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孤独死の原状回復費用は賃貸住宅の相続人に請求される?内訳・減らせる範囲・相続放棄の判断【2026年版】

空き家のミカタ編集部|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)

賃貸住宅で身内が孤独死し、大家さんや管理会社から届いた請求書を前にして、この記事にたどり着かれた方が多いと思います。金額を見て手が止まっている方もいらっしゃるでしょう。

結論から申し上げます。賃貸住宅で孤独死が起きたとき、亡くなった入居者の相続人には「未払いの家賃」「残置物(遺品)の撤去費用」「原状回復費用」が請求されます。賃借人という立場そのものが相続されるからです(民法第896条)。ただし、請求書に書かれた金額をそのまま払う義務があるとは限りません。原状回復費用は民法第621条と国土交通省のガイドラインによって負担範囲が明確に絞られており、実務ではその線引きを知らないまま全額を支払ってしまうケースが少なくありません。

そしてもうひとつ。「請求が怖いから相続放棄」と急いで動く前に、必ず確かめていただきたいことがあります。部屋を片付けた瞬間に相続放棄ができなくなることがあり、また放棄すれば被相続人名義の実家や土地もまとめて失います。この記事では、請求書の読み方から相続放棄の判断までを、条文と公的資料にあたって順に整理します。

窓と木目のフローリングだけが残る賃貸住戸の空室。入居者の死亡後、原状回復の範囲が問題になる部屋のイメージ

目次

  1. 結論|請求されるのは3つ。ただし全額ではありません
  2. なぜ相続人に請求が来るのか|賃借人の地位は相続される
  3. 請求書に並ぶ4つの費目と、孤独死保険の実額データ
  4. 原状回復費用のうち、相続人が負担するのはどこまでか|民法621条
  5. 請求額を検算する3つのものさし|経過年数・施工単位・グレードアップ
  6. 「特約があるから全額負担」は本当か|特約が有効になる3要件
  7. 「事故物件になったから家賃が下がる」の逸失利益はどこまで通るか
  8. 敷金・連帯保証人・家賃債務保証会社はどう効くか
  9. 大家さんが孤独死保険に入っていた場合、相続人の負担はどうなるか
  10. 相続放棄を選ぶときの3つの落とし穴|片付け・3か月・連帯保証
  11. 現場から|遺品整理より先に、被相続人名義の不動産を確認してください
  12. 大阪で相続放棄と売却を並べるときの、実務の順番
  13. 請求書が届いてからの30日カレンダー
  14. 現場でよくある5つの誤解
  15. よくあるご質問
  16. まとめ

結論|請求されるのは3つ。ただし全額ではありません {#結論}

先に全体像をお示しします。賃貸住宅で孤独死が起きたとき、相続人をめぐるお金と義務は次のように動きます。

項目 相続人に請求されるか 根拠と注意点
死亡日までの未払家賃 される 被相続人の債務として承継(民法第896条)
死亡日以降、明渡しまでの賃料 される 契約は死亡では終了しない。解約通知が遅れるほど積み上がる
残置物(遺品)の撤去費用 される 明渡義務の一部。平均損害額29万4,131円
原状回復費用 されるが範囲は限定 通常損耗・経年変化は対象外(民法第621条)
経年劣化分・部屋全体の張替え 原則として負担しない 耐用年数6年で残存価値1円/色合わせはグレードアップ
「事故物件化による減収」の逸失利益 根拠の確認が必要 自然死は原則告知不要(国交省ガイドライン)
敷金 債務に充当され、残額は返還 民法第622条の2第1項第1号
連帯保証人としての責任 相続放棄をしても残る 相続ではなく自分自身の契約だから

ここでいちばん申し上げたいのは、「請求されること」と「請求額をそのまま負担すること」は別だということです。孤独死の現場では、遺族が動揺しているうちに一括で精算してしまい、後から「あの金額は払わなくてよかった」と分かることが実際にあります。

もうひとつ。相続放棄は費用から逃れる手段としては強力ですが、財産を選べません。賃貸住宅の原状回復費用を避けるために放棄した結果、被相続人が持っていた実家や土地まで失った、という相談を受けることがあります。判断の前に、この記事の相続放棄の3つの落とし穴まで目を通していただければと思います。


なぜ相続人に請求が来るのか|賃借人の地位は相続される {#なぜ}

「借りていた本人が亡くなったのだから、契約も終わったのでは」と思われる方が多いのですが、法律の立て付けは違います。

民法第896条は「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない」と定めています。建物の賃借権は一身専属権ではありませんので、入居者が亡くなった瞬間、その相続人が賃借人の地位をそのまま引き継ぎます。

このため、次の3つが同時に起こります。

  1. 賃貸借契約は自動的には終わりません。解約の申入れをするまで賃料が発生し続けます
  2. 明渡義務を相続人が負います。部屋の中の家財(残置物)を片付けて、部屋を返す義務です
  3. 原状回復義務を相続人が負います。ただし範囲は民法第621条で絞られています(後述)

