空き家のミカタ

根抵当権が付いた不動産を相続したら?抹消・売却・買取の手順【2026年版】

空き家のミカタ編集部|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)
不動産契約書類と署名 根抵当権が設定された不動産売却のイメージ

親や親族が亡くなり不動産を相続したところ、登記簿謄本を取得したら「根抵当権」の記載があった——こうした状況に戸惑われる方は少なくありません。「根抵当権ってそもそも何?」「抹消しないと売れないの?」「残債が多くて手が出せない」という疑問をお持ちの方に向けて、処分までの流れをわかりやすく整理します。

根抵当権が残っていても、不動産を売ることはできます。①根抵当権を抹消してから売る方法と②根抵当権付きのまま訳あり物件の買取専門業者に売る方法の2択です。どちらが最善かは残債額と不動産の価値のバランスによります。


目次

  1. 根抵当権とは何か(普通の抵当権との違い)
  2. 相続後すぐに確認すること(6か月の期限)
  3. 根抵当権を抹消してから売る方法
  4. 根抵当権付きのまま買取業者に売る方法
  5. 専門家への相談先と内部リンク
  6. よくあるご質問

根抵当権とは何か

まず根抵当権の基本から確認します。根抵当権(ねていとうけん)とは、一定の範囲内の不特定の債権を担保するために設定される担保権です(民法398条の2)。

平たく言えば、「この不動産を担保に、〇〇円の範囲内で何度でも借り入れができる」という仕組みです。事業者(会社経営者・個人事業主)が金融機関から繰り返し融資を受ける際によく利用されます。

普通の抵当権との違い

比較項目普通の抵当権根抵当権
担保する債権特定の借入(住宅ローン等)一定範囲の不特定の借入
利用場面住宅購入など一度の借入事業融資など繰り返す借入
完済後の扱い原則として自動消滅自動的には消滅しない
相続時の手続き債務を相続人が引き継ぐ元本確定の手続き判断が必要

なぜ根抵当権が設定されることが多いのか

商売をしていた親が亡くなった場合に多く見られます。会社の事業用不動産(店舗・倉庫・工場)や自宅を担保に事業資金を繰り返し借り入れていたケースが典型的です。

借入が完済されていれば登記は残っていても効力がない場合もありますが、残債がある場合は適切な処理が必要です。まず「登記があること=残債がある」とは限らないため、金融機関への確認が最初のステップです。


相続後すぐに確認すること(6か月の期限)

カレンダーと書類 相続手続きの期限確認のイメージ

根抵当権が付いた不動産を相続した場合、相続開始から6か月以内に「どう対応するか」を判断・手続きする必要があります(民法398条の8)。

「元本確定」という概念

根抵当権には「元本確定」というプロセスがあります。元本が確定すると、根抵当権が担保する債権の金額が固定されます。

相続が発生した場合、6か月以内に指定債務者・指定根抵当権者の合意の登記を行わないと、元本が自動的に確定したものとみなされます(民法398条の8)。

元本が確定した場合でも売却の選択肢はなくなりませんが、その後の手続きの方向性が変わります。相続を知ったら、まず司法書士に相談して残債の状況と登記内容を確認することをお勧めします。

まず確認すべき3つの項目

  1. 残債の確認:根抵当権を設定した金融機関に連絡し、現在の借入残高(元本+利息)を確認する
  2. 極度額の確認:登記簿に記載された極度額(担保の上限額)を確認する
  3. 不動産の評価額の把握:残債と比べて不動産の価値がどのくらいあるかを確認する

宅建業者の視点
「登記簿に根抵当権の記載があっても、実際の残債が0円(完済済み)のケースも意外と多いです。金融機関に確認する前から心配しすぎず、まず残高照会から始めることをお勧めします。電話一本で確認できることがほとんどです。」


根抵当権を抹消してから売る方法

残債を全額返済できる場合、根抵当権を抹消してから売却するのが最もシンプルな方法です。

ステップと費用の目安

ステップ1:残債を一括返済する

金融機関に連絡して全額返済します。繰上げ返済手数料が発生する場合があります(数千円〜3万円程度が一般的)。

不動産の売却代金で返済する場合は、売却時に決済と同日に抹消する「売却代金での一括返済」という方法があります。これは一般的な住宅ローン返済付き売却と同様の流れです。

ステップ2:司法書士に抹消登記を依頼する

残債を返済すると、金融機関から「解除証書」と「根抵当権抹消の委任状」が交付されます。これを司法書士に渡して抹消登記を行います。

費用の目安:

  • 司法書士報酬:2万〜5万円程度(不動産の数や複雑さによる)
  • 登録免許税:不動産1筆あたり1,000円(根抵当権抹消登記の場合)

複数の不動産に根抵当権が設定されている場合は、筆数分の登録免許税がかかります。

抹消できないケース(オーバーローン)

問題になるのが「売却額よりも残債が多い」オーバーローンの状態です。たとえば評価額1,500万円の不動産に2,000万円の借入残高がある場合、売却代金だけでは残債を返済しきれません。

この場合の選択肢:

  • 自己資金で不足分を補填して抹消する
  • 金融機関と任意売却について交渉する(残債の一部を免除してもらう形で売却する方法)
  • 相続放棄を検討する(ただし3か月以内の期限あり)

