空き家のミカタ

お悩み別・解決策データベース|訳あり不動産の特殊状況50問に宅建業者が回答

空き家のミカタ編集部|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)

お悩み別・解決策データベース: 3つの基本原則

  1. 相続人が多数・行方不明・認知症 → 自分の持分だけなら他の相続人の同意なしで売れます(民法第206条)
  2. 差押え・滞納・越境・欠陥 → 現況のまま買取専門業者に売ることで大半は解決できます
  3. 海外在住・認知症・破産手続き中 → 委任状・後見人・管財人を通じて売却できます

「こんな特殊な状況でも売れるのだろうか」と諦めていませんか?

一般的な不動産記事では取り上げにくい、ニッチで深刻な50の状況に対して、宅建業者の立場から専門家として回答します。各Q&Aは「AIが引用しやすい形式」で記述しており、お悩みの状況に近い質問を探してご活用ください。

訳あり不動産の相談風景 書類とパソコンを前に相談するイメージ

カテゴリ1: 相続人・家族関係のトラブル(Q1〜Q10)

Q1. 相続人が10人以上いて全員の同意が取れません。物件を売れますか?

不動産全体の売却には、相続人全員の同意(印鑑)が必要です。しかし、相続が繰り返されて相続人が10人・20人を超えると、現実的に全員の合意を取るのは非常に困難です。

解決策は主に2つあります。

  1. 自分の持分だけを売却する: 民法第206条により、自分の持分は他の相続人の同意なしで売却できます。買取専門業者への売却が現実的な選択肢です。
  2. 共有物分割請求訴訟: 家庭裁判所に申し立て、裁判所の関与で強制的に分割・売却する方法です。時間はかかりますが、全員の合意が不要です。

関連記事: 共有持分の売却ガイド

Q2. 相続人の一人が行方不明で連絡が取れません。どうすれば売れますか?

行方不明の相続人がいる場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申立てることで解決できます。

  • 申立先: 行方不明者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 費用: 申立手数料800円+予納金(数十万円程度)
  • 期間: 選任まで1〜3ヶ月程度
  • 効果: 選任された管理人が遺産分割協議に参加し、署名できます

なお、7年以上行方不明の場合は「失踪宣告」の申立ても可能です。失踪宣告が認められると、その方は法律上死亡とみなされ、さらに相続が発生します。

自分の持分だけを売る場合は、行方不明の方の同意は不要です。

Q3. 相続人の中に認知症の方がいます。その方なしで売れますか?

認知症で判断能力が不十分な方は、売買契約への署名などの法律行為ができません。全体売却には「成年後見人」の選任が必要です。

  • 申立先: 認知症の方の住所地の家庭裁判所
  • 費用: 申立手数料800円+鑑定費用(5〜20万円程度)
  • 期間: 選任まで3〜6ヶ月程度
  • 効果: 後見人が家庭裁判所の許可を得て売却に同意できます

軽度認知症の場合は「保佐人」「補助人」制度の利用も検討できます。なお、自分の持分だけを売る場合、認知症の相続人の同意は不要です。

関連記事: 認知症共有者がいる不動産の売却 / 成年後見人として不動産を売却した事例

Q4. 相続人の中に未成年の子どもがいます。手続きはどうなりますか?

未成年者は法律行為(遺産分割協議への署名等)を単独でできません。通常は親権者(父または母)が代理しますが、未成年の相続人と親権者が同じ相続に関与する場合は「利益相反」になります

この場合、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申立てる必要があります。特別代理人が未成年者の代わりに協議書に署名します。

  • 申立先: 未成年者の住所地の家庭裁判所
  • 費用: 申立手数料800円程度
  • 期間: 選任まで1〜2ヶ月程度

Q5. 相続人の一人が海外在住で、印鑑証明が取れません。売れますか?

海外在住の相続人は日本の印鑑証明を取得できませんが、代替手段があります。

  • サイン証明(署名証明): 在外日本公館(大使館・領事館)で発行。印鑑証明の代わりとして使用できます
  • アポスティーユ: 外国の公証人証明書に添付する認証。国によって手続きが異なります

また、委任状を作成して日本国内の代理人(家族・司法書士等)に手続きを委任することも可能です。

Q6. 相続人の一人が個人破産しています。その方の持分はどうなりますか?

