空室のマンションを売る|内覧なしで高く売る3つの工夫【2026年版】
Q: 誰も住んでいない空室のマンションを、内覧に立ち会わずに売れますか? A: 「売主が立ち会わない」という意味なら可能です。空室だからこそ鍵をお預かりして内覧を進められます。ただし「買主が一度も見ずに買う」ことは仲介ではほぼ起きません。買主が見る回数を1回だけにしたい場合は、不動産会社が直接買い取る買取が現実的な選択肢になります。(宅建業免許: 大阪府知事(1)第65646号、2026年8月時点)
空室マンションの売却 — 要点まとめ
- 「内覧なし」は2種類:売主が立ち会わない(空室なら可能)/買主が見ない(仲介ではほぼ不可・買取なら1回のみ)
- 工夫①:電気の再開通と残置物の整理で「暗い・わからない」を消す
- 工夫②:全室の写真・動画・間取り図を先に作り、内覧の代わりにする
- 工夫③:管理規約・長期修繕計画・修繕積立金の残高・滞納の有無をそろえる
- 期限:マイホームの3,000万円特別控除は「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」
- 注意:相続した空き家の3,000万円特別控除は分譲マンション(区分所有建物)には使えません
親が住んでいた部屋、転勤で空けたままの部屋、入居者が退去してそのままの投資用ワンルーム。
誰も住んでいないマンションは、放っておいても毎月お金が出ていきます。それでも売却に踏み切れない理由として、当社によくいただくのが「遠方に住んでいて内覧に立ち会えない」「室内が散らかっていて人に見せたくない」という2つのお悩みです。
この記事では、空室のマンションを空き家のまま売却するときに、内覧の負担を最小限にしながら価格を落とさないための工夫を、宅建業者の立場から整理してお伝えします。
「内覧なし」で本当に売れるのか
まず前提を正確にお伝えします。「内覧なし」という言葉には、性質のまったく違う2つの意味が混ざっています。
- A: 売主が内覧に立ち会わない — 空室のマンションなら実現できます。鍵を不動産会社に預ければ、売主が現地に行く必要はありません。人が住んでいる家では難しいことが、空室では簡単にできます
- B: 買主が一度も室内を見ないで買う — 仲介ではほぼ実現しません。数千万円の買い物で室内を見ずに契約する個人の買主は、現実にはほとんどいらっしゃいません
つまり、空室マンションで狙うべきは「Aを最大化して、Bに近づける」ことです。買主に見せる回数を減らすほど価格が下がる、という関係を理解した上で、見せなくても不安にならない材料を先に用意しておくことが工夫の中身になります。
3つの売り方の比較
| 比較項目 | 仲介(一般の買主に売る) | 仲介(投資家に売る) | 直接買取(不動産会社が買う) |
|---|---|---|---|
| 売主の立ち会い | 空室なら不要(鍵預け) | 空室なら不要 | 不要 |
| 買主が見る回数 | 成約まで数組×各1〜2回 | 1回程度 | 1回のみ |
| 室内の状態 | きれいなほど有利 | 収支重視・状態は二の次 | 残置物ありのままで可 |
| 売却までの期間 | 3〜6か月が目安 | 1〜3か月が目安 | 最短2〜4週間 |
| 価格の目安 | 市場相場に近い | 相場よりやや低め | 市場相場の7割前後 |
| 仲介手数料 | あり | あり | なし |
※期間と価格は当社の実務での目安です。物件の立地・築年数・管理状況によって変わります。
「とにかく人に見せずに早く終わらせたい」のであれば買取、「時間はかけられるので価格を優先したい」のであれば仲介、という切り分けになります。どちらが正しいということはなく、空室を維持するコストと、待つことで得られる価格差を比べて決めるのが現実的です。
工夫①:見られて困る状態を先に消す
空室のマンションが安く見積もられる原因は、室内の古さそのものより「わからないこと」にあります。
電気は止めずに、または再開通させる
空室にすると電気を止める方が多いのですが、これが価格に響きます。
- 照明が点かないため、内覧も撮影も暗い時間帯のような写真しか撮れません
- 換気扇・エアコン・給湯器・インターホンの動作確認ができません
- 動作がわからない設備は、買主側で「全部交換する前提」の見積もりになります
電気の基本料金は月1,000円前後です。売り出す数週間だけでも再開通させておくと、設備の状態を「動きます」と言い切れるようになり、値引きの材料をひとつ減らせます。
