入居者付き物件を相続放棄したら家賃はどこへ行く?管理義務・敷金・供託の行方【2026年版】
入居者が住んでいるアパートやマンションを相続することになり、相続放棄を考えている——このとき最初に引っかかるのが「毎月入ってくる家賃はどうなるのか」という点だと思います。
結論から申し上げます。相続放棄をした人に、家賃は1円も入りません。そして、それ以上に大事なことがあります。放棄を決める前に家賃を受け取って使ってしまうと、相続放棄そのものができなくなるおそれがあります。
家賃は毎月自動的に振り込まれてきます。管理会社からの送金は止まりません。「とりあえず入ってきたから」と生活費に回した1か月分が、数百万円の借金を背負う結果につながることがあります。この記事では、相続放棄をしたときに家賃・敷金・滞納金・管理委託契約・保証会社契約がそれぞれどこへ行くのかを、条文と裁判所の公表資料にあたって整理します。
目次
- 結論|家賃は入らない。管理義務も原則ない。ただし落とし穴が2つ
- 前提の整理|賃貸借契約・家賃債権・所有名義は別々に動く
- 相続開始後の家賃は誰のものか|「亡くなった日」で線を引く
- 放棄前に家賃を受け取ってはいけない理由|民法921条1号
- すでに家賃を受け取ってしまった場合にできること
- 放棄した後に受け取るのはもっと危険|民法921条3号
- 全員が放棄した後、入居者は家賃をどこへ払うのか|供託という答え
- 敷金・保証金・滞納家賃の行方
- 管理会社・家賃債務保証会社・サブリース契約はどうなるか
- 管理義務の行方|民法940条の保存義務は「現に占有」で決まる
- 大阪家庭裁判所で相続財産清算人を立てる実費
- 放棄と「入居者付きのまま売る」の手残り比較
- 底地・共有持分が混ざっているときの整理の順番
- 大阪市浪速区の物件で考える|売却価格の見方
- 現場でよくある5つの誤解
- 3か月の熟慮期間でやることカレンダー
- よくある質問
- まとめ
結論|家賃は入らない。管理義務も原則ない。ただし落とし穴が2つ {#結論}
先に全体像をお示しします。相続放棄をしたとき、入居者付き物件にまつわるお金と義務は次のように動きます。
| 項目 | 相続放棄をした人 | 放棄後、誰のところへ行くか |
|---|---|---|
| 相続開始後の家賃 | 受け取れない | 次順位の相続人。全員放棄なら相続財産法人(民法第951条) |
| 相続開始前の未収家賃 | 受け取れない | 同上 |
| 敷金の返還債務 | 負わない | 同上。売却した場合は買主が承継(民法第605条の2第4項) |
| 滞納家賃の請求権 | 行使できない | 同上 |
| 建物の保存義務 | 原則なし(放棄時に現に占有していれば発生・民法第940条第1項) | 相続人または相続財産の清算人に引き渡すまで |
| 管理委託契約の委託者の地位 | 承継しない | 同上 |
| 賃貸人としての地位 | 承継しない | 同上(建物の所有者に随伴する) |
| 入居者の居住権 | — | 影響を受けない(借地借家法第31条) |
このとおり、放棄をすればお金も義務もきれいに切れる——というのが原則です。ただし、この原則を壊す落とし穴が2つあります。
落とし穴①:放棄する前に家賃を受け取って使ってしまう。相続財産を処分したとみなされ、単純承認扱いになるおそれがあります(民法第921条第1号)。こうなると、もう放棄はできません。
落とし穴②:放棄した後に家賃を受け取って使ってしまう。相続財産を「私に消費した」ことになり、放棄が受理された後であっても単純承認とみなされ得ます(民法第921条第3号)。
どちらも「毎月自動で振り込まれてくる」という賃貸物件特有の性質から生まれる事故です。空き家であればお金は動きませんが、入居者付き物件は放っておいてもお金が入ってくる。ここが一番の違いであり、一番の危険です。
前提の整理|賃貸借契約・家賃債権・所有名義は別々に動く {#前提}
話が混乱しやすいのは、賃貸物件には性質の違う3つのものが同居しているからです。まず、この3つを分けて考えてください。
| 中身 | 相続放棄の影響 | |
|---|---|---|
| ① 賃貸借契約 | 入居者と貸主の間の契約そのもの | 消えない。入居者の権利はそのまま |
| ② 家賃債権・敷金債務 | 毎月の賃料を請求する権利/預り金を返す義務 | 放棄した人には帰属しない |
| ③ 建物・土地の所有名義 | 登記簿上の名義 | 被相続人名義のまま動かない |
とくに誤解が多いのが①と③です。
①について。相続放棄は「相続人が財産を引き継がない」手続きであって、入居者との契約を解除する手続きではありません。建物の引渡しを受けている賃借人は、その後にその建物について物権を取得した者に対しても賃借権を主張できます(借地借家法第31条)。所有者が誰に変わろうと、入居者は住み続けられます。相続放棄は退去の理由になりません。
③について。放棄をしても、法務局が名義を書き換えてくれるわけでも、国がすぐ引き取ってくれるわけでもありません。登記簿は被相続人名義のまま残ります。市区町村が所有者を調べたとき、最初に出てくるのはその名義です。この点は相続放棄すれば空き家から解放される?民法940条の保存義務と清算人の予納金でも詳しく扱っています。
相続開始後の家賃は誰のものか|「亡くなった日」で線を引く {#家賃の帰属}