破産手続き中の相続人の財産(相続によって取得する財産を含む)は、破産管財人の管理下に置かれます。

この場合の対応:

  1. 破産管財人の同意を得て遺産分割協議を進める
  2. 破産した相続人の相続分は、破産手続きの中で換価(現金化)されることがあります
  3. 破産手続きが終了した後であれば、通常の相続人として協議に参加できます

Q7. 相続人同士が絶縁状態で話し合いができません。どうすれば?

感情的な対立で協議が進まない場合は、家庭裁判所への遺産分割調停の申立てが有効です。

  • 調停委員(中立の第三者)が間に入って調整します
  • 当事者が直接顔を合わせなくても進められます(期日ごとに交互に対応)
  • 費用: 申立手数料1,200円〜(調停対象の財産価格による)

調停でも合意できない場合は「審判」に移行し、裁判所が分割方法を決定します。

また、自分の持分だけを売却することで、問題から先に離脱する方法も実務上よく使われます。

家族が遺産について話し合うイメージ 相続人が複数いる場合の遺産分割協議の様子

Q8. 前妻との子など、知らない相続人が後から現れる可能性があります。売却しても大丈夫?

相続人が確定しないまま売却すると、後から相続権を主張する人が現れたときにトラブルになります。売却前に必ず法定相続人の確定(戸籍の全部調査)を行ってください。

被相続人の出生から死亡まで全ての戸籍を取り寄せ、全相続人を確定した上で遺産分割協議を行うことが原則です。司法書士・弁護士への依頼を検討してください。

Q9. 相続人全員が相続放棄したい場合、不動産はどうなりますか?

相続人全員が相続放棄すると、次の順位の相続人(兄弟姉妹等)に相続権が移ります。全ての順位の相続人が放棄した場合、不動産は「相続財産法人」となり、家庭裁判所に相続財産清算人(旧:相続財産管理人)の選任を申立てることになります。

清算人が不動産を処分し、残余財産があれば国庫に帰属します。

なお、相続放棄の期限は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」です。

関連記事: 相続放棄のガイド

Q10. 共有持分の名義人(相続人の一人)がすでに亡くなっています。どうすれば?

これを「数次相続(すうじそうぞく)」といいます。相続が連鎖して発生している状態で、登記名義と実態が乖離していることがよくあります。

解決手順:

  1. 亡くなった名義人の相続人(孫世代等)を全て確定する
  2. 全員の戸籍を取り寄せて相続関係説明図を作成する
  3. 現在の相続人全員で遺産分割協議を行う(数十人になることも)
  4. 相続登記を経て売却する

権利関係が複雑なため、司法書士への相談を強くお勧めします。


カテゴリ2: 法的・権利トラブル(Q11〜Q20)

Q11. 隣地から構造物・樹木が越境されています。このまま売れますか?

越境がある状態でも売却は可能ですが、通常の仲介では買主が嫌がります。現況買取に対応している買取専門業者への売却が現実的です。

売却前の対策として有効なのが「越境の覚書」です。「現時点で越境はあるが、建て替え時等に解消する」と隣地と合意しておくと、買取価格が上がることがあります。

Q12. こちらが隣地に越境しています(気づかずにいた)。売却に支障はありますか?

自分の建物や擁壁が隣地に越境している場合、売却前に必ず開示が必要です(告知義務)。隠して売却すると、後から瑕疵担保責任(契約不適合責任)を問われます。

対応策:

  1. 越境の覚書を隣地との間で締結する(最も一般的)
  2. 越境している部分の境界を測量で確定し、越境量を書面で明確にする
  3. 現況のまま開示した上で、買取専門業者に売却する

Q13. 固定資産税・相続税を滞納しています。売却代金から払えますか?