見落とされやすいのが1番です。相続人が「どうしていいか分からない」と手を止めている間も、賃料は毎月発生します。日本少額短期保険協会「第10回 孤独死現状レポート」(2025年12月)によると、孤独死が発見されてから少額短期保険会社に連絡があるまでの日数は平均18日で、レポートは「保険金請求手続きを行う者(相続人など)の判明に日数を要した」事情を挙げています。誰が相続人なのかを探すところから始まる現場が多い、ということです。

ここで先に押さえていただきたい順番があります。相続放棄の可能性が少しでもあるうちは、部屋に立ち入って片付けを始めてはいけません。理由は相続放棄の3つの落とし穴で詳しく書きますが、片付けそのものが相続放棄をできなくする引き金になり得るためです。まずやることは、片付けではなく書面の取り寄せです。


請求書に並ぶ4つの費目と、孤独死保険の実額データ {#費目}

請求書に並ぶ4つの費目と、孤独死保険の実額データ {#費目}のイラスト - 空き家のミカタ

管理会社から届く請求書は、たいてい性質の違う費目が1枚に混ざっています。まずは次の4つに仕分けてください。この仕分けをしないと、争える費目と争えない費目が区別できません。

仕分け 具体的な費目 性質
① 賃料関係 未払家賃・死亡日から明渡しまでの賃料・共益費 債務として明確。争いにくい
② 残置物の撤去 遺品整理費用・家財処分費・搬出人件費 明渡義務の履行費用
③ 原状回復 特殊清掃・消臭・クロス張替・床材交換・害虫駆除 民法621条とガイドラインで範囲が絞られる
④ 減収の主張 空室期間の家賃相当額・値下げ分の補填・次の入居者への値引き 根拠の確認が必要
机の上に広げた請求書・明細書と電卓。孤独死後に届いた原状回復費用の請求書を費目ごとに仕分けている場面

実額はどのくらいか

金額の感覚を持っていただくために、公的性格のある統計をお示しします。日本少額短期保険協会「第10回 孤独死現状レポート」(2025年12月公表)は、孤独死保険を扱う少額短期保険会社の実際の保険金支払いデータを集計したものです。

累積データ(異常値を除く)

費目 平均損害額 最大損害額 最小損害額
遺品整理(残置物処理)費用 294,131円 4,253,473円 1,080円
原状回復費用 494,344円 7,564,673円 422円
家賃保証(平均支払額) 337,035円

2024年度の単年データ

費目 平均損害額
遺品整理(残置物処理)費用 266,265円
原状回復費用 610,507円
家賃保証(平均支払額) 389,706円

同レポートは、単年データで原状回復費用が高く出ていることについて「物価高騰による材料・工費等の影響が考えられる」としています。

ここで気をつけていただきたいのは、この数字は「大家さん側が受け取った保険金と、大家さん側に生じた損害額」であって、「相続人が負担すべき額」ではないということです。最小損害額が422円、最大が756万円と幅が3桁以上開いていることからも分かるとおり、平均額は個別の判断材料になりません。平均額を根拠に「相場だからこの金額で」と言われたら、その場で納得しないでください。

金額を左右するのは「発見までの日数」です

同レポートによると、孤独死の発生から発見までの平均日数は19日(n=9,249)。3日以内に発見された割合は37.0%にとどまり、30日以上経ってから発見された割合が19.3%(30〜89日15.8%+90日以上3.5%)あります。第一発見者の構成では、近親者(親族・友人知人)が3割ほどで、管理会社・オーナー・福祉サービス・宅配業者・警察といった職業上の関係者が5割を占めています。

発見が遅れるほど、汚損は床材の下地や躯体にまで及び、原状回復の施工範囲が広がります。請求額が大きい案件は、たいてい発見までの日数が長い案件です。この点は、後述の「その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものか」という論点にも直結します。


原状回復費用のうち、相続人が負担するのはどこまでか|民法621条 {#621条}

ここがこの記事の中心です。落ち着いて読んでいただければと思います。

民法第621条(賃借人の原状回復義務)は、次のように定めています。

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

条文から読み取れることが2つあります。

1つ目。通常損耗と経年変化は、そもそも原状回復義務の対象外です。これは特約がない限り動きません。国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)も、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、「経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました」と明記しています。ガイドラインは同時に、「原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではない」ことを明確化した、とも書いています。

2つ目。賃借人に帰責事由がない損傷は、義務を負いません。これが孤独死の案件で問題になる部分です。

「自然死による汚損は賃借人の責めに帰すべき事由か」は、争いのある論点です

ここは正直に書きます。老衰や病死といった自然死によって生じた室内の汚損が、民法第621条ただし書の「賃借人の責めに帰することができない事由」にあたるかどうかは、確立した結論があるとは言えません。

実務では、賃貸人側から相続人に対して原状回復費用が請求されるのが通常です。他方で、亡くなること自体は誰にも避けられない事象であり、それを「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反」と評価できるのかという疑問には理由があります。この点は事案の内容と契約条項によって結論が変わりますので、金額が大きいケースでは、支払う前に弁護士へご相談ください。

