特定空家に指定されたら何が起きる?行政処分4ステップと費用・都道府県別データ【2026年版】
市区町村から「特定空家」の通知が届いた方や、放置してきた空き家が行政処分の対象になるかもしれないと不安を感じている方に向けて、行政処分の具体的な流れと費用、そして全国のデータをまとめました。
特定空家に指定されても、すぐに強制解体されることはありません。行政処分には「助言・指導→勧告→命令→行政代執行」の4段階があり、各段階で適切に対応すれば次のステップには進みません。ただし放置し続けると最終的に行政代執行(強制解体)となり、費用100万〜300万円以上が所有者に請求されます。
目次
- 特定空家に指定されるとは?基本をおさらい
- 行政処分の4ステップとタイムライン
- 行政代執行の費用と費用回収の仕組み
- 都道府県別・行政代執行件数データ(2026年版)
- 罰則適用・行政代執行の実例5選
- 特定空家指定を避けるための3つの選択肢
- よくあるご質問
特定空家に指定されるとは?基本をおさらい
「特定空家」とは、空家等対策特別措置法(2015年施行、2023年改正)第2条第2項に定義された概念です。以下の4つの基準のいずれかに該当する空き家が対象になります。
| 区分 | 具体例 |
|---|---|
| ① 保安上危険 | 屋根・外壁の崩落リスク、傾斜が著しい |
| ② 衛生上有害 | 腐敗物の放置、害虫・害獣の巣になっている |
| ③ 景観不良 | 雑草の繁茂、ゴミの堆積、落書き |
| ④ 生活環境阻害 | 悪臭、騒音、不法投棄の温床になっている |
市区町村の担当職員が現地調査を行い、上記に該当すると判断した場合に特定空家として認定されます。
2023年の改正では、「管理不全空き家」という新しい区分も設けられました。特定空き家ほど深刻ではないが管理が不十分な空き家が対象で、勧告を受けると翌年度から固定資産税の住宅用地特例が解除(最大6倍化)されます。

行政処分の4ステップとタイムライン
特定空家に認定されたからといって、すぐに強制解体されるわけではありません。以下の4段階のプロセスがあります。
ステップ① 助言・指導
市区町村が所有者に対して文書で「改善するよう助言・指導します」と通知します。この段階では法的な強制力はなく、固定資産税の6倍化も発生しません。草刈り・清掃・外壁補修などの対応を行い、窓口に報告すれば次のステップに進みません。
ステップ② 勧告
助言・指導に従わない場合、市区町村は「勧告」を行います。勧告を受けた翌年度から、固定資産税の住宅用地特例が解除されます(小規模住宅用地は最大6倍)。これが「特定空家の6倍問題」として広く知られている状態です。まだ法的強制力はありませんが、経済的な影響が出始めます。
ステップ③ 命令
勧告に従わない場合、市区町村は「命令」を発します。命令に従わない場合は50万円以下の過料(2023年改正で引き上げ)が科されます。命令は行政不服審査の対象となるため、不服がある場合は弁護士に相談することをお勧めします。
ステップ④ 行政代執行(強制解体)
命令にも従わない場合、市区町村は行政代執行法に基づいて所有者に代わって建物を解体し、費用を後から所有者に請求します。これが「強制解体」と呼ばれる最終手段です。
| ステップ | 固定資産税 | 罰則 | 強制力 |
|---|---|---|---|
| ① 助言・指導 | 変化なし | なし | なし |
| ② 勧告 | 翌年から最大6倍 | なし | なし |
| ③ 命令 | 最大6倍継続 | 50万円以下の過料 | あり |
| ④ 行政代執行 | 最大6倍継続 | 解体費用を請求 | 強制実施 |
ステップ①から④に至るまでの期間は自治体によって異なりますが、短くても1〜2年、長い場合は5年以上かかるケースもあります。ただし危険度が高いと判断された物件は略式代執行(所有者不明・連絡不可の場合)により短期間で進む場合があります。
行政代執行の費用と費用回収の仕組み
行政代執行の費用相場
行政代執行(強制解体)にかかる費用は、物件の規模・構造・立地によって大きく異なります。
| 物件の種類 | 費用目安 |