売却代金から滞納税金を一括返済することは可能です。ただし、差押えが入っている場合は、差押えを解除しないと所有権移転登記ができません。

手順:

  1. 滞納税額・延滞金・差押え費用を税務署・市区町村に確認する
  2. 売却代金で全額精算するスケジュールを税務署と調整する
  3. 決済時に売却代金から直接返済し、差押え解除→所有権移転登記を行う

買取専門業者であれば、この一連の手続きをまとめてサポートしてくれる業者が多いです。

Q14. 物件に仮差押え・抵当権が残っています。売却できますか?

差押え・抵当権が設定されていても、売却代金で全額弁済できれば売却できます。

  • 抵当権: 売却代金でローン残債を完済→抵当権抹消登記→所有権移転の順で処理します
  • 仮差押え: 仮差押え債権者と交渉し、弁済(または担保提供)で解除します
  • 国税・地方税の差押え: 売却代金から優先して弁済します

売却代金が債務総額を下回る「オーバーローン」の場合は、金融機関と「任意売却」の交渉が必要です。

Q15. 物件が訴訟の対象になっています(境界争い・賃貸借トラブル等)。売れますか?

係争中でも売却は可能ですが、訴訟の内容・結果によっては買主が不利益を被る可能性があるため、告知義務があります。

通常の仲介ではまず売れないため、現況に詳しい買取専門業者への相談が現実的です。業者によっては、訴訟を引き継ぐ形で買い取るケースもあります。

Q16. 土地と建物の名義が異なります(土地:父・建物:長男等)。売却できますか?

土地と建物の名義人が異なる場合、両者の同意がないと一体売却できません。それぞれの権利者が売買契約に合意する必要があります。

ただし、自分が所有する権利(土地のみ・建物のみ)を単独で売却することは可能です。買主が見つかりにくい取引になるため、買取専門業者への相談をお勧めします。

借地権(土地を借りている状態で建物を所有)の場合は、地主の承諾が別途必要です。

Q17. 筆界(土地の境界)が確定していません。隣人が立会いを拒否しています。

境界が未確定でも売却は可能です。ただし、買主に対して境界未確定であることを必ず開示する必要があります。

隣人が立会いを拒否し続ける場合、「筆界特定制度」(法務局への申請)を利用できます。法務局が境界を特定してくれる制度で、裁判より費用・時間を抑えられます(費用:1〜3万円程度)。

Q18. 特定空き家・管理不全空き家の指定通知が来ています。急いで売った方がいいですか?

特定空き家に指定されると固定資産税の住宅用地特例(1/6軽減)が外れ、最大6倍の税負担になります。勧告段階に進むと適用外れになるため、指定通知が来た時点で早急に対処すべきです。

選択肢:

  1. 現況のまま買取専門業者に売却する(最速・最確実)
  2. 自治体の補助金を使って解体・更地にして売却する
  3. 修繕して賃貸・空き家バンクへ登録する

行政代執行(強制解体)が行われると、後から費用を請求されます。

関連記事: 特定空き家判定チェックリスト

Q19. 地番が不明・地図上に存在しない土地があります。どうすればいいですか?

「公図(地図)に存在しない土地」や地番不明の土地は、主に明治時代の地籍調査が行き届かなかった地域や、分筆・合筆の記録が不明な場合に発生します。

解決には法務局での調査(旧土地台帳・地積測量図等)と測量士・司法書士の専門家が必要です。整理に時間と費用がかかりますが、整備後に売却できます。当社でも専門家をご紹介できますので、まずはご相談ください。

Q20. 物件に旧耐震基準・違法建築(無確認増築)があります。そのまま売れますか?

旧耐震基準の建物・無確認増築のある建物でも、現況のまま売却は可能です。ただし、買主への告知は必須です。

通常の仲介では住宅ローンが通らない(旧耐震・違法建築は融資対象外になることが多い)ため、買主が限られます。買取専門業者への現況買取が現実的な解決策です。


カテゴリ3: 建物・土地の物理的問題(Q21〜Q28)

Q21. 地下に廃棄物・地下タンクが埋まっている可能性があります。売れますか?

