離婚の持分買取を大阪で進める手順|相手が同意しない家の4つの出口【2026年】
結論|離婚の持分買取を大阪で考えるなら、先に「全体を売れるか」を判定する
離婚の持分買取を大阪で検討している方が最初に決めるべきことは、買取業者選びではありません。その家を「全体として売れるか」「自分の持分だけを売るしかないか」のどちらなのかを判定することです。ここを飛ばして持分だけの買取を進めると、手元に残る金額が本来の6割前後まで落ちることがあります。
判定は3つの質問で済みます。
- 相手と連絡が取れて、売却の話ができますか → できるなら全体売却が最も手残りが大きい
- 住宅ローンの抵当権は残っていますか → 残っているなら持分だけの買取はほぼ成立しない
- 離婚はいつ成立しましたか → 2026年4月1日以後なら財産分与の請求期間は5年、それ以前なら2年
この3つが揃わないとき、つまり相手が売却に同意しない・連絡が取れない・話し合いの糸口がないときに初めて、自分の共有持分だけを手放す「持分買取」が現実的な出口になります。共有持分は各共有者が単独で処分できるため、自分の持分を第三者に譲渡することについて相手の同意は要りません。
以下では、この判定の中身と、4つの出口それぞれの手残り・期間・相手への影響を順に整理します。数字と制度はすべて2026年9月6日時点の公的資料を出典として付けました。
【初めて売却する方向け】離婚の持分買取で最初に押さえる4つの言葉
不動産の話は言葉が難しく、そこで止まってしまう方が多いところです。この記事を読むために必要なのは次の4つだけです。
共有名義:ひとつの不動産を複数人で持っている状態。登記簿には「持分2分の1 山田太郎」のように、誰が何分の何を持っているかが書かれています。婚姻中にペアローンや共同出資で家を買った場合、夫婦の共有名義になっていることがほとんどです。
共有持分:共有名義の不動産のうち、自分が持っている割合そのもの。「家の右半分」という意味ではなく、家全体に対する権利の割合です。この持分は自分の財産なので、自分だけの判断で売ることができます。
財産分与:離婚のときに、婚姻中に夫婦で築いた財産を分け合う制度。まずは夫婦の協議で決め、まとまらない場合は家庭裁判所に請求します。名義がどちらか一方でも、婚姻中に築いた財産であれば対象になります。
持分買取:自分の共有持分だけを買取業者に売って現金化すること。相手の同意なしに進められる代わりに、全体を売るより価格は下がります。
この4つが分かれば、以下の内容はすべて読めます。専門用語が出てくるところには、その都度かみ砕いた説明を付けました。
相手が売却に同意しない家の4つの出口|手残り・期間・相手への影響を並べる
離婚で共有名義の家が残ったとき、取りうる道は次の4つです。それぞれの性格が大きく違うので、先に全体像を置きます。
| 出口 | 相手の同意 | 手残りの目安 | 決着までの期間 | 相手への影響 |
|---|---|---|---|---|
| ①持分買取(自分の持分だけを売る) | 不要 | 全体評価×持分割合×60〜70% | 最短2週間〜1か月 | 見知らぬ第三者が共有者になる |
| ②共有物分割請求(裁判所) | 不要 | 分割方法により変動 | 半年〜1年以上 | 訴えられる立場になる |
| ③財産分与で全体を売る | 必要 | 全体評価×持分割合の満額に近い | 3か月〜1年 | 双方が現金を得る |
| ④相手が持分を買い取る | 必要 | 代償金の額次第 | 1〜3か月 | 相手に資金負担が生じる |
手残りだけを見れば③が最も大きく、期間だけを見れば①が最も短いという関係になっています。どちらを優先するかを先に決めておかないと、比較そのものが進みません。
現場で多いのは、③を試そうとして相手が応じず、半年〜1年を消耗したあとに①へ切り替える流れです。③を試す期限を自分の中で決めてから始めると、時間の損失を抑えられます。
出口①持分買取|自分の共有持分だけを大阪の買取業者に売る

自分の持分を第三者に譲渡することについて、他の共有者の同意は必要ありません。これが持分買取の最大の特徴です。相手が「売らない」と言っていても、相手が家に住み続けていても、自分の権利だけを切り離して現金化できます。
手続きは通常の不動産売買と同じで、買主(買取業者)と売買契約を結び、所有権移転登記を行って決済します。買取業者が直接の買主になるため、購入希望者を探す期間が要らず、大阪市内であれば査定から決済まで最短2週間〜1か月程度で進みます。
一方で、価格は全体を売るより下がります。買取業者は持分だけを取得しても、その不動産を自由に使ったり売ったりできないからです。取得後に他の共有者と交渉するか、共有物分割請求を起こす必要があり、その手間とリスクが価格に反映されます。
