実家を売るのは親不孝か|仏壇・位牌の片づけ順と親族への伝え方【2026年お盆版】
結論:実家を売るのは親不孝ではありません。判断が苦しいのは、決断そのものではなく順番が逆になっているからです。仏壇・位牌・遺影の供養を先に整え、次に思い出を記録に残します。売るかどうかを決めるのは、その後です。この順番にすると、多くの方は気持ちの区切りをつけられます。
TL;DR — 「実家を売るのは親不孝ではないか」という迷いは、手順を分けると軽くなります。①仏壇・位牌・遺影を閉眼供養(魂抜き)→お焚き上げの順で整える(お布施1万〜5万円、お焚き上げ5,000円〜1万円が目安)。②写真と動画で家を記録し、持ち帰る家財を「一家にひとつ」で選ぶ。③親族には決めてから伝えるのではなく、決める前に一度伝える。そのうえで期限を2つ確認してください。相続登記は取得を知った日から3年以内です。相続空き家の3,000万円特別控除は、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。誰も住まない家は全国で900万戸あります。悩んでいるのはご自身だけではありません。
出典: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 基本集計結果」/国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(アクセス日: 2026-08-01)
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| 項目 | 金額・期限の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 閉眼供養(魂抜き)のお布施 | 1万〜5万円 | 金額に決まりはなく、寺院により異なります |
| お焚き上げ | 5,000円〜1万円 | 郵送で受け付ける寺院・業者もあります |
| 位牌の永代供養 | 3万〜40万円 | 期間や納め先で大きく幅があります |
| 離檀料(檀家を離れる場合) | 5万〜20万円 | 明確な基準はなく、住職への確認が必要です |
| 遺品整理(4LDK戸建て) | 22万〜85万円 | 荷物量と作業人数で変動します |
| 相続登記の申請期限 | 取得を知った日から3年以内 | 2024年4月1日施行。怠ると10万円以下の過料 |
| 相続空き家の3,000万円特別控除 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで | 制度自体は2027年12月31日の譲渡まで |
金額は一般的な目安であり、地域・寺院・業者により異なります。実際の費用は依頼先にご確認ください。
実家を売るのは親不孝ではありません。「住み継げない」と「投げ出す」は違います
まず、いちばん苦しいところからお伝えします。実家を手放すことと、親を大切にしないことは、別のことです。
親が遺したのは建物だけではありません。家族が過ごした時間と、その記憶です。建物は劣化しますが、記憶は残せます。
そして現実の話として、誰も住まない家は傷みます。人が住まない家は換気されず、湿気が抜けません。雨漏りに気づくのも遅れます。
無理に持ち続けているうちに、草木が伸び、屋根が抜け、近所から苦情が来ることがあります。その状態のほうが、結果として親の家を粗末に扱うことになりかねません。
数字で見ても、同じ状況の方は大勢おられます。2023年10月1日時点で全国の空き家は900万戸、空き家率は13.8%で過去最高です。このうち賃貸用・売却用・別荘を除いた、いわゆる「放置されがちな空き家」は385万戸あります。
出典: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 基本集計結果」
判断に迷っているのは、ご自身が薄情だからではありません。日本中で同時に起きていることです。
罪悪感が消えないのは順番が逆だからです。先に仏壇と位牌を整えます
ご相談を受けていて多いのが、売るかどうかを先に決めようとして止まってしまうパターンです。
売却の話から入ると、仏壇も位牌も遺影も「片づける対象」として扱うことになります。そこに抵抗が出るのは当然のことです。
順番を入れ替えてください。
- 仏壇・位牌・遺影の供養を先に整える
- 思い出を写真と記録に残す
- そのうえで、家をどうするかを決める
供養が済んでいる家は、気持ちのうえで「もう役目を終えた建物」になります。この状態で査定額を見ると、多くの方は落ち着いて判断できるようになります。
