空き家のミカタ

越境している不動産の売却方法|越境確認書・買取の全手順【2026年版】

空き家のミカタ編集部|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)
土地の境界測量を行う作業員 土地測量のイメージ

親が亡くなり相続手続きを進めていたら、「隣の家の塀が自分の土地にはみ出している」「うちの建物の軒先が隣地に越えている」——こうした問題に直面するケースが増えています。

越境がある不動産でも、売却は可能です。ただし、越境の事実を知らせずに売ると契約不適合責任を問われるため、「越境確認書を作る」「越境物を撤去する」「買取専門業者に現況のまま売る」という3つの対処法を状況に合わせて選ぶことが大切です。

この記事では、越境の種類・仲介で売れにくい理由・解決方法の選び方・越境確認書の作り方・買取業者を活用した最短売却の流れを具体的に説明します。

目次

  1. 越境とは何か(種類と改正民法の影響)
  2. 越境がある物件が仲介で売れにくい理由
  3. 越境物の解決方法3パターン
  4. 越境確認書(覚書)の作り方と注意点
  5. 買取業者なら越境問題ごと解決できる
  6. 越境がある物件を売却する流れ
  7. よくあるご質問

越境とは何か(種類と2023年改正民法の影響)

越境(えっきょう)とは、建物の一部・塀・フェンス・木の枝・根など、ある土地の構造物や植物が隣接する他人の土地にはみ出している状態です。

越境は大きく3種類に分かれます。

越境の種類具体例対処の難しさ
構造物の越境塀・ブロック・建物の軒先・基礎撤去費用が高く、交渉が難航しやすい
植物の越境木の枝・根2023年改正で自己切除が一部可能に
地下越境基礎・水道管・排水管発見が難しく、解決に時間がかかる

2023年改正民法(民法233条)で何が変わったか

従来、隣地の木の枝が自分の土地に越境していても、自分で勝手に切ることはできず、隣地所有者に切除を請求するしかありませんでした。

2023年4月1日施行の改正民法では、次の場合に限り自分で越境した枝を切除できるようになりました:

  1. 隣地所有者に切除を催告したが、相当期間内に切除されない場合
  2. 隣地所有者が不明・所在不明な場合
  3. 急迫の事情がある場合

相続で所有者不明の土地が増えている現状を踏まえた改正です。なお、根の越境は改正前から自分で切断することができます(民法233条2項)。


越境がある物件が仲介で売れにくい理由

隣地との境界に建てられた木製フェンス 越境物の例

越境があっても法律上は売却できますが、一般的な仲介では苦労することが多いです。主な理由は3つです。

① 買主が住宅ローンを組みにくい

金融機関は担保評価を行う際、越境があると「将来の権利関係が不安定」と判断してローン審査に影響することがあります。特に構造物の越境(建物・塀・基礎)がある場合は、越境が解消されるまでローンが下りないケースもあります。

② 越境確認書がないと売買が止まる

不動産仲介業者の多くは、越境問題がある場合に越境確認書(覚書)の添付を売却条件にします。隣地所有者と合意が取れない・そもそも連絡が取れないという場合、仲介の話が止まってしまいます。

③ 告知義務があり、知らせないと後で問題になる

売主には売買契約前に越境の事実を買主に告知する義務があります(宅建業法47条・民法の契約不適合責任)。告知を怠ると、引き渡し後に買主から損害賠償や売買解除を請求されるリスクがあります。

宅建業者の視点: 越境問題は「知っていたのに隠した」と後から判断されると、契約不適合責任として大きなトラブルになります。相続で取得した物件でも、現況確認で越境に気づいたなら必ず開示することが大切です。


越境物の解決方法3パターン

越境問題の解決方法は、状況に応じて3つのパターンがあります。

パターン①:越境物を撤去して売る

越境物を取り除き、問題をゼロにしてから売却する方法です。最もシンプルですが、隣地の塀や建物が越境している場合、撤去を求める交渉が必要で、相手が拒否するとこの方法は使えません。自分の側の越境物(自分の塀・木など)であれば撤去を自分で決断できます。

費用目安:ブロック塀1m程度の撤去で3〜10万円、木の伐採で1〜5万円程度(規模による)。

パターン②:越境確認書を作って仲介で売る

越境の事実を隣地所有者と確認・合意したうえで「越境確認書(覚書)」を作成し、その書類を添付して売却する方法です。越境物を撤去しなくても、覚書があれば一般仲介での売却が可能になるケースがあります。

条件:隣地所有者の協力が必要。

パターン③:訳あり物件の買取専門業者に売る

越境問題が解決できない・解決に時間がかかる・急いで売りたいという場合に有効なのが訳あり物件の買取専門業者への直接売却です。買取業者は越境問題を含めた現況のまま買い取り、その後の解決(覚書の取得・越境物の撤去)を自社で行います。