もうひとつ、知っておいていただきたいことがあります。持分を第三者に売ると、その第三者が元配偶者の新しい共有者になります。相手にとっては、見知らぬ会社が突然共有者として登場することになるため、感情的な摩擦が生じる可能性があります。これは避けられない構造なので、覚悟のうえで選ぶ出口だとお考えください。
なお、売却を検討している段階で相手に知られるかどうかについては、共有持分は兄弟に内緒で査定できる?知られるのは登記のあとに整理しています。査定の段階では相手に通知は行きません。
出口②共有物分割請求|2023年4月の民法改正で「賠償分割」が明文化された
共有関係そのものを裁判所に解消してもらう方法です。2023年4月1日施行の民法改正で、この手続きの中身が大きく整理されました。
改正前の民法では、裁判による共有物の分割方法として現物分割と競売分割が挙げられており、裁判所はまず現物分割の可否を検討したうえで、現物分割が困難な場合に競売分割を命ずることができるとされていました(旧民法258条2項)。判例では、共有物を共有者のうちの一人の単独所有とし、その者から他の共有者に持分の価格を金銭で支払わせる「賠償分割」も認められていましたが、明文の規定がありませんでした。
改正法では、この3つの方法が次のように整理されています(法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」)。
- 現物分割:共有物を共有持分割合に応じて物理的に分ける方法
- 賠償分割:共有物を共有者の一人(または複数)の所有にし、取得した者が他の共有者に代償金を支払う方法
- 競売分割:共有物を競売により第三者に売却し、売却代金を持分割合に応じて分ける方法
そのうえで、賠償分割が可能であることが新民法258条2項に明文化され、①現物分割・賠償分割のいずれもできない場合、または②分割によって共有物の価格を著しく減少させるおそれがある場合に競売分割を行うという検討順序が明確化されました(新民法258条3項)。裁判所が当事者に対して金銭の支払・物の引渡し・登記義務の履行その他の給付を命ずることができることも明文化されています(新民法258条4項)。
離婚案件で意味を持つのは、戸建てやマンション1室は現物分割ができないため、実務上は賠償分割か競売分割になるという点です。相手に代償金を払う資力があれば賠償分割、なければ競売分割で現金化して分ける形になります。競売は市場価格より安くなるのが通常なので、そこまで進む前に折り合いをつけたいところです。
期間は半年から1年以上かかります。訴訟を起こすということは、相手を被告にするということでもあります。子どもとの関係が続く場合は、この点も含めて弁護士と相談してください。
なお改正法では、共有者の一部が不特定・所在不明で協議ができない場合でも裁判による共有物分割ができることが明確化され(新民法258条1項)、裁判所の決定を得て所在等不明共有者の不動産の持分を取得する制度も新設されています(新民法262条の2)。相手が家を出たまま行方が分からないケースでは、この制度が選択肢に入ります。
出口③財産分与で全体を売る|2026年4月から請求期間が5年に伸びた
最も手残りが大きいのは、夫婦で合意して家を全体として売り、代金を分ける方法です。仲介で市場に出せば市場価格で売れますし、買取でも持分売却より高くなります。
この道を残せるかどうかを決めるのが財産分与の請求期間です。2026年4月1日に施行された改正民法(令和6年法律第33号)で、この期間が変わりました。法務省民事局のパンフレット(2026年1月改訂)には、次のように書かれています。
これまで、この財産分与の請求をすることができる期間が、離婚後2年に制限されていましたが、今回の改正により、離婚後5年を経過するまで請求できるようになります(民法等改正法の施行前(令和8年3月31日以前)に離婚した夫婦が財産分与の請求をすることができる期間は、離婚後2年となりますので、御注意ください。)。
つまり2026年4月1日以後に離婚した方は5年、2026年3月31日以前に離婚した方は従来どおり2年です。ご自身がどちらに当たるかを、戸籍で離婚日を確認して判定してください。ここを取り違えると、使えるはずの制度を使い損ねます。
同じ改正で、財産分与にあたって考慮すべき要素も条文上に例示されました。婚姻中に取得または維持した財産の額、財産の取得または維持についての各自の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力および扶助の状況、各自の年齢・心身の状況・職業・収入の6つです。このうち寄与の程度については、直接収入を得るための就労だけでなく家事労働や育児の分担なども含まれることから、原則として夫婦対等(2分の1ずつ)とされています。
