空き家のミカタ

相続アパートの原状回復トラブル|退去費用の負担基準と現況買取で解決する方法【2026年版】

空き家のミカタ編集部|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)

Q: 相続したアパートで退去費用(原状回復費)のトラブルが起きやすいのはなぜですか? A: 相続後は修繕記録・入居時写真がなく、管理会社との関係も引き継ぎが不十分になりがちです。古い契約書に不当な特約が含まれているケースも多く、負担区分をめぐって入居者とトラブルになりやすい状況です。

結論:退去費用の負担は「国交省ガイドライン」で明確に整理されています。相続アパートで揉めやすいのは「書類が引き継がれていない」「古い特約が残っている」ことが原因です。トラブルが長引く・管理が負担になった場合は、入居者付きのまま現況買取を選ぶことで問題ごと解決できます。

「親が亡くなってアパートを相続したら、入居者の退去時に原状回復費をめぐって揉めてしまった」「退去費用を請求したら借主に拒否された。どこまで請求できるのかわからない」——こうしたご相談は、相続アパートを引き継いだ直後のオーナーから特に多くいただきます。

原状回復トラブルは全国的に増加しており、独立行政法人国民生活センターへの相談件数は年間1万件を超えています。相続したアパートで特に問題になりやすいのは、「親の代に締結した古い契約書の中身が引き継がれていない」「入居時の状態を示す記録がない」という状況です。

この記事では、国交省ガイドラインに基づく退去費用の負担基準、相続アパートで多いトラブル事例、解決手順、そして「原状回復問題ごとアパートを手放す方法(現況買取)」まで順を追ってお伝えします。

原状回復義務の基本|何を・誰が負担するか

「原状回復」の法律的な定義

原状回復とは、退去時に部屋を入居時の状態に戻す義務のことです。ただし、民法・判例・国交省ガイドラインでは「どこまで戻す義務があるか」が具体的に定められています。

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(平成23年改訂版)」の定義は以下の通りです。

「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復元すること」

つまり、通常の生活で自然に生じる汚れ・傷(経年劣化・通常損耗)は家主負担、借主の不注意や故意による損傷は借主負担というのが基本的な考え方です。

負担区分の一覧表

損傷の種類 負担者 具体例
日焼けによるクロスの変色 家主 窓際の壁紙の色あせ
経年劣化による畳の変色 家主 長期入居による自然な傷み
画鋲の穴(通常の使用範囲) 家主 絵画・カレンダーを掛けた穴
タバコのヤニ・臭いによる変色 借主 壁・天井のヤニ汚れ
ペットによる傷・臭い 借主 フローリングの引っかき傷
故意・過失による穴・傷 借主 ドアの穴、壁の大きな傷
入居前からあった損傷 家主 前入居者の残した傷
結露を放置してできたカビ 借主 定期的な換気を怠った場合
アパートの壁面補修作業 原状回復工事のイメージ

耐用年数のルールも重要

「借主負担」と判断できる損傷でも、素材の耐用年数を超えた分は家主負担になります。

  • 壁紙(クロス):耐用年数6年。入居6年以上なら残存価値は1円(実質0%)
  • フローリング:耐用年数は建物の耐用年数に準ずる(木造なら22年)
  • :耐用年数6年(表替えの場合)

例えば、入居7年の借主がタバコを吸っていてクロスが汚れた場合、クロスの耐用年数6年を超えているため、張り替え費用の請求額は「残存価値相当(1円)」が原則です。全額請求は認められません。

相続アパートで特に多いトラブル事例

ケース1:古い契約書に「全額借主負担」特約がある

相続した親の代の賃貸契約書に「退去時の原状回復費用は一切借主負担とする」という特約が含まれているケースがあります。

このような特約は、最高裁判所の判決(最判平成17年12月16日)や消費者契約法(2001年施行)の観点から、一方的に有利すぎる特約として無効とされることがあります。特に書面での説明・合意が不十分だった場合は、請求が認められないリスクがあります。

ケース2:入居時写真・チェックシートがない

相続前から長期入居の入居者がいる場合、入居時の損傷状態を示す記録が残っていないことがほとんどです。「この傷は退去時についたものか、入居前からあったものか」を証明できないと、借主側から「元からあった傷だ」と反論されます。