家賃の話は、被相続人が亡くなった日で線を引くと整理できます。
相続人は、相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法第896条)。一方で、相続の放棄をした者は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法第939条)。
この2つを重ねると、次のようになります。
| 家賃の発生時期 | 誰に帰属するか | 放棄した人は |
|---|---|---|
| 死亡日より前の未収分 | 被相続人の債権として相続財産に含まれる | 受け取れない |
| 死亡日以後に発生した分 | 相続財産(または相続財産法人)に帰属 | 受け取れない |
| 相続財産清算人の選任後 | 清算人が管理する | 受け取れない |
つまり、放棄をした人にとっては、いつ発生した家賃であっても「自分のお金ではない」ということです。ここに例外はありません。
問題は、この理屈と現実の入金がずれていることです。管理会社は相続の事情を知りませんから、これまでどおり被相続人名義の口座に送金を続けます。あるいは、事情を聞いた管理会社が「とりあえず相続人の方に」とご家族の口座に振り込んでしまうこともあります。お金は勝手に動き、条文はそれを止めてくれません。
放棄前に家賃を受け取ってはいけない理由|民法921条1号 {#921条}
ここが本題です。民法第921条は、次の場合に相続人が単純承認をしたものとみなすと定めています。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。 (民法第921条第1号)
賃貸物件で問題になるのは、この「処分」です。相続財産である家賃債権を取り立て、そのお金を自分のために使う行為は、相続財産の処分にあたると評価されるおそれがあります。
そして単純承認とみなされてしまうと、次のことが起こります。
- もう相続放棄はできません。相続の承認および放棄は、3か月の熟慮期間内であっても撤回することができません(民法第919条第1項)
- 被相続人に借入金があれば、その債務を全額引き継ぎます
- 物件の担保にサービサーや金融機関の抵当権が付いていれば、その処理も引き継ぎます
家賃1か月分8万円を受け取ったために、残債2,800万円のアパートローンを背負う——構造としてはこういうことが起こり得ます。
「保存行為」との境目
条文には、保存行為と第602条に定める期間を超えない賃貸は「処分」にあたらないという例外が置かれています。第602条によれば、建物の賃貸借は3年までが短期賃貸借の枠内です。
これを踏まえると、実務上の線引きはおおよそ次のようになります。
| 行為 | 評価されやすい方向 |
|---|---|
| 屋根の雨漏りを応急で止める | 保存行為(処分にあたらない方向) |
| 火災保険の契約を継続する | 保存行為(同上) |
| 3年以内の期間で空室に新規入居者を入れる | 第602条の範囲内(同上) |
| 入ってきた家賃を自分の生活費に使う | 処分にあたるおそれ |
| 家賃から被相続人の借入金を返済する | 処分にあたるおそれ |
| 敷金を精算して返還してしまう | 処分にあたるおそれ |
| 賃貸借契約を合意解除して立ち退かせる | 処分にあたるおそれ |
| 建物を解体する | 処分にあたるおそれ |
ご注意いただきたいのは、「処分にあたるかどうか」は事案ごとの事実関係で判断されるという点です。ここに書いた分類は方向性を示すものであって、個別の結論を保証するものではありません。判断に迷う行為をする前に、弁護士へご確認ください。
現場で一番多いのは「善意の返金」
意外に多いのが、善意でやったことが処分になってしまうケースです。
退去する入居者から敷金の返還を求められ、「困っているだろうから」と被相続人の口座から返してあげた。修繕費を立て替えていた管理会社に「迷惑をかけたので」と精算した。どちらも相手のことを思っての行動ですが、相続財産から支出している以上、処分と評価されるおそれがあります。
相続放棄を検討している間は、被相続人のお金を動かさない。これが唯一の安全な運用です。入居者や管理会社への説明は、お金ではなく書面で行ってください。
すでに家賃を受け取ってしまった場合にできること {#受け取った場合}
「読む前に受け取ってしまった」という方もいらっしゃると思います。その場合にできることを整理します。
1. 使っていないなら、そのまま動かさない。口座に入っているだけで、生活費や他の支払いに回していないのであれば、まだ「処分」に至っていないと主張できる余地があります。残高を減らさず、その口座からの引き落としも止めてください。
2. 入出金の記録を全部残す。通帳の記帳、ネットバンキングの明細のダウンロード、管理会社からの送金通知。いつ、いくら、どこから入り、その後どう扱ったかを客観的に示せる資料を揃えます。
3. 使ってしまった分は、金額と使途を正確に把握する。隠すのが一番よくありません。第921条第3号は、放棄をした後に相続財産を隠匿したり私に消費したりした場合も単純承認とみなすと定めています。事実を整理して専門家に相談するほうが、選べる道は広くなります。