売る決断が先にあると、供養が後始末のように感じられてしまいます。同じ作業でも、順番で意味が変わります。
仏壇・位牌・遺影は「閉眼供養→お焚き上げ→家財整理」の順で片づけます
仏壇と位牌には決まった順番があります。魂を抜いてから、焼却して供養するという流れです。
先に行うのが閉眼供養(へいがんくよう。仏壇や位牌から魂を抜く儀式で「魂抜き」とも呼ばれます)です。そのあとにお焚き上げ(供養のうえで焼いて納めること)をします。逆にはしません。
| 手順 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| ① 閉眼供養(魂抜き) | 僧侶に読経していただき、仏壇・位牌から魂を抜きます | お布施 1万〜5万円 |
| ② お焚き上げ | 魂を抜いた仏壇・位牌・お札などを焼却供養します | 5,000円〜1万円 |
| ③ 仏壇本体の運び出し | 大型の仏壇は搬出費が別途かかります | 業者見積り(数万円〜) |
| ④ 位牌を残す場合 | 寺院での永代供養、または郵送での供養預かり | 3万〜40万円 |
| ⑤ 家財・遺品整理 | 供養が済んでから残りの家財に手をつけます | 4LDK戸建てで22万〜85万円 |
僧侶に遠方から来ていただく場合は、お布施とは別に「御車代」を包むのが礼儀とされています。金額に決まりはありません。
檀家を離れる場合は離檀料(りだんりょう。檀家をやめる際に寺院へ納めるお金)を求められることがあります。5万〜20万円程度が一般的とされますが、明確な基準はないため、住職と事前に相談して決めてください。
なお、付き合いのある寺院がない場合でも問題ありません。仏壇店や供養専門の業者が、閉眼供養からお焚き上げまでまとめて対応しています。郵送での受付をしているところもあります。
菩提寺への相談はお盆の直前を避けます
お盆とお彼岸の直前は、寺院が一年でもっとも立て込む時期です。2026年のお盆は8月13日〜16日にあたるため、この前後は日程が取りにくくなります。
7月中、または8月下旬以降に電話するほうが、落ち着いて相談できます。帰省のついでに済ませたい場合でも、日程だけは事前に電話で押さえておいてください。
相談のときに伝えるのは、次の2点で足ります。
- 実家を手放す予定があること(時期のめどがあれば添える)
- 仏壇と位牌をどうしたいか(処分したいのか、位牌だけ残したいのか)
「まだ決めていないので相談だけ」と伝えても差し支えありません。
思い出は家ではなく記録に残せます。写真とひとつの家財を持ち帰る方法
家がなくなった後に「あれを撮っておけばよかった」となる方は少なくありません。引き渡しの前に、次のものを記録に残してください。
- 外観(表札・玄関・門扉を含む。道路から建物全体が入る角度で)
- 各部屋(入口に立って部屋全体を1枚ずつ。動画で歩きながら撮ると早いです)
- 庭・木・花壇(季節ごとの姿は撮り直せません)
- 柱の身長の傷、落書き、貼り紙(家族にしか意味がわからないものほど残す価値があります)
- 家族写真のアルバム(紙焼き写真は湿気で劣化します。持ち帰るかスキャンします)
持ち帰る家財は、全部ではなく「一家にひとつ」を目安にすると決めやすくなります。食器なら一組、家具なら一点です。全部残そうとすると保管場所と費用の問題が出て、結局どこかで手放すことになります。
実家じまいを経験した方の調査でも、半数以上が「事前にやっておけばよかったことがある」と回答しています。上位に挙がったのは処分費の確認、親と一緒の片づけ、売却価格の確認でした。調査は株式会社すむたすが2024年7月18日〜25日に実施し、実家相続経験者2,221名が回答しています。
残った家財の扱いは、相続した実家の遺品・家財整理|費用相場・業者選び・残置物のまま売る方法で費用の内訳を整理しています。車や骨董品など処分に迷うものは相続した家に残る車・骨董品・家電はどうする?処分義務の有無と残置物のまま売る方法をご覧ください。
親族と近所への説明は「決める前」に一度、伝えておきます
もめごとの多くは、金額ではなく伝える順番から始まります。
売却先が決まってから連絡すると、「相談してもらえなかった」という感情が先に立ちます。金額の多少より、この一点で関係がこじれることのほうが多いのが実感です。
親族に伝える内容は、次の3点で足ります。
- 建物の現状(雨漏り・シロアリ・傾きなど、写真があれば添える)
- 年間でかかっている維持費の実額(固定資産税・火災保険・草木の管理・往復の交通費)
- 仏壇と位牌をどう供養するつもりか
とくに3つ目を先に伝えると、話の色が変わります。「金に換えたいだけではない」ことが伝わるからです。
