相続した家に住宅ローンが残っていたら?団信確認・残債処理・売却の全手順【2026年版】
親が亡くなり、実家を相続しようとしたら住宅ローンの残債があった——そのような状況に直面して、「誰が払うのか」「家は売れるのか」と不安を感じている方は少なくありません。
まず確認すべきは「団体信用生命保険(団信)」への加入有無です。多くの住宅ローンには団信が付帯しており、加入していれば死亡時に残債は保険金で完済されます。団信がない場合は、残債の状況(アンダーローン・オーバーローン)に応じて売却方法が変わります。
この記事では、相続した家に住宅ローンが残っていた場合に取るべき手順を、ケース別に解説します。

まず確認すること:団体信用生命保険(団信)
団信とは何か
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンを組んだ人が死亡または高度障害状態になった場合に、残りの住宅ローン残高を保険金で一括完済する生命保険です。
住宅ローンを提供している金融機関(銀行・信用金庫・住宅金融支援機構など)が保険契約者となり、借入者が被保険者として加入します。保険料は金利に組み込まれているため、借入者が別途保険料を支払う意識は薄いケースが多いです。
| ローンの種類 | 団信の扱い |
|---|---|
| 民間銀行・信用金庫の住宅ローン | ほぼ全ての商品で加入必須。死亡時は残債がゼロになる |
| フラット35(住宅金融支援機構) | 機構団信(特約料あり)は任意加入。未加入の場合は残債が相続される |
| フラット35S・フラット50 | 同上(機構団信は任意) |
| 公庫融資(旧住宅金融公庫) | 2007年廃止前の融資。団信(任意加入)未加入の場合は残債が相続 |
民間銀行の住宅ローンでは団信加入が融資条件となっているケースがほとんどです。親御さんが民間銀行で住宅ローンを借りていた場合、まず団信に加入していると考えて問題ないことが多いです。ただし確認は必須です。
団信の確認方法と手続き
借入先の金融機関に連絡して、団信の加入有無を確認します。手続きは金融機関によって異なりますが、以下の書類を準備しておくとスムーズです。
- 死亡診断書(コピー可)
- 除籍謄本(亡くなった方の戸籍)
- 相続人であることがわかる戸籍謄本
- 印鑑証明書(実印)
- 通帳・ローンの返済明細書(あれば)
金融機関から「保険金支払請求書」などの書式を受け取り、記入・提出します。保険会社の審査後、残債が完済されると「抵当権解除証書」が発行されます。この書類を使って司法書士が抵当権抹消登記を行います。
実務の視点:過去の相談事例では、亡くなった方がフラット35を利用していたのに団信(機構団信)に加入していなかったケースがありました。フラット35は団信が任意のため、「入っているはず」と思い込んでいると、残債を丸ごと引き継ぐことになります。まず金融機関に電話して確認するのが最初のステップです。
団信なし・残債ありの場合:相続人が引き継ぐ仕組み
住宅ローンは相続の対象
団信に加入していない場合や、加入していても保険金の支払いが認められなかった場合(自殺・健康状態の虚偽告知など)、住宅ローンの残債は相続人が引き継ぎます。
民法第896条の規定により、相続は財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含めて引き継ぎます。住宅ローンは複数の相続人がいる場合、法定相続分に応じて分割して引き継ぎます(民法899条)。
たとえば、残債1,000万円の住宅ローンがある場合:
- 相続人が子ども2人なら → 各500万円ずつ引き継ぐ
- 相続人が配偶者と子ども1人なら → 配偶者500万円、子ども500万円
相続放棄という選択肢
住宅ローン残債が多く、プラスの財産(家の価値)を上回る場合は、相続放棄を検討する価値があります。
相続放棄(家庭裁判所への申述)を行うと、プラスの財産もマイナスの財産もすべて引き継ぎません。期限は「相続があったことを知った日から3か月以内」(民法915条)です。この期限は家庭裁判所に申請すれば延長できる場合があります。
ただし、相続放棄後も相続財産の管理義務は残る場合があります(民法940条。2023年4月改正により要件が緩和)。不動産の占有を始めた後の相続放棄は認められないため、実家に住み始める前に判断が必要です。
アンダーローンなら通常売却で解決できる

