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大阪の持分買取|土地は単独名義・建物は共有のまま相続した家が売れない壁と解決策

空き家のミカタ編集部|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)

「土地はうちの名義になってるんです。建物だけが、兄と弟との3人共有のままで」——大阪で持分買取のご相談をお受けしていると、この形が驚くほど多く出てきます。

そして、多くの方がここで止まっています。土地は自分ひとりで売れるはずなのに売れない。建物は兄弟と話がつかない。結果、どちらも動かないまま固定資産税だけ払い続けている——という状態です。

大阪の古い木造家屋の外観。土地は単独名義・建物は共有のまま相続され、売却が止まっている実家の典型例

TL;DR — 大阪で持分買取を検討するとき、土地と建物の名義は別々に数えてください。土地が単独名義でも、他人の建物が建っている土地は単独では売れません。建物の共有持分も、土地を使う権利が付いてこないので単独では売れません。動くのは「土地の所有者と建物の共有者全員が、同じ買主に同時に売る」形です。共有者が行方不明でも民法262条の3で対応でき、判断に必要な確認は登記事項証明書1通から始まります。

結論|大阪で持分買取を考えるときは、土地と建物を別々に数える

不動産の登記は、土地と建物が別々の記録になっています。日本の法律では建物が土地とは独立した1個の不動産として扱われるためで、相続のときに土地と建物で違う分け方をしてしまうことが起こり得ます。

大阪で持分買取のご相談をいただいたとき、当社が最初に確認するのは金額でも物件の状態でもなく、この2行です。

  • 土地の名義は誰か。単独か、共有か
  • 建物の名義は誰か。単独か、共有か。共有なら誰が何分の何を持っているか

この2行が揃った瞬間に、取れる選択肢と、かかる期間と、手取りの見当がほぼ決まります。逆に言うと、この2行を確認しないまま「うちは共有だから売れない」と決めてしまっている方が、非常に多いということでもあります。

土地が単独名義で建物が共有という形は、共有持分の問題としては珍しく「土地が動かせる」という強い手札を1枚持っている状態です。この手札の使い方を知っているかどうかで、同じ物件でも結果が数百万円単位で変わります。

なぜ「土地は単独・建物は共有」が起きるのか|大阪の相続で多い3つの経路

この形は事故のように見えますが、実際は意図せず生まれることがほとんどです。当社が大阪市24区で見てきた範囲では、次の3つの経路に分かれます。

経路1:先代の相続で土地だけ名義を移した。祖父の代の相続で、価値の大きい土地だけを話し合って1人の名義にし、価値の小さい古い建物は「そのうちやる」で放置された、という形です。その後、建物の名義人が亡くなって建物だけが法定相続分で共有になります。

経路2:建て替え・増築のときの資金の出し方。親の土地に、子が資金を出して家を建てた、あるいは兄弟でお金を出し合って建て替えた、というケースです。土地は親の単独名義のまま、建物だけが出資割合で共有になります。親が亡くなって土地を1人が相続すると、この形が完成します。

経路3:遺産分割協議で建物を「後回し」にした。協議書に土地の分け方だけ書いて、建物は「別途協議する」としたまま止まっているパターンです。相続人が数人あるときは相続財産はその共有に属するため(民法898条1項)、協議がまとまらない建物は法定相続分の共有のまま残ります。

デスクで登記関係の書類にペンで記入する場面。土地と建物の登記事項証明書を別々に取得して名義と持分を確認する作業

いずれの経路でも、確認方法は同じです。法務局で、土地の登記事項証明書と建物の登記事項証明書を「別々に」取ってください。手数料は法務省の登記手数料表によれば書面請求で1通600円、オンライン請求・送付で520円、オンライン請求・窓口交付で490円です。誰でも取得できます。土地だけ取って安心してしまうと、建物の共有に気づかないまま話を進めることになります。

売れない壁①|建物を丸ごと売るには共有者全員の同意が要る(民法251条1項)

