空き家のミカタ

都市計画道路の予定地にかかる不動産を売る|補償・減価・買取の3択比較

空き家のミカタ編集部|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)

TL;DR — 都市計画道路の予定地にかかった不動産を売りたい方へ 予定地にかかっていても売却は可能です。売り方は①事業認可を待って自治体の用地買収(補償)で売る ②減価を受け入れて仲介で第三者に売る ③訳あり物件専門の買取で現況のまま手放すの3択。ポイントは「事業化がいつになるか分からない」こと。計画決定から事業決定まで数十年動かない路線も多く、待つ間も税金と維持費はかかります。補償は手厚く税優遇(収用等の5,000万円控除)もありますが時期を選べません。早く確実に手放すなら直接買取が現実的です。まずは今の売却額を知ることから。空き家のミカタ(宅地建物取引業者・大阪府知事(1)第65646号)が全国対応でご相談をお受けしています。

Q: 都市計画道路の予定地にかかった不動産は、どう売ればいいですか?

A: 選択肢は①事業認可を待って自治体の補償(用地買収)で売る、②減価を受け入れて仲介で第三者に売る、③訳あり物件専門の買取業者に現況のまま売るの3つです。判断の分かれ目は「事業化までどれくらい待てるか」。都市計画道路は計画決定から事業化まで数十年動かない路線も多く、待っても補償の時期は読めません。急がず補償を狙うなら①、早く確実に手放したいなら③が向きます。予定地にかかる部分は建築制限(都市計画法53条)により市場で減価しますが、所有権はあるので売却自体は可能です。執筆:八木宏樹(合同会社アルシェ代表/宅建業免許: 大阪府知事(1)第65646号) (出典: 都市計画法第53条・第54条、財産評価基本通達24-7、租税特別措置法「収用等の5,000万円特別控除」)

「役所から届いた書類に、うちの土地が都市計画道路の予定地にかかっていると書いてあった」——そんなご相談をいただきます。売れるのか、いつ道路になるのか、補償はもらえるのか、値段は下がるのか。分からないことばかりで、判断が止まってしまう方が少なくありません。

住宅街を通る道路。都市計画道路の予定地にかかった不動産の売却を検討するイメージ

この記事では、都市計画道路の予定地にかかった土地・建物を手放すための3つの選択肢(補償・減価を織り込んだ仲介・専門買取)を比較し、それぞれの向き・不向きを宅建業者の視点で整理します。あわせて、多くの方が気にされる「建築制限」と「相続税評価の減額」もわかりやすく解説します。順番に読めば、ご自身が次に取るべき行動が見えてきます。


そもそも「都市計画道路の予定地」とは|2つの段階を理解する

都市計画道路は、将来の道路整備のためにあらかじめ都市計画で位置と幅が決められた道路です。売却を考えるうえで最初に押さえたいのは、「計画決定」と「事業決定」という2つの段階があることです。ここを取り違えると、補償や売却時期の見通しを誤ります。

段階状態補償建築
計画決定都市計画として道路の位置・幅が決まっただけ。着工時期は未定なし制限あり(許可制)
事業決定事業認可が下り、用地買収・工事が具体化あり(用地買収の補償)原則不可(買収対象)

多くの予定地は計画決定のまま長期間据え置かれています。決定から数十年、事業化されず動かない路線も全国に数多くあります。「予定地にかかっている=すぐ補償がもらえる」ではない、という点がまず重要です。事業化を待つあいだも、固定資産税や建物の維持費は毎年かかり続けます。

宅建業者の視点: ご相談の中には、「親の代から予定地にかかっていると聞いていたが、40年以上たっても道路になっていない」というケースが珍しくありません。計画は将来見直し(廃止・変更)される可能性もあり、いつ・本当に事業化されるかは自治体でも確約できないのが実情です。


なぜ値段が下がるのか|建築制限(都市計画法53条・54条)

予定地にかかる不動産が市場で減価する最大の理由は、建物を自由に建てられないことです。都市計画道路の区域内では、都市計画法第53条により建築が許可制になります。

市街地を通る道路と沿道の建物。都市計画道路の拡幅予定にかかるエリアのイメージ

許可されるかどうかの基準は都市計画法第54条にあり、次の条件を満たす建物なら許可されるとされています。

  • 階数が2以下で、かつ地階(地下室)を有しないこと
  • 主要構造部が木造・鉄骨造・コンクリートブロック造など、容易に移転または除却できる構造であること

つまり、将来道路になったときに壊しやすい・動かしやすい建物なら建てられる、という考え方です。一部の自治体(例:東京都北区など)では、3階建て・高さ10m以下まで基準を緩和している例もあります。

逆にいえば、鉄筋コンクリートの重い建物や、地下室のあるマンション・ビルは建てにくいことになります。土地の使い道が狭まるため、買い手にとって魅力が下がり、市場価格が下がる(減価する)というわけです。減価の幅は、予定地が敷地のどれくらいを占めるか、どんな用途地域かによって変わります。


相続税評価でも減額できる|財産評価基本通達24-7

売却とは別に、その不動産を相続する(した)場合の相続税評価でも、予定地にかかる部分は減額できることがあります。根拠は財産評価基本通達24-7です。

宅地のうち都市計画道路予定地にかかる部分について、「予定地でないものとした場合の価額」に補正率(0.99〜0.50)を掛けて評価額を下げられます。補正率は次の3つで決まります。

  • 地区区分(路線価図で確認する商業地区・住宅地区などの区分)
  • 容積率(指定容積率が高いほど減額幅が大きい)
  • 地積割合(敷地全体に占める予定地部分の割合。大きいほど減額幅が大きい)