アンダーローンとは
アンダーローンとは、売却価格が住宅ローン残債を上回る状態です。たとえば、家の売却価格が2,000万円、残債が800万円であれば、売却代金から800万円を返済すれば残りの1,200万円が手元に残ります。
アンダーローンの場合は、通常の不動産売却と同じ流れで売却できます。
売却の流れ(抵当権と同時決済)
アンダーローンの場合、売却代金を使って住宅ローンを完済し、同日に抵当権を抹消します。これを「同時決済」と呼びます。
- 査定・売却価格の決定:仲介業者または買取業者に査定を依뢰。残債を上回る価格かを確認する
- ローン残高の確認:金融機関に「残高証明書」を請求。決済日時点の概算残高も確認する
- 売買契約の締結:買主と売買契約を結ぶ
- 決済当日:買主から売却代金を受け取り → 金融機関に残債を返済(繰上返済) → 金融機関から「抵当権解除証書」を受け取り → 司法書士が抵当権抹消登記と所有権移転登記を同時に処理する
- 完了:抵当権抹消登記が完了すると、買主への所有権移転が確定する
抵当権抹消にかかる費用の目安:
- 司法書士報酬:2〜5万円
- 登録免許税:1,000円/筆(不動産1件につき)
相続した家が「古い・訳あり」でも売却できる
訳あり物件(再建築不可・接道不良・老朽化・空き家期間が長い等)の場合、仲介業者では買主が見つかりにくいことがあります。しかし、訳あり不動産の買取専門業者であれば現況のまま購入できます。
買取業者を利用する場合、売却価格は仲介に比べて低くなりますが、仲介手数料が不要・現況引渡し・最短2〜4週間で決済という点でスピードと確実性があります。住宅ローンの残債があっても、アンダーローンであれば通常通り買取できます。
オーバーローンの場合:任意売却という選択肢
オーバーローンとは
オーバーローンとは、住宅ローン残債が売却可能な価格を上回る状態です。たとえば、家の価値が1,500万円なのに残債が2,000万円ある場合がこれに当たります。
この場合、売却代金だけでは残債を完済できないため、通常の売却では金融機関が抵当権を抹消してくれません(残債が残るから)。
任意売却とは
任意売却とは、オーバーローンの物件を金融機関の同意を得て売却する方法です。競売(裁判所の強制売却)と異なり、一般の買主に市場価格に近い価格で売却できます。
| 比較項目 | 任意売却 | 競売 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場価格の7〜9割程度 | 市場価格の5〜7割程度 |
| プライバシー | 近所に知られにくい | 裁判所公告・公開情報 |
| 手続き | 相談から3〜6か月 | 申立から6か月〜1年以上 |
| 残債後処理 | 分割返済交渉が可能 | 一括請求されることが多い |
任意売却の流れ:
- 金融機関(銀行)に任意売却の意向を申し出る
- 任意売却に精通した不動産業者・弁護士に相談する
- 残債・費用の分担について金融機関と協議する
- 買主を見つけて売却(金融機関の承諾条件で価格が決まる)
- 売却後も残債が残る場合は分割返済計画を組む
注意点:任意売却を行うと信用情報機関に記録され、数年間は新たな借り入れ(住宅ローン・カードローン等)が難しくなります。ただし、競売よりも条件が良く、精神的な負担も少ないため、オーバーローンの場合は早めに相談することをお勧めします。
売却に向けた全体フローまとめ

相続した家に住宅ローンが残っていた場合の全体フローは以下のとおりです。
相続発生
↓
STEP 1: 団信の加入有無を確認(金融機関へ連絡)
↓
├─ 団信あり → 保険金で残債完済 → 抵当権抹消登記 → 売却or活用
│
└─ 団信なし → 残債を確認する
↓
STEP 2: 売却価格の査定を受ける
↓
├─ アンダーローン(売却価格 > 残債)
│ → 通常売却(仲介 or 買取)
│ → 決済時に残債を完済・抵当権抹消
│
└─ オーバーローン(売却価格 < 残債)
→ 相続放棄の検討(3か月以内)
or 任意売却の検討(金融機関と交渉)
どのステップも、早めに動くことが重要です。相続登記義務化(2024年4月施行・3年以内・違反で10万円以下の過料)もあり、相続後は放置せず速やかに手続きを進めることが損失を最小限に抑える鍵です。
相続した家の住宅ローン問題でよくある失敗
失敗1: 団信の確認をしないまま相続放棄した 団信があれば残債がゼロになるのに、「どうせローンが残っている」と思い込んで相続放棄してしまったケースです。相続放棄は一度確定すると原則として撤回できません。必ず団信の確認を先に行いましょう。
失敗2: 住宅ローンを引き継いだまま放置した 「どうすればいいかわからない」と返済を続けないでいると、延滞が積み重なり信用情報に傷がつき、最終的には競売にかけられるリスクがあります。状況が複雑でも、まず金融機関か専門業者に相談することが解決への第一歩です。
失敗3: 仲介業者に依頼して半年以上売れなかった 相続した家が訳あり物件(旧耐震・再建築不可・老朽化など)の場合、仲介では買主がなかなか見つかりません。その間も固定資産税・火災保険・管理費が発生し続けます。訳あり物件は買取専門業者への相談を先行させることで、解決が早くなります。
よくある質問
Q. フラット35で借りていた場合、団信はどうなりますか?
フラット35(住宅金融支援機構)の団信は「任意加入」です。2017年10月以降は「機構団信」として特約料を払うことで加入できますが、それ以前のフラット35や、特約料を払わずに借りていた場合は団信なしとなります。住宅金融支援機構(0120-0860-35)に電話して確認してください。
Q. 相続した家のローンを引き継いで払い続けることはできますか?
できます。ただし、引き継ぐためには金融機関の承認が必要です(「債務者の変更」)。金融機関は相続人の収入・信用情報を審査し、引き継ぎを認めるかどうかを判断します。複数の相続人がいる場合は、誰が引き継ぐかを遺産分割協議で決め、それを金融機関に提示します。
Q. 住宅ローンが残った家を買取業者に売ることはできますか?
アンダーローンの場合は通常通り可能です。当社のような訳あり不動産の買取専門業者であれば、老朽化・再建築不可・占有者ありなど複雑な条件の物件でも対応しています。オーバーローンの場合は任意売却の経験がある業者・弁護士との連携が必要になります。まずご相談ください。
まとめ
相続した家に住宅ローンが残っていても、手順を踏めば解決できます。
- まず団信を確認する:加入していれば残債はゼロになる。連絡先は借入先の金融機関
- アンダーローンなら通常売却:買取業者なら最短2〜4週間で現金化可能
- オーバーローンなら任意売却:競売よりも条件が良く、早めの相談が解決への近道
- 相続放棄は3か月以内の期限あり:まず団信を確認してから判断する
「どこから手をつければいいかわからない」という段階でも、ご相談いただければ状況を整理してお伝えします。住宅ローンが残ったまま放置している実家・空き家について、まずはLINEでお気軽にご相談ください。
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