遺留分侵害額を請求された!払えない場合に不動産を売って解決する方法
遺留分侵害額請求を受けても、①まず内容を確認し(請求額・期限・根拠)、②支払猶予の申立て(最大5年・民法1047条5項)を検討し、③それでも資金が不足するなら不動産を売却して支払う流れが基本です。急いで現金化が必要なら、仲介(3〜6ヶ月)より直接買取(最短2〜3週間)が現実的です。空き家のミカタ(宅建業者・合同会社アルシェ)が全国対応で無料査定します。
Q: 遺留分侵害額を請求されたが、手元に現金がない。どうすればよいですか? A: 2019年改正法では、支払いに窮する場合に家庭裁判所への申立てで最大5年の支払猶予を得られます。それでも資金が不足する場合は、相続した不動産を売却して支払う方法が最も現実的です。直接買取なら最短2〜3週間で現金化が可能です。
遺留分侵害額請求書が届いた、または弁護士から「○○万円を一括で支払え」と言われた。そんな状況になったとき、最初は頭が真っ白になるかもしれません。この記事では、遺留分侵害額請求の法的な仕組みから、支払いが難しい場合の選択肢、不動産を売って解決する具体的な手順まで、宅建業者の立場からわかりやすく解説します。
遺留分侵害額請求とは何か
遺留分(いりゅうぶん)とは、法律が一定の相続人に対して保障する最低限の相続財産の取り分のことです。遺言があっても、遺留分は侵害できません。
遺留分を持つのは誰か
| 相続人の構成 | 遺留分が発生する相続人 |
|---|---|
| 配偶者・子がいる場合 | 配偶者・子(代襲相続人含む) |
| 直系尊属(親・祖父母)のみ | 直系尊属 |
| 兄弟姉妹のみ | 遺留分なし |
兄弟姉妹には遺留分がない点は重要です。「兄弟に財産を渡さない」という遺言があっても、兄弟から遺留分請求はできません。
遺留分の割合(被相続人の財産全体に対して)
- 直系尊属のみが相続人の場合:財産全体の3分の1
- それ以外(配偶者・子が含まれる場合):財産全体の2分の1
たとえば、配偶者と子2人が相続人で、財産が3,000万円の場合、遺留分の総額は1,500万円(1/2)。子1人の遺留分は1,500万円 × 法定相続分(1/2 × 1/4 = 1/4)= 375万円が目安です。
2019年改正で「現物返還」から「金銭支払い」へ
2019年7月1日施行の改正相続法で、「遺留分減殺請求(旧法)」から「遺留分侵害額請求(新法)」に変わりました。
最大の違いは支払い方法です。
| 項目 | 旧法(遺留分減殺請求) | 新法(遺留分侵害額請求) |
|---|---|---|
| 支払い方法 | 不動産の持分移転など現物返還も可 | 金銭のみ |
| 支払猶予 | なし | 裁判所申立てで最大5年(民法1047条5項) |
| 請求の根拠 | 民法1031条(旧) | 民法1046条(新) |
新法では「金銭のみ」が原則になった反面、支払猶予制度が新設されたことで、手元に現金がなくても対応できる余地が広がっています。
「一括で払え」と言われたら:まず確認すべき3つのこと
弁護士から内容証明郵便が届いたり、遺留分侵害額請求書を受け取ったりしたとき、最初に確認すべき点があります。
①請求額の根拠と計算が正しいか
遺留分侵害額の計算は複雑です(特別受益・寄与分・負債の考慮が必要)。まずは専門家(弁護士・司法書士)に内容を確認してもらい、請求額が正当かどうかをチェックしてください。
②時効が成立していないか
遺留分侵害額請求権は以下の期限で時効消滅します(民法1048条)。
- 遺留分権利者が相続の開始と遺留分侵害の事実を知った日から1年
- 知らなくても相続開始から10年
すでに10年以上が経過している場合、時効を主張できる可能性があります。
③支払期限はいつまでか
弁護士からの請求書には「○週間以内に支払え」などの期限が記載されていることがあります。ただしこれは法的に即座に強制力がある期限ではありません。協議・調停・裁判という段階を経て最終的な支払義務が確定します。期限を過ぎても誠実に協議を続けていれば、すぐに差押えになるわけではありません(ただし放置は危険です)。
支払いが難しい場合の3つの選択肢
現金がなくて支払えない場合、以下の3つの方向性があります。
選択肢①:支払猶予の申立て(最大5年)
民法1047条5項に基づき、遺留分侵害額の支払義務を負う人が「現金支払いが困難」と判断される場合、家庭裁判所に申立てることで最大5年の猶予を得られます。
分割払いに合意できるなら当事者間の協議で決めることも可能です。弁護士を通じた交渉で「3年で分割払い」などの和解が成立するケースもあります。
選択肢②:不動産を売却して支払う
相続した不動産(家・土地・アパート・マンション)を売却し、その代金で支払う方法です。手元に現金がなくても、不動産という資産があれば現金化できます。
スピードが重要:遺留分の支払期限が迫っている場合は、仲介より直接買取(最短2〜3週間)を検討してください。
選択肢③:金融機関からの借入れ
