実家のゴミ屋敷を片付ける費用は大阪市でいくら?条例・市の100万円支援・現況買取を比較
「相続した実家の玄関を開けたら、床が見えなかった」。そんな状態から相談に来られる方は珍しくありません。まず結論からお伝えします。大阪市には条例に基づいてゴミ屋敷の片付け費用を最大100万円まで支援する制度がありますが、実家を相続して所有者になった方は、原則としてその対象になりません。制度の要件に「申請日において不動産を所有していないこと」が明記されているためです。
この記事の結論 — 大阪市で実家のゴミ屋敷を片付けるときの要点
- 市の100万円支援は相続人には使えない:不動産を所有していないことが要件
- 粗大ごみの手数料自体は安い:1点200〜1,000円の4種類のみ
- 費用の大半は人手と運搬:手数料ではなく作業料が積み上がる
- 業者選びは許可の有無で決まる:一般廃棄物収集運搬業の許可を確認する
- 片付けずに売る選択肢がある:残置物ごと現況で買い取る方法
大阪市の「100万円まで」の片付け支援は、相続人にはほぼ使えない
大阪市には、いわゆるゴミ屋敷に対応するための条例があります。正式名称は「大阪市住居における物品等の堆積による不良な状態の適正化に関する条例」(平成25年大阪市条例第133号)で、平成26年3月1日から施行されています。
この条例の第10条には、経済的支援の規定があります。物をため込んでいる本人が経済的な理由で自力では片付けられないとき、市がその費用を負担できるという内容です。金額の上限は、市の要綱で100万円と定められています。
ただし、この支援には厳しい要件があります。要綱が定める条件は次のとおりです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 住民税 | 申請日の属する年度の市町村民税が課されていないこと |
| 不動産 | 申請日において土地、建物その他の不動産を所有していないこと |
| 資産 | 現金・預貯金等の処分価値の総額が150万円以下(同一世帯に他の方がいる場合は世帯で200万円以下) |
| 過去の利用 | 過去に支援を受けたことがないこと |
| 地域の要望 | 地域活動協議会に参画する市民活動団体の代表者等から、解消を求める要望があること |
出典:大阪市「住居における物品等の堆積による不良な状態の適正化に係る経済的支援の実施に関する要綱」第3条・第6条
相続で実家を取得した方は、この時点で不動産の所有者です。したがって2つ目の要件を満たしません。「市長が特別の事情があると認めるとき」という例外は条文にありますが、これは個別判断であり、あてにして計画を立てられるものではありません。
もう1つ見落とされやすい点があります。条例が支援の対象としているのは、あくまで「堆積者」です。条例第2条は堆積者を「物品等を堆積することにより不良な状態を発生させている者(自然人に限る)」と定義しています。親が住んでいた実家を相続した方は、堆積者ではなく「所有者等」という別の立場になります。制度上の扱いが違うのです。
つまり、「行政が何とかしてくれるのを待つ」という選択肢は、相続人にとっては現実的ではありません。動くなら自分で動く必要があります。
条例は「指導→勧告→命令→行政代執行」の4段階。所有者にも指導が来る
行政が待ってくれないもう1つの理由が、条例が定める手続きの流れです。近隣から苦情が入った物件に対して、大阪市は次の順序で対応します。
第1段階:調査(条例第6条) 市の職員が建物に立ち入り、状態を調査したり関係者に質問したりできます。堆積者であることが明らかな人が正当な理由なく調査を拒んだ場合、市長はその旨と氏名を公表できると定められています。また市は官公署に対し、資産・親族関係・居住関係・建物の所有関係について資料の提供を求めることができます。銀行等に報告を求めることも可能です。
第2段階:指導・勧告(条例第7条) まず堆積者に対し、堆積物の適切な保管や処分などの改善措置を行うよう指導します。それでも状態が改善しない場合、期限を定めて勧告に進みます。ここで重要なのが同条第3項です。市長は必要があると認めるときは、建物の所有者や管理者に対しても改善措置を行うよう指導できると定められています。相続人にも連絡が来る根拠がここにあります。
第3段階:命令(条例第8条) 勧告をしてもなお不良な状態が続き、近隣住民の生活環境が著しく損なわれていると認めるときは、期限を定めて改善措置を命じられます。命令の前には、市の附属機関である審議会(委員7人以内)の意見を聴くことになっています。
第4段階:行政代執行(条例第9条) 命令に正当な理由なく従わない場合、行政代執行法に基づいて市が自ら、または第三者に改善措置を行わせ、その費用を本人から徴収できます。
加えて条例第5条は、建物の所有者・管理者について「その所有し、又は管理する建物等が不良な状態とならないよう努めなければならない」「不良な状態となった場合においては、堆積者と協力し、不良な状態を解消するよう努めなければならない」と定めています。相続した瞬間から、この責務は相続人にかかります。