売れない壁①|建物を丸ごと売るには共有者全員の同意が要る(民法251条1項)のイラスト - 空き家のミカタ

民法251条1項は「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない」と定めています。建物を丸ごと売ることは、他の共有者の持分まで併せて処分することになるため、共有者全員の同意が必要です。

一方、共有物の管理に関する事項は「各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する」とされ(民法252条1項)、保存行為は各共有者が単独でできます(同条5項)。この区別を知らないと、できることまで「全員の同意がないから無理」と諦めてしまいます。

実務で効いてくるのが、民法252条4項の期間制限です。持分の過半数で設定できる賃借権等の期間には上限があり、建物の賃借権等は3年、土地の賃借権等は5年と定められています。

ただし、ここは条文だけを読むと踏み外します。法務省の改正解説資料は、この規定について「借地借家法の適用のある賃借権の設定は、約定された期間内での終了が確保されないため、基本的に共有者全員の同意がなければ無効」としたうえで、「ただし、一時使用目的(借地借家法25、40)や存続期間が3年以内の定期建物賃貸借(借地借家法38条1項)については、持分の過半数の決定により可能であるが、契約において、更新がないことなど所定の期間内に賃貸借が終了することを明確にする工夫が必要」と注記しています。

つまり、持分の過半数だけで建物を貸せるのは、一時使用目的か3年以内の定期建物賃貸借に限られます。ふつうの普通借家契約で貸すには、期間が3年以内でも共有者全員の同意が要ると考えてください。売却はもちろん全員の同意です。「過半数を握っているから賃貸に出せる」と考えて動くと、契約そのものが無効になりかねません。

さらに、共有物を使っている共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対して自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負います(民法249条2項)。実家に1人だけ住み続けている共有者がいる場合、他の共有者はこの規定を根拠に対価を請求できる立場にあります。話し合いが止まっている案件では、この点が交渉材料になることがあります。

売れない壁②|土地だけ売っても、建物のための土地利用権が弱いと買主が付かない

ここが、この形に固有のいちばん大きな壁です。

土地はあなたの単独名義なので、法律上は自由に売れます。ところが、その土地の上に他人(正確には、あなたを含む共有者全員)の建物が建っています。この状態の土地を買った人は、自分で使うことも、建て替えることも、更地にして売り直すこともできません。買えるのは「底地」だけです。

では、建物側は土地を使う権利をどう確保しているのか。親族間では、地代を払っていないことがほとんどです。地代のやりとりがない土地の利用は、法律上は使用貸借(民法593条)にあたります。そして使用貸借には、次の弱さがあります。

  • 借地借家法の保護がない。同法2条1号の借地権は「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定義されており、無償の使用貸借はここに含まれません
  • 第三者に対抗できない。借地借家法10条1項は、登記された建物を所有していれば借地権を第三者に対抗できると定めていますが、これは借地権があってこその規定です
  • 終わり方が緩い。民法597条3項は使用貸借が借主の死亡によって終了すると定めており、期間も使用収益の目的も定めなかったときは、貸主はいつでも契約を解除できます(民法598条2項)。建物所有を目的とする土地の使用貸借については、借主の死亡後も存続を認めた裁判例もありますが、いずれにせよ買主が安心して土地を使い続けられる保証がないことに変わりはありません

つまり、建物の共有持分を単独で買った第三者は、土地の所有者から明渡しを求められかねない、非常に不安定な立場に置かれます。だから、土地の持分を伴わない「建物だけの共有持分」には、実質的に買い手が付きません。共有持分の買取業者が扱う案件の大半が「土地と建物の両方の持分」であるのは、このためです。

裏を返せば、土地の単独所有者と建物の共有者全員が同じ買主に同時に売れば、この弱点は一瞬で消えます。土地と建物が1人の買主のもとで一体になるので、買主にとっては普通の中古戸建て、あるいは古家付き土地として扱える物件に変わります。これが、この形でいちばん手取りが大きくなる出口です。