さらに、裁判手続を進めやすくするため、家庭裁判所が当事者に対して財産情報の開示を命じることができる制度も新設されました。相手が財産を明かさないために話が進まなかったケースでは、この制度が効きます。
協議がまとまらない場合の入口は、家庭裁判所の夫婦関係調整調停(離婚)です。申立ては夫または妻が行い、申立先は相手方の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所、費用は収入印紙1,200円分と連絡用郵便切手(金額は裁判所ごとに異なる)です。離婚に際しての財産分与や年金分割の割合、慰謝料についても一緒に話し合えます。別居先が滋賀など大阪府外にある場合でも、相手方の住所地の家庭裁判所が申立先になる点は変わりません。
出口④相手が持分を買い取る|代償金が用意できるかで決まる
相手が家に住み続けたいと言っている場合、相手が自分の持分を買い取る形が最もきれいに収まります。相手は住まいを維持でき、こちらは現金を得て共有関係から抜けられます。
この方法が成立するかどうかは、相手が代償金を用意できるかの一点にかかっています。住宅ローンが残っている場合はさらに、相手が単独で借り換えできるかどうかも問われます。共働きを前提としたペアローンや連帯債務では、相手の単独収入では審査が通らないことが少なくありません。
見落とされやすいのが、名義を外しても債務は消えないことです。連帯債務者や連帯保証人になっている場合、登記上の持分を相手に移しても、金融機関に対する返済義務はそのまま残ります。債務者の変更には金融機関の承諾が必要で、承諾が得られなければ、家を出たあとも相手のローンの保証人であり続けることになります。この点は必ず借入先の金融機関に確認してください。
ここで登記の税金にも触れておきます。土地の所有権移転登記の登録免許税は、課税標準が固定資産課税台帳に登録された価格で、税率は次のとおりです(国税庁 No.7191 登録免許税の税額表)。
| 登記の原因 | 税率 |
|---|---|
| 相続、法人の合併または共有物の分割 | 1,000分の4 |
| 売買 | 1,000分の20(令和11年3月31日までの登記は1,000分の15) |
| その他(贈与・交換・収用・競売等) | 1,000分の20 |
「共有物の分割」による移転登記は1,000分の4(0.4%)で、その他の原因による移転登記1,000分の20(2%)の5分の1です。同じ「相手に持分を渡す」でも、どの原因で登記するかによって税額が5倍変わります。固定資産税評価額2,000万円の土地なら、8万円と40万円の差です。どの原因で登記できるかは事案によるため、司法書士に相談したうえで進めてください。建物については別の区分があるので、あわせて確認が必要です。
住宅ローンが残っている持分は売れるのか|抵当権が付いたままの持分の扱い
離婚の持分買取で最も多く止まるのが、ここです。
住宅ローンを借りるとき、金融機関は不動産全体に抵当権を設定します。共有名義であっても、抵当権が付くのは持分ではなく不動産そのものです。したがって、自分の持分だけを第三者に売っても、抵当権は消えません。買主は「いつ競売にかけられて権利を失うか分からない持分」を買うことになります。
この状態で買い手が付くことは、実務上ほとんどありません。抵当権が残っている限り、持分買取は現実的な出口になりにくいとお考えください。
では、どうするか。順序は次のとおりです。
- 残債と市場価格を比べる:金融機関に残高証明書を請求し、不動産会社に無料査定を依頼します。売却価格が残債を上回る(アンダーローン)か、下回る(オーバーローン)かで道が分かれます。
- アンダーローンなら全体売却:売却代金でローンを完済して抵当権を外し、残った現金を分けます。共有名義でも、双方が売却に同意すれば通常どおり売れます。
- オーバーローンなら任意売却を検討:金融機関の同意を得て、抵当権を外してもらったうえで売る方法です。競売より高く売れることが多く、残債の分割返済の交渉余地もあります。手続きの流れは任意売却とは?競売との違いと手続きの流れにまとめています。
- どちらの合意も取れないなら共有物分割請求へ:金融機関の抵当権は残ったままですが、裁判所の手続きで共有関係を解消する道が残ります。
登記事項証明書は法務局で取得できます。手数料は書面請求600円、オンライン請求・送付520円、オンライン請求・窓口交付490円です(法務省「登記手数料」)。まずはこれを1通取って、乙区に抵当権が残っているかを見るところから始めてください。
大阪 共有持分買取の価格はどう決まるのか|離婚案件で減額される3つの理由