一方、次の点は比較的はっきりしています。自殺や、室内での事件性のある死亡については、裁判例上、賃借人側の責任が認められやすい傾向にあります。ご遺族にとってつらい区別ですが、請求への向き合い方が変わりますので、事実関係は正確に把握しておく必要があります。

現実的な進め方

争いのある論点だからこそ、まず金額の中身を検算するのが実効的です。「払う/払わない」の総論をぶつけ合う前に、明細の1行ずつに次章の3つのものさしを当ててください。多くのケースで、総論に踏み込まなくても金額は動きます。


請求額を検算する3つのものさし|経過年数・施工単位・グレードアップ {#検算}

国土交通省のガイドラインは、賃借人の負担額を決めるための具体的な考え方を示しています。この3つは、そのまま請求書の検算に使えます。

脚立が置かれた原状回復工事中の空室。クロスや床材の補修範囲がどこまで賃借人負担になるかを判断する場面

ものさし1|経過年数|耐用年数6年で残存価値1円まで下がる

ガイドラインは、賃借人に原状回復義務がある場合であっても、「経年変化や通常損耗が含まれており、賃借人はその分を賃料として支払っています」として、建物や設備の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させる考え方を採用しています。

具体的な減り方についても書かれています。かつては償却年数経過後の残存価値を10%としていましたが、平成19年の税制改正で残存価値が廃止され耐用年数経過時に残存簿価1円まで償却できるようになったことを踏まえ、ガイドラインは「例えば、カーペットの場合、償却年数は、6年で残存価値1円となるような直線(または曲線)を描いて経過年数により賃借人の負担を決定する」としています。クロスも同様に耐用年数6年で扱われるのが実務の一般的な運用です。

つまり、入居から6年以上経過したクロスやカーペットについて「新品交換費用の全額」を請求されているなら、その計算はガイドラインの考え方と合いません。

なお、新築時からの入居でない場合に経過年数が分からないという問題については、ガイドラインは入居年数で代替する方式を採用しています。管理会社に「直近の内装リフォームはいつか」を尋ねる意味は、ここにあります。

ものさし2|施工単位|補修は毀損部分に限定するのが基本

ガイドラインは、「原状回復は、毀損部分の復旧であることから、可能な限り毀損部分に限定し、毀損部分の補修工事が可能な最低限度を施工単位とすることを基本とする」としています。

汚損が1室に限られているのに、住戸全体のクロス・床材・建具を一括で見積もっている請求書は、この考え方から外れている可能性があります。見積書に部屋別・部位別の内訳がない場合は、内訳の開示を求めてください。

ものさし3|グレードアップ|色合わせの全面張替えは賃借人の義務ではない

もっとも実務で効くのがこれです。ガイドラインは、毀損箇所が一部でも色や模様を合わせるために部屋全体を張り替えるケースについて、次のように述べています。

当該部屋全体のクロスの色・模様を一致させるのは、賃貸物件としての商品価値の維持・増大という側面が大きいというべきで、その意味ではいわゆるグレードアップに相当する部分が含まれると考えられる。したがって、当該部屋全体のクロスの張替えを賃借人の義務とすると、原状回復以上の利益を賃貸人が得ることとなり、妥当ではない

例外|経過年数を考慮しないもの

公平のために、賃借人側に不利な部分も書いておきます。ガイドラインは、フローリングの部分補修については経過年数を考慮せず補修費用を賃借人負担とするのが妥当だとしています(部分補修でフローリング全体の価値が高まるわけではないため)。また襖紙・障子紙・畳表は消耗品としての性格が強いことから、これも経過年数を考慮せず張替え費用を賃借人負担とするのが妥当だとされています。ただし、フローリング全体を張り替えた場合は経過年数を考慮するのが適当とも明記されています。


「特約があるから全額負担」は本当か|特約が有効になる3要件 {#特約}

管理会社から「契約書の特約で、借主負担と決まっています」と説明されることがあります。賃貸借契約書に「室内で死亡事故が発生した場合の特殊清掃費用および原状回復費用は借主の負担とする」といった条項が入っている契約は、実際に存在します。

しかし、特約が書いてあれば必ず有効というわけではありません。国土交通省のガイドラインは、賃借人に法律上・社会通念上の義務がない負担を課す特約について、次の3つの要件を示しています。

【賃借人に特別の負担を課す特約の要件】 ① 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること ② 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること ③ 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

ガイドラインは最高裁判例も引いており、通常損耗についての原状回復義務を賃借人に負わせるには、「賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗及び経年変化の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されている」か、口頭説明により賃借人が明確に認識して合意内容としたと認められるなど、特約が明確に合意されていることが必要との判断が示されている、としています。

さらに、賃借人が個人(消費者)で賃貸人が事業者にあたる契約であれば、消費者契約法第10条により、民法等の規定の適用による場合に比べて消費者の義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効とされます(同法第2条第1項で「消費者」は事業としてまたは事業のために契約の当事者となる場合を除く個人と定義されています)。

