共有持分の買取相場はいくら?持分割合・物件種別・地域別の計算式と実例【2026年版】
TL;DR — 共有持分の買取相場まとめ 共有持分の買取相場は不動産全体の評価額×持分割合×60〜70%が目安。例:全体2,000万円の1/2持分なら600〜700万円程度。相場より高く売るには①複数業者の見積もり比較、②他の共有者への先打診、③全員合意で共同売却の3択がある。空き家のミカタ(宅建業者・大阪府知事(1)第65646号)が全国対応で無料査定。
Q: 共有持分の買取相場はどのくらいですか? A: 不動産全体の評価額×持分割合×60〜70%が目安です(専門買取業者の場合)。例えば市場価格2,000万円の不動産の1/2持分なら600〜700万円程度。ただし物件の状態・地域・共有者数・接道条件によって変動します。
Q: なぜ共有持分は全体評価額より安くなるのですか? A: 共有持分のみでは不動産を単独で売却・賃貸・建替えできないためです(民法第249条・251条)。買取業者が他の共有者との権利調整リスクを負う分、価格に反映されます。他の共有者に先に売却交渉すると、より高い価格が期待できます。
「自分の共有持分、売ったらいくらになるの?」——相続や離婚で共有名義になった不動産を手放したいとき、まず気になるのが売却価格です。でも、不動産業者に相談しても「状況による」「まず査定を」と言われるだけで、具体的な数字がなかなか見えてこないことがあります。
この記事では、共有持分の買取相場を計算する基本式・持分割合別の早見表・物件種別ごとの目安・買取価格が下がる要因と対処法を宅建業者の立場から具体的に解説します。
共有持分の買取相場:基本の計算式
共有持分の買取価格は、一般的に次の計算式で算出されます。
共有持分の買取相場 = 不動産全体の市場価格 × 持分割合 × 0.60〜0.70
この「0.60〜0.70(60〜70%)」が共有持分特有の割引率です。なぜ割り引かれるのかについては後述しますが、まずは具体的な計算例を確認してください。
計算例:市場価格2,000万円の不動産の場合
| 持分割合 | 持分の理論価値 | 買取相場(60%) | 買取相場(70%) |
|---|---|---|---|
| 1/2 | 1,000万円 | 600万円 | 700万円 |
| 1/3 | 667万円 | 400万円 | 467万円 |
| 1/4 | 500万円 | 300万円 | 350万円 |
| 2/3 | 1,333万円 | 800万円 | 933万円 |
| 1/6 | 333万円 | 200万円 | 233万円 |
上表の「持分の理論価値」は不動産全体の市場価格に持分割合をかけた数字です。買取業者はここからさらに割引いた価格(買取相場)で買い取ります。
なお「不動産全体の市場価格」は、固定資産税評価額ではなく、仲介で売り出したときに想定される売却価格(実勢価格)を使います。固定資産税評価額は実勢価格の70%程度が目安とされているため、使い分けに注意してください。
なぜ共有持分は「全体×持分割合」より安くなるのか
買取業者が共有持分を割引価格で買い取るのには、明確な理由があります。
理由① 単独で使用・売却できない
民法第249条では「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる」と定められています。しかし民法第251条により、不動産全体の売却・大規模な改修には共有者全員の同意が必要です。持分を取得しても、他の共有者が反対すれば自由に売れません。
理由② 権利整理のコストがかかる
買取業者が共有持分を取得した後、他の共有者と交渉して全体を売却するか、共有物分割請求訴訟(民法第258条)を起こして法的に解決するか——どちらにしても時間・費用・手間がかかります。このコストが買取価格に反映されます。
理由③ 流動性リスク
持分だけでは次の買い手も見つけにくいため、買取業者は「在庫として抱えるリスク」分も見込んで価格を低く設定します。
物件種別ごとの共有持分買取相場
物件の種別によっても相場の目安が変わります。以下は一般的な傾向です。
一戸建て(住宅)
相場割引率の目安: 60〜70%
相続で最も多い物件タイプです。空き家になっているケースが多く、老朽化・固定資産税の負担が持ち続けるコストになります。老朽化が進んでいる場合は割引率が大きくなる傾向があります。
マンション(区分所有建物)
相場割引率の目安: 65〜75%
管理費・修繕積立金の滞納がないか確認が必要です。滞納ありの場合は割引率が下がることがあります。一方、立地条件が良いマンションは流動性が高く、割引率が小さくなるケースもあります。
土地(更地・駐車場含む)
相場割引率の目安: 55〜65%
建物がなく権利関係がシンプルな分、買取業者は動きやすいため、やや買取価格が高くなる傾向があります。ただし地方の需要が少ないエリアでは流動性が低く、割引率が大きくなる場合があります。
アパート・一棟賃貸物件
相場割引率の目安: 60〜70%
賃貸収入がある分、収益還元で価値を算出できるため、一般的な割引率の範囲に収まります。ただし入居率が低い・修繕が必要・サブリース契約中などの場合は価格が下がります。