大阪 共有持分買取の価格は、次の式が出発点になります。
不動産全体の評価額 × 持分割合 × 60〜70%
全体2,000万円の不動産の1/2持分なら、600万円〜700万円程度が目安です。この60〜70%という掛け目が共有持分特有の割引で、買取業者が取得後に共有関係を解消するまでの手間・期間・リスクを織り込んだものです。全体の評価額を自分で概算する手順は共有持分はいくらで売れる?大阪市の路線価から自分で計算する4ステップに、掛け目の内訳は共有持分の買取相場はいくら?にまとめています。
離婚案件では、この基本の掛け目からさらに下がることがあります。理由は3つです。
理由1:元配偶者が住み続けている。買取業者が持分を取得しても、居住者がいる限り建物を使えません。明け渡しの見通しが立たない物件は、その分だけ評価が下がります。相手が家賃相当額を支払っていない場合、業者が取得後に不当利得の返還を求める交渉が必要になることもあり、その手間も価格に乗ります。
理由2:交渉相手が感情的になりやすい。相続の共有と違い、離婚の共有は当事者同士の関係が悪化していることが前提です。取得後の交渉が難航する見込みが高いほど、業者は保守的な価格を出します。
理由3:持分割合が小さい。1/2ずつであれば対等ですが、頭金の拠出比で1/3や1/4になっているケースでは、共有物の管理に関する決定権が弱くなります。共有物の管理に関する事項は持分の過半数で決するため、過半数に届かない持分は取得後にできることが限られ、価格に反映されます。
逆に言えば、相手が既に転居していて建物が空いている、持分が1/2ある、抵当権が外れているの3つが揃えば、掛け目は基本の水準に近づきます。
離婚の持分買取で動く税金|財産分与で渡した側に譲渡所得税がかかる
ここは、知らないまま進めると後から通知が来て驚くところです。
国税庁「No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき」には、財産分与として土地建物などを渡した場合、分与した人に譲渡所得の課税が行われると書かれています。収入金額になるのは、分与した時の土地や建物などの時価です。現金を1円も受け取っていなくても、時価で売ったものとして課税されうるということです。
分与を受けた側については、同じページに「分与を受けた人は、分与を受けた日にその時の時価で土地や建物を取得したことになります」とあります。したがって将来その不動産を売るときの長期・短期の判定は、婚姻中に買った日ではなく財産分与を受けた日を基準にします。
税率は所有期間で変わります。譲渡した年の1月1日で所有期間が5年を超える長期譲渡所得は所得税15%・住民税5%、5年以下の短期譲渡所得は所得税30%・住民税9%です(復興特別所得税は基準所得税額の2.1%)。財産分与を受けた日から5年以内に売ると短期の税率が適用されるため、受け取った家をすぐ売ろうとしている方は注意が必要です。
購入時の契約書が見つからず取得費が分からない場合は、売った金額の5%相当額を概算取得費とすることができます。ただし実際の取得費がこれより大きければ、その分だけ税負担が重くなります。離婚の荷物整理で売買契約書を捨ててしまうことが本当にあるので、家を出る前に必ず確保してください。
マイホームを売ったときの3,000万円特別控除については、「親子や夫婦など『特別の関係がある人』に対して売ったものでないこと」が要件のひとつです。特別の関係がある人には、生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人なども含まれます。離婚が成立する前に配偶者へ分与すると、この要件に触れる可能性があります。適用可否は個別事情で変わるため、税理士にご確認ください。
大阪市24区・地域別に見る離婚時の共有不動産の詰まり方(現場視点)

同じ大阪市内でも、区によって詰まり方が違います。令和5年住宅・土地統計調査(大阪市)の数字と、実際の相談で見えてくる傾向を重ねます。
大阪市の住宅総数は1,827,900戸、うち空き家は294,600戸で空き家率は16.1%です。区別に見ると、空き家数は西成区22,870戸が最も多く、生野区20,890戸、東淀川区20,390戸と続きます。空き家率では西成区25.9%が最も高く、次いで生野区22.8%です。
住宅の建て方では、共同住宅が1,142,500戸で住宅数の75.1%を占め、全国の44.9%を大きく上回っています。一戸建は344,200戸(22.6%)、長屋建は31,200戸(2.1%)です。
この構成が、離婚案件の詰まり方に直結します。
