なぜリゾートマンションは1円でも売れないのか|買取不可になる4条件と残された出口
結論:リゾートマンションが1円でも売れないのは、価格が安すぎないからではなく、買主が引き受けるものが「部屋」ではなく「毎月の支払い義務」だからです。管理費・修繕積立金・温泉利用料・固定資産税を合わせて年40万〜50万円かかる物件を10年持てば、支出は400万〜500万円になります。売買価格は0円より下に設定できないため、この差はどうやっても埋まりません。さらに0円でもらう側にも登録免許税・不動産取得税・司法書士報酬がかかります。買取業者が断るのも同じ理由で、断られたあとに残る出口は5つあります。
「1円でも売れない」の正体は、価格ではなく引き受ける義務の大きさです
「100万円まで下げたのに問い合わせが1件も来ない」「1円でもいいから引き取ってほしいと伝えても断られる」。リゾートマンションの相談で最も多いのがこの状態です。
原因は物件の見た目でも、広告の出し方でもありません。買主がその部屋を手に入れると同時に、毎月の支払い義務を引き受けることになるという一点にあります。
一般的なリゾートマンションで発生する年間コストを試算すると、次のようになります。
| 費目 | 月額の例 | 年額 |
|---|---|---|
| 管理費 | 18,000円 | 216,000円 |
| 修繕積立金 | 12,000円 | 144,000円 |
| 温泉・給湯などの施設利用料 | 5,000円 | 60,000円 |
| 固定資産税・都市計画税 | ー | 40,000円 |
| 合計 | 35,000円 | 460,000円 |
※温泉大浴場・プール・フロント常駐などの共用施設を持つ物件を想定した試算です。金額は物件ごとに大きく異なります。
年46万円ということは、10年で460万円です。買主から見れば、1円で買った瞬間に460万円の支出予定を抱え込む取引ということになります。
ここが「値下げでは解決しない」理由です。売買価格には0円という下限があるのに、引き受ける負担にはその下限がありません。価格を1円にしても、まだ足りていないのです。
不動産の価値がマイナスになるという状態を、価格表だけを見ていると理解しにくいのですが、実際には毎月の請求書という形で目に見えています。
0円で引き取る側にも、10万円台の初期費用と税金がかかります
「タダでいいから誰かに」と考えたとき、見落とされやすいのが受け取る側の負担です。無償でもらっても、登記と税金の費用は発生します。
固定資産税評価額が建物120万円・土地(敷地権)30万円のリゾートマンションを譲り受けた場合の試算です。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 登録免許税(建物) | 120万円 × 2% | 24,000円 |
| 登録免許税(土地・敷地権/売買) | 30万円 × 1.5% | 4,500円 |
| 不動産取得税(家屋) | 120万円 × 3% | 36,000円 |
| 不動産取得税(土地) | 課税標準15万円が免税点16万円未満のため非課税 | 0円 |
| 司法書士報酬(登記手続き) | ー | 50,000〜100,000円 |
| 合計 | ー | 約11万〜16万円 |
数字の根拠を補足します。
登録免許税は、売買による所有権移転の本則税率が土地・建物とも2%です。土地についてはこれを1.5%に下げる軽減措置があります。この軽減は適用期限の延長が繰り返されているため、登記を行う時点での期限を国税庁のページでご確認ください。なお、住宅用家屋の税率を0.3%まで下げる軽減措置もありますが、これは自己の居住用であることが要件のため、保養目的のリゾートマンションでは使えません。
不動産取得税の標準税率は4%ですが、土地と住宅は令和9年3月31日まで3%に軽減されています。また宅地の課税標準は同じ期限まで評価額の2分の1とされます。
免税点にも注意が必要です。大阪府の公表資料によると、令和8年4月1日以降に取得した不動産の免税点は土地16万円未満・家屋34万円未満(1戸につき)に引き上げられました(それまでは土地10万円・家屋12万円)。上の試算で土地の不動産取得税が0円になっているのは、この免税点の引き上げによるものです。