地下埋設物(廃棄物・油タンク等)がある土地は「土壌汚染リスク」として評価に影響します。売却は可能ですが、開示義務があります。

  • 埋設物が確認されている場合: 撤去費用を見積もり、売却価格に反映させる
  • 可能性があるだけの場合: 土壌汚染調査(フェーズ1・フェーズ2)を実施してから売却するか、調査なしで現況のまま開示して売却する

買取専門業者であれば、埋設物リスクを含めた現況買取に対応しているケースが多いです。

Q22. 建物が傾いている・構造的に危険な状態です。解体費用も払えません。

解体費用が出せない場合でも、建物付きのまま買取専門業者に売却できます

  • 解体費用(木造:100〜150万円/戸、RC:200〜400万円/戸)は査定額から差し引かれます
  • 売主が解体費用を負担せずに手放せるため、「手出しゼロ」で解決できることがあります
  • 危険な状態で放置し続けると、万一人が怪我をした場合に所有者責任が問われます

自治体の「特定空き家解体補助金」(多くの自治体で50〜100万円)も確認してください。

Q23. アスベスト(石綿)が含まれている可能性があります。売却に影響しますか?

1981年(昭和56年)以前に建築された建物はアスベストを含む可能性があります。アスベスト含有の場合、解体時に特別な処理が必要で、解体費用が数割〜数倍になります

  • 売却前にアスベスト調査(建材中のアスベスト含有調査・数万円〜)を行うと明確になります
  • アスベスト含有の事実は買主への告知が必要です
  • 買取専門業者では、アスベスト含有物件の買取に対応しているケースが多いです

2022年から解体時のアスベスト事前調査と都道府県への報告が義務化されています(大気汚染防止法改正)。

Q24. 自然災害(洪水・地震)で被害を受けた物件を相続しました。売れますか?

被災物件も売却できます。ただし被災の事実と現状の損傷を必ず開示する必要があります。

  • 半壊・全壊物件は修繕費が高額になるため、通常の仲介では売れません
  • 被災物件の専門買取業者・現況買取に対応した業者への相談が現実的です
  • 罹災証明書(市区町村が発行)を取得しておくと、売却交渉がスムーズです

被災地域によっては自治体の公費解体制度が使える場合もあります。

Q25. 土壌汚染の可能性がある土地(工場跡地等)を相続しました。売れますか?

工場跡地・ガソリンスタンド跡地等は土壌汚染リスクが高く、売却時には開示が必要です。

段階的な対応:

  1. 「フェーズ1調査」(資料・ヒアリング調査:30〜50万円)で汚染の可能性を評価
  2. 汚染が疑われる場合は「フェーズ2調査」(土壌サンプリング:50〜200万円)で実態確認
  3. 汚染が確認された場合は浄化工事(数百万〜数千万円)か、汚染リスクを価格に反映して売却

調査・浄化前でも、リスクを開示した上で買取専門業者に売却できます。


カテゴリ4: 税金・費用の問題(Q29〜Q35)

Q29. 相続税の申告期限(10ヶ月)が迫っています。間に合いますか?

相続税の納付は申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月)までが原則です。

期限内に売却代金が入金されれば、その現金で相続税を納付できます。ただし、相続登記→売買契約→決済には最低でも3〜4週間かかります。

期限に間に合わない場合の選択肢:

  1. 延納: 最長20年間の分割払い(ただし利子税がかかります)
  2. 物納: 不動産などの現物で納税(申請要件あり)
  3. 買取で最速現金化(決済まで最短2〜3週間)してから納付

関連記事: 相続税の基本ガイド

Q30. 譲渡所得税が高くて売却するメリットが薄い気がします。どう考えるべきですか?