|---|---|
| 木造一戸建て(50〜80㎡) | 80万〜150万円 |
| 木造一戸建て(100〜150㎡) | 150万〜300万円 |
| 木造二階建て(100〜200㎡) | 200万〜400万円 |
| 重機進入困難な場合 | +50万〜100万円 |
これらは解体費用のみの目安です。アスベストが含まれる場合は除去費用が別途50万〜200万円追加される場合があります。

費用回収の仕組み
行政代執行後の費用は、市区町村が所有者に請求します。所有者が支払わない場合は国税滞納処分の例による強制徴収(財産の差押え・競売)が可能です。
ただし実際には、所有者が行方不明・無資力のケースも多く、自治体側が費用を全額回収できない「持ち出し」になるケースが少なくありません。これが各自治体が行政代執行に慎重になる理由の一つです。
当社が買取査定を行った案件で、助言・指導の段階で相談に来られた方がいました。「市役所から通知が来て怖くなった」とのことでしたが、この段階での売却で行政代執行を未然に回避でき、費用負担もなく解決できました。行政処分が進むほど物件の価値が下がりやすく、早めの相談が結果的に有利です。
都道府県別・行政代執行件数データ(2026年版)
国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況」(2025年3月公表)によると、全国の特定空き家等の認定件数は累計で約9万件(2024年度末時点)に達しています。うち行政代執行が実施された件数は累計で約1,000件超です。
主要都道府県の特定空家関連行政指導件数(2024年度)
以下は国交省・総務省の公表データをもとにした概算値です(都道府県によって集計基準が異なるため参考値)。
| 都道府県 | 特定空家等認定累計 | 行政代執行実施(累計) |
|---|---|---|
| 埼玉県 | 約3,200件 | 約120件 |
| 千葉県 | 約2,800件 | 約95件 |
| 愛知県 | 約2,600件 | 約80件 |
| 神奈川県 | 約2,400件 | 約75件 |
| 大阪府 | 約2,100件 | 約70件 |
| 東京都 | 約1,900件 | 約60件 |
| 兵庫県 | 約1,800件 | 約55件 |
| 福岡県 | 約1,600件 | 約50件 |
| 北海道 | 約1,500件 | 約45件 |
| 静岡県 | 約1,400件 | 約40件 |
※出典: 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況」(2025年3月公表)をもとに推計。都道府県が公表する年度報告との差異が生じる場合があります。
行政代執行件数の推移(全国)
| 年度 | 行政代執行件数(全国) |
|---|---|
| 2015年度(施行年) | 約10件 |
| 2017年度 | 約50件 |
| 2019年度 | 約120件 |
| 2021年度 | 約200件 |
| 2023年度 | 約280件 |
| 2024年度 | 約310件(推計) |
施行当初(2015年度)は全国で10件程度だった行政代執行が、2024年度には30倍超の約310件に増加しています。特に2023年の法改正(管理不全空き家の追加・過料引き上げ)以降、自治体の取り組みが本格化しています。
罰則適用・行政代執行の実例5選
実例① 大阪府A市・木造二階建て(2023年実施)
長期間放置された木造二階建て住宅。外壁が崩落し、隣地に越境する危険状態でした。命令に対して所有者が応じず、市が行政代執行を実施。解体費用約220万円を所有者に請求。相続人が複数おり費用負担の調整に時間を要しました。
実例② 埼玉県B市・ブロック塀の緊急撤去(2022年実施)
道路に面したブロック塀が傾斜し、通行人への転落危険が生じたケース。緊急性が高いとして略式代執行(所有者不在)が適用され、撤去費用約80万円が後から請求されました。
実例③ 愛知県C市・木造平屋(2024年実施)
相続で取得したものの管理できず10年以上放置した木造平屋。2023年の改正法施行後、管理不全空き家から特定空家に指定が進み、過料30万円の適用後も改善がなく行政代執行へ。費用約150万円を相続人全員が連帯して負担。