証拠がなければ、家主側が不利になります。

ケース3:敷金の有無・金額が不明

親が管理していたアパートの場合、敷金をどこに保管していたか・金額はいくらか、相続人が把握していないケースがあります。管理会社に預けている場合は引き継ぎ手続きが必要です。敷金が不明なまま退去精算を進めると、後から「敷金を返してくれ」と請求されるトラブルが起きます。

ケース4:長期入居で経年劣化が大きい

築古アパートは入居者の入居年数が長いことも多く、経年劣化・通常損耗が進んでいます。この場合、修繕が必要な箇所が多くても、大半が家主負担になります。「修繕費用が高い=借主に全額請求できる」という誤解からトラブルになりやすい状況です。

退去費用の負担について相談するオーナーのイメージ

退去費用トラブルへの対処手順

ステップ1:管理会社から書類を取り寄せる

相続後まず行うべきは、管理会社(もしくは親が管理していた書類の中)から以下を確認することです。

  • 賃貸借契約書(特約の確認)
  • 入居時チェックシート・入居時写真
  • 敷金の預かり証・管理状況
  • 過去の修繕履歴

書類が存在しない場合は、その旨を記録しておきます。

ステップ2:国交省ガイドラインで項目別に整理する

退去時の損傷を一覧にし、ガイドラインの基準で「家主負担/借主負担」を項目別に振り分けます。借主負担と判断した項目については耐用年数を考慮した残存価値ベースで請求金額を算出します。

ステップ3:退去精算書を書面で提示する

請求内容を「根拠(ガイドライン・契約条項)」「金額の算出方法」「耐用年数の考慮」を明示した書面で提示します。口頭だけのやり取りはトラブルの元です。

ステップ4:合意できない場合の選択肢

選択肢 内容 コスト目安
話し合いによる和解 双方の合意で精算金額を決定 費用なし
弁護士への相談 法律的な見解・交渉代行 1回無料相談〜数万円
少額訴訟 60万円以下の請求に利用可。1回の審理で解決 数千円(印紙代等)
オーナーチェンジ売却 入居者付きのまま買取業者に売却 仲介手数料なし

「現況のまま売却」で退去費用問題ごと解決する方法

原状回復トラブルへの対応は、法律の知識・証拠の整理・交渉・場合によっては訴訟と、相続人にとって大きな時間的・精神的負担になります。特に遠方に住む相続人、高齢の相続人にとっては、対処が難しい状況です。

こうした場合の選択肢として、アパートを「現況のまま」専門の買取業者に売却することで、原状回復問題ごと手放す方法があります。

現況買取のしくみ

相続人 → 現況のまま売却 → 訳あり不動産専門の買取業者

                     退去精算・修繕・次の活用は買取業者が対応
  • 入居者がいる「オーナーチェンジ」状態でも売却可能
  • 退去費用・原状回復問題が未解決でも買取可能
  • 仲介手数料なし・最短1〜2週間で現金化
  • 買取後の修繕・退去交渉は買取業者が担当

現況買取が向いているケース

  • 原状回復トラブルが解決できず長期化している
  • 管理会社との関係が引き継げていない
  • 遠方に住んでいて現地対応が難しい
  • 築古で修繕費が多額になる見込みがある
  • 早く手放して相続税や固定資産税の負担を終わらせたい

「トラブルを解決してから売る」ではなく「問題ごと引き受けてもらう」という選択肢です。査定・相談は無料ですので、まず状況をお伝えいただくことが第一歩です。

よくある質問

Q: 敷金ゼロの契約でも、借主の過失による損傷の修繕費は請求できますか?

A: はい、請求できます。敷金ゼロの場合でも、借主の故意・過失による損傷の修繕費は借主負担です(民法第709条・賃貸借契約の義務)。ただし請求するには書面による証拠(入居時の状態・退去時の損傷の写真等)が必要です。

Q: 「ハウスクリーニング費用は借主負担とする」という特約は有効ですか?

A: 国交省ガイドラインでは通常のハウスクリーニングは家主負担とされていますが、特約として「借主が負担することを認識していた」「特約の内容が合理的な範囲」「書面で明示されていた」の3要件を満たせば有効とされることがあります。ただしこの要件の立証は難しく、判例でも判断が分かれています。

Q: 相続人が複数いる場合、退去費用トラブルへの対応はどうするのですか?