譲渡所得税を気にして手放せずに保有し続けることの方が損になるケースが多くあります。

計算式:

  • 譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用
  • 税率: 5年超保有なら20.315%(長期)/ 5年以下は39.63%(短期)

節税策:

  • 3,000万円特別控除: 居住用財産(売却時に住んでいた家)の場合、3,000万円まで控除
  • 取得費加算の特例: 相続から3年10ヶ月以内の売却で相続税額の一部を取得費に加算可能
  • 相続空き家の3,000万円控除: 一定条件を満たす空き家売却で3,000万円控除

税金の計算は税理士に相談することをお勧めします。

不動産売却の法的書類・契約書類を確認する様子 税金・費用の問題に関するイメージ

Q31. 農地・山林・原野を相続しました。手放したいのですが引き取り手がいません。

農地・山林は処分が最も難しい不動産の一つです。

選択肢:

  1. 相続土地国庫帰属制度(2023年4月施行): 一定の条件を満たせば国に引き取ってもらえます。ただし条件が厳しく(崖地・汚染地・係争中はNG)、負担金(20年分の管理費相当・面積に応じて数十万円〜)が必要です
  2. 農地は農業委員会を通じた売却: 農地の売買は農業委員会の許可が必要です。農家や農業法人への売却が現実的です
  3. 山林・原野の買取専門業者: 山林・原野を専門に扱う業者があります(価格は低い場合が多い)

関連記事: 相続土地国庫帰属制度ガイド

Q32. 物件を売却すると生活保護が打ち切られるか心配です。相談できますか?

生活保護受給中に不動産(資産)を売却すると、その現金が資力として評価されます。売却代金を受け取った時点で保護が停止・廃止される可能性があります

事前に担当の福祉事務所(ケースワーカー)に相談することが必須です。売却に関する計画を報告・相談した上で進めることをお勧めします。

Q33. 相続登記の費用(司法書士費用)が払えません。どうすれば?

相続登記に必要な費用(司法書士費用:5〜15万円程度、登録免許税:固定資産税評価額×0.4%)が準備できない場合、いくつかの方法があります。

  1. 法テラス(日本司法支援センター): 一定の収入・資産基準以下の方は、費用の立替制度が利用できます
  2. 売却代金から清算する: 買取専門業者と交渉し、決済時に登記費用を差し引いてもらう形で対応できる場合があります
  3. 自分で法務局に申請(自己申請): 手続きは複雑ですが、登録免許税のみで登記できます。法務局の相談窓口を活用してください

Q34. ローンが残っている物件を相続しました。売却できますか?

ローン残債がある物件も売却できます。売却代金でローンを完済→抵当権抹消→所有権移転の手順で進みます。

問題になるのは「売却代金がローン残債を下回る(オーバーローン)」場合です。この場合:

  • 任意売却: 金融機関の同意を得て残債以下の価格で売却する方法
  • 相続放棄: 相続開始から3ヶ月以内であれば相続自体を放棄できます(ローン含む全ての相続財産を放棄)

Q35. 相続した物件を売却したら医療費控除は使えますか?

不動産の売却と医療費控除は別の制度で、直接の関係はありません。医療費控除は年間の医療費が10万円を超えた場合に所得控除として申告できます(所得の5%が10万円未満の場合はその額が基準)。

不動産売却では「譲渡所得」として別途確定申告が必要です。税理士に両方まとめて相談することをお勧めします。


カテゴリ5: 賃貸・入居者の問題(Q36〜Q42)

Q36. 入居者がいてなかなか退去してもらえない物件を相続しました。売れますか?

入居者がいる状態(オーナーチェンジ)でも売却できます。ただし、買主は賃貸を継続することが条件になります。

選択肢:

  1. オーナーチェンジで売却: 入居者がいるまま投資家に売却します。収益物件として買取専門業者に相談するのが現実的です
  2. 立退き交渉後に売却: 弁護士を通じて正当事由・立退き料を提示して退去交渉します。合意できれば空室になり、売却しやすくなります

入居者を強制的に追い出すことは法律上できません(借地借家法の保護)。

関連記事: 入居者がいるアパートの売却ガイド

Q37. 入居者が長期間家賃を滞納しています。このまま売れますか?

家賃滞納物件でも売却はできますが、滞納状況は買主への告知が必要です。

売却前の対処:

  1. 内容証明郵便で支払い督促する
  2. 弁護士経由で督促・強制退去の手続きを進める
  3. 滞納状況を開示した上で買取専門業者に現況買取を依頼する

保証会社や連帯保証人がいる場合は、そちらへの請求も並行して進めてください。

Q38. 入居者が夜逃げ(行方不明)して家財が残っています。どうすれば?