なお、抵当権が絡む場合は別のルールがあります。土地とその上の建物が同一の所有者に属する状態で、土地または建物に抵当権が設定され、その実行により所有者が異なるに至ったときは、建物について地上権が設定されたものとみなされます(民法388条・法定地上権)。ただしこれは抵当権実行の場面の規定で、相続で名義が分かれた通常のケースには適用されません。「うちも法定地上権があるはず」と誤解されている方がいますが、期待しないほうが安全です。

売れない壁③|固定資産税は建物の共有者が連帯納税義務。動かないほど負担だけが続く

地方税法10条の2第1項は「共有物、共同使用物、共同事業、共同事業により生じた物件又は共同行為に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負う」と定めています。建物が共有なら、建物分の固定資産税は共有者全員の連帯納税義務です。実務上は代表者に納税通知書が届き、その1人が払い続けているケースがほとんどですが、法律上は全員が全額について責任を負っています。

土地は単独名義なので、土地分の固定資産税はその所有者が単独で負担します。そして土地の固定資産税のほうが、建物より圧倒的に高いのが通例です。築40年、50年の木造家屋の評価額は下がり切っている一方、大阪市内の土地の評価額は下がりません。つまりこの形では、土地の単独所有者が費用の大半を負担しながら、建物の共有者の同意がないと売れないという、負担と決定権がずれた状態が続きます。

ここで押さえておきたいのが、住宅用地の特例です。地方税法349条の3の2は、住宅の敷地として使われている土地について、固定資産税の課税標準を200平方メートル以下の部分は6分の1、それを超える部分は3分の1にすると定めています。この特例は土地の用途で判定されるもので、家屋の所有者と土地の所有者が一致していることを要件にしていません。建物が共有でも、住宅として建っている限り土地には特例が適用されています。

逆に言えば、建物を解体した瞬間にこの特例が外れます。さらに、空家等対策の推進に関する特別措置法13条2項による管理不全空家等の勧告、または同法22条2項による特定空家等の勧告を受けた敷地は、地方税法349条の3の2第1項の括弧書きにより住宅用地から除かれます。放置を続けると、建物が建っているのに特例だけ外れるという展開もあり得ます。「動かないこと」には、こういうかたちで値札が付いています。

売れない壁④|空き家の3,000万円特別控除は「家屋と敷地の両方を相続で取得した相続人」に限られる

ここは見落とされがちで、金額のインパクトがいちばん大きい論点です。

国税庁のタックスアンサーNo.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」は、特例の適用を受けられる人を「相続または遺贈により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得した相続人」と定めています。「および」です。家屋か敷地のどちらか一方しか相続していない人は、この特例の入口に立てません。

これを「土地は長男が単独相続、建物は3兄弟で共有」というケースに当てはめると、こうなります。

相続人 相続で取得したもの 空き家の3,000万円特別控除
長男 土地(単独)+建物の持分1/3 家屋と敷地の両方を取得しているので、他の要件を満たせば対象になり得る
次男 建物の持分1/3のみ 敷地等を取得していないため対象外
三男 建物の持分1/3のみ 敷地等を取得していないため対象外

同じ物件を同じ日に売っても、誰が何を相続したかで税額がまったく変わるということです。遺産分割協議書に署名する時点で、数年後の税金がここまで決まってしまうという点は、知っておく価値があります。

この特例には、ほかにも次の要件があります(No.3306より)。

  • 被相続人居住用家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたものであること
  • 区分所有建物登記がされている建物でないこと(共有と区分所有はまったく別の話です。兄弟で持分を分け合っているだけなら区分所有登記ではありません)
  • 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間の譲渡であること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 譲渡の時において一定の耐震基準を満たすこと、または家屋の全部を取り壊した後に敷地等を売ること。令和6年1月1日以後の譲渡については、譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に耐震基準を満たすこととなったこと、または全部の取壊し等を行ったことでも認められます
  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと。ここには生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます
  • 控除額は最高3,000万円ですが、令和6年1月1日以後に行う譲渡で、被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は2,000万円までとなります