不動産を担保にしたローン(不動産担保ローン)や、一時的なブリッジローンを使って支払い、後から不動産売却で返済する方法もあります。ただし利息負担が生じるため、売却が確実にできる場合に限って有効です。
不動産を売却して遺留分を支払う流れ(ステップ別)
不動産売却によって遺留分侵害額を支払う場合の、具体的な手順を解説します。
STEP 1:弁護士に状況を伝え、支払猶予か分割払いを交渉する
まず弁護士を通じて、相手方(遺留分権利者側の弁護士)に「不動産を売却して支払う意向がある。売却に○ヶ月の時間が必要」と伝えます。誠実な対応を示すことで、調停・裁判への移行を防ぐことができます。
STEP 2:相続登記(名義変更)を確認する
売却するには、不動産が相続人名義に変わっている必要があります。2024年4月から相続登記が義務化されました。登記が済んでいない場合は、司法書士に依頼して速やかに完了させてください(費用目安:5〜15万円)。
STEP 3:不動産の査定を取る
売却候補の不動産について、買取業者や仲介業者に査定を依頼します。遺留分の支払い期限が迫っている場合は、複数の買取業者から見積もりを取り、最も高い買取価格を出したところと交渉します。
| 売却方法 | 売却期間の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 仲介(一般の不動産会社) | 3〜6ヶ月 | 高値期待できるが時間がかかる |
| 直接買取(買取専門業者) | 最短2〜3週間 | 価格は下がる場合もあるが、即現金化できる |
| 共有持分のみの売却 | 2〜4週間 | 他の共有者の同意が不要。持分専門業者に売却 |
STEP 4:売買契約・決済・引渡し
買取業者の場合、売買契約から決済(代金支払い・所有権移転)まで1〜2週間で完了できます。決済で受け取った現金を、速やかに遺留分侵害額の支払いに充てます。
STEP 5:支払い完了・精算
遺留分権利者の指定口座に振り込み、支払い証明(振込明細書)を保管します。弁護士を通じて「遺留分侵害額請求の解決確認書」を作成してもらうと安心です。
急いで不動産を売却するときの注意点
遺留分の支払期限が迫っている状況で不動産を売却する際、注意すべき点が3つあります。
注意点①:「急ぐ」と伝えすぎると買い叩かれる
買取業者に「すぐに現金が必要」と伝えると、価格交渉で不利になる場合があります。複数の業者に同時に査定を依頼し、競争させることで適正価格を確保してください。
注意点②:共有不動産は他の相続人の同意が必要
売却する不動産が他の相続人と共有名義になっている場合、共有者全員の同意なしに売却はできません。遺留分を請求している相手が共有者でもある場合、交渉がより複雑になります。
共有者の同意が得られない場合は、自分の持分のみを買取専門業者に売るという方法があります。持分のみの売却は価格が低くなりますが、他の共有者の同意なしに進められます。
注意点③:売却益に譲渡所得税がかかる場合がある
相続した不動産を売却した場合、売却益(譲渡所得)に税金がかかります。
- 所有期間5年以下:約39%(短期譲渡所得税)
- 所有期間5年超:約20%(長期譲渡所得税)
- 相続の場合:被相続人の取得日・取得費を引き継ぐため、長期になるケースが多い
遺留分の支払い後に税金も払う必要があることを念頭に、余裕を持った売却価格で交渉してください。
また、亡くなった方が居住していた不動産であれば「空き家の3,000万円特別控除」が使える可能性があります(相続から3年を経過した年の12月31日まで)。詳しくは空き家3,000万円特別控除の解説をご覧ください。
こんな方は空き家のミカタへご相談ください
遺留分侵害額請求を受けて不動産売却を検討している方のうち、以下のケースは当社が得意とする分野です。
- 急ぎで現金化が必要(支払期限まで1〜2ヶ月しかない)
- 相続した不動産が古い・管理不十分・訳ありで仲介では売りにくい
- 売却する不動産が共有持分(他の相続人と共有)になっている
- 遠方に住んでいて内覧・管理が難しい
- アパート・マンション・土地など種別に関わらず対応してほしい
当社は仲介ではなく直接買取のため、仲介手数料がかかりません。査定・相談は無料です。現況のまま(空き家・入居者付き・築古・管理不全等)でも対応できます。
まとめ:遺留分侵害額請求を受けたときの対応フロー
- まず確認:請求額の根拠・時効・支払期限を専門家(弁護士)に確認する
- 支払猶予または分割払いを交渉:民法1047条5項の支払猶予申立て、または相手方との協議で分割払いに合意する
- 不動産売却の準備:相続登記の完了 → 査定(複数業者に依頼)→ 売却方法を選択(仲介 or 直接買取)
- 売却 → 支払い → 解決確認:現金化後、速やかに支払い完了・書面で確認
遺留分侵害額請求は、適切に対処すれば解決できます。放置すると調停・訴訟に発展し、費用と時間が余分にかかります。まずは専門家に相談することが最初の一歩です。
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