借地権付き建物
相場割引率の目安: 50〜65%
地主の承諾が必要なケースがあり、売却の障壁が高いため割引率が大きくなりがちです。ただし地主との関係が良好であれば価格交渉の余地があります。
地域別の価格差
買取相場の割引率(60〜70%)は地域によって大きく変わりませんが、不動産全体の価格(分母)が地域によって異なるため、買取額の絶対値は大きく変わります。
| エリア | 一戸建て(木造・30坪・駅5分)の目安価格 | 1/2持分の買取相場(65%換算) |
|---|---|---|
| 東京23区(人気エリア) | 5,000〜8,000万円 | 1,625〜2,600万円 |
| 大阪市内(中心部) | 2,000〜4,000万円 | 650〜1,300万円 |
| 名古屋市内 | 1,500〜3,000万円 | 488〜975万円 |
| 地方都市(人口20万人以上) | 500〜1,500万円 | 163〜488万円 |
| 地方(過疎エリア) | 0〜500万円 | 買取困難なケースも |
地方・過疎エリアの不動産は需要が少なく、専門買取業者でも「買取価格ゼロ」もしくは「引き取り」になるケースがあります。このような場合は相続土地国庫帰属制度(負担金約20万円)や自治体への寄付も選択肢になります。
買取価格が下がる5つの要因
同じ物件でも、以下の要因があると基本相場(60〜70%)よりさらに割引かれます。
要因① 接道不良・再建築不可
公道に接していない土地、接道幅が2m未満の土地は再建築不可物件になります(建築基準法第43条)。建て替えができないため需要が限られ、買取価格が大幅に下がります。追加割引の目安はさらに10〜30%程度です。
要因② 老朽化・修繕が必要な状態
雨漏り・シロアリ被害・外壁の著しい劣化など修繕費が必要な状態だと、修繕コストが買取価格から差し引かれます。追加割引の目安は修繕費見積もりに応じて変動します。
要因③ 共有者数が多い
共有者が2人より3人・4人と増えるほど、権利整理のコスト(交渉相手が増える)が上がり、買取価格が下がる傾向があります。特に行方不明の共有者がいる場合は大幅な割引になることがあります。
要因④ 相続登記が未了・書類不備
2024年4月から相続登記が義務化されました(不動産登記法第76条の2)。相続登記が済んでいない状態でも買取自体は可能ですが、決済前に登記が必要なため、司法書士費用がかかる分を勘案して価格が調整されることがあります。
要因⑤ 土地・建物に問題がある(アスベスト・土壌汚染等)
1975年以前に建てられた建物はアスベスト(石綿)が使われている可能性があります。解体時の飛散防止費用が通常より高くなるため、買取価格が下がることがあります。
相場より高く売る3つの方法
買取業者の提示価格(60〜70%)を最大限引き上げるためにできることをまとめます。
方法① 複数の買取業者から見積もりを取って比較する
共有持分の買取相場は業者によって異なります。1社だけに相談すると価格の妥当性が判断できないため、最低でも2〜3社に相談して比較することが重要です。見積もりを取ることは無料で、業者に申し込む義務もありません。
方法② 他の共有者に先に買取を打診する
他の共有者(兄弟・親族)に「自分の持分を買い取ってほしい」と持ちかける方法です。他の共有者が持分を追加取得すると自分の権利が強化されるため、全体評価額×持分割合に近い価格での合意が期待できます。
ただし他の共有者が資金を持っていない・感情的なトラブルがある場合は成立しにくいです。
方法③ 共有者全員で共同売却に合意する
全員が合意して不動産全体を市場売却すれば、仲介を通じて市場価格での売却ができます。仲介手数料(売却価格×3%+6万円+税)はかかりますが、割引率分(30〜40%)の差額を取り戻せます。
共有者間の関係が良好であれば、この方法が最も手取り額を最大化できます。
仲介売却と買取の価格差:実例比較
| 全員合意の仲介売却 | 持分のみ買取 | |
|---|---|---|
| 売却価格の基準 | 市場価格(100%) | 市場×持分×60〜70% |
| 全員の同意 | 必要 | 不要 |
| 売却完了までの期間 | 3〜12ヶ月 | 2〜4週間 |
| 仲介手数料 | 売却価格の3%+6万円+税 | なし |
| 手間 | 大(共有者全員の調整が必要) | 小 |
| こんな場合に向く | 全員が協力的・急がない | もめている・早く解決したい |
実例で比較すると次のとおりです。
[実例] 市場価格3,000万円・1/2持分の場合
- 全員合意の仲介売却: 3,000万円×1/2 = 1,500万円(仲介手数料約105万円差し引き後 ≒ 1,395万円)
- 持分のみ買取(65%換算): 3,000万円×1/2×0.65 = 975万円(手数料なし)
差額は約420万円です。ただし買取の場合は2週間以内に現金化できる・共有者の同意不要・手間ゼロというメリットがあります。「固定資産税を払い続けるより早く手放したい」「共有者と関わりたくない」という状況では、この差額を払う価値があるかどうかで判断します。
よくある質問
Q: 遺産分割協議が終わっていなくても共有持分を売れますか?