地積割合が大きく、容積率の高い地域ほど、最大で評価額の50%(補正率0.50)まで下がる可能性があります。ただし、固定資産税評価額がすでに予定地であることを考慮して定められている場合は、この減額は使えません。適用の可否や具体的な計算は税理士へご確認ください。

宅建業者の視点: 「相続で評価が下がる」ことと「市場で高く売れる」ことは別物です。評価減はあくまで相続税の計算上の話で、実際にいくらで売れるかは買い手が付くかどうかで決まります。相続対策と売却は分けて考えるのが安全です。


3択比較|補償・減価を織り込んだ仲介・専門買取

ここが本題です。予定地にかかった不動産の手放し方は、大きく次の3つに分かれます。それぞれの特徴を比較します。

電卓と書類で補償額や減価後の売却額を試算する様子。都市計画道路予定地の売却比較のイメージ
選択肢手放すまでの時間価格の傾向税制向いている人
①補償(用地買収を待つ)事業化次第(数年〜数十年・未定)補償基準に沿った手厚い水準になり得る収用等の5,000万円控除の可能性急がず、住み続けながら待てる
②減価を織り込んで仲介3〜6ヶ月+買い手待ち減価後の市場価格。買い手が付きにくい場合あり通常の譲渡所得税建物の状態が良く時間に余裕がある
③専門買取(現況のまま)最短1〜2週間仲介より下がる場合があるが確実通常の譲渡所得税早く確実に手放したい・管理をやめたい

①事業認可を待って補償(用地買収)で売る

事業決定(事業認可)が下りると、自治体などの事業者が用地を買収します。このとき支払われるのは土地代だけではありません。建物の移転補償・工作物補償・営業補償(店舗の場合)・引越し費用など、公共用地の補償基準に沿った補償が受けられます。税制面でも、収用等により譲渡した場合の5,000万円特別控除が使える可能性があります(事業者から最初の買取の申し出を受けた日から6ヶ月以内に譲渡することが要件。適用可否は税理士・税務署に要確認)。

補償は手厚くなり得る一方、最大の弱点は「時期を自分で選べない」ことです。いつ事業化されるか、そもそも本当に事業化されるかは読めません。待つ間も税金と維持費は出ていきます。

②減価を受け入れて仲介で第三者に売る

一般の不動産市場で買い手を探す方法です。建築制限のぶん減価しますが、通常どおり売却できます。ただし、予定地の説明を受けた買い手は慎重になりやすく、価格交渉が入ったり、買い手が付くまで時間がかかったりすることがあります。建物の状態が良く、時間に余裕がある場合に向きます。

③訳あり物件専門の買取で現況のまま手放す

予定地にかかる物件・建築制限のある物件を扱い慣れた専門の買取業者に、現況のまま直接売る方法です。仲介より価格が下がる場合はありますが、買い手を探す必要がなく、最短1〜2週間で現金化できるケースがあります。リフォームや残置物の片付けも不要です。「事業化まで待てない」「管理の負担から早く解放されたい」「相続した予定地をすぐ整理したい」という方に向いています。


ケース別の判断例

同じ「予定地にかかった不動産」でも、状況によって最適解は変わります。当社にご相談のあった典型的な3ケースで確認します。

ケース1:計画決定のまま数十年・遠方に相続した土地(住宅地)

親から相続した土地が数十年前から予定地にかかったまま、事業化の気配なし。遠方で管理もできず、固定資産税だけ払い続けていました。事業化を待つ意味が薄く、③専門買取で現況のままお手放しになりました。待ち続けるより、維持費の流出を止める判断です。

ケース2:敷地の一部だけがかかる自宅(住み続けたい)

自宅の敷地の一部(地積割合は小さめ)が予定地にかかっているが、今は住み続けたいケース。すぐに手放す必要がないため、①事業化と補償を待ちつつ、相続税評価では24-7の減額を活用する方針を確認。急いで売る必要がない典型例です。

ケース3:築古で建て替えたいが制限で断念(減価物件)

建て替えを検討したところ、53条の制限で希望の建物が建てられないと判明。仲介に出しても予定地を理由に買い手が付きにくい状況でした。時間をかけたくないとのことで、③専門買取で現況のまま整理されました。


手放すと決めたら:進め方は3ステップ

売却(②仲介・③買取)に進む場合の流れは、次の3ステップです。

  1. 今の売却額・買取額を確認する:所在地・地積・予定地のかかり具合・建物の状態を伝えれば、無料で概算をお出しできます。まず金額を知ることが判断材料になります。
  2. 予定地の資料を用意する:都市計画図や、自治体の窓口で取れる都市計画情報(予定地の位置・幅・計画決定の状況)があるとスムーズです。お手元になくても当社で確認をお手伝いできます。
  3. 条件に納得できたら契約・引き渡し:直接買取なら最短1〜2週間で現金化できるケースがあります。現況のまま・残置物ありでも査定可能です。

なお、補償(①)を狙う場合でも、今の売却額を知っておくことに意味があります。「待った場合」と「今売った場合」を数字で並べて初めて、待つ価値があるかを判断できるからです。


まとめ:待てるかどうかで選択肢が決まる

都市計画道路の予定地にかかった不動産でも、所有権はあり売却は可能です。手放し方は①補償(用地買収を待つ) ②減価を織り込んで仲介 ③専門買取で現況のままの3択。判断の分かれ目は「事業化までどれくらい待てるか」です。

計画決定のまま数十年動かない路線も多く、待っても補償の時期は読めず、その間も税金と維持費はかかり続けます。急がず住み続けられるなら補償を狙う道もありますが、早く確実に手放したい・管理の負担をなくしたいなら、事業化を待たずに売る方が現実的なケースが多くなります。

まずは「待った場合」と「今売った場合」を数字で比べるために、今の売却額・買取額を確認することが確実な第一歩です。査定は無料です。


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