自力で片付けるなら、大阪市の粗大ごみ手数料は1点200〜1,000円
では、自分で片付ける場合は実際いくらかかるのでしょうか。まず粗大ごみの手数料から見ていきます。
大阪市の粗大ごみ処理手数料券は200円・400円・700円・1,000円の4種類だけです。品目1点ごとに購入し、よく見えるところに貼って出します。手数料券は取扱店(表示のあるコンビニやスーパー)で買え、払い戻しはできません。
代表的な品目の手数料は次のとおりです。
| 品目 | 手数料 |
|---|---|
| いす(一人掛け用・座いすを含む) | 200円 |
| 衣装ケース | 200円 |
| 掃除機 | 200円 |
| 自転車 | 400円 |
| 石油ファンヒーター | 400円 |
| 食器棚(幅・奥行・高さの合計が2m未満) | 400円 |
| ソファー(一人掛け用) | 700円 |
| スプリングマットレス(シングル) | 700円 |
| 給湯器 | 700円 |
| 食器棚(合計2.5m以上) | 1,000円 |
| 鏡台 | 1,000円 |
| 洗面化粧台 | 1,000円 |
出典:大阪市「粗大ごみ処理手数料一覧表」
この表から見えてくることがあります。戸建て1軒分の家具をすべて粗大ごみで出しても、手数料の合計は数万円に収まることが多いのです。たとえば1,000円の品目を5点、700円を8点、400円を7点、200円を10点出したとすると、合計は15,400円です。
つまり、業者見積もりが数十万円になる理由は手数料ではありません。費用の大半は、部屋から搬出する人手と、トラックでの運搬です。ここを理解しておくと、見積書の内訳を読めるようになります。
粗大ごみに出せないものがある
大阪市の粗大ごみ収集では、次のものは扱いません。
- エアコン・テレビ・冷蔵庫及び冷凍庫・洗濯機及び衣類乾燥機(家電リサイクル法の対象4品目。リサイクル料金と収集運搬料金が別途必要です)
- 蛍光灯管
- 資源化可能な古紙
- 危険なものや処理が困難なもの
- 事業系ごみ
- 建築及び増改築などに伴う建築廃材やコンクリートがら
家電4品目のリサイクル料金は品目とメーカーによって異なります。家電リサイクル券センターの料金一覧で確認してください。ゴミ屋敷状態の実家では、古い冷蔵庫や洗濯機が複数台残っていることがよくあります。ここは事前に台数を数えておいたほうがよい部分です。
収集の申込は最短3日後以降
粗大ごみの収集は、インターネット・チャットボット(24時間365日)・電話・ファックス・はがきで申し込めます。収集日は申込日より最短3日後以降(日曜日を挟む場合は4日後以降)を指定できます。収集日の午前8時30分までに指定された場所に出す必要があります。
なお1回の申込点数の上限は公表されていませんが、大阪市は「複数ある場合、一度で収集しないことがあります」と案内しています。遠方に住んでいて何度も大阪に来られない方の場合、自力での搬出は現実的な選択肢になりにくい、という判断材料になります。
業者に頼むなら「一般廃棄物収集運搬業の許可」を先に確認する
自力が難しい場合、片付け業者への委託が選択肢になります。ここで最初に確認すべきなのは金額ではなく許可です。
家庭から出る不用品を有料で回収するには、市区町村から一般廃棄物収集運搬業の許可を受けている必要があります。大阪市はこの許可業者の一覧を公開しています。逆に言えば、その一覧にない業者が「定額パック」「トラック積み放題」をうたって回収している場合、無許可の可能性があります。
無許可業者をめぐるトラブルは全国的に増加しています。国民生活センターが2022年11月に公表したデータでは、不用品回収サービスに関する相談件数は次のように推移しています。
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2018年度 | 1,354件 |
| 2019年度 | 1,457件 |
| 2020年度 | 1,788件 |
| 2021年度 | 2,231件 |
| 2022年度(9月まで) | 857件 |
出典:国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」(2022年11月2日公表)
同センターが挙げている事例では、「2トントラック1台7,000円」と説明されていたのに、作業後に25,000円以上を請求されたケースが報告されています。基本料金とは別に、人件費・廃棄費用といった名目で追加料金が積み上がる形です。
さらに深刻なのが、回収された物の行き先です。無許可業者の場合、集めた不用品が適正に処理されているかを市区町村が確認できません。不法投棄された場合、排出した側が問われることもあります。安さだけで選ぶと、片付けたはずの問題が別の形で戻ってきます。
見積もりを取るときのチェックポイントは次の4つです。
- 大阪市の一般廃棄物収集運搬業許可業者の一覧に載っているか
- 見積もりが書面で出てくるか(口頭の概算だけの業者は避ける)
- 追加料金が発生する条件が事前に明記されているか