この最後の1行は、読み違えが多いところです。数えるのは相続人の頭数ではなく、家屋と敷地の両方を相続または遺贈で取得した相続人の数です。先ほどの「土地は長男が単独相続、建物は3兄弟で共有」という例では、家屋と敷地の両方を取得したのは長男1人なので、兄弟が3人いても2,000万円への減額は起こりません。控除の枠は3,000万円のままです。

「特別の関係がある人」への譲渡が使えないという要件は、自分が住んでいた家を売る場合の3,000万円特別控除(国税庁No.3302)にも、上に挙げた空き家の特例(No.3306)にも、同じ文言で置かれています。つまり「弟の建物持分を兄が買い取る」という持分の集約は、どちらの特例との関係でも先に確認が必要な形です。もっとも兄弟は直系血族ではないため当然に該当するわけではなく、生計を一にする親族にあたるか、売った後にその家屋で同居する親族にあたるか、といった実態で判断されます。②の集約という方法を選ぶ場合は、この点を先に税理士に確認してください。適用の可否の最終判断は、税理士または所轄の税務署にご確認をお願いします。

大阪で共有持分の不動産買取を進める5つの方法|同意・期間・手取りの比較表

ここまでの壁を踏まえて、実際に取れる選択肢を並べます。前提は「土地は1人の単独名義、建物は複数人の共有、大阪市内、古い木造戸建て」です。

方法 必要な同意 期間の目安 手取りの傾向 向いている状況
①土地所有者と建物共有者全員が同じ買主に同時売却 建物共有者全員+土地所有者 3週間〜2か月 いちばん高い。土地と建物が一体化するため通常の物件として評価される 全員が「売る」で一致している
②建物の共有持分を1人に集約してから単独名義で売る 集約に応じる共有者 集約に1〜6か月+売却 ①に近いが、集約時の代金と登記費用が先に出ていく 1人が住み続ける可能性がある/時期をずらして売りたい
③建物を全員同意で解体し、土地として売る 建物共有者全員(解体は民法251条1項の変更) 3〜6か月 更地としての評価は上がるが、解体費・住宅用地特例の喪失分が差し引かれる 建物の傷みが激しい/再建築ができる土地である
④自分の建物共有持分だけを売る 不要(自分の持分の処分) 2〜4週間 大きく下がる。土地の利用権が伴わないため買い手が限られる どうしても他の共有者と関わりたくない
⑤共有物分割請求(協議→調停→訴訟) 不要(裁判所に請求できる) 1〜3年 賠償分割なら金銭で解決。ただし弁護士費用と時間がかかる 話し合いが完全に決裂している
テーブルで書類に記入する高齢の相続人と同席者。建物の共有者全員で売却方針と持分の配分を決める協議の場面

この5つのうち、当社が最初にお勧めするのは①です。理由は単純で、①だけが「土地が単独名義である」という手札を活かせるからです。②〜⑤はいずれも、いったん誰かがコストや時間を先に負担する構造になっています。

⑤の共有物分割請求について補足します。民法258条2項は、裁判所が命じられる分割の方法として「共有物の現物を分割する方法」と「共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法」(賠償分割)を挙げ、これらができないときや価格を著しく減少させるおそれがあるときは競売を命じることができるとしています(同条3項)。建物は現物で切り分けられないため、実務では賠償分割か競売になります。

ただし、民法258条の2第1項により、共有物やその持分が相続財産に属し、共同相続人間で遺産分割をすべきときは、共有物分割の裁判ができません。まず遺産分割の手続きを通す必要があります。例外は同条2項で、共有物の持分が相続財産に属する場合でも、相続開始の時から10年を経過したときは共有物分割ができるとされています。「10年」という数字が出てくるのは、この規定です。

ただし、この2項にはただし書があります。その持分について遺産分割の請求があった場合に、相続人が共有物分割によることに異議の申出をしたときは、10年を過ぎていても共有物分割はできません。異議の申出は、裁判所から共有物分割の請求があった旨の通知を受けた日から2か月以内にする必要があります(同条3項)。「10年経ったから必ず分割できる」ではない、ということです。