4. 弁護士へ早めに相談する。処分にあたるかどうかの評価、家庭裁判所への説明の仕方、期間伸長を申し立てるかどうかは、法的な判断が必要な領域です。宅地建物取引業者である当社が判断できる範囲を超えます。
なお、熟慮期間は利害関係人または検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができます(民法第915条第1項ただし書)。相続財産の調査に時間がかかるときは、3か月を待たずに伸長の申立てを検討してください。期限を過ぎてしまった場合の考え方は相続放棄の期限(3ヶ月)を過ぎたらどうなる?で扱っています。
放棄した後に受け取るのはもっと危険|民法921条3号 {#放棄後}
見落とされがちなのが、放棄が受理された後のリスクです。
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。 (民法第921条第3号)
放棄が受理されても、家賃の振込は自動的には止まりません。管理会社との契約は残っていますし、入居者は口座振替を続けています。放棄後3か月、4か月と入金が続き、そのお金を使ってしまった——これが第921条第3号の典型です。
放棄をしたら、その日のうちに次の3つを実行してください。
- 管理会社に、相続放棄をした旨と送金を停止すべき旨を書面で通知する(相続放棄申述受理通知書の写しを添える)
- 入居者に、支払い先が確定するまでの取扱いを書面で案内する(後述の供託を含む)
- 被相続人名義の口座からの引き出し・振替を一切行わない
「知らないうちに入っていた」は、後から説明するのが難しい状態です。入金を止める行動を、放棄と同じタイミングで取ってください。
全員が放棄した後、入居者は家賃をどこへ払うのか|供託という答え {#供託}
相続人が全員放棄すると、入居者の側にも困った事態が起こります。払う相手が分からないのです。
払わずにいると滞納として扱われ、後日、相続財産清算人から遅延損害金つきで請求されるおそれがあります。かといって、放棄した元相続人に払っても、その人は受領権限を持っていません。
この行き詰まりを解く制度が弁済供託です。
弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。 一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。 二 債権者が弁済を受領することができないとき。 2 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。 (民法第494条)
相続人全員が放棄し、清算人もまだ選任されていない状態は、第2項の「債権者を確知することができないとき」にあたり得ます。入居者は供託所へ家賃を供託することで、供託した時点で支払義務を果たしたことになります。
供託所とは、法務局・地方法務局・これらの支局、または法務大臣の指定する出張所です(供託法第1条)。大阪市内の物件であれば大阪法務局が窓口になります。
| 内容 | |
|---|---|
| 根拠 | 民法第494条第2項(債権者不確知) |
| 供託先 | 債務履行地を管轄する供託所(供託法第1条) |
| 供託する人 | 入居者(賃借人) |
| 効果 | 供託した時点で家賃債務が消滅する |
| 供託した家賃の行き先 | 後に受領権限を証明した者(相続財産清算人等)が還付を請求する(供託法第8条) |
貸主側の相続人が放棄する場合、この情報を入居者に伝えておくことが最大の親切です。入居者にとっては「大家さんが亡くなった」だけでも不安な状況で、そこに「払い先が分からない」が重なります。相続放棄をした旨と、供託という手段があることを書面で案内しておけば、無用な滞納も、感情的な対立も避けられます。
なお、供託手続の具体的な要件・書式は事案によって異なります。入居者の方には、管轄の供託所に事前相談したうえで手続きするようお伝えください。
敷金・保証金・滞納家賃の行方 {#敷金}
家賃と並んで問題になるのが、敷金です。
民法は敷金を「賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義し、賃貸借が終了して賃貸物の返還を受けたときに、未払債務を控除した残額を返還しなければならないと定めています(民法第622条の2第1項)。
ここで重要なのは、敷金は「預り金」であって収入ではないという点です。10戸のアパートで1戸あたり家賃2か月分の敷金を預かっていれば、家賃8万円として160万円の返還債務が潜在的に存在します。決算書にも通帳残高にも現れないことがあり、相続財産の調査で見落とされがちです。
放棄・相続・売却で、敷金の扱いは次のように変わります。
| 選んだ道 | 敷金返還債務を負うのは誰か | 根拠 |
|---|---|---|
| 相続放棄をした | 放棄した人は負わない | 民法第939条 |
| 全員が放棄した | 相続財産法人(清算人が処理) | 民法第951条・第952条 |
| 相続して保有し続ける | 相続人 | 民法第896条 |
| 相続して入居者付きで売却した | 買主(譲受人)が承継する | 民法第605条の2第4項 |
最後の行が、売却を選んだときの大きな利点です。条文は、賃貸人たる地位が譲受人に移転したときは敷金の返還に係る債務は譲受人が承継すると明記しています。売却すれば、預り敷金の返還義務は買主に移り、売主のもとには残りません。