任意売却については任意売却(ニンバイ)完全ガイドもご参照ください。


根抵当権付きのまま買取業者に売る方法

不動産専門家との打ち合わせ 買取業者への相談イメージ

根抵当権の状況が複雑でも、訳あり物件の買取専門業者は現況のまま査定・購入に対応できる場合があります。

買取業者が対応できる仕組み

買取業者は不動産の専門家であり、根抵当権の処理も含めて自社で対応したり、提携する司法書士を通じて処理したりします。売主(相続人)の立場では、複雑な手続きを業者に委ねた上で、まとまった現金を受け取ることができる場合があります。

ただし、根抵当権の残債は通常「決済時に売却代金から充当して抹消する」か「業者側が引き受ける」形になります。残債が多い場合は手取り額が少なくなるか、業者側が引き受けるかどうかの判断が分かれます。

手取り額のイメージ

根抵当権付き不動産の買取での手取り額は、おおよそ以下のように考えられます。

おおよその手取り額 ≒ 買取価格 − 根抵当権の残債 − 諸費用(司法書士費用等)

残債が小さい場合や、不動産の価値が残債を大きく上回っている場合(資産価値 >> 残債)は、仲介よりも短期間で手放せる買取が有効な選択肢になります。まずは現況を正直に伝えた上で査定を依頼することが大切です。

査定・相談時に伝えること

  • 根抵当権設定金融機関の名称
  • 現在の借入残高(概算でも可)
  • 登記簿謄本の取得日・極度額
  • 不動産の種別(住宅・事業用・土地等)と所在地

これらの情報を事前にまとめておくと、査定がスムーズに進みます。

宅建業者の視点
「『根抵当権付き・残債あり』と聞くと売るのが難しそうに感じる方が多いです。ただ、訳あり物件専門の買取業者には一般的な仲介会社が断るケースを扱う経験があります。まず相談してみることで、思っていたよりスムーズに進む場合もあります。」


専門家への相談先

根抵当権付き不動産の処分は、状況に応じて複数の専門家が関わります。

専門家相談内容費用目安
司法書士登記内容の確認・抹消手続き・元本確定の判断初回相談無料〜1万円程度
弁護士金融機関との交渉・任意売却・相続放棄相談料5,000〜1万円/時間
訳あり物件の買取業者現況査定・売却の可否確認査定・相談は無料

売却前に必ず確認:相続登記義務化

売却を進めるためには、まず相続登記(名義変更)が完了していることが前提になります。2024年4月1日より相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に登記申請をしなければ10万円以下の過料の対象になります(不動産登記法76条の2)。

相続登記がまだの場合は先に完了させてから買取相談に進みましょう。相続登記の手続きについては相続登記義務化の完全対応ガイドもご参照ください。

また、相続不動産全般の処分方法については相続不動産の処分 完全ガイド2026もあわせてご覧ください。


よくあるご質問

Q. 根抵当権が設定されたまま不動産を相続しましたが、売ることはできますか?
A. 売却は可能です。根抵当権を金融機関と交渉して抹消してから売る方法と、根抵当権付きのまま訳あり物件の買取専門業者に売る方法の2択があります。まず被相続人の借入残高を確認し、どちらの方法が適切か専門家に相談することをお勧めします。

Q. 根抵当権の抹消にはいくらかかりますか?
A. 借入残高の全額返済が前提になります。司法書士報酬は根抵当権抹消1件あたり2〜5万円程度(登録免許税は不動産1筆あたり1,000円)です。複数の不動産に設定されている場合は筆数分の費用がかかります。

Q. 相続後に何か月以内に手続きを判断しなければなりませんか?
A. 根抵当権の元本確定に関する合意の登記は、相続開始から6か月以内に行わないと元本が確定したものとみなされます(民法398条の8)。元本が確定しても売却の選択肢は残りますが、手続きの方向性が変わるため、相続を知ったらできるだけ早く司法書士にご相談ください。

Q. 根抵当権付きのまま現況買取をすると価格はどうなりますか?
A. 不動産の評価額から根抵当権の残債を差し引いた純粋な資産価値をベースに査定されます。残債の状況によって手取り額が変わるため、まず現況での査定依頼をしてみることをお勧めします。

Q. 根抵当権と普通の抵当権はどう違いますか?
A. 普通の抵当権は住宅ローンなど特定の借入を担保するものです。根抵当権は事業融資など繰り返す借入に使われ、「極度額」の範囲内で何度でも使える担保です。借入が完済されても自動的には消えないため、相続した場合は登記内容の確認が特に重要です。


まとめ

  • 根抵当権付きの不動産でも売却は可能。①抹消してから売るか②現況のまま買取業者に売るかの2択
  • 相続後6か月以内に元本確定の合意登記をするかどうかを判断する必要がある(民法398条の8)
  • 抹消の費用は残債の返済額+司法書士報酬(2〜5万円程度)+登録免許税(不動産1筆1,000円)
  • 残債が売却額を超えるオーバーローンの場合は、任意売却や現況買取の専門業者に相談する
  • 売却前に相続登記(2024年義務化・3年以内)を完了させることが前提

根抵当権の処理は複雑に見えますが、手順を一つずつ進めることで解決できます。「どこに相談すればいいかわからない」という方も、まずは無料相談から始めることをお勧めします。


無料査定・ご相談はこちら

根抵当権が付いた不動産の処分に困っている方のご相談を受け付けています。残債あり・複雑な権利関係・相続人が複数いるなど、難しい状況でもお気軽にご連絡ください。査定・相談は無料で、しつこい営業は行いません。

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