空き家のミカタ

親が老人ホームに入居したら実家はどうする?空き家リスクと3つの解決策【2026年版】

空き家のミカタ編集部|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)
介護施設で介護を受けるシニアのイメージ 老人ホーム入居後の実家対策

親が老人ホームに入居した後、実家は「空き家」になります。そのまま放置すると、固定資産税の大幅増税・管理不全空き家指定・老朽化による修繕費の発生など、さまざまなリスクが積み重なります。

老人ホームに入居した親の実家は、売却・賃貸・管理サービスの3択で対処できます。いずれも、親が判断能力を持っている間に動くことが、選択肢を広げる最大のポイントです。

老人ホームに入居すると実家はどうなるか

「空き家」になる条件

実態として1年以上人が居住していない家は、空き家等対策特別措置法(空家特措法)における「空き家」とみなされます。老人ホームへの入居はそのまま空き家状態の発生原因です。

2023年12月施行の改正空家特措法では、「管理不全空き家」という新たな区分が設けられました。これは従来の「特定空き家(倒壊危険・著しく衛生上有害)」より手前の段階で行政が介入できる区分で、「雑草が繁茂している」「外壁が劣化している」程度でも指定対象になります。

固定資産税が最大6倍になるリスク

空き家であっても、建物が建っている土地には住宅用地の特例が適用されています。この特例により、土地の固定資産税は最大で評価額の1/6に軽減されています。

しかし、「管理不全空き家」「特定空き家」に指定されて市区町村から勧告を受けると、この特例が外れます。その結果、固定資産税が最大6倍に跳ね上がることがあります。

たとえば、大阪市内で固定資産税評価額1,500万円の土地の場合、年間の固定資産税は概算で次のように変わります。

状態課税標準額年間固定資産税(概算)
特例あり(通常)評価額×1/6約3.5万円
特例なし(指定後)評価額×1/3〜1約7〜21万円

放置が続くほど、指定されるリスクが高まります。

老朽化した空き家の外観イメージ 管理不全空き家指定のリスク

放置すると積み上がるコスト

固定資産税・維持費の試算

「とりあえず様子を見よう」と放置した場合、どのくらいのコストがかかるでしょうか。以下は大阪市内の一般的な一戸建てのモデルケースです。

モデルケース:大阪市内 木造一戸建て・築35年・延床面積90㎡

費用項目年間目安5年間合計
固定資産税・都市計画税7〜15万円35〜75万円
火災・地震保険3〜8万円15〜40万円
草刈り・清掃管理3〜6万円15〜30万円
突発修繕(雨漏り・雑草撤去等)0〜30万円/年(不定期)50〜100万円以上
合計(概算)13〜59万円115〜245万円以上

5年間で100〜250万円以上のコストが発生する可能性があります。修繕費は老朽化が進むほど増加し、管理が行き届かないと隣地への越境・倒壊リスクが生じます。

宅建業者の視点: 実際にご相談いただくケースで多いのが「3〜4年放置してしまい、雨漏りと白蟻被害が出た」というパターンです。解体するにも費用が出せず、売ろうにも修繕費見積もりが嵩んで仲介会社に断られた。こうした状況でも、当社では現況のまま買取対応ができます。

3つの選択肢を比較する

親の実家が空き家になった場合、主な選択肢は次の3つです。

選択肢1: 売却(仲介 or 買取)

仲介売却は市場価格に近い金額で売れる可能性がある反面、売却まで3〜6ヶ月以上かかることが多く、築古・訳あり物件は「買い手がつかない」ことも少なくありません。

買取業者への直接売却は、価格が仲介より低くなる場合がありますが、最短数週間で現金化できます。片付けや修繕は不要です。現況のまま引き渡せるため、遠方に住む子どもにとっては最も手間が少ない方法です。

選択肢2: 賃貸に出す

空き家を賃貸に出せば賃料収入が得られますが、入居者募集・管理・トラブル対応は子どもが担う必要があります。また、築古物件はリフォーム費用が先行するケースが多く、初期投資が100〜200万円規模になることもあります。入居者がいる状態では将来の売却も難しくなります。

選択肢3: 空き家管理サービスを利用する

不動産管理会社や空き家専門業者が提供する管理サービス(月額1〜3万円程度)を利用する方法です。定期巡回・草刈り・通気換気を代行してくれますが、月々費用が発生し続け、根本的な解決にはなりません。

3択の比較表

売却(買取)賃貸管理サービス
手間最小(一度で完了)大(継続的)小(委託後は楽)
現金化早期に一括月々少額なし(費用が出る)
固定資産税リスク回避○(売却後は無関係)△(所有継続)△(所有継続)
初期費用不要リフォームで高い場合あり低い
将来の手放しやすさ解決済み△(入居者がいると困難)変わらない
不動産査定書類と電卓のイメージ 売却・賃貸・管理の比較

親が存命中でも実家を売れる?