越境確認書(覚書)の作り方と注意点

越境確認書は、次の内容を書面で合意するものです。

基本的な記載事項

  1. 越境の事実確認(どこが・どの程度越境しているか)
  2. 越境している物(塀・建物・木など)の現状維持に関する合意
  3. 将来、建て替え・改築・取り壊しの際は越境を解消すること
  4. 日付・双方の署名・捺印

注意点

  • 口頭での合意は無効に等しい。必ず書面で作成し、双方が保管します
  • 土地家屋調査士や司法書士に作成を依頼すると、法的に有効な書類になります(費用:数万円〜)
  • 売却後も覚書の効力が続くよう、「覚書の内容は土地の承継人にも引き継がれる」旨を記載することが重要です

買取業者なら越境問題ごと解決できる

不動産担当者がお客様に書類を説明している相談シーン

越境問題がある物件の売却を急ぐ場合、または隣地所有者との交渉が難しい場合は、訳あり物件の買取専門業者への相談が最もスムーズな解決策です。

仲介と買取の比較

比較項目一般仲介買取専門業者
越境確認書の準備必要(売主が用意)不要(業者が対応)
隣地所有者との交渉売主が行う業者が引き受け
売却期間3〜12か月以上最短2〜4週間
仲介手数料売買価格×3%+6万円等不要
越境物の撤去売主が対処してから売却現況のまま買取可

宅建業者の視点: 隣地所有者が高齢・遠方・相続でそもそも連絡が取れないケースでは、越境確認書を作ること自体が数か月かかることもあります。「急いで売りたいのに、隣地の問題が解決できない」という方には、買取業者へのご相談が現実的です。


越境がある物件を売却する流れ

越境問題がある物件を売却する際の全体的な流れをまとめます。

① 現況確認・測量(土地家屋調査士に依頼) 越境の種類・範囲・程度を正確に把握します。測量費用は30〜50万円程度(規模による)。

② 解決方法を選択する

  • 撤去できる → 撤去して売却
  • 隣地と合意できる → 越境確認書を作って仲介または買取で売却
  • 急いでいる・隣地と連絡が取れない → 買取業者に相談

③ 買取業者への相談(急ぎの場合) 測量や越境確認書がなくても、相談・査定は無料で受け付けています。現況を確認したうえで、最適な売却方法をご提案します。

④ 売買契約・決済・引き渡し 買取の場合、売買契約から最短2〜4週間で現金化できます。仲介手数料は不要です。


よくあるご質問

Q. 越境している塀が自分のものか隣地のものかわかりません。どうすれば?

A. 越境物の所有者が不明な場合は、土地家屋調査士に測量を依頼して境界を確定させることが先決です。境界標(コンクリート杭・金属標など)が見つかれば境界線がわかります。境界標がない場合は確定測量が必要です。測量結果をもとに隣地所有者と協議します。

Q. 越境物がある状態で相続登記を進めても大丈夫ですか?

A. 相続登記は越境の有無に関わらず進めることができます。2024年4月から相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に登記が必要です。まず登記を済ませてから、越境問題の解決に取り組む順序で問題ありません。

Q. 越境している建物の軒先が10cmほどです。このくらいでも売却に影響しますか?

A. 少量でも越境は越境です。「10cm程度なら問題ない」という法律上の基準はありません。ただし、程度が小さく双方で現状維持を合意できるなら越境確認書で対応できるケースが多いです。買取業者であれば、このような軽微な越境も含めて現況のまま対応できます。

Q. 隣地所有者が亡くなっていて相続人が誰かもわかりません。越境確認書を取れない場合はどうすれば?

A. 法務局で登記事項証明書・戸籍等を辿ることで相続人を調べることが可能ですが、時間と手間がかかります。相続人が複数いる・所在不明な場合は、買取専門業者に売却するのが現実的な解決策です。買取業者が購入後、所有者として越境問題の解決に取り組みます。


まとめ

  • 越境がある不動産でも売却は可能。ただし告知義務と対処方法の選択が重要
  • 解決方法は「越境物を撤去」「越境確認書で対処」「買取業者に現況のまま売る」の3パターン
  • 2023年4月から改正民法により、隣地の木の枝を一定条件下で自己切除できるようになった
  • 隣地所有者と連絡が取れない・急いで売りたい場合は訳あり物件の買取専門業者への相談が最速の解決策
  • 買取業者なら越境問題の解決含めて対応。仲介手数料なし・最短2〜4週間で現金化できる

越境問題は「後でわかると大ごとになる」ため、売却前に状況を把握して適切な方法を選ぶことが大切です。


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