A: 遺産分割協議でアパートの管理者(代表相続人)を決め、その方が窓口となって対応します。アパートを共有名義のまま放置すると、管理の決定ができず対応が滞りやすいです。売却を選ぶ場合も全員の合意が必要なため、方針は早めに決定することをお勧めします。

相続アパートの処分全体については「相続アパートを手放したい方へ|完全ガイド【2026年版】」もあわせてご覧ください。

まとめ

相続アパートの原状回復・退去費用について整理します。

  1. 負担の基本:通常損耗・経年劣化は家主(相続人)負担、借主の故意・過失は借主負担。耐用年数を超えた分は家主負担
  2. 相続後の特有問題:古い特約・書類の不備・敷金管理の引き継ぎ漏れが主な原因
  3. 対処手順:書類取り寄せ → ガイドラインで整理 → 書面で提示 → 合意できなければ専門機関へ
  4. 現況買取という選択肢:トラブルが長引く・管理が負担な場合は、入居者付きのまま現況売却することで問題ごと解決できる

「退去費用トラブルが続いている」「もうアパートを手放したい」方へ

「空き家のミカタ」では、原状回復トラブルが未解決の相続アパートも現況のまま査定・買取しています。退去精算・修繕・管理の問題を整理する前に、まずは無料相談でご状況をお聞かせください。

LINEで無料相談する

「空き家のミカタ」を友だち追加してください

フォームで相談する


このカテゴリの全ガイド一覧: → 相続不動産 完全ハブ【2026年版】

無料査定の相談準備メモを作る →

相続不動産の出口戦略 — 完全ガイド

相続登記を放置した実家、まだ売れる?罰則が始まった今、3つの選択肢を宅建業者が解説【2026年版】

関連する売却ガイド

相続登記を放置した実家、まだ売れる?罰則が始まった今、3つの選択肢を宅建業者が解説【2026年版】

2024年4月から相続登記が義務化、10万円以下の過料が現実に。放置してきた実家でも今すぐ売れる方法があります。①今すぐ登記②登記と売却を同時並行(費用先出し不要)③相続人申告登記でつなぐ——3つの選択肢のメリット・費用・スケジュールを宅建業者が比較解説します。

鍵がない・立会いできない場合の相談準備|相続不動産

相続した不動産の鍵が見つからない、現地で立ち会える人がいない。そんな状態でも相談は始められます。鍵と立会いの状況を6通りに分けた伝え方と、相談の前に確かめておくことをまとめました。

解体費用は確定申告でどう扱う|相続した家の取壊し費用を取得費と譲渡費用に振り分ける【2026年版】

相続した家の解体費用を確定申告でどう計上するかを、国税庁の条文どおりに整理しました。売るために壊したなら譲渡費用(No.3255)、土地を使うために買って壊したなら取得費(No.3252)。賃貸物件の必要経費、相続税の債務控除との違い、3,000万円特別控除と取壊しの期限、大阪市の実家を解体して1,800万円で売った場合の税額シミュレーションまで、宅地建物取引業者が整理しています。

ご相談はこちら

相続・空き家・訳あり不動産のお悩み、
状況だけでもお聞かせください

相談だけで大丈夫です。売るかどうか決まっていなくても構いません。しつこい勧誘や営業電話は一切いたしません。

1

友だち追加

下のボタンを押すだけ。登録情報の入力は不要です

2

状況を送る

大阪・近畿の物件の場所と状況を、わかる範囲で送ってください。写真があればより正確です

3

代表が返信

買取できるか・いくらくらいかを、代表の八木が原則24時間以内にお答えします

\ いま友だち追加すると、5つの実用資料をプレゼント /

  • ① 空き家の維持費・放置コスト計算シート(書き込み式)
  • ② 相続した家の売却 期限つき段取りチェックシート
  • ③ 相続登記・売却の必要書類チェックリスト(取得先つき)
  • ④ 悪質な買取業者を見抜く10のチェックリスト
  • ⑤ 大阪市24区 空き家補助金・窓口 早見表 2026

友だち追加後、トークに「特典」と送るとその場で5枚まとめて届きます(無料)

LINEで無料相談する

友だち追加後、トークで話しかけてください(24時間受付)

代表の八木 宏樹が直接対応します

合同会社アルシェ(宅建業免許: 大阪府知事(1)第65646号)

メール: info.arshe@arshe-corp.com

相談・査定 無料秘密厳守大阪・近畿対応しつこい勧誘なし

\ 友だち追加で5大特典 / 維持費計算シートなど実用PDF進呈中

LINEで無料相談査定の相談準備入力任意・無料