滞納家賃についても整理しておきます。滞納賃料を請求する権利は相続財産に属する債権ですから、放棄した人は請求できません。逆に言えば、回収の手間からも解放されます。滞納が続いている物件を抱えて疲弊している方にとっては、ここは放棄のメリットとして数えてよい部分です。滞納が絡む物件の売却は家賃滞納中の入居者がいる物件の買取でも扱っています。
管理会社・家賃債務保証会社・サブリース契約はどうなるか {#管理会社}
物件に付随している契約も、それぞれ行き先が違います。
管理委託契約
被相続人と管理会社の間の管理委託契約は、委託者の地位が相続の対象になります。相続放棄をした人はこの地位を承継しませんので、管理会社に対して指示を出す立場にも、管理料を支払う立場にもなりません。
ただし現実には、管理会社は相続の事情を知らないまま業務を続けています。放棄したら、速やかに書面で通知してください。通知せずに送金を受け続けると、前述の第921条第3号の問題に発展します。
家賃債務保証会社
入居者が家賃債務保証会社を利用している物件は少なくありません。国土交通省は、家賃債務保証の業務の適正化を図るため、告示による家賃債務保証業者の登録制度を設けています(告示公布 平成29年10月2日、施行 平成29年10月25日)。任意の登録制度であり、登録をしなくても家賃債務保証業を営むことは可能とされています。
保証会社が代位弁済をした場合、その求償の相手は入居者です。貸主側が放棄したからといって入居者の債務が消えるわけではありません。ただし、保証会社への賃料の振込先変更の連絡は必要になりますので、放棄の通知先リストに加えておいてください。
なお、国土交通省は、令和4年12月12日の最高裁判決(令和3年(受)第987号)で使用を差し止められた契約条項と同様の条項が保証委託契約書に使われている場合の対応を、登録事業者等に周知しています。賃料の遅滞があったときに何らの限定なく無催告で原契約を解除できる条項、および原契約が終了していない場合に明渡しがあったものとみなす条項は使わないよう求められています。古い契約書が残っている物件では、この点も確認しておくとよいでしょう。
サブリース(一括借上げ)契約
サブリース契約が付いている場合、被相続人はサブリース会社に対する賃貸人であり、入居者に対する直接の貸主ではありません。放棄をすれば、この賃貸人の地位も承継しません。
サブリースは、賃料減額の交渉や解約の可否をめぐって紛争になりやすい類型です。契約書に賃料改定条項がどう書かれているか、解約に何か月前の予告が必要かは、承継するか放棄するかの判断材料になります。契約書は必ず現物を確認してください。
管理義務の行方|民法940条の保存義務は「現に占有」で決まる {#940条}

「相続放棄をしても管理義務が残る」という説明を目にした方も多いと思います。これは2023年3月以前の話です。
2023年4月1日施行の改正民法により、条文はこう変わりました。
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。 (民法第940条第1項)
義務を負うのは「放棄の時に現に占有している人」に限定されました。入居者付き物件の場合、この判定は空き家より単純です。
| 相続人の状況 | 保存義務の見込み |
|---|---|
| 遠方に住み、物件に行ったこともない | 原則として発生しない |
| 管理会社に全面委託されており、鍵も持っていない | 原則として発生しない |
| 賃料の入金口座を管理しているだけ | 建物の占有とは別問題(物の占有ではない) |
| 同じ建物の1室に自分が住んでいる | その部分について保存義務が生じ得る |
| 管理人室・空室の鍵を預かり見回りをしている | 保存義務が生じ得る |
| 物件内に自分の荷物を置いている | 保存義務が生じ得る |
入居者付き物件の実務上の特徴は、建物の各室は入居者が占有しているという点です。相続人が占有しているのは、住んでいるならその1室、鍵を預かっているなら空室や共用部分にとどまるのが通常です。管理会社に任せきりで一度も立ち入っていないのであれば、保存義務は原則として発生しません。
なお、義務が終わるのは相続人または相続財産の清算人に引き渡した時です。誰も引き取り手がいなければ、義務を完全に切るには清算人の選任が必要になります。
大阪家庭裁判所で相続財産清算人を立てる実費 {#清算人}
相続人が全員放棄して相続人がいなくなると、相続財産は法人になります(民法第951条)。そして家庭裁判所が、利害関係人または検察官の請求によって相続財産の清算人を選任します(民法第952条第1項)。選任したときは、その旨と相続人があるならば一定の期間内に権利を主張すべき旨を公告し、その期間は6か月を下ることができません(同条第2項)。
問題は費用です。裁判所の全国共通の案内では、申立てに必要な費用は収入印紙800円分と連絡用の郵便切手、そして官報公告料5,582円とされ、相続財産の内容から清算人の管理費用(報酬を含む)に不足が出る可能性がある場合には、申立人に予納金を納付していただくことがあるとされています。
大阪家庭裁判所本庁は、この予納金の目安を公表しています。「相続財産清算人選任申立ての手引き」には次のように書かれています。
| 費目 | 大阪家庭裁判所本庁の案内 |
|---|---|