つまり、0円でもらう人にとっても、初期費用10万円超からのスタートです。そのうえで翌月から年46万円の負担が始まります。「タダなら誰か欲しいはず」という前提が成り立たないのは、このためです。
なお個人から個人への無償譲渡は贈与にあたり、贈与税の対象になり得ます。法人が無償で受け取った場合は受贈益として法人税の対象です。1円という極端に低い価格での売買も、税務上は贈与とみなされる場合があります。金額の設定を検討される際は、事前に税理士または所轄の税務署にご確認ください。
買取業者が断る4つの条件——これが「買取不可物件」の実態です
訳あり物件を専門に扱う業者であれば買うだろう、と考えて連絡すると断られる。この経験をされた方は少なくありません。専門業者が断る理由は、次の4つに整理できます。
条件1:転売先も賃貸需要もなく、出口が存在しない
買取は、仕入れた物件を次の誰かに渡して初めて成立します。売る相手も貸す相手もいない物件は、買った瞬間に在庫が固定されます。管理規約で賃貸や短期利用が禁止されていると、収益化の道も閉じます。
条件2:在庫として持っている間、業者側が管理費を払い続ける
一般の空き家であれば、売れるまでの保有コストは固定資産税が中心です。ところが区分所有マンションでは、そこに管理費と修繕積立金が毎月加わります。年46万円の物件を2年間在庫として持てば、それだけで92万円の確定した損失です。
条件3:滞納があると、区分所有法第8条で買主に請求が回ってくる
区分所有法第7条の債権は、第8条により債務者である区分所有者の特定承継人に対しても行うことができると定められています。特定承継人とは、売買・贈与・競売などで区分所有権を取得した人、つまり買主のことです。
前の所有者が100万円滞納していれば、買った人が管理組合から100万円を請求される可能性があります。0円で買っても実質はマイナス100万円です。滞納は買取価格に最も強く影響する要素だと考えてください。
条件4:金融機関の融資がつかない
担保としての評価がほぼゼロになるため、購入資金の融資はまず下りません。住宅ローンも自己居住用が前提のため使えません。結果として、買主候補は現金で買える層だけに絞られます。市場から買い手の大半が消えるということです。
この4つが重なった状態が、「買取不可」と言われる物件の中身です。業者が意地悪をしているわけではなく、引き受けた側が確実に赤字になる構造があります。
逆に、買取の可能性が残るのはこの条件がそろったときです
すべてのリゾートマンションが対象外というわけではありません。次の条件が多く当てはまるほど、引き受け手が現れる可能性は上がります。
| 確認項目 | 可能性が残る目安 |
|---|---|
| 管理費+修繕積立金の月額 | 1万5,000円以下 |
| 管理費等の滞納額 | 滞納なし、または20万円以下 |
| 立地 | 駅・インターチェンジから近く、冬季以外も使える |
| 管理規約 | 賃貸に出すことが禁止されていない |
| 管理組合 | 総会が開催され、長期修繕計画がある |
| 建築時期 | 1981年6月以降の新耐震基準 |
| 登記 | 敷地権の登記がされている |
特に効くのは管理費等の月額と滞納の有無です。この2つが軽ければ、他の条件が悪くても検討できる場合があります。逆に月4万円の管理費と200万円の滞納がある物件は、立地が良くても引き受け手を探すのが難しくなります。
査定を依頼する際は、直近の管理費請求書・滞納額のわかる書面・管理規約・総会資料を用意していただけると、その場で判断できる範囲が広がります。
買取を断られたあとに残っている5つの出口
「どこに聞いても無理と言われた」という段階でも、まだ試していない道が残っていることがあります。
出口1:同じマンションの区分所有者・管理組合に打診する
外部の買主より、同じ建物の中にいる人のほうが引き受ける動機を持っている場合があります。隣の住戸の所有者が物置や親族用に使う、将来の一括売却を見据えて住戸をまとめる、といった理由です。管理会社を通じて意向を聞ける場合もあります。外部に広告を出す前に、内側を当たる価値はあります。
出口2:処分費を払って引き取ってもらう(有償引き取り)
買取価格を受け取るのではなく、こちらが費用を負担して所有権を移す方法です。年46万円の負担が続く物件であれば、たとえば50万円を払って手放すほうが1年強で元が取れる計算になります。