水道も同様です。長く空室だと排水トラップの水が蒸発して下水の臭いが上がってきます。売り出す前に各所を通水しておくと、内覧時の第一印象が変わります。
残置物は「撤去する」か「そのまま売る」かを先に決める
家具・家電・仏壇・大量の書籍などが残っている場合、選択肢は2つです。
| 選択肢 | 費用の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 自分で撤去してから仲介で売る | ワンルームで5〜15万円、3LDKで20〜50万円 | 室内がきれいで、時間をかけて高値を狙える |
| 残置物ありのまま買取に出す | 0円(買取価格に織り込み) | 遠方在住・立ち会えない・処分の手配が負担 |
※費用は大阪市内での当社の実務での目安です。エレベーターの有無・搬出経路・品目によって変わります。
撤去費用が20万円かかるとしても、それで売却価格が50万円上がるなら撤去した方が有利です。逆に、遠方から何度も足を運んで業者を手配する手間を考えると、そのまま買い取ってもらう方が結果的に手残りが多くなる方もいらっしゃいます。ご自身の状況で計算してから決めていただければと思います。
宅建業者の実務メモ 「片づけてから相談しよう」と思っているうちに、1年、2年と経ってしまうご相談が本当に多いです。その間の管理費・修繕積立金・固定資産税は出ていき続けます。片づける前の状態でも査定はできますので、まず金額を知ってから片づけるかどうかを決める順番をおすすめしています。
工夫②:内覧の代わりになる資料を先に作る
買主が室内を見たがるのは「知りたいことがあるから」です。知りたいことが先に全部わかっていれば、見る回数は減らせます。
空室は、人が住んでいる部屋ではできない撮り方ができる、という強みがあります。生活感がないぶん、部屋の広さと状態をそのまま写せます。
そろえておくと内覧が減るもの
- 全室の写真 — 晴れた日の午前中に、各部屋を対角線の隅から広く撮ります。玄関・水回り・収納の中まで撮るのがポイントです
- 室内を歩いた動画 — 玄関から入って各部屋を回る1〜2分の動画があると、広さと動線が伝わります
- バルコニーからの眺望と方角 — 昼と夕方の2枚。日当たりは買主が最も気にする項目のひとつです
- 共用部の写真 — エントランス・ゴミ置き場・駐輪場・エレベーター。マンションの管理状態がわかります
- 間取り図 — 手元になければ、購入時のパンフレットか管理会社に確認します
- 不具合の写真 — 壁のひび、床のきしみ、水漏れ跡は隠さずに撮ります
最後の項目は意外に思われるかもしれません。しかし、不具合を先に開示した方が、結果的に価格は下がりにくくなります。あとから見つかった不具合は「他にも隠れているのでは」という疑いにつながり、引き渡し後の契約不適合責任のトラブルにもなり得ます。先に見せて、その分を織り込んだ価格で合意する方が、売主にとっても安全です。
工夫③:マンションの値段は「部屋」より「管理」で決まる
戸建てと違い、マンションの価格は室内の状態だけでは決まりません。建物全体の管理状態が、専有部分の何倍も価格に影響します。ここが空室マンションの売却で最も見落とされやすいところです。
管理費・修繕積立金の滞納は買主が引き継ぐ
建物の区分所有等に関する法律第8条(特定承継人の責任)により、管理組合が持つ管理費・修繕積立金の債権は、部屋を買った人(特定承継人)に対しても請求できます。
つまり、前の所有者の滞納分を、買主が払うことになります。買主も不動産会社も当然これを警戒しますので、滞納額が不明なまま売り出すと、想定される最悪の金額を見込んだ値引きを求められます。
管理組合または管理会社に依頼して、管理費・修繕積立金の月額と滞納の有無を記載した書面(管理に関する重要事項の調査報告書)を先に取り寄せておくことをおすすめします。
買主が必ず確認する管理関係の資料
| 資料 | 何がわかるか | 入手先 |
|---|---|---|
| 管理規約・使用細則 | ペット可否・楽器・リフォームの制限 | 管理会社・管理組合 |
| 長期修繕計画 | 次の大規模修繕の時期と費用 | 管理会社・管理組合 |
| 修繕積立金の残高 | 一時金の徴収リスクがあるか | 管理会社・管理組合 |
| 管理費・修繕積立金の月額 | 買主の毎月の負担額 | 管理会社・管理組合 |