中心部(北区・中央区・西区・浪速区)は共同住宅の割合が90%を超えます。分譲マンション1室の共有名義が中心で、現物分割ができないため賠償分割か売却の二択になります。一方で流動性が高く、全体を売る合意さえ取れれば決着は早い地域です。
周辺部(生野区・東住吉区・旭区など)は一戸建の割合が高く、生野区は45.0%(31,750戸)が一戸建です。建物が古く、共有名義のまま誰も住まなくなって空き家化する例が目立ちます。空き家率の高い西成区・生野区では、離婚から数年経って初めて「そういえばあの家どうなっている」と相談に来られるケースが実際にあります。
放置している間に相手が亡くなると、その持分は相手の相続人へ移ります。話し合う相手が元配偶者1人から、再婚相手や子ども複数人へ増えるということです。共有関係は時間が経つほど当事者が増える方向にしか動きません。
古家付き土地 大阪の離婚案件|建物を残すか壊すかで買取価格が変わる
築年数の古い戸建てが共有名義で残っている場合、その物件は市場では古家付き土地として扱われることがあります。古家付き土地 大阪の案件で判断が分かれるのが、建物を残したまま売るか、解体してから売るかです。
結論から言えば、共有名義のままでは解体できません。建物の取り壊しは共有物の変更行為にあたり、共有者全員の同意が必要です。相手が同意しない以上、解体という選択肢はそもそも取れません。
2023年4月施行の改正民法では、共有物に変更を加える行為であっても、形状または効用の著しい変更を伴わないもの(軽微変更)については持分の過半数で決定できることになりました(新民法251条1項・252条1項)。ただし建物の取り壊しは軽微変更にあたらず、全員同意が必要な変更行為のままです。
したがって離婚の共有案件では、現況のまま(古家付き土地の状態で)売れるかどうかが現実的な論点になります。当社のように現況で買い取る業者であれば、荷物が残っていても、建物が傷んでいても、解体を前提にせず査定できます。解体費用を売主が負担する必要もありません。
なお、相手と合意して全体を売る場合は、解体してから売るか古家付きで売るかの比較が意味を持ちます。大阪市には狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度など、条件を満たせば解体費の補助を受けられる制度がありますが、共有名義だと申請段階で全員の同意を求められて止まるのが実情です。制度の内容と申請窓口は大阪市の空き家解体補助金【令和8年度】で確認できます。
大阪 空き家 長屋 買取センター的な窓口を探す前に|長屋の持分は単独では動かない
「大阪 空き家 長屋 買取 センター」のような言葉で窓口を探している方に、先にお伝えしておきたいことがあります。長屋は、持分の問題に加えて隣家との問題が重なります。
大阪市の長屋建は31,200戸で、前回調査から14,600戸(31.9%)減少しました。住宅数に占める割合は2.1%ですが、区によって偏りがあり、長屋建の割合は生野区6.5%(4,590戸)が最も高く、次いで西成区5.8%(3,800戸)です。
長屋は隣の住戸と構造的につながっているため、1戸だけを取り壊すには隣家の同意(切り離し同意)が要ります。ここに離婚の共有名義が重なると、元配偶者の同意と隣家の同意という2つの同意が必要になり、単独では何も動かせません。長屋の切り離しに必要な同意については大阪の長屋の切り離しに必要な同意に整理しています。
この状況で使えるのは、やはり持分買取です。自分の持分の譲渡には、元配偶者の同意も隣家の同意も要りません。長屋の共有持分は一般の仲介では買い手が付きにくいため、長屋を扱った実績のある買取業者に直接あたるのが早い道になります。
離婚後に誰も住まなくなった家|大阪市の空き家売却で先に決める2つのこと
離婚後、どちらも住まないまま共有名義で残している家は、大阪市の空き家売却の相談として持ち込まれることが多いパターンです。この場合、先に決めておくことが2つあります。
1つめは、固定資産税を誰が払っているかです。共有名義の不動産の固定資産税は、共有者全員が連帯して納める義務を負います。実際には代表者1人に納税通知書が届き、その人が払い続けている状態になりがちです。何年も一方だけが負担していると、あとで清算の話になったときに争点になります。いつから誰がいくら払ったかを、納付書と通帳で記録として残しておいてください。
2つめは、建物を残したまま放置するリスクです。空き家は雨漏り・シロアリ・外壁の落下といった劣化が進み、近隣に被害が出れば所有者としての責任を問われます。共有名義であれば、その責任も共有者全員が負います。相手が管理していないからといって、自分だけが責任を免れるわけではありません。