共有者と連絡が取れないときの解決策|民法262条の2・262条の3の使い分け

共有者と連絡が取れないときの解決策|民法262条の2・262条の3の使い分けのイラスト - 空き家のミカタ

2023年4月1日に施行された改正民法で、所在等不明の共有者がいる場合の制度が新設されました。この形の物件と非常に相性が良いので、条文どおりに整理します。

民法262条の2(所在等不明共有者の持分の取得)は、不動産が数人の共有に属する場合で、共有者が他の共有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないときに、裁判所が請求した共有者にその持分を取得させる裁判をする制度です。取得した共有者は、所在等不明共有者から持分の時価相当額の支払を請求され得ます(同条4項)。建物の共有持分を自分に集めたいときに使います。

民法262条の3(所在等不明共有者の持分の譲渡)は、所在等不明共有者以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として、所在等不明共有者の持分をその特定の者に譲渡する権限を裁判所が付与する制度です。所在等不明共有者は、不動産の時価相当額を持分に応じて按分した額の支払を請求できます(同条3項)。建物の共有者全員で同じ買主に売りたいが、1人だけ行方不明というときに、まさにこのために作られた条文です。

どちらにも共通する制限が1つあります。所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産分割をすべき場合に限る)において、相続開始の時から10年を経過していないときは、裁判所はこれらの裁判をすることができません(262条の2第3項、262条の3第2項)。

ここを読み違えている解説をよく見かけますが、条文が付けている限定は「共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る」です。判定の基準は登記ではなく、その持分についてまだ遺産分割をすべき状態が残っているかどうかです。すでに遺産分割協議が成立していて、その持分が各人の共有持分として確定しているなら、この10年の制限はかかりません。登記が済んでいるかどうかは有力な手がかりですが、それ自体が要件ではありません。協議書があるのに登記だけ入っていない、という状態もよくあるので、登記事項証明書と遺産分割協議書の両方を見て判断してください。

また、262条の2については、対象の持分について共有物分割の請求または遺産分割の請求があり、かつ所在等不明共有者以外の共有者が裁判所に異議の届出をしたときは、裁判ができません(同条2項)。制度を使うなら、他の共有者と足並みを揃えてからのほうが早く終わります。

これとは別に、共有者の所在が分からないときは、裁判所の裁判を得て、その共有者以外の同意で共有物に変更を加えることもできます(民法251条2項)。管理に関する事項についても、所在が分からないとき、または相当の期間を定めて賛否を明らかにするよう催告したのに期間内に賛否を明らかにしないときは、その共有者以外の持分の価格の過半数で決められる裁判があります(民法252条2項1号・2号)。「返事をしない共有者」にも、催告という打ち手があるということです。

大阪市24区での査定の組み立て方|この形で減額されるのはどこか

大阪市の空き家の売却を考えるとき、まず土地の目安を掴むのが順序です。国税庁の路線価図(財産評価基準書)でその土地の路線価が確認できます。相続税評価額は、国土交通省の資料によれば平成4年以降、地価公示価格の8割程度を目途に評定されているため、路線価を0.8で割り戻すと公示水準の見当が付きます。

そのうえで、土地単独名義×建物共有という形に固有の減額要因を分解します。当社が査定で見ているのは次の5つです。

  1. 権利をまとめるのに必要な人数と、その所在。建物の共有者が3人か7人かで、決済までの期間と手間がまったく違います
  2. 相続登記が済んでいるか。未了なら、決済の前に登記を通す必要があり、その期間と司法書士費用が価格に織り込まれます
  3. 建物の現況。残置物、傷み、雨漏り、シロアリ。解体する前提なら解体費、活かす前提なら改修費が引かれます
  4. 前面道路と再建築の可否。大阪市内は幅員4メートル未満の道路に接する敷地が多く、セットバックや接道の状況で更地としての評価が変わります。前面道路が建築基準法42条のどの道路にあたるかは、大阪市計画調整局で確認できます
  5. 買主が負担する保有期間のコスト。買い取ってから権利を整理し、次に転売するまでの固定資産税・管理費・金利
大阪市内の狭い路地に面した密集住宅街。前面道路の幅員と接道状況が土地の評価と再建築の可否を左右する