つまり、確認する順番はこうなります。①契約書に特約が実在するか → ②その文言が負担範囲を具体的に明記しているか → ③被相続人がその内容を認識して合意したと言える状況か。「特約があります」と口頭で言われただけで納得せず、契約書の写しで条項そのものを確認してください。


「事故物件になったから家賃が下がる」の逸失利益はどこまで通るか {#逸失利益}

請求書の④にあたる部分です。「この部屋はもう事故物件だから、次の入居者に告知しなければならない」「家賃を下げないと決まらない」「その差額を払ってほしい」という主張です。

この主張には、まず前提の確認が必要です。

国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(令和3年10月)は、宅建業者が告げなくてもよい場合を明示しています。

①賃貸借取引及び売買取引の対象不動産において自然死又は日常生活の中での不慮の死が発生した場合 老衰、持病による病死など、いわゆる自然死については、そのような死が居住用不動産について発生することは当然に予想されるものであり(中略)原則として、賃貸借取引及び売買取引いずれの場合も、これを告げなくてもよい。

ガイドラインは、自宅における死因割合のうち老衰や病死による死亡が9割を占める一般的なものであること、裁判例においても自然死について心理的瑕疵への該当を否定したものが存在することを、その理由として挙げています。加えて、自宅の階段からの転落、入浴中の溺死や転倒事故、食事中の誤嚥といった日常生活の中の不慮の事故による死についても、自然死と同様に原則として告げなくてよいとしています。

つまり、自然死であること自体は、原則として告知を要する事案ではありません。「事故物件になった」という前提そのものが、常に成り立つわけではないのです。

ただし、特殊清掃が行われた場合は別です

同ガイドラインには重要な例外があります。

ただし、自然死や日常生活の中での不慮の死が発生した場合であっても、取引の対象となる不動産において、過去に人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴い、いわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等(以下「特殊清掃等」という。)が行われた場合においては、買主・借主が契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えられる

そして期間についても定めがあります。賃貸借取引については、特殊清掃等が行われることとなった自然死が発覚してから概ね3年間を経過した後は、原則として、借主に対してこれを告げなくてもよいとされています(事件性・周知性・社会に与えた影響等が特に高い事案は除く)。

相続人として確認すべきこと

減収を請求されたら、次の順に確認してください。

  1. 特殊清掃等が実際に行われたのか。作業報告書・写真・請求明細で確認します
  2. 行われたのなら、告知義務の期間は概ね3年です。それを超える長期の減収を積算した請求は、ガイドラインの立て付けと合いません
  3. 減収額の根拠は何か。従前賃料、募集賃料、実際に成約した賃料の3つの資料がなければ、減収額は算定できないはずです

なお、告知義務は宅地建物取引業者に課される規律であって、賃貸人と相続人の間の損害賠償の可否を直接決めるものではありません。とはいえ、「告知が必要な事案かどうか」は減収の主張の土台になりますので、確認する価値は十分にあります。金額の当否の最終判断は、弁護士にご相談ください。

告知義務そのものについては、心理的瑕疵とは?事故物件の告知義務の範囲・売却時期・価格への影響で詳しく整理しています。


敷金・連帯保証人・家賃債務保証会社はどう効くか {#敷金}

請求額から実際の持ち出しを計算するには、この3つを押さえる必要があります。

敷金|まず債務に充当され、残額が相続人に返ります

民法第622条の2第1項は、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたときに、賃貸人は受け取った敷金の額から、賃貸借に基づいて生じた賃借人の債務の額を控除した残額を返還しなければならない、と定めています。

したがって順番はこうです。敷金は自動的に債務に充当され、余れば相続財産として相続人に返還されます。不足分だけが実際の請求額になります。同条第2項により、賃貸人は敷金を債務の弁済に充てることができますが、賃借人の側から「敷金を充ててくれ」と請求することはできない、とされています。

見落とされやすいのですが、敷金の返還請求権も相続財産です。相続放棄をすれば、この返還請求権も受け取れません。

連帯保証人|相続放棄をしても責任は消えません

ここは特に注意していただきたい点です。あなたが賃貸借契約の連帯保証人として署名している場合、その責任は「相続した債務」ではなく「あなた自身が結んだ保証契約に基づく債務」です。したがって、相続放棄をしても連帯保証人としての責任は残ります。

親御さんの賃貸借契約で、お子さんが連帯保証人になっているケースは非常に多くあります。相続放棄を検討する前に、必ず賃貸借契約書の連帯保証人欄を見てください。ここを見ないまま放棄を選ぶと、「放棄したのに請求が続く」という最悪の順番になります。

家賃債務保証会社|立替払いの後に求償されます

近年の賃貸借契約では、連帯保証人の代わりに家賃債務保証会社を使う形が主流です。この場合、保証会社が賃貸人に立替払いをした後、その分を賃借人(=相続人)に求償してきます。請求元が管理会社から保証会社に変わるだけで、相続人の負担がなくなるわけではありません。ただし、相続放棄が受理されていれば、求償に対しても相続人でないことを主張できます。