| 収入印紙 | 800円 |
| 郵送料 | 2,000円程度(全て郵便切手で納付する場合は110円切手10枚・10円切手12枚の計1,220円) |
| 官報公告費用 | 5,582円(申立て後に納付) |
| 予納金 | 管理費用・清算人報酬の見込額として、おおむね100万円程度(申立て後に納付。金額は事案に応じて裁判所が決定) |
同じ手引きには、実務上きわめて重要なことが3つ書かれています。
1つめ。予納金は返ってこないことがあります。「相続財産中に清算人の報酬等の原資となり得る財産があり相続財産財団が形成された場合(具体的には、預貯金の形で清算人に管理されることになった場合)には、後に返還されることとなりますが、相続財産財団が形成されない場合は、全額または一部が返還されない場合があります」と明記されています。売れない物件しか残っていない事案では、100万円が戻らないという意味です。
2つめ。清算人は申立人が選べません。「大阪家庭裁判所本庁では、相続財産清算人は、原則、申立人の推薦を受けず、事件につき利害関係のない大阪弁護士会所属の弁護士を選任しています」とされています。知り合いの専門家を立てる、という進め方はできません。
3つめ。売れないと選任が取り消されることがあります。「一定の期間を経過しても、遺産(特に不動産)の売却ができない場合には、選任審判が取り消される場合があります」と注意書きがあります。清算人を立てれば必ず物件が片づく、という制度ではありません。
また、相続放棄によって相続人が不存在となった事案では、添付書類として相続放棄申述受理証明書または相続放棄等有無の照会の回答書(発行から3か月以内のもの)が求められます。放棄の受理通知書は、後々まで必要になる書類です。捨てずに保管し、写しを取っておいてください。
申立先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。大阪市内にお住まいだった方であれば大阪家庭裁判所本庁(大阪市中央区大手前4丁目1番13号)、担当は家事4部財産管理係です。滋賀県内にお住まいだった方であれば大津の家庭裁判所というように、物件の所在地ではなく被相続人の最後の住所地で決まる点にご注意ください。
放棄と「入居者付きのまま売る」の手残り比較 {#手残り比較}
ここまで読むと「では放棄すればいいのか」と思われるかもしれません。そうとは限りません。入居者付き物件には、空き家にはない強みがあるからです。
賃料収入がある物件は、収益不動産として買い手がつきます。空き家は「更地にしていくら」で値が決まりますが、賃貸中の物件は「年間賃料でいくら」という評価軸が加わります。入居率の高いアパートは、建物が古くても値が付くことがあります。
判断は、次の2つの数字を並べるだけです。
| 見るべき数字 | 内訳 |
|---|---|
| A:引き継ぐ資産 | 入居者付き現況での売却見込額+預貯金+敷金以外の資産 |
| B:引き継ぐ債務 | 借入残高+未払税金+未払修繕費+預り敷金の総額 |
A>Bなら、相続して売るほうが手残りが出ます。A<Bなら、放棄が合理的です。
Bに敷金を必ず入れてください。ここを忘れると判断を誤ります。ただし前述のとおり、入居者付きで売却する場合、敷金返還債務は買主が承継します(民法第605条の2第4項)。実務上は売買代金から預り敷金相当額を精算する形で処理するのが一般的で、その分だけ受け取る金額が減るという形で反映されます。
| 相続放棄 | 入居者付きのまま売却 | |
|---|---|---|
| 手元に入るお金 | 0円 | 売却代金−預り敷金精算−諸費用 |
| 債務の負担 | なし | 売却代金から返済(不足分は自己負担) |
| 手続きの期間 | 申述は3か月以内 | 査定から決済まで数週間〜 |
| 費用 | 収入印紙800円+郵便切手(清算人を立てるなら別途100万円規模) | 仲介手数料等(直接買取なら不要) |
| 撤回 | できない(民法第919条第1項) | 契約前ならいつでも中止できる |
| 入居者への影響 | 支払い先が不明確になる | 貸主が変わるだけで居住は継続 |
| 建物の保存義務 | 現に占有していれば残る | 引渡しで完全に切れる |
放棄は撤回できません。後から「土地に値が付いた」と分かっても戻せません。訳あり物件の査定チェックという意味では、次の5点を先に確認しておくと判断が早くなります。
- 接道はあるか(再建築ができるか)
- 検査済証・建築確認済証は残っているか
- 各室の賃貸借契約書と敷金預り額はそろっているか
- 建物に共有持分や底地が絡んでいないか
- 借入の残高証明と抵当権の設定状況
なお、再建築ができない土地は、相続税の評価においても路線価をそのまま使うのではなく、利用制限を踏まえた評価が問題になります。再建築不可物件の路線価と実際の売却価格は別物ですので、評価額が低いことと売れないことを混同しないでください。相続したアパートが再建築不可の敷地に建っているケースは、再建築不可・旗竿地が売れない理由と出口で扱っています。
底地・共有持分が混ざっているときの整理の順番 {#底地}
相続したのが「入居者付きのアパート」だけならまだ単純です。実際には、次のような組み合わせで来ることが多くあります。
- アパートは被相続人の単独所有だが、敷地は借地(借地権付き建物)