なお、話し始めが遅くなるのは珍しいことではありません。前述のすむたすの調査では、実家の処分方針を親の生前に話し合っていた方は27.5%にとどまります。話し合った方の96%は親の死後や何かあってから会話を始めています。1年以上空き家のまま止まっている方も21%おられます。今からで遅すぎることはありません。
近所への説明は売却前に一度だけで足ります
隣家には、次の2点を一度伝えておけば十分です。
- 家を手放す予定があること
- それまでの管理について、連絡がつく電話番号
草木が越境した、雨樋が落ちた、といったときに連絡先がわからないと、苦情が行政に回ることがあります。連絡先を渡しておくだけで、その多くは防げます。
詳しい説明や時期を明かす必要はありません。「手放す方向で進めています」で構いません。
放置は親孝行にはなりません。5年で積み上がるコストと2つの期限
決めきれずに時間が過ぎること自体は、責められることではありません。ただし、放置には金額と期限がついてきます。
期限は2つあります。
1つ目は相続登記です。2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。施行日より前に発生した相続も対象で、この場合は「知った日から3年」または「施行日から3年」の遅いほうが期限です。
出典: 法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」
2つ目は税金の特例です。相続した空き家を売ったときに譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特例があります。適用には、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが必要です。制度自体の期限は2027年(令和9年)12月31日までの譲渡です。
なお、令和6年1月1日以後の譲渡で、その家屋と敷地を相続した相続人が3人以上いる場合は控除額が2,000万円になります。ほかにも昭和56年5月31日以前の建築であることなど条件があるため、適用可否は税務署または税理士にご確認ください。
出典: 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
金額の面も見ておきます。実家じまいにかかった維持・処分費用は50万〜100万円という回答がもっとも多く挙がっています(前掲・すむたす調べ)。放置期間が延びるほど、この額は積み上がります。
住む・貸す・売る・放置の4択で5年間のコストを並べた試算は、相続した家の意思決定フローチャート|住む・貸す・売る・放置の5年間コスト試算にまとめています。年間の維持費だけを先に知りたい方は空き家の固定資産税・維持費シミュレーターで計算できます。
判断に迷ったら、この5つの問いに答えてみてください
売る・売らないを直接考えると答えが出ません。次の5つに答えていくと、輪郭が見えてきます。
- 今後10年のうちに、自分か家族の誰かがこの家に住む予定はありますか?(「いつか誰かが」は予定に数えません)
- 年に何回、この家に行けていますか?(草刈り・換気・郵便物の確認ができる回数です)
- 年間の維持費を、あと何年払い続けられますか?(固定資産税・保険・管理・交通費の合計です)
- 仏壇・位牌・遺影の行き先は決まっていますか?(決まっていないなら、そこから先に手をつけます)
- この家を残すことを、親は望んでいたと思いますか。それとも自分たちの生活を大事にしてほしいと思っていたでしょうか。
5つ目に「自分たちの生活を大事にしてほしかったはず」と答えが出るなら、手放すことは親不孝ではありません。
実家を売るかどうかは、家への愛情の大きさで決めることではありません。管理を続けられるかどうかという現実で決めることです。そして愛情は、供養と記録という別の形で残せます。
お盆に帰省された際の建物チェックは、【2026年お盆版】帰省したら実家の空き家どうする?7つの確認ポイントと売却判断フローチャートにチェック項目をまとめています。手続きの全体像を先に知りたい方は相続した家、何から手をつければいい?7ステップ・チェックリストと期限一覧をご覧ください。
無料査定・ご相談はこちらから
「まだ売ると決めたわけではない」「家族と話す前に金額だけ知っておきたい」——そうしたご相談から始まる方がほとんどです。
訳あり物件・空き家・相続物件を専門に扱っており、現況のまま・片付け不要・解体不要で買取査定ができます。仏壇や家財が残ったままの状態でも査定できます。大阪府知事(1)第65646号の宅地建物取引業免許のもと、大阪市24区を中心に対応しています。査定だけのご依頼でも問題ありません。