大家さんが孤独死保険に入っていた場合、相続人の負担はどうなるか {#保険}

大家さんが孤独死保険に入っていた場合、相続人の負担はどうなるか {#保険}のイラスト - 空き家のミカタ

「大家さんが保険に入っていたなら、こちらは払わなくていいのでは」というご質問をよくいただきます。

日本少額短期保険協会のレポートによれば、孤独死保険(家主が加入するタイプ)は、遺品整理(残置物処理)費用・原状回復費用・家賃損失を補償するものとして設計されています。同レポートの累積データでは、原状回復費用の平均損害額494,344円に対して平均支払保険金は315,510円遺品整理費用の平均損害額294,131円に対して平均支払保険金は293,360円です。2024年度単年では、原状回復費用の平均損害額610,507円に対して平均支払保険金315,020円と、差が広がっています。

つまり、保険で全額がまかなわれるわけではありません。そして、法律関係としてはさらに注意が必要です。大家さんの保険は大家さんの損害を埋めるものであって、相続人の債務を消すものではありません。保険金が支払われた範囲について保険会社が賃借人側に請求してくる(代位求償)ことも制度上あり得ます。

現実的には、保険金でまかなわれた部分について大家さん側が追加請求を控えるケースも多く、交渉の余地はあります。ただし「保険があるから払わなくていい」と自己判断で支払いを止めるのは危険です。まず、保険で何がいくらまかなわれたのかを確認してください。


相続放棄を選ぶときの3つの落とし穴|片付け・3か月・連帯保証 {#相続放棄}

請求額が大きく、被相続人に見るべき財産がないと分かった場合、相続放棄は有力な選択肢です。相続放棄が受理されれば、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法第939条)。原状回復債務も未払家賃も承継しません。

テーブルの上の書類にペンで署名する手元。相続放棄の申述書や賃貸借契約書の確認を行う場面

ただし、現場では次の3つで失敗が起きます。

落とし穴1|部屋を片付けると、相続放棄ができなくなることがあります

これがいちばん多い失敗です。民法第921条第1号は、「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」は単純承認をしたものとみなすと定めています(保存行為と第602条に定める期間を超えない賃貸は除く)。

亡くなった方の部屋にある家財・現金・貴金属・思い出の品は、すべて相続財産です。これを持ち帰る、処分する、業者に処分を発注して代金を支払う——いずれも「処分」と評価されるおそれがあります。そうなると法定単純承認となり、もう相続放棄はできません。

管理会社から「早く片付けてください」と催促されることがありますが、相続放棄を検討している段階では、その催促に応じてはいけません。「相続放棄を検討中のため、財産に手をつけられません」と書面で伝え、判断がつくまで待ってもらってください。

落とし穴2|期限は3か月です

民法第915条第1項は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない」と定めています。ただし書により、利害関係人または検察官の請求によって、家庭裁判所が期間を伸長することができます。

孤独死の案件では、そもそも死亡の事実を知るのが遅れます。長く連絡を取っていなかった親族が、警察や管理会社からの連絡で初めて知る、というケースが典型です。起算点は「亡くなった日」ではなく「自己のために相続の開始があったことを知った時」ですが、判断に迷う場合は早めに家庭裁判所での期間伸長を検討してください。3か月では、請求額の精査と財産調査の両方を終えるのが難しいことがあります。

相続放棄の申述先は、裁判所の案内によれば被相続人の最後の住所地の家庭裁判所で、費用は申述人1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です。

落とし穴3|連帯保証人としての責任は残ります

前章に書いたとおりです。相続放棄で消えるのは「相続によって承継する債務」だけです。ご自身が連帯保証人として署名していれば、その責任は放棄後も残ります。相続放棄の申述をする前に、賃貸借契約書の連帯保証人欄を必ず確認してください。

なお、賃貸住宅の鍵を預かっていた、部屋に自分の荷物を置いていたといった事情があると、民法第940条第1項の保存義務(放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人または相続財産の清算人に引き渡すまで保存する義務)が問題になることがあります。この点は相続放棄すれば空き家から解放される?民法940条の保存義務と清算人の予納金で詳しく整理しています。


現場から|遺品整理より先に、被相続人名義の不動産を確認してください {#現場から}

ここからは、宅地建物取引業者として実際にご相談を受けている立場から書きます。

孤独死の相談で、いちばん取り返しがつかない失敗は「請求額に驚いて、財産を調べないまま相続放棄を選んでしまうこと」です。

賃貸住宅で亡くなった方は、身軽に暮らしていたように見えます。ですから、遺族の方も「財産なんてないだろう」と考えます。ところが、調べてみると実家の持分先代から引き継いだままの土地が名義に残っていることが、決して珍しくありません。相続登記がされないまま何十年も放置されている不動産は全国に大量にあり、賃貸住まいの方の名義にも残っています。

50万円の原状回復費用を避けるために相続放棄をした結果、300万円で売れたはずの土地も一緒に失う。相続放棄は財産を選べません。これが、私たちが現場でいちばん申し上げたいことです。

