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土地と建物の名義が別人|相続で起きる名義バラバラ問題と売却手順

空き家のミカタ編集部|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)
日本の住宅外観 土地と建物の名義が異なるケースのイメージ

相続が起きたとき、「土地は父名義、建物は母名義」「土地は兄、建物は弟」というように、土地と建物の名義が別々の人になることがあります。こうした「名義バラバラ」の状態は、売却や相続手続きを大きく複雑にします。

土地と建物の名義が別人でも、全員が合意すれば一体での売却は可能です。ただし1人でも反対すると手続きが止まり、放置すればするほど問題が大きくなります。

この記事では、名義バラバラになる原因・放置した場合のリスク・売却の具体的な手順・合意が取れない場合の対処法まで、順を追って説明します。

目次

  1. 土地と建物の名義が別人になる「3つのパターン」
  2. 名義バラバラのまま放置するリスク
  3. 名義バラバラでも売却できる?(回答:合意があれば可能)
  4. 売却の具体的な手順(4ステップ)
  5. 合意が取れない場合の対処法
  6. 買取業者を使うとスムーズな理由
  7. よくあるご質問

土地と建物の名義が別人になる「3つのパターン」

日本では土地と建物は法律上、独立した別々の不動産として扱われます(民法86条)。そのため、土地の所有者と建物の所有者が異なる状態は珍しくありません。代表的なパターンは次の3つです。

パターン1:相続で土地と建物を別々の人が相続した

最も多いのがこのケースです。たとえば「父が亡くなり、遺産分割協議で土地は長男・建物は次男が相続した」という状況です。それ自体は合法ですが、将来その不動産を売却したくなったとき、全員の合意が必要になります。

また、「父名義の土地のまま父が亡くなった(相続登記せず)」という場合も同様の問題が起きます。この場合はまず土地の相続登記を完了させることが先決です。

パターン2:親名義の土地に子が建物を建てた

親が所有する土地に、子が自分の名前で建物を建てたケースです。口頭の許可(使用貸借)のもとで建築が行われることが多く、地代の支払いもないのが一般的です。

この場合、土地は親名義・建物は子名義という状態が続き、親が亡くなると土地が相続財産になります。複数の相続人がいれば、誰が土地を引き継ぐかで揉める可能性があります。

パターン3:売買や生前贈与で名義が分かれた

以前は一般的だった「土地を売買したが建物はそのまま」「生前贈与で土地だけ子に移転した」というケースです。登記の手続きを後回しにして放置してきた不動産も多く、数十年経過してから問題が表面化することがあります。


名義バラバラのまま放置するリスク

不動産書類を確認する相談シーン

「今すぐ売るわけではないから」と名義バラバラの状態を放置しておくと、次のような問題が起きます。

リスク1:相続が重なるたびに名義人が増える

名義人のうちの1人が亡くなると、その持分が新たな相続人に分割されます。これが繰り返されると(数次相続)、最終的には10人・20人以上が名義人に連なることもあります。名義人が増えるほど全員合意を取るのが難しくなり、売却が事実上不可能になるケースもあります。

リスク2:相続登記義務化の罰則対象になる

2024年4月1日から相続登記が義務化されました(不動産登記法改正)。相続を知った日から3年以内に登記申請をしない場合、10万円以下の過料の対象になります。さらに、2024年4月1日以前に発生した相続も対象で、猶予期限は2027年3月31日です。

すでに名義の整理ができていない方は、早急に司法書士に相談することをお勧めします。

リスク3:売却・リフォーム・担保設定ができない

不動産を売却・担保に入れる・大規模リフォームをするには、名義人全員の同意が必要になります。名義バラバラの状態では、一方の名義人が同意しないだけで何もできなくなります。急いでまとまった現金が必要な時、名義の問題がネックになることは珍しくありません。


名義バラバラでも売却できる?(回答:合意があれば可能)

土地と建物を一体として売却するには、土地の名義人と建物の名義人、全員が売却に合意し、売買契約にそれぞれが署名または委任状を提出する必要があります。

逆に言えば、全員が「売りたい」と合意しているなら、名義がバラバラでも通常の売却手続きで進められます。

一方、土地だけ・建物だけを単独で売却することも法律上は可能です。ただしこの場合、購入者が見つかりにくいという現実があります。土地だけ買っても建物を撤去できない、建物だけ買っても土地を自由に使えないためです。通常の不動産市場では、土地のみ・建物のみの売却は買取業者(訳あり専門)に依頼するのが現実的です。


売却の具体的な手順(4ステップ)

不動産の鍵と書類 売却プロセスのイメージ

名義バラバラの不動産を売却する流れを、4つのステップで説明します。

STEP 1:現在の名義を確認する

まず法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、土地・建物それぞれの名義人(所有権者)を確認します。1通600円程度で取得でき、オンライン申請(登記・供託オンライン申請システム)も利用できます。

「誰が名義人か把握していない」というケースが実際に多くあります。まずここから始めることが重要です。

STEP 2:相続登記を完了させる

名義人がすでに亡くなっている場合、先に相続登記(名義変更)を完了させる必要があります。相続人全員で遺産分割協議書を作成し、司法書士に依頼して登記手続きを進めます。