判断能力がある場合

親が老人ホームに入居中でも、認知症がなく判断能力がある場合は、親本人が売主として実家を売却できます。子どもが遠方でも、委任状を使って代理人として手続きを進めることが可能です。

この段階で動くことが最も選択肢が広く、トラブルが少ない方法です。

親が認知症になっている場合

認知症により判断能力が低下・喪失している場合、本人名義の不動産を売ることができません。この場合は家庭裁判所に成年後見の申立てをして、後見人を選任する必要があります。

成年後見制度を使えば不動産売却は可能ですが、手続きに3〜6ヶ月程度かかること、家庭裁判所の許可が必要なこと、後見人報酬が毎月発生することを理解しておく必要があります。

宅建業者の視点: 「親が施設に入ってから3年が経ち、認知症の診断が出た後にご相談いただくケース」が増えています。判断能力がある間に任意後見契約や家族信託を結んでおけば、スムーズに対応できます。ご相談の段階で専門家(司法書士・弁護士)をご紹介することも可能です。

任意後見・家族信託について

任意後見家族信託
設定タイミング判断能力があるうち判断能力があるうち
コスト公証人費用1〜2万円+後見人報酬信託契約書作成費用数十万円
柔軟性後見人が家裁の監督下で管理受託者(子ども等)が柔軟に管理
不動産売却家裁許可が必要受託者の判断で可能

いずれも、親が判断能力を失う前に準備するものです。施設入居が決まった段階で、早めに専門家に相談することをお勧めします。

早期売却(買取)が選ばれる3つのケース

当社にご相談いただく事例を振り返ると、以下のケースで早期売却が最適解になることが多いです。

① 遠方に住んでいて実家の管理ができない

子どもが他府県に住んでいる場合、定期的な管理が現実的に難しいため、現況のまま早期に手放す選択を取ることが多いです。当社は書類のやり取りをオンライン・郵送で対応できるため、現地に来る必要がありません。

② 実家の修繕費用が出せない

老朽化が進んだ実家の修繕費は数十〜数百万円になることがあります。買取であれば修繕費をかけずに売却できます。

③ 老人ホームの費用の足しにしたい

特別養護老人ホームの月額費用は5〜15万円、有料老人ホームは10〜35万円程度が相場です(入居時の費用別途)。実家を売却することで、長期的な介護費用の財源を確保できます。


よくある質問(FAQ)

Q. 親が老人ホームに入居中でも、実家を売ることはできますか? 親が認知症でなく判断能力がある場合、親本人が売主として実家を売却することができます。遠方の場合は委任状を使って手続きを代行することも可能です。一方、親が認知症で判断能力が失われている場合は、家庭裁判所への申立てで成年後見人を選任する手続きが必要です。

Q. 親が老人ホームに入居したまま実家を放置するとどうなりますか? 1年以上居住実態がない家は「空き家」と見なされます。管理が不十分な場合、市区町村から「管理不全空き家」に指定されます。指定されると住宅用地の固定資産税特例(土地評価額の1/6に軽減)が外れ、税額が最大6倍になります。

Q. 老人ホームの費用が足りない場合、実家を売って費用に充てることはできますか? はい、可能です。親が判断能力を持っている間に売却すれば、売却益を老人ホームの月額費用に充てることができます。早めに動くほど選択肢が広がります。

Q. 実家を賃貸に出す場合、手間やリスクはありますか? 賃貸に出す場合、入居者募集・契約・賃料管理・トラブル対応など継続的な管理が発生します。親が施設に入居している場合、子どもがこれらをすべて担う必要があります。また、賃借人がいる状態では将来的に売却しにくくなるリスクがあります。

Q. 管理不全空き家に指定されてしまった場合はどうすればいいですか? 市区町村から勧告・命令が届いた段階で、早急に管理(草刈り・清掃・修繕)か売却の判断が必要です。まずは宅建業者に相談し、最も負担の少ない方法を選んでください。


まとめ

  • 老人ホームに入居した親の実家は空き家になり、放置すると固定資産税が最大6倍になるリスクがある
  • 選択肢は「売却(仲介 or 買取)」「賃貸」「管理サービス」の3択。早期の買取が最も手間が少ない
  • 親が判断能力を持っている間に動くことが選択肢を広げる最大のポイント
  • 認知症発症後は成年後見制度が必要になり、手続きに時間とコストがかかる
  • 介護費用の捻出・管理の手間を減らす目的での売却相談が増えている

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