もうひとつ。「片付けてから査定を」と考えないでください。前述のとおり、片付けは法定単純承認の引き金になり得ます。当社では現況のまま、つまり残置物がある状態のままで売却見込額をお出ししています。そのほうが、判断の順番として安全です。現況のままの売却については相続した家を現状渡しで売る方法|片付け・修繕なしで買取できる理由にまとめています。

調べる順番は、こうです。

  1. 被相続人の名寄帳を市区町村の資産税課で取得する(その市区町村内の名義不動産が一覧で出ます)
  2. 出てきた不動産の登記事項証明書を法務局で取る(共有持分・抵当権の有無を確認)
  3. その不動産の現況のままの売却見込額を確認する
  4. ①請求される見込み額②売却見込額を並べて、放棄するかどうかを決める

この4つを3か月以内に終えるのが理想です。間に合わない見込みなら、家庭裁判所に期間伸長を申し立ててください。


大阪で相続放棄と売却を並べるときの、実務の順番 {#大阪}

当社は大阪市24区を中心に、訳あり不動産の直接買取を行っています。大阪の案件で実際に効いている順番を書きます。滋賀や兵庫の物件についても考え方は同じです。

第1週|書面をそろえる。管理会社に、賃貸借契約書の写し・原状回復の見積明細(費目・数量・単価入り)・入居年月日・直近の内装リフォーム時期の4点を書面で求めます。同時に、相続放棄を検討中である旨と、財産に手をつけられない事情を書面で伝えます。

第2週|財産を調べる。被相続人の住所地と本籍地の市区町村で名寄帳を取ります。大阪市内であれば各区役所ではなく市税事務所の扱いになりますので、事前に管轄を確認してください。出てきた不動産について登記事項証明書を取ります。

第3週|2つの数字を並べる。請求される見込み額(明細に3つのものさしを当てた後の金額)と、不動産の現況のままの売却見込額。この2つを並べます。当社の査定は無料で、現地の片付けは不要です。

第4週|決める。売却見込額が請求見込額を上回るなら、相続して売却するほうが手残りが出ます。下回るなら相続放棄が合理的です。相続放棄を選ぶ場合、申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所ですので、大阪市内にお住まいだった方であれば大阪家庭裁判所が窓口になります。

大阪市24区(北区・都島区・福島区・此花区・中央区・西区・港区・大正区・天王寺区・浪速区・西淀川区・淀川区・東淀川区・東成区・生野区・旭区・城東区・鶴見区・阿倍野区・住之江区・住吉区・東住吉区・平野区・西成区)を中心に対応しています。


請求書が届いてからの30日カレンダー {#カレンダー}

時期 やること 目的
1〜3日目 部屋に立ち入らない。管理会社に「相続放棄検討中・財産に手をつけられない」旨を書面で通知 法定単純承認の回避(民法921条1号)
1〜3日目 賃貸借契約書の写しを請求し、連帯保証人欄を確認 放棄では消えない責任の把握
4〜7日目 原状回復の見積明細(費目・数量・単価)と入居年月日・直近リフォーム時期を書面で請求 検算の材料をそろえる
8〜14日目 請求書を4つ(賃料/残置物/原状回復/減収)に仕分け、3つのものさしを当てる 争える金額の特定
8〜14日目 名寄帳・登記事項証明書で被相続人名義の不動産を洗う 放棄で失うものの把握
15〜21日目 不動産の現況のままの売却見込額を取る 判断材料の2つ目
15〜21日目 金額が大きい/特約が争点なら弁護士に相談 法的判断の確定
22〜30日目 2つの数字を並べて、相続放棄か相続かを決める 3か月の期限内に着地
期限が近い場合 家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申立て(民法915条1項ただし書) 判断材料が足りないまま決めない

現場でよくある5つの誤解 {#誤解}

誤解1|「入居者が亡くなれば賃貸借契約は終わる」 終わりません。賃借権は相続されます(民法第896条)。解約の申入れをするまで賃料が発生し続けます。相続放棄を検討中でも、この事実は変わりませんので、判断は早いほど賃料の積み上がりが小さくなります。

誤解2|「請求書の金額は決まった額だ」 決まっていません。原状回復費用は民法第621条とガイドラインで負担範囲が絞られ、経過年数・施工単位・グレードアップの3つで金額が動きます。明細のない請求書には、まず明細を求めてください。

誤解3|「相続放棄をすれば、連帯保証人としての責任も消える」 消えません。保証は自分自身の契約です。放棄の前に契約書の連帯保証人欄を必ず確認してください。

誤解4|「片付けてから相続放棄すればいい」 逆です。片付けが法定単純承認の引き金になり得ます(民法第921条第1号)。片付けは、相続するか放棄するかを決めた後です。

誤解5|「自然死でも事故物件だから、減収分は当然払う」 当然ではありません。国交省の告知ガイドラインは、自然死および日常生活の中での不慮の死は原則として告げなくてよいとしています。特殊清掃等が行われた場合は例外ですが、その場合でも賃貸借取引の告知は発覚から概ね3年が目安です。