費用の目安は司法書士報酬5〜15万円+登録免許税(固定資産評価額×0.4%)です。複数の相続が絡む場合や相続人が多い場合は、費用が高くなることがあります。

STEP 3:全名義人から売却の合意を取る

土地・建物それぞれの名義人に売却の意思確認を行い、合意書面を作成します。遠方に住んでいる名義人については、委任状を作成することで代理人が手続きを進めることも可能です。

1人でも反対するとこのステップで止まります。次のセクションで合意が取れない場合の対処法を説明します。

STEP 4:不動産業者・買取業者に依頼して売却を進める

全員の合意が得られたら、不動産業者または買取業者に依頼して売買契約・決済を進めます。複数の名義人がいる場合、決済当日は全名義人の立会いまたは委任状が必要です。

売却代金は持分や出資比率に応じて配分します(通常は遺産分割協議書や合意書に従います)。


合意が取れない場合の対処法

名義人の一方が「売りたくない」「連絡がつかない」という場合、次の方法を検討します。

方法1:遺産分割調停(家庭裁判所)

相続人間で合意できない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。調停委員が入り話し合いをサポートします。調停でも合意できなければ審判に移行し、裁判所が分割方法を決定します。

審判では「換価分割(不動産を売却して代金を分ける)」が命じられることもあります。

方法2:自分の持分のみ買取業者に売却する

土地または建物の自分の持分だけを売却することは法律上可能です(共有持分の自由な処分)。訳あり物件の買取専門業者であれば、こうした持分のみの買取に対応しています。

ただし、持分のみの売却価格は一体売却より低くなる傾向があります。また、買取業者が持分を取得した後、共有物分割請求(民法258条)を通じて不動産全体の解決を図る場合があります。

方法3:不在者財産管理人の選任

名義人が行方不明(連絡がとれない)の場合、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てることができます(民法25条)。選任された管理人が行方不明者の代わりに遺産分割協議や売却手続きに関与できます。


買取業者を使うとスムーズな理由

訳あり物件の買取専門業者に依頼することで、名義バラバラの物件をスムーズに手放せるケースがあります。

名義状況を把握した上で現況査定

買取業者は複雑な権利関係に慣れています。「土地と建物の名義が別々」「相続登記がまだ」「相続人が複数いて合意形成が必要」といった状況でも、まず現況で査定し、どのように進めるか提案してくれます。

登記手続きのサポートが受けられる

提携司法書士を紹介してもらえる場合があり、相続登記・遺産分割協議書の作成・名義変更までワンストップで対応してもらえることがあります。登記費用を売却代金から精算できる仕組みを取る業者もあります。

一般市場より早く現金化できる

仲介売却の場合、買主が見つかるまで数か月〜1年以上かかることがあります。買取業者であれば最短数日〜数週間で現金化でき、固定資産税の負担や相続登記の遅延リスクを抑えられます。仲介手数料もかかりません。

過去の相談事例では「兄が土地・弟が建物を相続し、どちらも管理できず困っていた」というケースで、両者が買取に合意し、登記手続きも含めて2か月で解決したというケースがありました。


よくあるご質問

Q. 土地と建物の名義が別々でも、一緒に売却できますか?
A. できます。ただし土地の名義人と建物の名義人の全員が売却に同意し、それぞれが売買契約に署名する必要があります。1人でも反対すると一体売却は進められません。

Q. 相続登記をしないままだとどうなりますか?
A. 2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。2024年4月1日以前の相続は猶予期限2027年3月31日です。早急に司法書士に相談することをお勧めします。

Q. 名義人が行方不明の場合はどうすればいいですか?
A. 家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てることができます(民法25条)。選任された管理人が不在者の代わりに遺産分割協議や売却に関与できます。弁護士または司法書士に相談してください。

Q. 建物だけを壊して土地を更地にして売ることはできますか?
A. 建物の名義人が解体に同意すれば可能です。ただし解体費用は物件の規模によって100万〜500万円程度かかります。また、建物名義人の同意なしに解体することは法律上許されません。

Q. 買取業者に依頼すると、仲介より安くなりますか?
A. 買取価格は仲介売却より1〜3割程度低くなることが多いです。ただし仲介手数料がかからず、早期に現金化でき、名義が複雑な状態でも対応してもらえるメリットがあります。まずは査定を受けて、価格と条件を比較してから判断することをお勧めします。


まとめ

土地と建物の名義が別々の状態は、相続の場面で頻繁に起きます。放置するほど名義人が増え、解決が難しくなります。

  • 土地と建物の名義が別人でも、全員合意があれば一体売却は可能
  • まず「登記事項証明書」で名義人を確認し、名義人が亡くなっている場合は相続登記が先決
  • 相続登記は2024年義務化・3年以内。遅らせると10万円以下の過料の対象に
  • 合意が取れない場合は調停・審判・共有持分買取などの手段がある
  • 名義が複雑な物件は訳あり物件の買取専門業者に相談すると、登記サポートを含めてスムーズに進む場合がある

まずは現在の名義状況を確認することが第一歩です。「自分の場合はどう対応すればいいか」と迷っている方は、無料で相談できる専門家や買取業者に状況を伝えてみてください。


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