- 建物は被相続人名義、敷地は被相続人と兄弟の共有
- 被相続人が底地(貸宅地)の所有者で、その上に他人の建物が建っている
底地売却と相続の整理を同時に進めるときの順番は、次のとおりです。
- 権利関係を図にする。登記事項証明書と公図を取り、建物・土地・借地権・共有持分がどう重なっているかを1枚に描きます
- 賃貸借契約を全部並べる。建物の各室の契約と、土地の賃貸借契約(借地契約)は別ものです。混ぜないでください
- 放棄の判断は「全体」で行う。相続放棄は財産を選べません。アパートだけ放棄して預金だけ相続する、ということはできません
- 底地と借地権は、同じ相手に同時に出すと値が変わる。底地単独では買い手が限られますが、借地権者と話がまとまれば評価が変わります
- 共有持分は単独では扱いにくい。他の共有者との合意形成が要るため、時間の見積りを長めに取ります
この整理は、放棄するかどうかを決める前にやっておく価値があります。「アパートには値が付かないと思ったが、底地に値が付いた」という結果は珍しくないからです。関連する内容は相続した底地・借地の整理、共有については相続で共有になったマンションの売却でも扱っています。
大阪市浪速区の物件で考える|売却価格の見方 {#浪速区}
当社が対応している大阪市24区のなかでも、浪速区は入居者付き物件の相談が多いエリアです。難波・日本橋の商業集積に近く、単身者向けの小規模アパート・文化住宅・長屋が数多く残っています。
浪速区の不動産の売却価格を見るときに、賃貸中の物件で押さえておきたいのは次の3点です。
1. 「更地価格」と「収益価格」は別々に出る。賃貸中の物件は、年間賃料収入からの評価と、土地としての評価の両方を見ます。入居率が高ければ収益価格が効き、空室が多ければ土地としての評価が主になります。どちらの数字で見ているかを、査定書で必ず確認してください。
2. 敷地の形と接道で結論が変わる。浪速区に限らず、大阪市内の古い住宅地には間口の狭い敷地や、建築基準法上の道路に接していない敷地が残っています。ここは価格に直結します。
3. 入居者がいることは、必ずしもマイナスではない。「入居者がいると売りにくい」と思い込んでいる方が多いのですが、収益物件として買う立場からは、入居者がいるほうが買いやすいことがあります。空室のまま持っていても賃料は入りません。
エリアごとの見方は平野区の不動産売却相場と価格を左右する要因、大阪の相続アパート買取相場2026もあわせてご覧ください。
現場でよくある5つの誤解 {#誤解}
誤解①「相続放棄をすれば入居者に出ていってもらえる」 出ていってもらえません。建物の引渡しを受けた賃借人は、その後にその建物について物権を取得した者に対しても賃借権を主張できます(借地借家法第31条)。所有者が変わっても入居者の権利は動きません。そもそも建物賃貸借の更新拒絶・解約申入れには正当の事由が必要です(借地借家法第28条)。
誤解②「放棄すれば固定資産税の通知は来ない」 来ることがあります。固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税され、登記名義は被相続人のまま動きません。市区町村が法定相続人を「現に所有している者」として把握し、納税通知書を送ってくることがあります。放棄が有効に受理されていれば納税義務はありませんので、市税事務所に相続放棄申述受理通知書の写しを提出してください。放置すると督促が続きます。
誤解③「家賃はもらっていないから処分にはならない」 被相続人名義の口座に入金され、その口座から公共料金やローンが引き落とされている状態は、相続財産から支出が起きている状態です。自分の手元に来ていなくても、その口座を管理しているのが自分であれば説明が必要になります。放棄を検討するなら、引き落としも止めてください。
誤解④「準確定申告は放棄したから関係ない」 年の中途で亡くなった方については、相続人等が1月1日から死亡した日までの所得を計算し、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をすることになっています(準確定申告)。相続放棄をした人は相続人でなかったものとみなされますので原則として申告義務者から外れますが、他に相続人がいる場合、その方に申告の負担が移ります。放棄する旨は早めに共有してください。税額の判断は税理士へご確認ください。
誤解⑤「相続財産清算人を立てれば早く片づく」 相続人があるならば権利を主張すべき旨の公告期間は6か月を下ることができません(民法第952条第2項)。着手から終了まで1年前後を見ておくのが現実的です。しかも大阪家庭裁判所本庁の手引きには、一定の期間を経過しても不動産の売却ができない場合には選任審判が取り消される場合があると書かれています。
3か月の熟慮期間でやることカレンダー {#カレンダー}

熟慮期間は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月です(民法第915条第1項)。入居者付き物件の場合、この3か月でやることは空き家より多くなります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 知った日〜1週間 | 家賃の入金を確認し、被相続人名義の口座からの引き落としを止める。通帳を記帳して保全する |