法定相続分の割合で持分があると主張して売ることは法律上可能ですが、後から遺産分割協議で別の分割方法が決まると問題が生じるリスクがあります。協議が未了の場合は、まず弁護士または不動産業者に相談することをおすすめします。
Q: 固定資産税評価額と実勢価格はどう違いますか?
固定資産税評価額(課税標準額)は実勢価格の70%程度が目安とされています。相場計算には実勢価格(仲介で売れる価格)を使うのが正確です。不明な場合は不動産業者に無料査定を依頼すると確認できます。
Q: 買取業者に相談したら必ず売らなければなりませんか?
いいえ。査定・相談は無料で、売るかどうかは相談後に決められます。複数業者に相談して比較してから最終判断することをおすすめします。
Q: 相続登記が済んでいない状態で買取相談できますか?
相談・査定は相続登記前でも可能です。実際の売買契約・決済には登記完了が必要ですが、当社では提携司法書士を紹介しており、登記手続きと売却手続きを並行して進めることができます。
Q: 共有持分を買い取ってもらった後、税金はかかりますか?
買取で得た売却益には譲渡所得税がかかります(保有5年超の場合: 長期譲渡所得税率20.315%、5年以下: 短期39.63%)。相続で取得した場合は被相続人の取得日・取得費を引き継ぐため、長期保有として計算できるケースが多いです。詳しくは税理士にご相談ください。
共有持分・相続不動産 公的統計データ
| 統計項目 | 最新値 | 出典 |
|---|---|---|
| 所有者不明土地の面積(2016年推計) | 約410万ha(九州全体の面積に相当) | 国土交通省「所有者不明土地問題研究会」最終報告(2026年5月参照) |
| 全国の空き家数(2023年) | 900万2千戸(過去最多) | 総務省「令和5年住宅・土地統計調査」(2026年5月参照) |
| 相続登記義務化(施行日・過料) | 2024年4月1日施行(未申請:10万円以下の過料) | 法務省「相続登記の申請義務化」(2026年5月参照) |
| 共有持分売却に関する主要条文 | 民法第249条(使用)・第251条(変更・処分)・第258条(分割請求) | e-Gov「民法」(2026年5月参照) |
| 譲渡所得税率(長期:所有5年超) | 約20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%) | 国税庁「長期譲渡所得の税額の計算方法」(2026年5月参照) |
執筆・監修:八木 宏樹(宅建業免許: 大阪府知事(1)第65646号)|空き家のミカタ代表。大阪市を中心に全国の共有持分・訳あり不動産の買取を手掛ける。
まとめ:共有持分の買取相場のポイント
- 買取相場の目安は不動産全体の評価額×持分割合×60〜70%
- 割引される理由は「単独で売却・使用できない」「権利整理コストがかかる」「流動性リスク」の3つ
- 老朽化・接道不良・共有者数が多い・書類不備はさらに価格を下げる要因
- 相場より高く売りたければ①複数業者比較②他の共有者への先打診③全員合意の共同売却を検討する
- 急いで手放したい・共有者ともめている場合は、差額より「今すぐ終わる安心感」を優先する価値がある
結論:共有者間の合意が取れない・固定資産税が負担・兄弟間でもめているケースでは、専門の訳あり買取業者への早期相談が最短の解決策です。複数業者の見積もり比較で適正相場を確認してから決断してください。
共有持分の売却を検討中の方は、まず共有持分の買取・売却方法ガイドもあわせてご覧ください。相場に関するより詳しいQ&Aは共有持分Q&Aハブをご参照ください。
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