ただしこの方法には注意点があります。費用を先に払ったのに名義が移らないというトラブルが起きやすい領域です。契約書で移転登記の時期を明記し、手続き後に法務局で登記事項証明書を取得して、名義が実際に変わったことをご自身の目で確認するまで完了と考えないでください。
出口3:相続放棄(期限内に限る)
相続で取得した物件であれば、相続の開始を知った時から3か月以内は相続放棄という選択肢があります(民法915条)。ただし放棄は財産全体が対象になるため、預貯金など他のプラスの財産も一緒に手放すことになります。
また2023年4月1日施行の改正民法940条により、放棄の時に財産を現に占有していた場合は、引き渡すまで保存義務が残ります。放棄した翌日から完全に無関係になるわけではない点はご承知おきください。期限を過ぎている場合の考え方は相続放棄の3か月を過ぎてしまった場合の対処にまとめています。
出口4:管理組合単位で建物と敷地ごと売る(2026年4月施行の新制度)
個人の住戸単位では動かせなくても、マンション全体としての出口が制度として整備されました。
老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第47号)が2025年5月23日に成立し、同月30日に公布されました。区分所有法の改正部分は2026年4月1日に施行されています。
国土交通省の公表資料では、この改正に対応して建物敷地売却決議・建物取壊し敷地売却決議・敷地売却決議に対応したマンション等売却事業の規定の整備、および建物更新決議等の新たな多数決による決議の創設が行われたと説明されています。
自分ひとりで進められるものではありませんが、同じ悩みを抱えた区分所有者が建物内に多数いるのがリゾートマンションの特徴です。管理組合の総会で議題として出してみる価値はあります。具体的な決議の要件は法務省・国土交通省の資料で確認するか、マンション管理士等の専門家にご相談ください。
出口5:使えない制度を早めに切り分ける
相続した不要な不動産の処分先として相続土地国庫帰属制度が案内されることがあります。しかしリゾートマンションでは使えません。
法務省が公表している要件では、建物の存する土地は申請そのものができない土地とされています。マンションの敷地は建物が建っている土地であり、区分所有者が持つのは土地そのものではなく敷地利用権です。制度の対象外だと早めに切り分けておくほうが、時間を無駄にせずに済みます。
税制でも救済されにくいことを、判断の前に知っておいてください
損をして手放すのだから税金は戻るだろう、と考えたくなります。ただ現実は逆方向です。
相続した空き家の3,000万円特別控除は使えません。国税庁の要件では、被相続人居住用家屋から区分所有建物である旨の登記がされている建物が除かれています。マンションはここで外れます。
売却損の損益通算も原則できません。土地建物の譲渡で生じた損失を給与所得などと通算し、翌年以降に繰り越す特例は、自己の居住用財産が対象です。保養目的のリゾートマンションは要件を満たしません。
一方で、持ち続けている間の固定資産税と管理費は毎年確実に出ていきます。税制上の出口がない資産を持ち続けるという状態になっている点は、相続人の間で共有しておいたほうがよいことです。
判断に迷われる場合は、譲渡所得の取り扱いについて税理士または所轄の税務署にご確認ください。
大阪市内の物件と、リゾート地の物件でご相談への回答が変わります
対応できる範囲を先にお伝えします。
大阪市24区の物件は、空き家・再建築不可・事故物件・共有持分・相続アパートを含めて現況のまま査定にお応えしています。管理費の滞納や残置物がある状態でも、そのままの状況でご相談いただけます。
リゾート地の物件については、管理費の水準・滞納額・管理組合の状況によって対応の可否が分かれます。無責任に「必ず引き取れます」とお伝えすることはできません。ただし、いただいた情報をもとにその物件がどの条件に当てはまるのか、どの出口が現実的かをお伝えすることはできます。
「買えます」と言えない場合でも、なぜ難しいのか、次にどこへ相談すればよいのかは具体的にお答えします。宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)として、できないことをできると言わないほうが、結果的に判断の役に立つと考えています。