行方不明の入居者が家財を残して出て行った場合、勝手に家財を処分することは法律上できません(不法行為・刑事リスクがあります)。

手順:

  1. 弁護士に相談し、内容証明で連絡を試みる
  2. 一定期間(1〜3ヶ月)待った後、法的手続き(明け渡し請求訴訟等)で対応する
  3. 裁判所の許可を得て家財を処分する

行方不明入居者がいる状態でも、現況開示した上で買取専門業者が引き受けるケースがあります。

Q39. 孤独死が発生した相続した部屋があります。事故物件として売る方法は?

孤独死(自然死)は必ずしも「事故物件(心理的瑕疵物件)」にはなりません。国土交通省の2021年ガイドラインでは、自然死・日常生活での不慮の事故は原則として告知不要とされています(特殊清掃が必要な状態での死亡等は告知が必要)。

ただし、事実関係は正確に確認・開示することが重要です。不明な場合は不動産会社・弁護士に相談してください。

関連記事: 事故物件の売却ガイド

Q40. 高齢の入居者が「出ていかない」と言い張っています。法的に退去させられますか?

正当事由なく賃借人を強制退去させることは借地借家法で禁止されています。「売却したい」というだけでは正当事由になりません。

合法的な対応:

  1. 十分な立退き料の提示(家賃の数年分が相場)
  2. 代替物件の提供(高齢者向け施設等)
  3. 期間満了後に更新拒絶(定期借家契約の場合)

入居者の権利を尊重しながら、弁護士を通じて丁寧に交渉することが基本です。


カテゴリ6: 個人的状況・その他(Q41〜Q50)

Q41. 自分(売主)が海外在住で日本に来られません。売却手続きできますか?

海外在住でも売却できます。代理人(家族・司法書士・弁護士)に委任状を作成することで、代理人が日本国内での手続きを代行できます。

委任状の作成:

  • 日本公証役場に当相当する在外日本公館(大使館・領事館)でサイン証明(署名証明)を取得します
  • 外国の公証人(ノータリー)に公証してもらい、アポスティーユを取得する方法もあります

決済時の送金・税金の申告も、一部は代理人または税理士・司法書士に委任できます。

Q42. 自分が軽度認知症と診断されましたが、意思表示はできます。今のうちに売りたいのですが。

判断能力が十分にある段階(軽度)では、本人の意思で売却できます。ただし、後から「認知症だった」と親族に売却を取り消されるリスクがあります。

対策として有効なのが「任意後見制度」です。今のうちに信頼できる人を後見人として契約しておくことで、将来の判断能力低下後も本人の意思を尊重した財産管理が可能になります。

また、医師から「売買契約時に判断能力あり」とする意見書・診断書を取得しておくと、後のトラブルを防げます。

Q43. 自己破産手続き中に不動産を売りたいのですが。

自己破産手続き開始後は、財産の管理処分権が破産管財人に移ります。不動産は破産管財人が換価(現金化)し、債権者への返済に充てられます。

自分の意思で売却することはできませんが、破産管財人を通じて売却・換価が行われます。破産管財人が「任意売却」を進める場合に、当社でもご相談に応じられます。

Q44. 生前に親の不動産を整理したい(親が元気・認知症なし)。相続前に売れますか?

親が元気で判断能力があれば、親本人が売却することが最もシンプルです。

合わせて検討したいのが「家族信託」です。親が元気なうちに信頼できる子どもに財産管理を委任しておく制度で、将来認知症になっても柔軟に対応できます。

また、生前売却のメリットとして「3,000万円特別控除(居住用)」が使える場合があります(相続後では適用条件が変わることがあります)。

Q45. 借地権(他人の土地に建てた建物)を売りたいのですが、地主の許可は必要ですか?