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よくある質問
Q. 実家を売るのは親不孝ですか?
親不孝ではありません。実家を残すこと自体が目的ではなく、家と家族の記憶をどう次に渡すかが本題だからです。誰も住まない家を持ち続けると、固定資産税・火災保険・草木の管理・遠方からの往復費用が毎年かかり続けます。管理が追いつかないまま傷ませてしまうほうが、結果として親の家を粗末に扱うことになりかねません。住み継げないことと、投げ出すことは別です。
Q. 仏壇や位牌は実家を売る前にどうすればいいですか?
順番は「閉眼供養(魂抜き)→ お焚き上げ → 家財整理」です。まず菩提寺や僧侶に閉眼供養をお願いし、その後にお焚き上げで供養のうえ処分します。閉眼供養のお布施は1万〜5万円程度、お焚き上げは5,000円〜1万円程度が目安です。位牌を残したい場合は、寺院での永代供養(3万〜40万円程度と幅があります)や郵送でお預かりするサービスもあります。金額に決まりはないため、依頼先に事前にご確認ください。
Q. 菩提寺にはいつ相談すればいいですか?
お盆やお彼岸の直前は寺院がもっとも立て込む時期です。2026年のお盆(8月13日〜16日)の前後は避けてください。7月中か8月下旬以降に電話で相談日を決めるほうが、日程を組みやすくなります。相談時は「いつ頃までに家を手放す予定か」「仏壇と位牌をどうしたいか」の2点を先に伝えると話が早く進みます。檀家を離れる場合の離檀料は5万〜20万円程度が一般的とされますが、明確な基準はありません。金額と時期は住職に直接ご確認ください。
Q. 親族にはいつ、どう伝えればいいですか?
売却先を決めてからではなく、方針を決める前に一度伝えるほうが揉めにくくなります。事後報告は「相談してもらえなかった」という感情を生みやすいためです。伝える内容は、建物の状態・年間の維持費の実額・仏壇と位牌をどう供養するつもりか、の3点で足ります。すむたすの調査では、処分方針を親の生前に話し合っていた方は27.5%にとどまります。話し合った方の96%は、親の死後や何かあってから会話を始めています。話し始めが遅れるのはごく普通のことです。
Q. 思い出のある家を売ると後悔しませんか?
後悔を減らせるかどうかは、記録を残したかどうかで大きく変わります。引き渡し前に、外観・玄関・各部屋・庭・柱の傷を写真か動画で残しておくと、家がなくなった後も見返せます。家財は全部ではなく「一家にひとつ」を目安に選ぶと決めやすくなります。実家じまいの経験者調査では、半数以上が「事前にやっておけばよかったことがある」と回答しています。上位は処分費の確認・親と一緒の片づけ・売却価格の確認でした。
Q. 決めきれないので、しばらく放置してもいいですか?
放置は判断の先送りであって、供養にはなりません。誰も住まない家は換気されず湿気がこもるため傷みが早く、5年で解体費や修繕費が上がることがあります。加えて期限が2つあります。相続登記は2024年4月1日から義務化され、取得を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象です。相続空き家の3,000万円特別控除は、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡が条件です。気持ちの整理に時間をかけるのは自然なことですが、この2つの期限だけは先にご確認ください。
Q. 片づけが終わっていなくても査定を頼めますか?
頼めます。仏壇や家財が残ったままの状態でも、写真と住所からおおよその買取価格をお伝えできます。むしろ「片づけたら査定」の順にすると、費用をかけた後で金額が見合わないとわかることがあります。先に金額の目安を知ってから、供養と片づけの予算を決めるほうが安全です。査定だけのご依頼でも問題ありません。