よくあるご質問
Q. 買取業者に「1円でも買えません」と言われました。おかしいのでは?
おかしくありません。1円で買っても、管理費と滞納債務を引き受けることになるためです。買取価格の下限は0円ではなく、実質的にはマイナス側に伸びています。だからこそ、こちらが費用を払って引き取ってもらう有償引き取りという形が出てくることになります。
Q. 管理費を払うのをやめたらどうなりますか?
滞納が続くと、管理組合から催告を受けます。区分所有法第59条により、共同の利益に反する行為があるときは、管理組合が競売を請求できる仕組みがあります。競売になれば市場価格をさらに下回る結果になりやすく、その間の滞納分も残ります。支払いを止める判断は、事態を悪化させる方向に働きます。管理費滞納がある物件の買取もあわせてご確認ください。
Q. 名義が亡くなった親のままです。この状態でも動けますか?
売却や譲渡の前に相続登記が必要です。2024年4月1日から相続登記は義務化されており、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が求められます。相続人が多い場合は書類集めに時間がかかるため、処分の方針が固まる前から並行して進めておくと動きやすくなります。
Q. 遠方に住んでいて現地に行けません。
現地に行かずに進められます。管理費の請求書、固定資産税の納税通知書、管理規約、部屋の写真があれば、状況の確認と判断の整理はできます。実際に、遠方にお住まいの相続人の方からのご相談を数多くお受けしています。
Q. 兄弟で共有しています。全員の同意がないと動けませんか?
売却には共有者全員の同意が必要です。ただし、自分の持分だけを手放す方法はあります。共有物件は放置すると次の世代でさらに相続人が増え、話がまとまりにくくなります。相続人が増える前に方針を決めるほうが、選べる手段は多くなります。
Q. とりあえず相談だけしたいのですが、営業されませんか?
査定・相談は無料で、売却を強制することはありません。「まだ売ると決めていない」「金額だけ知っておきたい」という段階のご相談を歓迎しています。秘密厳守で対応します。
まとめ
- リゾートマンションが1円でも売れないのは、買主が引き受けるのが部屋ではなく毎月の支払い義務だからです。年46万円の物件なら10年で460万円の負担になります
- 0円でもらう側にも初期費用がかかります。登録免許税(建物2%・土地1.5%)と不動産取得税(3%)、司法書士報酬で10万円超からのスタートです
- 買取業者が断る条件は出口がない・在庫中の管理費・区分所有法第8条による滞納の承継・融資がつかないの4つです
- 逆に管理費等が月1万5,000円以下で滞納がない物件は、引き受け手が見つかる可能性が残ります
- 断られたあとも、同じマンション内への打診・有償引き取り・相続放棄・管理組合単位の敷地売却決議という道があります。相続土地国庫帰属制度はマンションでは使えません
毎月の請求書が届くたびに「早く手放さないと」と焦り、そのたびに断られて動けなくなる。この繰り返しでいちばん失われるのは時間です。負担は止めない限り毎月積み上がっていきます。
無料査定・ご相談はこちらから
「1円でも売れないと言われた」「どこに相談すればいいかわからない」——その段階のご相談を歓迎しています。査定は無料で、売却を強制することはありません。
大阪市24区の物件は現況のまま・残置物そのまま・管理費の滞納があるままで査定にお応えできます。リゾート地の物件についても、対応の可否と現実的な出口をその場でお伝えします。遠方にお住まいの方からのご相談も承っています。
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出典
- 法務省「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律について」(令和7年法律第47号)https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00375.html
- 国土交通省「改正マンション関係法の施行に伴う関係政令を閣議決定」(令和8年4月1日施行)https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000254.html
- 法務省「相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00461.html
- 大阪府「不動産取得税」(税率・免税点・課税標準の特例)https://www.pref.osaka.lg.jp/o050040/zei/alacarte/fudousan.html
- 大阪府「令和8年度の主な税制改正の紹介」(不動産取得税の免税点引き上げ)https://www.pref.osaka.lg.jp/o050030/zei/alacarte/reiwa8_zeikai.html
- 国税庁 タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
- 建物の区分所有等に関する法律 第7条・第8条・第59条
- 民法第915条・第940条(令和5年4月1日施行)