よくあるご質問 {#faq}

よくあるご質問 {#faq}のイラスト - 空き家のミカタ

Q. 管理会社から「今日中に片付けの業者を手配してください」と言われています。断っても大丈夫ですか。

A. 相続放棄を検討している段階であれば、断って構いません。むしろ断るべき場面です。相続財産の処分にあたるおそれがあるため手をつけられない、という事情を書面(メールでも構いません)で伝えてください。口頭のやり取りだけにせず、記録に残る形にしておくことが後で効きます。賃料が発生し続けることは事実ですので、判断はできるだけ早く進めてください。

Q. 兄弟のうち私だけが対応しています。私が支払えば済む話ですか。

A. 相続人が複数いる場合、債務は法定相続分に応じて各相続人が承継します。あなたが立て替えて支払った場合、他の相続人に対して負担部分を求償することになりますが、これは別の争いを生みます。支払う前に、相続人全員で相続するか放棄するかの方針をそろえてください。一部の相続人だけが放棄すると、残った相続人の負担が増えます。

Q. 亡くなった親に借金がありそうです。原状回復費用と合わせて放棄すべきでしょうか。

A. 判断材料は「債務の合計」と「財産の合計」です。債務側には、未払家賃・原状回復費用・借入残高・未払いの税金を入れます。財産側には、預貯金・敷金の返還請求権・被相続人名義の不動産の売却見込額を入れます。不動産を見落としたまま放棄を決めるのが、いちばん多い失敗です。当社では現況のままで売却見込額をお出しできますので、判断材料としてお使いください。

Q. すでに部屋の荷物を少し持ち帰ってしまいました。もう相続放棄はできませんか。

A. 直ちに不可能と決まるわけではありません。形見分けの範囲にとどまる少量の遺品について、処分にあたらないと判断される余地はあります。ただし判断は事実関係によりますので、これ以上は何にも手をつけず、持ち帰ったものも使わず処分せず保管したうえで、早急に弁護士または司法書士にご相談ください。いつ・何を・いくつ持ち帰ったかを記録しておいてください。

Q. 特殊清掃を大家さんが先に発注して、後から請求されました。断れますか。

A. 発注そのものは大家さんの判断で行われますので止められませんが、費用の全額を当然に負担するわけではありません。作業報告書と明細を取り寄せ、施工範囲が毀損部分に限定されているか、経過年数が考慮されているかを確認してください。なお、特殊清掃が行われると、その事案は告知の対象になり得ます(発覚から概ね3年)。この点は費用と別の論点として整理してください。

Q. 相続放棄をしたら、部屋の鍵はどうすればいいですか。

A. 相続放棄が受理されたら、受理通知書または受理証明書の写しを管理会社に提出し、鍵を返却してください。鍵を持ったまま放置すると、民法第940条第1項の「現に占有している」状態と評価される余地が生まれます。鍵の返却は財産の処分ではありませんが、判断に迷う場合は司法書士または弁護士に確認のうえ進めてください。


まとめ {#まとめ}

  • 賃借人の地位は相続されます(民法第896条)。契約は死亡では終わらず、未払家賃・明渡しまでの賃料・残置物の撤去費用・原状回復費用が相続人に請求されます
  • 請求額をそのまま負担する義務はありません。民法第621条は通常損耗と経年変化を原状回復義務の対象から明文で除いています
  • 実額の目安は、原状回復費用の平均損害額49万4,344円・遺品整理費用29万4,131円(日本少額短期保険協会 第10回孤独死現状レポート)。ただし最小422円から最大756万円まで幅があり、平均額は個別の根拠になりません
  • 検算のものさしは3つ。経過年数(耐用年数6年で残存価値1円)・施工単位(毀損部分に限定)・グレードアップ(色合わせの全面張替えは賃借人の義務ではない)
  • 特約は書いてあれば有効とは限りません。客観的・合理的理由、賃借人の認識、義務負担の意思表示の3要件が必要です
  • 自然死は原則として告知不要です(国交省 人の死の告知に関するガイドライン)。特殊清掃等が行われた場合の賃貸借取引の告知は、発覚から概ね3年が目安です
  • 敷金は債務に充当され、残額は相続財産として返還されます(民法第622条の2第1項第1号)
  • 連帯保証人としての責任は、相続放棄をしても残ります。放棄の前に契約書の連帯保証人欄を必ず確認してください
  • 相続放棄の落とし穴は3つ。片付け(民法第921条第1号)・3か月の期限(第915条第1項)・連帯保証
  • 放棄は財産を選べません。被相続人名義の不動産を調べないまま放棄を決めるのが、いちばん多い失敗です

相続放棄を決める前に、数字を2つだけ持ってください

孤独死の請求書は、金額そのものよりも「知らない言葉が並んでいること」がつらいのだと思います。特殊清掃、原状回復、残置物処理、逸失利益。どれも初めて聞く言葉で、しかも期限は3か月です。