| 〜2週間 | 賃貸借契約書・管理委託契約書・保証委託契約書・火災保険証券を集める。戸数と敷金の預り総額を一覧にする |
| 〜3週間 | 登記事項証明書・公図・固定資産評価証明書を取得する。抵当権の設定状況を確認する |
| 〜1か月 | 金融機関に残高証明と返済予定表を請求する。信用情報の開示も検討する |
| 〜1か月半 | 入居者付き現況での査定を取る(当社は無料・退去や片付けは不要) |
| 〜2か月 | A(資産)とB(債務)を並べて比較する。判断が割れるときは弁護士に相談する |
| 〜2か月半 | 放棄する場合は必要書類(戸籍謄本等)を揃える。間に合わなければ期間伸長の申立てを検討する |
| 〜3か月 | 家庭裁判所へ申述。受理後はその日のうちに管理会社・入居者・保証会社へ書面で通知する |
1週間目の「引き落としを止める」が一番大事です。ここを飛ばすと、後の全部が難しくなります。
よくあるご質問 {#faq}
Q. 相続放棄をしたら、入居者に立ち退いてもらえますか。 できません。相続放棄は退去の理由になりません。建物の引渡しを受けた賃借人の権利は、所有者が誰になっても続きます(借地借家法第31条)。
Q. 相続人が私だけで、放棄したら物件はどうなりますか。 次順位の相続人(直系尊属、次いで兄弟姉妹)に相続権が移ります。その方々も放棄すれば相続人がいなくなり、相続財産は法人となって(民法第951条)、利害関係人の申立てにより家庭裁判所が清算人を選任します(民法第952条第1項)。誰も申し立てなければ、清算人は選任されないまま物件だけが残ります。
Q. 放棄した後も入居者から連絡が来ます。対応してよいですか。 事実の説明(相続放棄をしたこと、支払い先が確定していないこと、供託という手段があること)は問題ありません。お金を受け取る・返す、契約を解除する、修繕を発注するといった行為は避けてください。相続財産の処分と評価されるおそれがあります。
Q. 火災保険はどうなりますか。 被相続人が契約者だった火災保険は、契約者の地位が相続の対象になります。放棄した人は承継しません。保険が失効すると、火災や漏水が起きたときの補償がなくなります。相続する方が決まっているなら早めに名義変更を、決まっていないなら保険会社に事情を伝えて取扱いを確認してください。詳しくは相続した空き家の火災保険をご覧ください。
Q. 相続放棄の申述にいくらかかりますか。 申述人1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です。申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。
Q. 「相続財産清算人」と「相続財産管理人」は違うものですか。 2023年4月1日施行の改正で、相続人不存在の場合の管理・清算を担う機関の呼称が相続財産の清算人に整理されました。古い記事やパンフレットには「相続財産管理人」と書かれていることがありますが、家庭裁判所の現在の手続名は「相続財産清算人の選任」です。
Q. 大阪府外・滋賀県などの物件でも相談できますか。 ご相談は受け付けています。大阪を中心に、兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山の物件のご相談に対応しています。買取の可否・条件は所在地と物件の状況を確認してご案内します。
まとめ {#まとめ}
- 相続放棄をした人に家賃は入りません。死亡日の前後を問わず、家賃は相続財産に属します(民法第896条・第939条)
- 放棄する前に家賃を受け取って使うと、単純承認とみなされるおそれがあります(民法第921条第1号)。単純承認になると放棄はできず、撤回もできません(民法第919条第1項)
- 放棄した後の受領も危険です。相続財産を私に消費した場合、放棄後であっても単純承認とみなされ得ます(民法第921条第3号)。受理されたその日に管理会社へ送金停止を通知してください
- 全員が放棄すると、入居者は払い先を失います。民法第494条第2項の債権者不確知を理由に、供託所(法務局等・供託法第1条)へ弁済供託ができます。供託した時点で支払義務は消滅します
- 敷金の返還債務は放棄した人には残りません。入居者付きで売却した場合は買主が承継します(民法第605条の2第4項)。判断のときは預り敷金を必ず債務側に入れてください
- 管理義務は原則ありません。保存義務を負うのは放棄の時に現に占有していた人に限られます(民法第940条第1項)。管理会社に任せきりで立ち入っていないなら、原則として発生しません
- 義務を完全に切るには清算人の選任が必要です。大阪家庭裁判所本庁の手引きでは、収入印紙800円・郵送料2,000円程度・官報公告費用5,582円のほか、予納金おおむね100万円程度と案内されています。相続財産財団が形成されなければ返還されないことがあります
- 賃料収入がある物件は、空き家より買い手がつきます。放棄を決める前に、入居者付き現況での査定額を1つ持ってください
「借金つきだから放棄」と決める前に、数字を2つだけ持ってください
入居者付き物件の相続放棄でいちばんもったいないのは、賃料が回っている物件を「ローンがあるから」だけで手放してしまうことです。放棄は撤回できません。
必要な数字は2つだけです。入居者付き現況での売却見込額と、借入残高+預り敷金の合計。この2つを並べれば、放棄すべきか相続して売るべきかは、感覚ではなく数字で決められます。