数字の入れ方の一例です。土地の評価が1,800万円、建物の評価が200万円、合わせて2,000万円の物件があったとします。

  • ①全員で同時に売る場合:物件全体を1つの古家付き土地として評価し、そこから買主側の整理コストを引いた金額が提示額になります。土地と建物の代金の配分は、土地所有者と建物共有者の間で、それぞれの評価額の比で分けるのが基本です
  • ④建物の持分1/3だけを売る場合:建物の評価200万円×1/3で約67万円が出発点ですが、これは土地を使う権利が伴わない持分です。前述のとおり買い手がほぼ付かないため、金額以前に「引き受けられる業者があるかどうか」の話になります

つまり、この形で「持分だけ売る」は、金額が下がるという話ではなく、そもそも出口として成立しにくいということです。ここを正直にお伝えしないまま持分だけの査定書を出す業者があれば、その査定額が実際に決済まで届くのかを確認してください。

なお、市街化調整区域内の物件など、用途地域や区域区分によってはさらに別の検討が必要になります。区分所有のマンションを相続した場合も評価の考え方が変わります。

手続きの順序と必要書類|大阪法務局の相続登記相談から引渡しまで

順序を間違えると余計な費用と時間がかかります。実務での並べ方は次のとおりです。

ステップ1:土地と建物の登記事項証明書を別々に取る。ここがすべての出発点です。建物の持分割合と共有者の氏名・住所を正確に書き出してください。

ステップ2:相続登記が未了なら、先に登記を通す。不動産登記法76条の2第1項により、相続で所有権を取得した人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に所有権の移転の登記を申請しなければなりません。正当な理由がないのに怠ると、同法164条1項により10万円以下の過料の対象です。また同条2項により、法定相続分での登記がされた後に遺産分割があったときは、その分割の日から3年以内に登記を申請する必要があります。

手続きの進め方が分からないときは、大阪法務局の相続登記相談(登記手続案内)が使えます。法務局の登記手続案内は完全予約制で、1回当たり20分以内、電話・法務局窓口での対面・ウェブ会議サービスのいずれかを希望に応じて選べます。ここで受けられるのは「登記申請書の作成等に必要な情報の提供」であって、申請書の作成代行ではありません。代理を依頼する場合は資格者代理人である司法書士へ、という切り分けです。

ステップ3:建物の共有者全員に、同時売却の意思を確認する。ここで大事なのは、「売るか売らないか」ではなく「同じ買主に同時に売ると全員の手取りが増える」という説明の順序です。持分をバラバラに動かすと全員が損をする構造であることを、数字で示すのがいちばん早く進みます。

ステップ4:買主候補を2社以上に当てる。同じ資料・同じ質問文で当ててください。

ステップ5:売買契約と決済。土地の売主と建物の共有者全員が、同じ日に同じ席で決済する形(同時決済)にします。代金の配分は契約書で明示します。

必要書類は、登記事項証明書(土地・建物)、固定資産税の納税通知書または評価証明書、公図と地積測量図(あれば)、建物の建築確認関係の書類(あれば)、被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍と印鑑証明書、遺産分割協議書、共有者全員の本人確認書類です。全部揃っていなくても査定はできますので、揃うまで待つ必要はありません。