大阪市の空き家率は16.1%で、294,600戸の空き家があります。放置された共有物件がその一部を構成しているのが現状です。使わないと決めた時点で手放すのが、金銭的にも責任の面でも最も損失が小さい選択になります。
相手の同意が取れないなら、繰り返しになりますが自分の持分だけを手放す道があります。査定は無料で、査定を受けたからといって売る義務は生じません。
大阪法務局の相続登記相談は財産分与の登記にも使えるのか|登記手続案内の中身
「大阪 法務局 相続登記相談」で窓口を探している方が多いので、制度の中身を正確に書いておきます。
法務局が行っているのは登記手続案内という制度です。内容は次のとおりです(法務局「登記手続案内」)。
- 完全予約制
- 1回当たり20分以内
- 電話・法務局窓口での対面・ウェブ会議サービスから選択できる
- 行うのは「登記申請書の作成等に必要な情報の提供」であり、申請書の作成代行ではない
- 自身で手続することが難しい場合は、司法書士・土地家屋調査士に代理を依頼することが案内される
大阪法務局の予約は「登記手続案内予約及び各種お問合せ」のページから申し込みます。相続登記に限った制度ではないので、財産分与による所有権移転登記についても手続の案内を受けられます。ただし20分という時間の制約があり、どの登記原因を選ぶべきかといった判断そのものは対象外です。前述のとおり登記原因によって登録免許税が5倍変わるため、判断が必要な場面では司法書士に相談してください。
あわせて注意していただきたいのが、相続登記の義務化です。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をする義務があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。義務化は2024年4月1日からで、施行前に相続を知った不動産は2027年3月31日までが期限です(法務省「相続登記の申請義務化についてのよくある質問」)。離婚と相続が重なっている家——たとえば夫婦の共有名義の家で、片方の親からの相続分が混ざっているようなケースでは、この期限が別途動いています。
弁護士に相談すべきケースと不動産会社に相談すべきケースの分かれ目
離婚と不動産が絡むと、どこに相談すればいいのか分からなくなります。窓口の分かれ目をはっきりさせておきます。
| 相談内容 | 窓口 |
|---|---|
| 慰謝料・親権・養育費を含む離婚条件全体 | 弁護士 |
| 財産分与の調停・審判、共有物分割請求訴訟 | 弁護士 |
| 相手と連絡が取れず、法的手続で解決したい | 弁護士 |
| その不動産がいくらで、どういう順序で手放せるか | 不動産会社 |
| 自分の持分だけを売れるか、いくらになるか | 不動産会社(買取業者) |
| 所有権移転登記、登記原因の選択 | 司法書士 |
| 譲渡所得の申告、3,000万円特別控除の可否 | 税理士 |
大阪府内で弁護士を探す場合は、大阪弁護士会や日本司法支援センター(法テラス)の窓口が入口になります。市区町村の無料法律相談を利用する方法もあります。
順序としては、先に不動産会社で数字を出し、その数字を持って弁護士に相談するのが効率的です。「この家がいくらで売れるか」が分からないまま調停を進めても、何を主張すべきかが決まりません。査定書があれば、財産分与の話し合いでも根拠のある数字を出せます。査定は無料ですし、査定を受けても売る義務は生じません。
離婚による売却が得意な会社を強み別に見分ける5つの確認項目
「離婚による売却が得意」と書いている会社は多くありますが、実態は分かれます。強み別に見分けるための確認項目を5つ挙げます。電話やメールで質問すれば答えが返ってくる内容なので、そのまま使ってください。
1. 買主なのか、仲介なのか。自社が買主として直接買い取るのか、買い手を探す仲介なのかで、期間も費用も変わります。買取なら仲介手数料はかかりません。ここを曖昧にする会社は避けてください。
2. 共有持分だけの取得実績があるか。全体売却の実績が豊富でも、持分だけの取得は別の商売です。「持分だけの買取をこの1年で何件やりましたか」と聞けば分かります。
3. 抵当権が付いた状態でどう扱うか。抵当権が残っている持分について「問題ありません」と即答する会社は、実態を分かっていないか、後から条件を変えてくる可能性があります。「まず残債と価格を比べましょう」と返す会社が正常です。
4. 査定額の根拠を数字で説明できるか。「全体評価いくら × 持分割合 × 掛け目いくら」の形で内訳を出せるかどうかです。総額だけを提示して内訳を出さない会社は、あとから減額する余地を残しています。