必要な数字は2つだけです。請求される見込み額と、被相続人名義の不動産を現況のまま売った場合の見込額。この2つを並べれば、相続放棄をすべきかどうかは、不安ではなく数字で決められます。

査定は無料です。部屋やご実家を片付けていただく必要はありません。むしろ相続放棄を検討中の方は、片付け・処分・修繕には手をつけないでください。相続財産の処分とみなされ、放棄ができなくなるおそれがあります。資料が手元になくても、物件の所在地が分かれば登記や公図はこちらで調べられます。

大阪を中心に、兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山の物件のご相談に対応しています。買取の可否・条件は所在地と物件の状況を確認してご案内します。上記の対応地域外の物件は買取・査定の対象外です。

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相談無料・秘密厳守。査定後にお断りいただいても問題ありません。相続放棄を選ばれる場合でも、判断材料としてお使いいただければ十分です。


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出典・参考

  • e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)第621条(賃借人の原状回復義務。通常の使用及び収益によって生じた損耗並びに経年変化を除く/賃借人の責めに帰することができない事由による損傷は義務を負わない)第622条の2(敷金の定義と返還。第1項第1号 賃貸借が終了し賃貸物の返還を受けたとき/第2項 賃貸人による債務への充当)、第415条(債務不履行による損害賠償)、第620条(賃貸借の解除の効力)、第896条(相続の一般的効力=一切の権利義務を承継)第915条第1項(熟慮期間3か月・家庭裁判所による伸長)第921条第1号(法定単純承認=相続財産の全部又は一部を処分したとき)、第939条(相続の放棄の効力=初めから相続人とならなかったものとみなす)、第940条第1項(相続の放棄をした者による保存義務=現に占有しているとき)
  • e-Gov法令検索「消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)」第2条第1項(消費者の定義=事業として又は事業のために契約の当事者となる場合を除く個人)、第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
  • 国土交通省「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』について」(原状回復の定義=賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること/経年変化・通常の使用による損耗等の修繕費用は賃料に含まれる/原状回復は賃借人が借りた当時の状態に戻すことではない/損耗・毀損事例の区分A・B・A(+B)・A(+G)/経過年数の考慮/施工単位)
  • 国土交通省「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』(再改訂版)のダウンロード」および第1章 原状回復にかかるガイドライン(PDF)カーペットの償却年数は6年で残存価値1円となるような直線を描いて経過年数により賃借人の負担を決定/入居年数による代替/フローリングの部分補修と襖紙・障子紙・畳表は経過年数を考慮しない/補修は毀損部分に限定し最低限度の施工単位が基本色合わせのための部屋全体のクロス張替えはグレードアップに相当する部分が含まれ、賃借人の義務とするのは妥当ではない賃借人に特別の負担を課す特約の3要件/通常損耗補修特約が明確に合意されていることを必要とした最高裁判例)
  • 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」および本文PDF(令和3年10月)自然死および日常生活の中での不慮の死は原則として告げなくてもよい/自宅における死因割合のうち老衰や病死による死亡が9割/長期間放置され特殊清掃等が行われた場合は例外賃貸借取引では特殊清掃等が行われることとなった死の発覚から概ね3年間を経過した後は原則として告げなくてもよい/事件性・周知性・社会に与えた影響等が特に高い事案は除く)
  • 日本少額短期保険協会「第10回 孤独死現状レポート(PDF・2025年12月)」(累積データ:遺品整理(残置物処理)費用 平均損害額294,131円・最大4,253,473円・最小1,080円・平均支払保険金293,360円/原状回復費用 平均損害額494,344円・最大7,564,673円・最小422円・平均支払保険金315,510円/家賃保証 平均支払額337,035円2024年度単年:遺品整理266,265円・原状回復610,507円・平均支払保険金315,020円・家賃保証389,706円/単年で原状回復費用が高い理由として物価高騰による材料・工費等の影響/発見までの平均日数19日・3日以内37.0%・30〜89日15.8%・90日以上3.5%/第一発見者は近親者が3割ほど・職業上の関係者が5割/発見から少額短期保険会社受付までの平均18日・相続人の判明に日数を要する事情/孤独死保険の補償内容=遺品整理(残置物処理)費用・原状回復費用・家賃損失)
  • 裁判所「相続の放棄の申述」(申述先=被相続人の最後の住所地の家庭裁判所/費用=申述人1人につき収入印紙800円分+連絡用の郵便切手)

原状回復義務の範囲、特約の有効性、自然死による汚損が「賃借人の責めに帰することができない事由」にあたるかどうか、減収の主張が損害賠償として認められるかどうかは、契約条項と事実関係によって結論が変わります。法的な判断は弁護士へ、相続放棄の申述手続は司法書士または弁護士へ、相続税・準確定申告は税務署または税理士へご確認いただくのが確実です。本記事に記載した金額は、日本少額短期保険協会が公表しているレポートの集計値および国土交通省のガイドラインが示す考え方に基づく一般的な目安であり、個別の案件で請求される額・負担すべき額を示すものではありません。買取価格・期間も個別の物件により変わります。結果を保証するものではありません。

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