専門業者の選び方|大阪の共有持分買取で最低限確認する5点

共有が絡む物件は、扱える会社と扱えない会社がはっきり分かれます。専門業者を名乗る会社に当たるとき、当社が同業者としてお勧めする確認事項は次の5つです。

  1. 宅地建物取引業の免許番号。国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで、免許行政庁・免許番号・商号・所在地を照合できます。ここに出てこない会社とは契約しないでください
  2. 買主が誰か。その会社自身が買主なら仲介手数料は発生しません。媒介契約書を出してきたら仲介です。宅地建物取引業法46条は報酬の額を国土交通大臣の定めるところによるとし、その額を超えて報酬を受けてはならないと定めています
  3. この形(土地単独+建物共有)を扱った経験があるか。「共有持分は得意です」と言う会社でも、土地の持分を伴わない建物のみの共有を扱えるかは別問題です。同時決済の段取りをどう組むかを具体的に説明できるかで判別できます
  4. 他の共有者への連絡方針が書面で示されるか。誰が、いつ、どういう文面で連絡するのかを事前に決めておかないと、家族関係が壊れます
  5. 契約不適合責任の扱いが契約書に明記されているか。買取業者が現況有姿で買い取り、契約不適合責任を免責する条項を置く形が実務では多く、その場合は引渡し後に不具合が出ても売主への請求は生じません。ただし民法572条により、知りながら告げなかった事実については免責されません。知っている不具合は必ず告知書に書いてください

この5点を同じ質問文で複数社に投げて、答えの具体度を比べるのが確実です。金額だけを比べると、決済まで届かない数字を出した会社が選ばれてしまいます。

まとめ|大阪で持分買取を検討するときの6ステップ

  1. 土地と建物の登記事項証明書を、別々に取る。名義と持分割合を紙に書き出す
  2. 「土地は単独で動かせる」という手札があることを確認する。この形は、共有持分の問題の中では出口が作りやすい部類です
  3. 建物の共有者全員に、同時売却の提案をする。持分をバラバラに動かすと全員が損をする構造を、数字で説明する
  4. 相続登記が未了なら先に通す。不動産登記法76条の2第1項の3年、164条1項の過料10万円以下という期限がある
  5. 共有者が行方不明・無反応なら、民法262条の3・251条2項・252条2項を検討する。相続財産に属し遺産分割をすべき場合の10年要件だけ、先に確認する
  6. 税金は相続の分け方で決まっている。空き家の3,000万円特別控除は「家屋と敷地の両方を相続で取得した相続人」が対象。誰が何を相続したかを持って税理士に当たる

土地は単独名義で建物だけが共有、という形は、書類の上では複雑に見えます。ただ、共有持分の相談の中では、むしろ動かしやすい部類です。土地という一体化の核を1人が握っているからで、そこに建物の持分を集めるか、同じ買主に一緒に売るかの2択に収れんします。止まっているのは制度のせいではなく、土地と建物を1つのものとして数えてしまっているだけ、というケースが大半です。

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「土地はうちの名義だけど建物が兄弟共有で、何年も止まっている」「弟と連絡が取れないまま固定資産税だけ払っている」「登記が親のままで、何から手をつけていいかわからない」——その段階のご相談を歓迎しています。査定は無料で、査定を受けたからといって売却の義務は生じません。

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空き家のミカタは、大阪市生野区に事務所を構える宅地建物取引業者です(大阪府知事(1)第65646号)。大阪市24区の空き家・長屋・再建築不可物件・共有持分を専門に扱っており、土地と建物で名義が分かれている・他の共有者と連絡が取れない・相続登記が未了・荷物が残ったままという状態でも査定にお応えできます。当社が買主として直接買い取りますので、仲介手数料はいただきません。なお、登記の代理申請は司法書士へ、譲渡所得税・相続税の判断は税理士へ、共有者間の争いそのものは弁護士へご確認ください。私どもがお手伝いできるのは、その不動産をいくらで、どういう順序で手放せるかという部分です。


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出典(2026年9月4日確認)