5. 相手方への連絡の有無を事前に説明するか。持分買取では、決済前に相手方へ接触するかどうかが会社によって違います。いつ、どの段階で相手に知られるのかを事前に説明できる会社を選んでください。ここを聞かずに進めて、想定外のタイミングで相手に伝わるトラブルが実際にあります。
宅地建物取引業の免許番号は、国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで確認できます。免許番号を出していない会社とは取引しないでください。
共有持分の専門家に相談する前に手元に用意する書類(現場視点)

査定の精度は、渡していただく情報の量で決まります。次の3つがあれば、初回相談で概算の金額まで出せます。逆に、これが無いと「現地を見てから」で1週間が過ぎます。
必須の1つめ:登記事項証明書(登記簿謄本)。持分割合と抵当権の有無が一度に分かる、最も重要な資料です。法務局の窓口・郵送・オンラインで取得でき、手数料は書面請求600円、オンライン請求・送付520円、オンライン請求・窓口交付490円です。所有者本人でなくても取得できます。
必須の2つめ:固定資産税の納税通知書(課税明細書)。土地と建物の固定資産税評価額、地積、床面積が載っています。毎年4〜6月頃に届くものです。手元にない場合は、大阪市であれば市税事務所で評価証明書を取得できます。
必須の3つめ:住宅ローンの残高証明書。借入先の金融機関に請求します。年末に届く残高証明書でも構いません。アンダーローンかオーバーローンかの判定に直結します。
あると精度が上がるものとして、購入時の売買契約書(譲渡所得の計算に使う取得費の根拠)、間取り図、離婚協議書または調停調書(財産分与の取り決めがある場合)が挙げられます。
書類が揃わない状態でも相談は受け付けています。「登記簿がどこにあるか分からない」から始めていただいて構いません。所在地さえ分かれば、こちらで登記情報を確認できます。
よくある質問
Q. 離婚前でも自分の持分を売れますか。
A. 登記上の持分は自分の財産なので、法的には離婚前でも売却できます。ただし婚姻中に取得した不動産は財産分与の対象財産にあたるため、協議前に処分すると、その後の財産分与の話し合いや審判で不利に扱われる可能性があります。離婚前の売却は弁護士に相談してから判断してください。
Q. 相手が家に住み続けています。それでも持分を売れますか。
A. 売れます。ただし買取業者は取得後に建物を使えないため、価格は下がります。相手が家賃相当額を支払っていない場合、業者が取得後に持分に応じた使用料を請求する交渉に入ることになり、その難易度も価格に反映されます。
Q. 持分を売ったことは元配偶者に知られますか。
A. 所有権移転登記が完了した時点で登記簿に記載されるため、相手が登記を確認すれば分かります。査定の段階では相手に通知は行きません。決済前に業者から相手方へ連絡するかどうかは会社によって異なるので、契約前に確認してください。
Q. 財産分与の請求期間を過ぎてしまいました。もう何もできませんか。
A. 家庭裁判所への財産分与の請求はできなくなりますが、共有名義の登記そのものは残っています。自分の持分を売ることも、共有物分割請求をすることもできます。共有物分割請求には財産分与のような期間制限はありません。
Q. 相手が行方不明です。どうすればいいですか。
A. 2023年4月施行の改正民法で、裁判所の決定を得て所在等不明共有者の不動産の持分を取得する制度が新設されました(新民法262条の2)。所在等不明共有者は、持分を取得した共有者に対する時価相当額請求権を取得し、実際には供託金から支払を受けます。手続には裁判所の関与が必要なので、弁護士にご相談ください。自分の持分だけを売る道も並行して残っています。
Q. 査定を受けたら売らないといけませんか。
A. いいえ。査定は無料で、査定を受けたからといって売却の義務は生じません。財産分与の話し合いの材料として査定額だけを使っていただいても構いません。
まとめ|離婚の持分買取を大阪で進める判断順序
最後に、判断の順序だけをもう一度並べます。
- 登記事項証明書を1通取る。持分割合と抵当権の有無を確認する
- 抵当権が残っていれば、残債と査定額を比べる。持分だけの買取はここが片付かないと進まない
- 離婚日を確認する。2026年4月1日以後なら財産分与の請求期間は5年、それ以前なら2年
- 相手と話ができるかを見極める。できるなら全体売却が最も手残りが大きい
- できないなら、持分買取と共有物分割請求を比べる。期間を取るか、手残りを取るか
- 数字を先に出す。査定額が決まらないと、弁護士との相談も財産分与の話し合いも前に進まない
共有名義を放置しても、状況は良くなりません。時間が経つほど当事者が増え、建物は傷み、選択肢は減ります。動かせるものから動かしてください。
無料査定・ご相談はこちらから