- 複数社(最低3社)から取って比較しているか
なお、片付け費用の「相場」を金額で示す公的な統計はありません。物量・搬出経路・階数・道路幅で大きく変わるためです。相場を断言する業者より、現地を見て内訳を出す業者のほうが信頼できます。
近隣から苦情が出ている相続物件で、相続人が取るべき順序
苦情がすでに出ている状態では、動く順序を間違えると選択肢が狭まります。おすすめの順序は次のとおりです。
1. 区役所の窓口に、自分から先に連絡する 大阪市はいわゆる「ごみ屋敷」の相談窓口を24区それぞれに設けており、統括は福祉局生活福祉部地域福祉課です。行政から連絡が来るのを待つと、記録上は「指導」の段階から始まります。所有者側から先に連絡し、「相続したばかりで、いつまでに片付ける予定である」と伝えておくと、話の進み方が変わります。
2. 相続登記の状況を確認する 登記の名義が亡くなった方のままでは、売買契約の当事者になれません。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。片付けと登記は並行して進められます。
3. 危険な部分だけ先に手を付ける 全部を片付けるには時間もお金もかかります。しかし、道路にはみ出している物、火災の原因になりかねない物、悪臭や害虫の発生源になっている物だけなら、短期間で対処できることがあります。条例が問題にしているのは「周辺の生活環境が著しく損なわれている状態」です。近隣への影響が減れば、行政手続きが次の段階に進む理由も減ります。
4. 片付け見積もりと買取査定を同時に取る 片付け業者の見積もりだけを見ると「高い」としか判断できません。残置物を残したまま売った場合の査定額を並べて初めて、比較ができます。
相続人が複数いる場合は、処分前に写真を撮る
遺産分割が終わっていない段階では、実家の中の物も相続財産です。一人の判断で大量に処分すると、後から「価値のある物を勝手に捨てた」と言われることがあります。作業前に各部屋の全景写真を撮っておくだけで、この種のトラブルはかなり防げます。骨董品・貴金属・有価証券・通帳が出てくることもあるため、まとめて捨てる前に一度目を通してください。
物の種類ごとの扱いについては、残置物・動産を処分せずに不動産を売る方法で詳しく整理しています。
全額片付けてから売る場合と、残置物ごと現況買取に出す場合の手残り比較
最後に、いちばん知りたい部分です。片付けてから売るのと、そのまま売るのとで、手元に残る金額はどう変わるでしょうか。
結論から言えば、片付け費用は「自分が先に払うか、買主が負担して価格から引くか」の違いです。総額そのものは劇的には変わりません。変わるのは、誰がいつ払うかと、見積もりが外れたときのリスクを誰が負うかです。
| 比較項目 | A:片付けてから仲介で売る | B:残置物ごと現況で買取 |
|---|---|---|
| 片付け費用の支払い | 売却前に自分が立て替える | 買取価格から差し引かれる(立替えなし) |
| 見積もり超過のリスク | 自分が負う(追加請求は自己負担) | 買主が負う(契約後の価格は固定) |
| 業者選定の手間 | 自分で3社以上を比較 | 不要 |
| 内見対応 | 必要(買主候補が繰り返し来る) | 不要 |
| 売却までの期間 | 片付け期間+販売期間 | 現況確認から契約・決済まで |
| 遠方在住の場合の負担 | 大きい(何度も現地に行く必要) | 小さい |
| 近隣苦情が出ている場合 | 解決までに時間がかかる | 早期に所有権を移せる |
手残りの考え方を式にすると
片付け費用をC、片付け後の売却価格をP、仲介手数料等をFとすると、手残りは次のようになります。
- A(片付けてから売る):手残り= P − C − F
- B(現況買取):手残り= P − C相当額(すでに買取価格に織り込み済み)
式の形は似ています。違うのは3点です。第一に、AではCを先に用意する必要があります。第二に、Cが見積もりより膨らんだ場合、Aでは差額を自分が負担します。第三に、Aでは仲介手数料Fがかかりますが、買取では買主が直接の相手になります。
A案(片付けてから売る)が向いているケース
- 建物と立地に十分な価値があり、片付ければ通常の市場で買い手がつく
- 片付け費用を先に負担できる資金がある
- 大阪市内または近隣に住んでいて、何度も現地に行ける
- 急いでいない(売却までに数か月かけられる)
B案(現況買取)が向いているケース
- 遠方に住んでいて現地に何度も行けない
- 片付け費用を先に立て替えられない
- 近隣から苦情が出ており、時間をかけられない
- 相続人が複数いて、早く現金化して分けたい
- 建物が古く、片付けてもリフォームや解体が必要になる可能性が高い
ゴミ屋敷状態の物件を仲介で売ろうとすると、そもそも内見ができないという問題にぶつかります。この点についてはゴミ屋敷・汚部屋の不動産を売りたい|片付け不要の現況買取で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. 片付ける前に、市の支援が使えるか一応相談してもいいですか?