| 滞納の有無と金額 | 買主が引き継ぐ債務の有無 | 管理会社・管理組合 |
| 総会議事録(直近数年分) | 値上げ・建替え・トラブルの議論 | 管理組合 |
数字で見るマンション管理の現状
国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、次のような結果が公表されています。
- 空室があるマンションは34.0% — 空室を抱えているのは珍しいことではありません
- 修繕積立金が計画に対して不足しているマンションは36.6% — 3棟に1棟以上が不足しています
- 25年以上の長期修繕計画に基づいて積立金を設定しているマンションは59.8%
※出典: 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果(とりまとめ)」(2026年8月11日確認)
積立金が不足しているマンションは、将来の一時金徴収や積立金の値上げが起こり得ます。買主はそれを織り込んで価格を判断しますので、ご自身のマンションが不足していないかどうかを先に把握しておくと、価格交渉の場で説明ができます。
空室を持ち続けるコストと、税金の期限
誰も住んでいなくても出ていくお金
大阪市内・築30年・専有60平方メートルのモデルケース(当社の実務での目安)です。
| 費目 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|
| 管理費 | 約12,000円 | 約144,000円 |
| 修繕積立金 | 約13,000円 | 約156,000円 |
| 固定資産税・都市計画税 | — | 約80,000円 |
| 火災保険料 | — | 約8,000円 |
| 電気の基本料金 | 約1,000円 | 約12,000円 |
| 合計 | — | 約400,000円 |
※実際の金額はマンションの規模・築年数・評価額によって大きく変わります。
3年待つと、それだけで約120万円が出ていきます。「もう少し高く売れるまで待とう」という判断をするときは、待つ期間のコストと、上乗せを狙う金額を並べて比べてみてください。
なお、総務省の令和5年住宅・土地統計調査では全国の空き家は約900万戸・空き家率13.8%と過去最高になっています。空室のまま持ち続ける所有者が増えているぶん、売り手同士の競争も静かに厳しくなっています。
見落とされやすい税金の期限
マイホームを売ったときの3,000万円特別控除は、ご自身が住んでいた部屋であれば使える可能性があります。ただし期限があります。
住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること (出典: 国税庁タックスアンサー No.3302 マイホームを売ったときの特例)
たとえば2024年5月に住まなくなった場合、2027年12月31日までの譲渡が対象です。この期限を1日過ぎると、譲渡益に対して原則どおりの課税になります。
一方で、相続した空き家の3,000万円特別控除は、分譲マンションには使えません。国税庁の要件に「区分所有建物登記がされている建物でないこと」が明記されているためです(出典: 国税庁タックスアンサー No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)。
相続した部屋だから空き家特例が使える、と考えて売却時期を後ろにずらしてしまうと、使える特例がないまま期限だけが過ぎることになりかねません。マンションと戸建てで使える特例が違うという点は、税理士にご相談いただく際にも確認していただければと思います。
仲介と買取、どちらを選ぶかの判断基準
次のいずれかに当てはまる場合は、買取を検討する価値があります。
- 遠方にお住まいで、内覧や立ち会いのために現地へ行くのが難しい
- 室内に残置物が多く、撤去の手配をする余力がない
- 電気・水道が止まっていて、当面再開通させる予定がない
- 管理費・修繕積立金の滞納があり、精算の目処が立っていない
- 税金の特例の期限が迫っていて、売却時期を確定させたい
- 売りに出していることを近所や親族に知られたくない
逆に、室内の状態がよく、管理も良好で、半年程度の時間をかけられるのであれば、仲介で市場価格に近い金額を狙う方が手残りは多くなります。当社では、仲介の方が有利だと判断した場合はその旨をお伝えしています。