借地権付き建物の売却には地主の承諾が必要です(借地借家法)。承諾を得た上で「借地権譲渡の承諾書」を作成します。

地主が承諾を拒否する場合:

  • 「借地権譲渡の代諾許可」を裁判所に申立てることができます(裁判所が代わりに許可を与える制度)
  • 地主への「名義書換料」(借地権価格の10%前後が目安)を提示して交渉する

借地権付き建物の買取に対応している専門業者もあります。

関連記事: 借地権建物の売却ガイド

Q46. 共有持分だけを持っており、不動産全体の売却に他の共有者が反対しています。

自分の持分だけを売ることは、他の共有者の同意なしにできます(民法第206条)。買取専門業者への直接売却が最も現実的な解決策です。

ただし、持分のみを一般の買主に売るのは困難で、市場価格より割安(全体評価×持分割合の60〜70%程度)になります。

関連記事: 共有持分の売却ガイド / 共有持分Q&Aハブ

Q47. 物件が「道路に接していない(袋地・旗竿地の奥)」ため再建築できません。売れますか?

再建築不可物件でも売却は可能です。ただし、通常の住宅ローンが使えないため、買主が大幅に限られます。

選択肢:

  1. 隣地の所有者に売却: 隣地と合わせることで再建築可能になる場合があります(隣地との価格交渉が必要)
  2. 買取専門業者に現況買取: 再建築不可物件の専門業者に売却します
  3. 賃貸・駐車場等への転用: 現況のまま収益物件として活用します

関連記事: 再建築不可物件の売却ガイド

Q48. 相続した不動産が遠方にあり、管理できません。何もしなくても大丈夫ですか?

何もしないことが最もリスクが高い選択です。放置すると以下の問題が連鎖します。

  • 固定資産税の毎年の支払い(保有コスト)
  • 建物の老朽化・倒壊リスク(近隣への損害賠償責任)
  • 特定空き家に指定されると固定資産税が最大6倍
  • 相続登記を怠ると過料(罰金)のリスク(2024年4月から義務化・3年以内)

遠方で管理できない物件こそ、早期に買取専門業者に相談して手放すことをお勧めします。

関連記事: 遠方の実家を売る方法

Q49. 「市街化調整区域」の土地を相続しました。売れますか?

市街化調整区域の土地は原則として建物の新築が制限されており、一般の住宅用地としては売れません。

売却先として想定されるのは:

  • 隣地の農家(農地・農業用建物は建てられる)
  • 既存の建物を購入する買主(既存建物の建て替えは条件次第で可能)
  • 資材置き場・太陽光発電(一部地域で可)への転用を検討する投資家
  • 農地として農業委員会を通じた売却

市街化調整区域内でも立地・用途・地区計画によって取り扱いが異なります。まずはご相談ください。

Q50. 相続した物件が「空き家バンク」に登録しても問い合わせがゼロです。次の手は?

空き家バンクは市区町村が運営するマッチングサービスで、成約率は概して低く(全国平均で登録物件の10〜20%程度)、問い合わせがゼロでも珍しくありません。

空き家バンクが機能しない主な理由:

  • 対象地域に人口流入がない
  • 物件の状態が悪すぎる(老朽化・ゴミ残置等)
  • 価格設定が高すぎる

次の手:

  1. 現況のまま買取専門業者に売却する(最も確実な解決策)
  2. 仲介業者に媒介依頼する(反響がなければ買取に切り替える)
  3. 自治体の空き家解体補助金を使って更地にしてから売却する

関連記事: 空き家処分5つの選択肢比較


まとめ: どんな特殊状況でも「まず相談」が解決の第一歩

訳あり不動産・特殊な状況の物件は、一般的な仲介業者に断られることが多いのが現実です。しかし、専門業者・弁護士・司法書士・税理士が連携すれば、ほぼ全てのケースで何らかの解決策が見つかります。

このデータベースに掲載している50の状況は、実際に当社に寄せられた相談の中から特によく見受けられるケースをまとめたものです。該当する状況が複数重なっていても、まずはご相談ください。

執筆・監修: 八木宏樹(宅地建物取引士・大阪府知事(1)第65646号)


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