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家族信託の不動産を売却する方法|受託者が知るべき3条件と4手順

空き家のミカタ編集部|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)
家族信託の不動産売却 不動産書類と鍵とミニチュアハウスのイメージ

TL;DR — 家族信託の不動産売却 要点 家族信託された不動産は受託者が売買契約の主体となります。必須条件は①信託契約書に売却権限がある ②受益者の同意 ③信託登記の適正処理 の3点です。売却権限がない場合は信託を終了させてから売却します。老朽化・再建築不可等の訳あり物件でも当社が直接買取対応(大阪市24区・全国対応、仲介手数料なし)。

「親が家族信託を設定した不動産を、そろそろ売りたい。でも、どうやって売ればいいのかわからない」——そんなご相談が増えています。

家族信託は、認知症対策や相続対策として近年広く利用されていますが、設定した後に「信託財産をどうやって売るのか」という段階で初めて困るケースが多くあります。

家族信託で管理されている不動産の売却は、通常の不動産売却とは手続きが異なります。登記の名義人が変わること、売買契約を結ぶ主体が受託者になること、信託登記の抹消が必要になること——これらをひとつずつ確認しておく必要があります。

家族信託の不動産売却が「普通の売却」と異なる3つのポイント

家族信託を設定すると、不動産の登記名義が変わります。この点が通常の売却との最大の違いです。

1. 登記上の所有者が「受託者(信託)」名義になっている

家族信託を設定した時点で、不動産の所有権登記は「○○(受託者の名前)信託」という形に変わります。親(委託者)の名義ではなく、子(受託者)が信託財産として管理している形です。

第三者から見ると「この不動産は信託財産だ」ということが登記簿に記載されており、誰でも確認できる状態になっています。

2. 売買契約を結ぶのは受託者(子など)

売却する際、売買契約書に署名・押印するのは受託者(管理を委ねられた人)です。親(委託者)や受益者本人が署名するのではなく、受託者が「信託財産の処分」として契約を締結します。

親が認知症になっていても、受託者の権限で売却を進められる点は、成年後見制度と比べた家族信託の大きなメリットです。

3. 信託登記の抹消が必要になる

売却が完了した後(または売却と同時に)、信託登記を抹消する手続きが必要です。この手続きは司法書士に依頼することになります。

通常の売却に比べて司法書士費用が増加するため(目安として5〜15万円程度の上乗せ)、事前に見積もりを確認しておくことをお勧めします。

家族信託の不動産を売却するための3つの条件

家族と不動産業者が信託不動産の売却について相談している様子

信託財産である不動産を受託者が売却するには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

条件①:信託契約書に売却権限が定められていること

これが最も重要な条件です。信託法第26条(受託者の権限)では、受託者は「信託の目的の達成のために必要な行為」をできると定めています。

信託契約書に「不動産を売却できる」と明記されていれば、受託者は売却を進められます。一方、売却権限が契約書に含まれていない場合は、そのままでは売却できません(対処法は後述します)。

まず信託契約書の現物を用意し、「売却権限があるかどうか」を確認することが最初のステップです。

条件②:受益者の同意が得られていること

受益者(多くの場合、親本人)が意思能力を持っている場合は、売却について受益者の同意が必要です。

ただし、親が認知症を発症して意思能力を失っている場合でも、信託契約書に「受託者の判断で売却できる」と定められていれば、受益者の同意なく進められます。これが家族信託を設定しておく大きな理由のひとつです。

条件③:信託の目的の範囲内であること

売却が信託の目的に沿っているかどうかも確認が必要です。

例えば「親の生活費・医療費を確保するための財産管理」を目的として設定されている場合、不動産を売却してその資金を親の生活費に充てることは「信託の目的の範囲内」と判断されます。

逆に、受益者の利益に反するような売却(例:著しく低い価格での売却)は認められません。

宅建業者の視点: 家族信託の信託契約書は、設定した司法書士や信託会社によって内容がさまざまです。「売却できるはずだ」と思っていても、実際に確認すると売却権限の記載がなかったというケースを相談の中で経験しています。売却を検討するなら、まず信託契約書の現物を探し出して確認するところから始めてください。設定時の書類が見当たらない場合は、設定した司法書士事務所に問い合わせると副本を保管していることがあります。

家族信託の不動産を売却する手順(4ステップ)

家族信託の不動産売却契約書に署名する手元のクローズアップ

ステップ1:信託契約書の内容を確認する

まず信託契約書を手元に用意し、以下の点を確認します。

  • 売却権限の有無(「受託者は不動産を売却できる」等の記載があるか)
  • 信託の目的(売却がその目的に沿っているか)
  • 受益者の同意要件(誰が受益者か、その同意は必要か)
  • 信託終了の条件(どんな場合に信託が終了するか)