よくある質問
Q. 空室のマンションを内覧なしで売ることはできますか?
「売主が立ち会わない」という意味であれば可能です。空室なら鍵をお預けいただくだけで、売主が現地に行かずに内覧を進められます。一方「買主が一度も見ないで買う」という意味では、仲介ではほぼ実現しません。買主が見る回数を1回だけにしたい場合は、直接買取が現実的な選択肢になります。
Q. 電気が止まっている空室のマンションでも売れますか?
売れますが、価格が下がりやすくなります。照明が点かないと室内が暗く写り、設備の動作確認もできないため、買主は「わからない分だけ安く」見積もる傾向があります。売り出す前に電気だけでも再開通させると印象が変わります。買取であれば、電気が止まったままでも査定は可能です。
Q. 相続した空室のマンションに「空き家の3,000万円特別控除」は使えますか?
使えません。国税庁の空き家特例には「区分所有建物登記がされている建物でないこと」という要件があるため、分譲マンションは対象外です。ご自身が住んでいた部屋であれば、マイホームを売ったときの3,000万円特別控除(住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡)を検討することになります。適用の可否は必ず税理士にご確認ください。
Q. 前の所有者が管理費を滞納していた場合、買主が払うことになりますか?
はい。建物の区分所有等に関する法律第8条により、管理組合は滞納分を買主にも請求できます。売却前に管理組合へ滞納額を確認し、精算する前提で進めるのが一般的です。滞納額が不明なままだと、買主はリスク分を上乗せして値引きを求めてきます。
Q. 室内に家財が残ったままでも査定してもらえますか?
はい、そのままで結構です。当社では残置物のある状態のまま買い取ることが可能です。撤去してから相談しようとお考えのうちに時間が過ぎてしまうより、まず現況で金額を知っていただき、その上で撤去するかどうかを判断していただく方が合理的だと考えています。
Q. 賃貸中だった投資用のワンルームが空室になりました。売るべきか、また入居者を探すべきか迷っています。
年間の手残り(家賃収入から管理費・修繕積立金・固定資産税・原状回復費を引いた額)と、売却して現金化した場合の金額を並べて比べてください。空室期間が長引くほど、管理費と修繕積立金が持ち出しになります。判断材料の作り方は相続した賃貸マンションの空室率が高い|収益悪化で売却を判断する3つのサインにまとめています。
関連するガイド記事
- 相続した賃貸マンションの空室率が高い|収益悪化で売却を判断する3つのサイン
- 相続したマンションの売却方法|管理費滞納・共有持分・3つの注意点
- 管理費を滞納しているマンションの買取
- 空き家の管理を続ける場合と早期売却の費用比較
- 空き家の買取|現況のまま売却する方法
まずはお気軽にご相談ください
空室のマンションの扱いにお困りの方は、まずはLINEでご相談ください。
室内の状態がわからない・立ち会えない・書類が手元にない、という段階でも構いません。物件の所在地がわかれば、こちらで登記情報と管理状況を確認した上で、概算の金額をお伝えします。
→ 無料査定の相談準備メモ(入力任意) 所在地や入居状況を整理できます。価格は物件を確認して個別にご案内します。
相談無料・秘密厳守・大阪市24区を中心に対応
空き家のミカタ(合同会社アルシェ/宅地建物取引業者 大阪府知事(1)第65646号)
出典一覧
- 国税庁タックスアンサー No.3302「マイホームを売ったときの特例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm (2026年8月11日確認)
- 国税庁タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm (2026年8月11日確認)
- e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」第8条(特定承継人の責任) https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000069 (2026年8月11日確認)
- 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果(とりまとめ)」 https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000210.html (2026年8月11日確認)
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」 https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/index.html (2026年8月11日確認)