「相手が売却に応じないまま何年も経った」「自分の持分だけでも売れるのか知りたい」「離婚してから一度も見に行っていない家がある」——その段階のご相談を歓迎しています。査定は無料で、査定を受けたからといって売却の義務は生じません。
空き家のミカタは、大阪市生野区に事務所を構える宅地建物取引業者です(大阪府知事(1)第65646号)。大阪市24区の空き家・長屋・再建築不可物件・共有持分を専門に扱っており、元配偶者と連絡が取れない・相手が住み続けている・荷物が残ったままという状態でも査定にお応えできます。当社が買主として直接買い取りますので、仲介手数料はいただきません。なお、登記の代理申請は司法書士へ、譲渡所得税の判断は税理士へ、慰謝料・親権を含む離婚条件そのものは弁護士へご確認ください。お手伝いできるのは、その不動産をいくらで、どういう順序で手放せるかという部分です。
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出典(2026年9月6日確認)
- 法務省民事局「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」(2026年1月改訂): https://www.moj.go.jp/content/001449160.pdf(財産分与の請求期間2年→5年、施行前の離婚は2年、考慮要素の例示、寄与の程度は原則2分の1、財産情報の開示命令)
- 法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html
- 法務省民事局「民法等の一部を改正する法律の施行期日について」(令和7年11月): https://www.moj.go.jp/content/001450931.pdf(施行期日=令和8年4月1日)
- 法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」: https://www.moj.go.jp/content/001444020.pdf(裁判による共有物分割の3方法と検討順序、給付命令、軽微変更、所在等不明共有者の持分取得)
- 国税庁「No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3114.htm
- 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
- 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm
- 国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm
- 国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm
- 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
- 裁判所「夫婦関係調整調停(離婚)」: https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_01/index.html
- 法務局「登記手続案内」: https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page_000001_00050.html
- 大阪法務局「登記手続案内予約及び各種お問合せ」: https://houmukyoku.moj.go.jp/osaka/toukisoudanyoyakuoyobikakushutoiawase.html
- 法務省「相続登記の申請義務化についてのよくある質問」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
- 法務省「登記手数料」: https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/
- 大阪市「令和5年住宅・土地統計調査結果(確報)概要」: https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000645/645639/R5zyuutyou-gaiyou.pdf(空き家率16.1%、区別空き家数・空き家率、建て方別住宅数、長屋建の区別構成比)
本記事は2026年9月6日時点の公表資料にもとづいて作成しています。法令・税制・統計は改正や更新があるため、実際の手続の前に各窓口で最新の内容をご確認ください。個別の事案についての法律判断は弁護士、登記は司法書士、税務は税理士の判断が優先します。