空き家のミカタ

訳あり物件5種類の売却難易度を比較|タイプ別の最適な売り方を宅建業者が解説

宅建業者|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)

Q: 訳あり物件とは何ですか?種類は何がありますか? A: 訳あり物件とは、再建築不可・事故物件・共有持分・相続アパート・空き家の5種類に大別される、法律上・物理的・心理的な理由で通常の不動産取引では売りにくい物件の総称です(法律上の定義はなく不動産業界の実務用語)。種類ごとに売却難易度・最適な売り方が大きく異なり、再建築不可・共有持分は買取専門業者への直接売却が現実的な唯一の選択肢になるケースがほとんどです。

古い空き家の外観 訳あり物件5種類の比較解説のイメージ

訳あり物件とは? — 宅建業者による要点解説

  • 定義:法律上・物理的・心理的な理由で通常の不動産取引では売りにくい物件の総称(法律上の定義はなく、不動産業界の実務用語)
  • 主な5種類:再建築不可・事故物件・共有持分・相続アパート・空き家
  • なぜ売りにくいか:一般の買主・仲介会社では取り扱いを断られることが多い。ローン審査が通らないケース、心理的抵抗、法的制限などが主な理由
  • 売却の現実的な選択肢:買取専門業者なら現況のまま・最短2週間で現金化できるケースが多い(仲介手数料不要)
  • 価格の目安:種類・状態によって市場価格の30〜80%程度(詳細は下表参照)

訳あり物件を売りたいと思って不動産会社に相談したのに、「うちでは取り扱えません」と断られてしまった——そんな経験をお持ちの方は少なくありません。

訳あり物件にはいくつかの種類があり、種類によって売却の難しさも最適な売り方もまったく異なります。同じ「訳あり」でも、空き家と再建築不可物件では事情が大きく違います。

この記事では、代表的な5種類の訳あり物件(再建築不可・事故物件・共有持分・相続アパート・空き家)を売却難易度・仲介での売りやすさ・買取業者の対応状況の3つの軸で比較し、タイプごとの最適な売却方法を解説します。

訳あり物件とは?代表的な5つのタイプ

「訳あり物件」とは、法律上・物理的・心理的な理由で通常の不動産取引では売りにくい物件の総称です。法律で定義された用語ではありませんが、不動産業界では主に以下の5タイプに分類されます。

タイプ概要主な問題点
再建築不可建て替えができない物件建築基準法の接道義務を満たさない
事故物件心理的瑕疵がある物件過去に事故・事件が発生している
共有持分複数人が権利を持つ物件全員の合意なしに売却・活用が困難
相続アパート相続で取得した収益物件築古・管理コスト・空室リスク
空き家住人がいない物件老朽化・管理義務・税負担増のリスク

それぞれ「何が訳ありなのか」がまったく異なるため、売却の難しさも対策も違います。次のセクションで3つの軸から一覧比較してみましょう。

【一覧比較】5種類の売却難易度・仲介の成約しやすさ・買取対応

以下の表は、各タイプの訳あり物件を3つの評価軸で横断比較したものです。

不動産査定で使用する書類と電卓 訳あり物件の売却比較イメージ
種類売却難易度仲介での成約買取業者の対応買取価格の目安
再建築不可非常に難しいかなり厳しい対応可能な業者あり市場価格の50〜70%程度
事故物件難しい事故内容による対応可能自然死:70〜90% / 事件:50〜70%
共有持分難しい持分のみはほぼ不可対応可能な業者あり市場価格の30〜50%程度
相続アパートやや難しい条件次第で可能対応可能市場価格の60〜80%程度
空き家比較的売りやすい状態次第で可能対応可能市場価格の70〜90%程度

※上記は一般的な傾向を示した目安です。立地・物件の状態・築年数などの個別条件で大きく変わります。

ここで注目したいのは、仲介での売却が難しいタイプほど、買取専門業者の存在が重要になるという点です。再建築不可や共有持分は一般の買い手がほぼつかないため、買取が現実的な唯一の選択肢になるケースが多くあります。

以下、各タイプの特徴と具体的な売却方法を解説します。

タイプ①:再建築不可物件(売却難易度:最も高い)

再建築不可物件とは

再建築不可物件とは、今ある建物を取り壊すと新たに建物を建てられない物件です。建築基準法第43条で定められた「接道義務」——幅員4m以上の道路に敷地が2m以上接していること——を満たしていない場合に該当します。