相談すること自体に問題はありません。ただし、経済的支援の申請は堆積者本人が行うものです。要件を審査したうえで、審議会の意見を聴いて市長が決定します。相続人が所有者として申請する形にはなっていません。時間をかけて確認するより、片付け見積もりと買取査定を先に取ったほうが、判断に必要な数字が早く揃います。
Q. 亡くなった親が生前に区役所から指導を受けていました。相続後はどうなりますか?
指導や勧告は堆積者本人に対して行われるものですが、条例第7条第3項により、市長は所有者や管理者に対しても指導できます。相続によって所有者が変わった以上、行政の連絡先は相続人に切り替わると考えておいてください。前の経緯を区役所に確認したうえで、今後の予定を伝えることをおすすめします。
Q. 固定資産税を滞納しています。それでも売れますか?
滞納があっても売却は可能です。売却代金から清算する方法が一般的です。ただし差押えが入っている場合は手続きが変わるため、早めに状況を伝えてください。
Q. 特殊清掃が必要な状態でも買取できますか?
対応可能です。ただし、室内で亡くなった方がいる場合は心理的瑕疵(買主にとって心理的な抵抗となる事情)が生じ、告知義務(買主に不利な事実を伝える義務)の対象になります。事故物件の取扱実績がある買主に相談してください。
Q. 大阪市外の物件でも相談できますか?
大阪を中心に、兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山の物件のご相談に対応しています。買取の可否・条件は所在地と物件の状況を確認してご案内します。まずは所在地と現況をお知らせください。
関連するガイド記事
- ゴミ屋敷・汚部屋の不動産を売りたい|片付け不要の現況買取を解説
- 残置物・動産を処分せずに不動産を売る方法
- 片付けないでご相談ください|実家7つの状態別・手残り比較
- 空き家の固定資産税が6倍に?特定空き家の条件と回避する方法
- 相続登記の義務化と10万円以下の過料|期限と対処法
- 空き家の買取|放置している空き家を現金化する方法
- 相続した不動産を売却する完全ガイド
片付けの前に、まず現況のまま査定してみてください
片付けにいくらかかるかを調べる前に、「片付けずに売ったらいくらになるか」を先に知っておくと、判断が早くなります。その数字がないと、業者の見積もりが高いのか妥当なのかを比べる基準がありません。
物が残ったまま、掃除をしていない状態のままで構いません。写真を送っていただくだけでも概算をお伝えできます。遠方にお住まいで現地に行けない方、相続人が複数いてまとまらない方、区役所から連絡が来て困っている方からのご相談も承っています。
相談無料・秘密厳守・大阪市24区を中心に対応
この記事の出典
- 大阪市「大阪市住居における物品等の堆積による不良な状態の適正化に関する条例」(平成25年大阪市条例第133号)
- 大阪市「住居における物品等の堆積による不良な状態の適正化に係る経済的支援の実施に関する要綱」
- 大阪市「粗大ごみの収集について」「粗大ごみ処理手数料一覧表」「粗大ごみ収集の申込みに関すること」
- 大阪市「いわゆる『ごみ屋敷』に関する相談窓口」「一般廃棄物収集運搬業許可業者の紹介」
- 国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」(2022年11月2日公表)
制度・手数料・要件は改定されることがあります。実際に手続きを行う際は、必ず各窓口で最新の内容をご確認ください。