実例④ 兵庫県D市・廃業した商業施設(2021年実施)
閉業した商店の建物が老朽化し、屋根材が落下して通行人に危険を及ぼす状態。会社が廃業していたため代表者個人への請求となり、約310万円の解体費用が生じました。
実例⑤ 東京都E区・マンション1室(2024年実施)
区分所有マンションの一室が長期間放置され、害虫・臭気の発生源となったケース。区から命令を受けたが所有者が対応せず、室内清掃・廃棄物除去に係る費用約45万円が行政代執行として実施されました。建物を解体しないケースでの代執行実例として注目されました。
特定空家指定を避けるための3つの選択肢
選択肢A: 修繕・管理を行って現状を改善する
助言・指導の段階であれば、外壁補修・草刈り・清掃などの応急対応と窓口報告で次のステップへの進行を止められます。費用は数万円〜数十万円程度ですが、継続的な管理コストが発生します。遠方在住の場合は管理委託(月1万〜2万円程度)も有効です。
選択肢B: 解体して更地にする
建物を自費で解体すれば特定空家の問題は解消されます。ただし更地にすると住宅用地の特例が外れ、固定資産税が逆に上昇する場合があります(建物あり・特例適用中より高くなる)。解体費用100万〜300万円に加え、その後の土地管理コストも発生します。
選択肢C: 売却・買取で手放す
最も費用負担が少ない選択肢が売却です。特に直接買取専門業者への売却であれば、仲介手数料ゼロ・現況買取・最短数日での手続き完了が可能です。行政処分が進行中の物件でも買取可能な業者があります。

内部リンク: 買取の流れについては訳あり不動産の買取フロー完全ガイドもご参照ください。特定空き家の判定基準については特定空き家の判定チェックリスト(2026年版)で詳しく解説しています。
よくあるご質問
Q. 特定空家に指定されると、いきなり解体されてしまいますか?
いきなり解体されることはありません。行政処分には「①助言・指導」「②勧告」「③命令」「④行政代執行」の4段階があります。各段階で改善対応をすれば次の段階には進みません。ただし命令に従わない場合は行政代執行(強制解体)が実施され、費用が所有者に請求されます。
Q. 行政代執行の費用はいくら?誰が払うの?
木造一戸建て(延床100㎡程度)の場合で100万〜300万円程度が目安です。費用は所有者(または相続人全員)が負担します。支払わない場合は財産差押え・競売による強制徴収が行われます。
Q. 「命令」に従わないと罰則はありますか?
空家等対策特別措置法の規定に基づき、命令に従わない場合は50万円以下の過料が科されます。2023年の法改正で過料額が引き上げられました。
Q. 管理不全空き家と特定空き家の違いは?
管理不全空き家は2023年改正で新設された区分で、特定空き家ほど深刻ではないが管理が不十分な空き家が対象です。どちらも勧告を受けると翌年度から固定資産税の住宅用地特例が解除(6倍化)されますが、管理不全空き家は命令・行政代執行の対象外です。
Q. 行政処分が進んでいる状態でも売却はできますか?
できます。命令が確定する前であれば売却は可能です。ただし行政処分の状況を重要事項として告知する義務があります。訳あり物件の直接買取業者であれば、助言・指導や勧告が届いている空き家でも現況のまま査定・買取が可能です。まずは無料査定でご確認ください。
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空き家のことを一人で抱え込まないでください
行政から通知が届いた、もしくは空き家を長年放置していて不安という方は、早めに専門家にご相談ください。特定空家の指定が進むほど物件の価値は下がりやすく、行政代執行に至ると費用負担が確定します。直接買取であれば、現況のまま費用ゼロで手放せる可能性があります。
相続した空き家・行政通知が届いた物件・長年放置している不動産など、どんな状況でもまずはご相談ください。
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