都市部の古い住宅密集地に多く、東京都内だけでも相当数の再建築不可物件が存在しています。

なぜ売りにくいのか

  • 建て替え不可:老朽化しても新築に建て替えられないため、将来のリスクが大きい
  • 住宅ローンが使えない:ほとんどの金融機関が融資対象外としている
  • 担保評価がつかない:金融機関の担保として認められにくい

住宅ローンが使えないということは、買主は原則として現金一括購入になります。それだけでターゲットが大幅に絞られます。

売却方法

仲介での売却はかなり困難です。買取専門業者であれば、隣地の買い増しによる接道確保やセットバック(道路後退)の可能性を検討したうえで購入するため、仲介より売却が成立しやすくなります。

再建築不可物件の詳しい売却方法は再建築不可物件の買取ガイドで解説しています。

タイプ②:事故物件(売却難易度:高い)

事故物件とは

事故物件とは、過去に人の死が発生し、心理的瑕疵(かし)として告知義務が生じる物件のことです。国土交通省が2021年10月に策定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」で告知の範囲が整理されました。

告知義務の範囲(国交省ガイドラインの概要)

死因居住用の賃貸居住用の売買
自然死・日常生活の不慮の事故原則告知不要原則告知不要
自殺・殺人・火災による死亡発生から概ね3年間は告知必要告知必要(期間制限なし)
特殊清掃が行われた自然死発生から概ね3年間は告知必要告知必要

※売買の場合、自殺・殺人等は経過年数にかかわらず告知が必要です。

売却への影響

自然死であれば、売却価格への影響はほとんどありません。一方、自殺や殺人事件の場合は相場から大幅に下がる傾向があります。

事故物件の買取業者は告知事項がある物件を数多く取り扱っているため、仲介で断られた場合でも売却できる可能性があります。告知義務の詳細は心理的瑕疵の告知義務ガイドで解説しています。

タイプ③:共有持分(売却難易度:高い)

共有持分とは

共有持分とは、一つの不動産を複数人で所有している状態で、各所有者が持つ権利の割合のことです。典型的なのは、親が亡くなった後に兄弟姉妹で不動産を共同相続したケースです。

なぜ売りにくいのか

  • 物件全体の売却には共有者全員の同意が必要(民法251条)
  • 共有者間で「売りたい」「売りたくない」の意見が対立すると何年も塩漬けになる
  • 自分の持分だけの売却は法律上可能だが、一般の買い手はまず見つからない

売却方法

最善の方法は共有者全員で合意して物件全体を売却することです。全体売却であれば市場価格に近い金額での売却が期待できます。

全員の合意が得られない場合は、自分の持分だけを買取専門業者に売却する方法があります。持分のみの売却では価格が大幅に下がりますが、共有関係のストレスから解放されるメリットがあります。共有持分の売却について詳しくは共有持分の買取ガイドをご覧ください。

タイプ④:相続アパート(売却難易度:やや高い)

相続アパートの問題

相続で取得したアパートは、賃貸経営の判断と相続手続きの両方を同時に求められるため、対応が複雑になりがちです。

  • 築年数が古い:修繕費がかさみ、想定していた利回りが確保できない
  • 管理の負担:入居者対応・設備メンテナンス・空室対策が必要
  • 相続人間の意見相違:「家賃収入があるから持ち続けたい」「管理が面倒だから売りたい」で揉めやすい
  • 相続登記の義務化:2024年4月から相続登記が義務化され、放置すると過料のリスクがある

売却方法

入居者がいるアパートでも、「オーナーチェンジ」で売却が可能です。入居者はそのまま住み続け、所有権だけが新しいオーナーに移ります。退去を待つ必要はありません。

仲介でも売却できるケースはありますが、築古・旧耐震基準(1981年5月以前)・空室が多い場合は買取の方が確実で早いです。相続アパートの買取については相続アパートの買取ガイドで詳しく解説しています。

タイプ⑤:空き家(売却難易度:比較的低い)