不明な点があれば、信託を設定した司法書士や信託会社に問い合わせましょう。

ステップ2:受益者・関係家族との合意形成

売却を進める前に、受益者(親)や他の家族と方針をすり合わせておきます。

信託財産の売却は受益者の利益のために行うものです。「なぜ売るのか」「売却資金をどう使うか」を明確にしておくことで、後のトラブルを防げます。特に受益者が複数いる場合は、全員の合意を文書で残しておくことを勧めます。

ステップ3:買取業者または仲介業者に査定を依頼する

売却方法は大きく2つあります。

仲介売却直接買取
売却価格市場価格に近い市場価格の70〜80%目安
売却期間3〜6ヶ月以上かかることも最短数日〜2週間
訳あり物件買手が見つかりにくい場合あり現況のまま対応可
仲介手数料物件価格の最大3.3%+6万円なし

老朽化・再建築不可・境界未確定・空室の多いアパートなど訳あり物件の場合は、直接買取の方がスムーズです。

ステップ4:売買契約・登記手続きを進める

売買契約は受託者が代理として締結します。契約書には受託者の名前と「信託財産の処分」である旨が記載されます。

売却完了と同時に、司法書士が信託登記の抹消手続きを行い、所有権が買主に移転します。このとき、信託登記の抹消登録免許税(不動産1筆につき1,000円)も発生します。

信託を「終了」させてから売るべきケース

信託契約書に売却権限がない、または信託の目的が完了した場合は、信託を終了(解除)させてから売却する方法もあります。

信託終了が適切な主なケース

  • 信託契約書に売却権限の記載がない
  • 信託の目的が達成された(例:親が施設入居を決め、財産管理が不要になった)
  • 受益者が亡くなり信託期間が終了した
  • 委託者・受益者・受託者の合意で信託を解除することになった

信託終了の手続きは信託法第163条に定められており、信託契約書の定めに従って進めます。終了後、所有権が受益者(または信託契約書で定めた帰属権利者)に戻ってから通常の相続不動産売却を行います。

この場合、信託終了登記 → 所有権移転登記 → 売却という流れになるため、手続きに時間がかかります(目安:1〜2ヶ月程度)。

宅建業者の視点: 信託を終了させてから売るというケースは、受益者である親御さんがすでにお亡くなりになっているときに多くあります。その場合、帰属権利者(信託契約書で定めた次の所有者)に名義が移ってから売却という流れになります。帰属権利者の定めがない場合は委託者(親)の相続人が引き継ぐため、相続手続きとの連動になります。こうした複合的なケースは、司法書士と不動産業者が連携して進めることが現実的です。

仲介で断られた家族信託物件の場合

家族信託中の不動産を仲介業者に売却依頼したところ「信託財産の扱いが複雑で対応できない」と断られるケースがあります。特に、老朽化・再建築不可・共有持分が絡む訳あり物件の場合、この傾向が強くなります。

このような場合、訳あり物件の直接買取専門業者への相談が有効です。信託財産であることは売却の障害にはなりません。買取業者は信託契約書の内容を確認した上で、受託者と直接取引を進められます。

なお、信託財産の買取を進める際は、以下の書類を用意しておくとスムーズです。

  • 信託契約書(原本または謄本)
  • 登記簿謄本(最新のもの)
  • 固定資産税評価証明書
  • 受益者の同意書(必要な場合)

よくある質問

Q. 家族信託中の不動産は、受託者が自由に売却できますか?

自由に売却できるわけではありません。信託契約書に売却権限が定められていることと、受益者の同意が必要です(信託法第26条)。

Q. 親が認知症になった後も、信託物件を売れますか?

受益者が意思能力を失っていても、信託契約書に売却権限が明記されていれば、受託者の判断で売却を進められます。成年後見人の選任は不要です。

Q. 通常の売却と手続きはどう違いますか?

売買契約の署名・押印は受託者が行います。また売却後に信託登記の抹消が必要なため、司法書士費用が通常より増加します(目安:5〜15万円の上乗せ)。

Q. 信託契約書が見当たらない場合はどうすれば?

設定時に依頼した司法書士事務所に問い合わせましょう。副本を保管していることがあります。また、法務局で「信託目録」の写しを取得することもできます(手数料:1通450円)。

Q. 訳あり物件(再建築不可・老朽化等)でも対応できますか?

はい、当社は信託財産であっても現況のまま直接買取に対応しています。仲介では断られた物件でも、まずご相談ください。


まとめ

家族信託された不動産を売却する場合のポイントを整理します。

  1. 売買契約の主体は受託者(親ではなく、信託管理を任された人)
  2. 3つの条件を確認する——①売却権限 ②受益者の同意 ③信託目的の範囲内
  3. 信託登記の抹消が必要(司法書士費用が通常より増加)
  4. 売却権限がない場合は信託を終了させてから売却(所要期間1〜2ヶ月)
  5. 訳あり物件は仲介より直接買取がスムーズ

家族信託中の不動産、特に老朽化・再建築不可・共有持分など訳あり物件の処分でお困りの方は、お気軽にご相談ください。


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