  • e-Gov法令検索「民法」(第249条第2項 共有物を使用する共有者の持分を超える使用の対価の償還義務/第251条第1項 共有物の変更=他の共有者の同意が必要・形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く、第2項 他の共有者を知ることができず又は所在を知ることができないときの裁判/第252条第1項 共有物の管理=持分の価格に従いその過半数で決する、第2項第1号・第2号 所在不明・催告に無反応の場合の裁判、第4項 賃借権等の期間の上限=山林10年・土地5年・建物3年・動産6か月、第5項 保存行為は単独/第258条第2項 現物分割・賠償分割、第3項 競売/第258条の2第1項 遺産共有の持分は共有物分割ができない、第2項 相続開始の時から10年を経過したときは可能・ただし遺産分割の請求があった場合に相続人が異議の申出をしたときは不可、第3項 異議の申出は裁判所から請求があった旨の通知を受けた日から2か月以内/第262条の2 所在等不明共有者の持分の取得・第3項の10年要件・第4項の時価相当額/第262条の3 所在等不明共有者の持分の譲渡・停止条件・第2項の10年要件・第3項の按分額/第388条 法定地上権/第572条 知りながら告げなかった事実は免責されない/第593条 使用貸借/第597条第3項 借主の死亡による終了/第598条第2項 期間及び目的を定めなかったときは貸主はいつでも解除できる/第898条第1項 共同相続の効力=相続財産は共有)
  • e-Gov法令検索「借地借家法」(第2条第1号 借地権=建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権/第10条第1項 借地権は登記がなくても土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは第三者に対抗できる)
  • e-Gov法令検索「不動産登記法」(第76条の2第1項 相続により所有権を取得した者は自己のために相続の開始があったことを知り、かつ当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければならない、第2項 遺産分割の日から3年以内/第164条第1項 正当な理由がないのに申請を怠ったときは10万円以下の過料)
  • e-Gov法令検索「地方税法」(第10条の2第1項 共有物に対する地方団体の徴収金は納税者が連帯して納付する義務を負う/第349条の3の2第1項 住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例=価格の3分の1・空家法13条2項の管理不全空家等および22条2項の特定空家等で勧告を受けた敷地を除く、第2項 200平方メートル以下の小規模住宅用地は6分の1)
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第46条第1項 報酬の額は国土交通大臣の定めるところによる/第2項 前項の額をこえて報酬を受けてはならない)
  • 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(適用対象=相続または遺贈により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得した相続人/被相続人居住用家屋=昭和56年5月31日以前に建築・区分所有建物登記がされている建物でない・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかった/相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること/平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡/売却代金1億円以下/親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと=適用要件(7)/控除額は最高3,000万円・令和6年1月1日以後の譲渡で被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は2,000万円/令和6年1月1日以後の譲渡は譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に耐震基準を満たすこととなったことまたは全部の取壊し等を行ったことでも可)
  • 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」(親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと。生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人を含む)
  • 国税庁「財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)」(大阪市内の路線価の確認)
  • 国土交通省「主な公的土地評価一覧」(相続税評価は平成4年以降、地価公示価格の8割程度を目途に評定されている)
  • 法務局「登記手続案内」(完全予約制・1回当たり20分以内・電話/法務局窓口での対面/ウェブ会議サービスから選択・登記申請書の作成等に必要な情報の提供)
  • 大阪法務局「登記手続案内予約及び各種お問合せ」(大阪法務局の予約申込先・資格者代理人である司法書士・土地家屋調査士への依頼の案内)
  • 法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」(令和5年4月1日施行)(短期賃借権等の設定についての規律の整備。「借地借家法の適用のある賃借権の設定は、約定された期間内での終了が確保されないため、基本的に共有者全員の同意がなければ無効。ただし、一時使用目的(借地借家法25、40)や存続期間が3年以内の定期建物賃貸借(借地借家法38Ⅰ)については、持分の過半数の決定により可能であるが、契約において、更新がないことなど所定の期間内に賃貸借が終了することを明確にする工夫が必要」)
  • 法務省「登記手数料について」(登記事項証明書=書面請求600円・オンライン請求送付520円・オンライン請求窓口交付490円)
  • 法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」(共有制度の見直し・相続登記の申請義務化を含む一連の改正の公式解説ページ)
  • 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」(免許行政庁・免許番号・商号・所在地の照合)
  • 大阪市「令和5年住宅・土地統計調査」(大阪市の空き家29万4,600戸・空き家率16.1%)
  • 大阪市「建築基準法上の道路種別と道路判定等」(前面道路が建築基準法42条のどの道路にあたるかの確認方法)
  • 大阪市「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」(令和8年度版。申請受付4月1日〜12月28日・工事着手予定日の40日以上前に申請・交付決定まで40日程度)

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