空き家の問題

5種類の中では最も売却しやすいタイプですが、放置するとリスクが膨らみます。

  • 特定空き家の指定:空家等対策の推進に関する特別措置法(空家対策特措法)により、管理不全な空き家は「特定空き家」に指定され、固定資産税の住宅用地特例が解除されて税負担が最大6倍
  • 管理不全空き家:2023年12月13日施行の改正法で新設された区分。特定空き家の前段階でも税優遇が解除される可能性がある
  • 近隣への損害賠償:屋根材の飛散や塀の倒壊で第三者にケガを負わせた場合、所有者が賠償責任を負う(民法717条・土地工作物責任)

売却方法

状態が比較的良い空き家は仲介でも売却可能です。ただし、以下のケースでは買取が有利です。

  • 築40年以上で大規模修繕が必要な場合
  • 残置物(家財道具等)が大量にある場合
  • 遠方にあり現地対応が難しい場合
  • 相続税の納税期限など、早急に現金化が必要な場合

空き家の買取について詳しくは空き家の買取ガイドをご覧ください。

仲介と買取、どちらを選ぶべきか

宅建業者に不動産売却の相談をしている風景

訳あり物件の売却方法は大きく分けて「仲介」と「買取」の2つです。以下の基準を参考に判断してみてください。

仲介が向いているケース

  • 物件の状態が比較的良い(リフォームなしで住める、すぐ使える)
  • 売却に3〜6ヶ月以上の時間をかけられる
  • 駅近・都市部など需要が見込めるエリアにある
  • 訳ありの程度が軽い(築浅の空き家、自然死の告知のみ 等)

買取が向いているケース

  • 再建築不可・共有持分など、仲介では買い手がつかない物件
  • 早く売りたい(買取なら最短1〜2週間で現金化できるケースもあり)
  • 物件に複数の問題がある(残置物・雨漏り・シロアリ被害 等)
  • 手間をかけたくない(遠方在住・本業が忙しい 等)
  • 周囲に知られたくない(事故物件・離婚に伴う売却 等)

宅建業者の視点:「まず仲介に出して、売れなかったら買取に切り替える」という段階的なアプローチもあります。ただし、再建築不可や共有持分のように仲介での成約が見込みにくいタイプの場合は、最初から買取業者に相談した方が時間を無駄にしません。

訳あり物件を少しでも高く売るための4つのポイント

訳あり物件であっても、以下のポイントを押さえることで査定額に差が出ます。

①複数の業者に査定を依頼する

最低でも3社以上の買取業者に査定を依頼してください。訳あり物件の査定は、業者ごとの知見・販路・再生ノウハウによって金額が大きく変わります。1社だけの査定で判断するのは、損をする可能性があります。

②書類をできるだけ揃える

以下の書類を事前に用意しておくと、査定がスムーズに進み、評価も上がりやすくなります。

  • 登記簿謄本(登記事項証明書)
  • 固定資産税の納税通知書
  • 建築確認済証・検査済証
  • 測量図・境界確認書
  • アパートの場合:賃貸借契約書・レントロール(賃料一覧)

③訳あり物件の専門業者を選ぶ

一般的な不動産会社は訳あり物件の取り扱い経験が少なく、適正な査定ができないことがあります。訳あり物件を専門に扱う買取業者は、独自の再生ノウハウや販路を持っているため、より高い金額が出る傾向にあります。

④残置物は可能な範囲で整理する

大量の残置物(家財道具等)がある場合、撤去費用を差し引いた査定額になることがあります。ご自身で処分できるものは事前に整理しておくと、その分だけ査定額が上がる可能性があります。ただし、無理に費用をかけて業者に依頼する必要はありません。買取業者が残置物込みで引き受けてくれるケースも多いです。

まとめ:訳あり物件は「種類に合った売り方」で解決する

訳あり物件は「売れない」のではなく、「売り方を間違えると売れない」というのが実情です。

種類おすすめの売却方法
再建築不可買取専門業者への相談が第一選択
事故物件告知事項が軽微なら仲介も可能。重い場合は買取
共有持分全員合意で全体売却が最善。合意できない場合は持分買取
相続アパート築浅・好立地なら仲介も。築古・空室多なら買取
空き家状態が良ければ仲介も可能。老朽化が進んでいれば買取

まずはご自身の物件がどのタイプに当てはまるかを確認し、そのタイプに合った方法で動き出すことが大切です。「訳あり物件だから売れない」と諦める前に、専門業者に相談することで道が開けるケースは数多くあります。

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