解体または大規模改修を前提に価格へ織り込みます。むしろ告知書に書いていただいたほうが、契約不適合責任の免責特約が確実に効きます。

Q. 遠方に住んでいて、大阪の物件の決済に行けません。 司法書士による本人確認を居住地で行い、委任状で決済に臨む方法があります。実際に東京・海外にお住まいの方の物件も扱っています。ただし本人確認は必ず対面で行うため、その1回だけはご協力をお願いしています。

Q. 契約書に「現状有姿」と書いてあります。これで免責になりますか。 「現状有姿」は現在の状態のまま引き渡すという意味であって、それだけで契約不適合責任が免責されるわけではありません。免責にするなら「売主は契約不適合責任を負わない」という条項が別に必要です。契約書のどこにその文言があるかを確認してください。

Q. 手付金は必ず必要ですか。 買取では、契約と決済を同日に行って手付金を省く形も取れます。手付金を受け取る場合は、解約手付かどうか(買主が手付を放棄すれば解約できるのか)を契約書で確認してください。

Q. 固定資産税は誰が払いますか。 その年の1月1日時点の所有者に課税されるため、納税義務者は売主のままです。実務では引渡し日を境に日割りで精算し、引渡し日以降の分を買主が負担します。金額と起算日を契約書に書いてもらってください。


まとめ

訳あり物件の買取 手続きは、①相談 ②机上査定 ③現地調査 ④価格提示 ⑤契約 ⑥決済の6ステップ、書類がそろっていれば2〜4週間です。

売主が事前に用意するのは、実質的に固定資産税の納税通知書相続関係の書類だけです。登記簿・公図は業者が取ります。権利証を紛失していても、事前通知や司法書士の本人確認情報という代わりの手続きがあるので売却できます。

手続き上の要は告知書です。売主が個人・買主が宅地建物取引業者の買取では、宅地建物取引業法40条が適用されないため契約不適合責任を全部免責にできます。ただし民法572条により、知りながら告げなかった事実だけは免責されません。正直に書いた人が守られる設計になっています。

人の死については、売買に「3年経てば告げなくてよい」という基準はありません。おおむね3年は賃貸借の話です。年数で判断せず、事実を書いてください。

共有持分の相談は、売ると決めるまで他の共有者に伝わりません。ただし移転登記の後は登記簿で分かります。ここは正確に理解しておいてください。

そして、手続きが止まるのはいつも相続登記・共有者・抵当権の3か所です。価格の話より先に、この3つがどうなっているかを教えていただけると、いちばん早く進みます。


まず相談してみる

「書類が何もそろっていない」「兄弟に知られたくない」「建物の状態を正直に言っていいのか分からない」——その段階のご相談を歓迎しています。査定は無料で、査定を受けたからといって売却の義務は生じません。

最初にお伝えいただきたいのは、次の4点です。わからない項目は「不明」のままで構いません。

  • 物件の所在地(市区町村まで)
  • 物件の種類(一戸建て/アパート一棟/区分マンション/土地/その他/不明)
  • 入居状況(入居中/一部入居/空室/不明)
  • 困っていること(管理/修繕/相続関係/費用/その他)

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空き家のミカタは、大阪市生野区に事務所を構える宅地建物取引業者です(大阪府知事(1)第65646号)。大阪市24区の空き家・長屋・再建築不可物件・共有持分・事故物件を専門に扱っており、荷物が残ったまま・相続登記が未了・他の共有者と連絡が取れないという状態でも査定にお応えできます。当社が買主として直接買い取りますので、仲介手数料はいただきません。なお、登記の代理申請は司法書士へ、譲渡所得税・相続税の判断は税理士へ、権利関係の争いは弁護士へご確認ください。私どもがお手伝いできるのは、その不動産をいくらで、どういう順序で手放せるかという部分です。


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出典(2026年8月29日確認)

  • e-Gov法令検索「民法」(第206条 所有者は法令の制限内において自由にその所有物の使用・収益・処分をする権利を有する/第251条 共有物の変更には他の共有者の同意が必要/第562条 買主の追完請求権/第563条 買主の代金減額請求権/第564条 損害賠償請求及び解除権の行使/第566条 買主が不適合を知った時から1年以内に通知しないときは追完・減額・賠償・解除ができない/第572条 担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については責任を免れることができない
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第35条 重要事項の説明等=宅地建物取引業者の相手方等に対して契約が成立するまでの間に説明/第40条 担保責任についての特約の制限=宅地建物取引業者が「自ら売主となる」売買契約において、引渡しの日から2年以上となる特約を除き民法566条より買主に不利な特約をしてはならない/第47条第1号 重要な事実を故意に告げず又は不実のことを告げる行為の禁止/第78条第2項 第33条の2及び第37条の2から第43条までの規定は宅地建物取引業者相互間の取引には適用しない)
  • e-Gov法令検索「不動産登記令」(第16条第2項 申請情報を記載した書面には印鑑に関する証明書を添付/第16条第3項 印鑑に関する証明書は作成後3月以内のものでなければならない/第18条第3項 代理人の権限を証する書面に添付する印鑑証明書も作成後3月以内)
  • 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(令和3年10月)(媒介業者は告知書(物件状況等報告書)への記載を求めることで調査義務を果たしたものとする/売主から不明と回答された場合・無回答の場合はその旨を告げれば足りる/自然死・日常生活の中での不慮の死(階段からの転落・入浴中の溺死や転倒事故・食事中の誤嚥)は賃貸借・売買いずれも原則告げなくてよい/ただし長期間放置され特殊清掃等が行われた場合は別/「おおむね3年間を経過した後は原則として借主に対して告げなくてよい」は賃貸借取引についての記載/隣接住戸や日常的に使用しない共用部分の事案は原則告げなくてよい/告げる場合の内容=発生時期・場所・死因・特殊清掃等が行われた旨/買主・借主から問われた場合等は告げる)
  • 国税庁 タックスアンサー No.7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」(平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成される契約金額10万円超の第1号の1文書/10万円超50万円以下200円・50万円超100万円以下500円・100万円超500万円以下1千円・500万円超1,000万円以下5千円・1,000万円超5,000万円以下1万円・5,000万円超1億円以下3万円)
  • 国税庁 タックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」(令和8年4月1日現在法令等。土地の売買による所有権移転=1,000分の20・令和11年3月31日までに登記を受ける場合1,000分の15/建物の売買による所有権移転=1,000分の20/相続による所有権移転=1,000分の4/課税標準は固定資産課税台帳に登録された価格)
  • e-Gov法令検索「登録免許税法」(別表第一 一(十五)登記の抹消=不動産の個数1個につき1,000円)
  • 法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」(相続登記の申請義務化=令和6年4月1日施行・相続の開始及び所有権の取得を知った日から3年以内・正当な理由なく怠ると10万円以下の過料)
  • 法務省「登記手数料について」(登記事項証明書=書面請求600円・オンライン請求送付520円・オンライン請求窓口交付490円)
  • 法務局「登記識別情報を紛失したのですが,どうしたらよいのですか?」(登記識別情報を提供できない場合の事前通知・資格者代理人による本人確認情報の提供)
  • 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」(免許行政庁・免許番号・商号・所在地の照合)

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