査定は無料です。入居者に退去していただく必要も、残置物を片付けていただく必要もありません。現況のままで構いません。むしろ相続放棄を検討中の方は、修繕・解体・敷金精算に手をつけないでください。相続財産の処分とみなされ、放棄ができなくなるおそれがあります。資料が手元になくても、物件の所在地が分かれば登記や公図はこちらで調べられます。
大阪を中心に、兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山の物件のご相談に対応しています。買取の可否・条件は所在地と物件の状況を確認してご案内します。上記の対応地域外の物件は買取・査定の対象外です。
相談無料・秘密厳守。査定後にお断りいただいても問題ありません。放棄を選ばれる場合でも、判断材料としてお使いいただければ十分です。
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出典・参考
- e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」第494条(供託。第1項第1号受領拒絶・第2号受領不能、第2項 債権者を確知することができないとき)、第602条(短期賃貸借。建物の賃貸借は3年)、第605条の2(不動産の賃貸人たる地位の移転。第4項 敷金の返還に係る債務は譲受人が承継する)、第622条の2(敷金の定義と返還義務)、第896条(相続の一般的効力)、第915条第1項(熟慮期間3か月・家庭裁判所による伸長)、第919条第1項(承認・放棄の撤回禁止)、第921条(法定単純承認。第1号 相続財産の処分/第3号 放棄後の隠匿・私消費)、第939条(相続の放棄の効力)、第940条第1項(相続の放棄をした者による保存義務=現に占有しているとき。2023年4月1日施行)、第951条(相続財産法人の成立)、第952条(相続財産の清算人の選任・公告期間は6か月を下ることができない)
- e-Gov法令検索「借地借家法(平成三年法律第九十号)」第31条(建物賃貸借の対抗力=登記がなくても引渡しがあればその後に物権を取得した者に対し効力を生ずる)、第26条(更新等)、第28条(更新拒絶等の要件=正当の事由)
- e-Gov法令検索「供託法(明治三十二年法律第十五号)」第1条(供託所=法務局・地方法務局・これらの支局・法務大臣の指定する出張所)、第8条(供託物の還付請求と取戻し)
- 裁判所「相続財産清算人の選任」(相続人全員が相続放棄をして結果として相続する者がいなくなった場合を含む/申立人=利害関係人・検察官/申立先=被相続人の最後の住所地の家庭裁判所/収入印紙800円分+連絡用の郵便切手/官報公告料5,582円/予納金の納付を求められる場合がある旨)
- 大阪家庭裁判所「相続財産清算人の選任」および「相続財産清算人選任(一般)申立ての手引き(PDF)」(予納金おおむね100万円程度/収入印紙800円/郵送料2,000円程度・全て郵便切手なら110円切手10枚+10円切手12枚の計1,220円/官報公告費用5,582円/相続財産財団が形成されない場合は全額または一部が返還されない場合がある/大阪家庭裁判所本庁では原則、申立人の推薦を受けず利害関係のない大阪弁護士会所属の弁護士を選任/一定の期間を経過しても不動産の売却ができない場合は選任審判が取り消される場合がある/相続放棄事案では相続放棄申述受理証明書または相続放棄等有無の照会の回答書(発行から3か月以内)が必要/担当=大阪家庭裁判所 家事4部財産管理係 06-6943-9074、大阪市中央区大手前4丁目1番13号)
- 裁判所「相続の放棄の申述」(申述先=被相続人の最後の住所地の家庭裁判所/費用=申述人1人につき収入印紙800円分+連絡用の郵便切手)
- 国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」(年の中途で死亡した人については、相続人等が1月1日から死亡した日までの所得を計算し、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をする)
- 国土交通省「家賃債務保証業者登録制度」(告示公布 平成29年10月2日・施行 平成29年10月25日/任意の登録制度であり、登録をしなくても家賃債務保証業を営むことは可能/令和4年12月12日最高裁判決(令和3年(受)第987号)を踏まえ、無催告解除条項・明渡しみなし条項を使用しないよう周知)
- 国土交通省「『賃貸住宅標準契約書』について」
相続財産の「処分」にあたるかどうか、保存義務を負う立場にあるかどうか、期間伸長が認められるかどうかは、事実関係によって結論が変わります。法的な判断は弁護士へ、相続放棄の申述手続および相続財産清算人選任の申立ては司法書士または弁護士へ、準確定申告・税額・特例の適用は税務署または税理士へ、供託の要件と書式は管轄の供託所へご確認いただくのが確実です。予納金の額は家庭裁判所が事案ごとに決定するもので、本記事に記載した金額は大阪家庭裁判所本庁が公表している手引きに基づく目安です。本記事の費用・期間の数値は仕組みを説明するための一般的な目安であり、買取価格・期間は個別の物件により変わります。結果を保証するものではありません。