空き家のミカタ

実家の相続でやってはいけない5つのこと|後悔しないための判断の順番【2026年版】

空き家のミカタ編集部|宅地建物取引業者(大阪府知事(1)第65646号)
住宅が密集した日本の住宅街の路地。相続した実家が建つ古い街並み

結論:実家の相続でやってはいけないのは、①相続登記を「そのうち」にする、②とりあえず全員の共有名義にする、③売り先を決めないまま先に解体する、④売る前にリフォームや家財処分にお金をかける、⑤3年の期限を意識せずに放置する——の5つです。いずれも「良かれと思って」または「先送りにしただけ」で起きるもので、悪意なく踏んでしまう落とし穴です。共通しているのは、順番を間違えると後から取り返しがつきにくい点にあります。

実家を相続された方からのご相談で、いちばん多く聞くお言葉があります。「もっと早く知っていれば」というものです。

相続は、多くの方にとって人生で数回しか経験しないことです。何が正解かわからないまま、目の前にある作業から手をつけてしまう。それ自体は自然なことだと思います。

ただ、不動産に関しては着手する順番によって、かかる費用と選べる出口が変わってしまいます。この記事では、実際にご相談をお受けするなかで繰り返し出会ってきた5つの落とし穴を、法務省・国税庁・大阪市の一次情報とあわせて整理しました。

相続した家について何から始めればいいかがまだ固まっていない方は、相続した家をどうしたらいい?判断の入口まとめもあわせてご覧ください。

やってはいけない①|相続登記を「そのうち」にする

テーブルの上で相続の書類を広げて話し合う様子。相続登記の申請手続きの打ち合わせ

もっとも多い落とし穴が、これです。相続登記(不動産の名義を亡くなった方から相続人へ変えること)は、令和6年4月1日から申請が義務になりました。

法務省はこう説明しています。

自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられました。

正当な理由がないのに相続登記の申請義務を怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象となります。

出典:法務省「相続登記の申請義務化について」(2026年8月14日確認)

さらに、話し合い(遺産分割)がまとまった場合には、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた所有権の移転の登記を申請することも義務付けられています。相続を知ってから3年、話し合いがまとまってから3年、と期限が2段階になっている点にご注意ください。

過料以上に困るのは「売れない」ことです

正直に申し上げると、過料そのものよりも実務上こたえるのは別の点です。名義が亡くなったお父様・お母様のままの不動産は、売却できません。

買主に所有権を移せないためです。買取のご依頼をいただいても、まず相続登記を済ませていただくところからのスタートになります。ここで、相続人の1人がすでに亡くなっていて、その方のお子さんまで相続人が広がっていた、という事態が判明することがあります。

10年放置すると、相続人が3人から8人に増えていた——このような例は珍しくありません。全員から書類を集める手間と時間は、年数に比例して増えていきます。

3年以内に話し合いがまとまらないときの逃げ道

きょうだい間の話し合いが3年で終わらないこともあります。その場合に備えて、相続人申告登記という簡易な仕組みが設けられました。

期限内に相続登記の申請をすることが難しい場合に、簡易に申請義務を履行できるようにするものです。法定相続人の範囲や法定相続分の割合を確定させる必要がなく、登録免許税がかからないという特徴があります。ただし遺産分割成立後の追加的義務は、相続人申告登記では果たせませんので、話がまとまったら改めて登記が必要です。

登記にかかる費用の目安は相続登記を自分でやる場合の費用に、過料の運用の実際は相続登記の義務化と3年ルールにまとめています。

やってはいけない②|とりあえず全員の共有名義にする

「話がまとまらないから、ひとまず法定相続分どおりに登記しておこう」。この判断が、数年後にいちばん重い足かせになります。

民法にはこう定められています。

各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)を加えることができない。(民法251条1項)

出典:e-Gov法令検索「民法」(2026年8月14日確認)

不動産そのものを売るという行為は、この「変更」の最たるものです。結果として、共有名義の実家を売るには共有者全員の合意と署名・押印が要ることになります。

3人の共有が、10年後に9人になります

共有の怖さは、人数が勝手に増えていくことにあります。

きょうだい3人で共有にしたとします。そのうちお1人が亡くなれば、その持分はそのお子さんたちへ移ります。お子さんが3人いれば、共有者は5人になります。さらに次の代へ進むと、会ったこともない親族と共有している状態になります。

そうなると、売却の同意を集めること自体が独立した大仕事になります。連絡先がわからない、話には応じるが署名はしない、といった段階で止まるご相談を毎年いただいています。

共有名義は「決断の先送り」に見えて、実際には「将来の選択肢を減らす決断」です。3年以内にまとまらないのであれば、共有登記ではなく相続人申告登記で義務だけを果たし、話し合いは続けるほうが後が楽になります。

すでに共有になってしまっている場合の対処は共有持分の売却ガイドに、話し合いが進まない場合の整理は相続不動産で家族ともめたときの解決手順にまとめています。

やってはいけない③|売り先を決めないまま先に解体する

電卓と数値表。更地にした場合の固定資産税を試算する場面

「古い家が建っていると売れないだろうから、先に壊して更地にしよう」。善意から出る判断ですが、買い手が決まる前の解体は、税金の面で不利に働きます。

住宅が建っている土地には、固定資産税・都市計画税の課税標準を軽くする特例があります。大阪市の場合は次のとおりです。

区分 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地(住宅1戸当たり200㎡以下の部分) 価格の6分の1 価格の3分の1
一般住宅用地(200㎡を超える部分) 価格の3分の1 価格の3分の2

出典:大阪市「住宅用地の課税標準の特例措置」(2026年8月14日確認)

この軽減は「住宅が建っていること」が前提です。建物を取り壊して更地にすると、翌年度から特例の対象外になります。負担調整措置があるため税額が単純に6倍になるわけではありませんが、課税標準が跳ね上がる方向に動くことは間違いありません。

解体費が先に出ていき、税金が上がり、それでも売れないことがあります

問題は、更地にしたからといって買い手がすぐ現れるとは限らない点です。

前面道路の幅が足りない土地や、旗竿形状の土地は、更地にしても新しい家を建てられないことがあります。その場合、100万円以上の解体費を先に払い、翌年から税負担が増えた状態で、売れない土地を持ち続けることになります。

解体そのものが悪いのではありません。順番の問題です。「解体した場合いくらで売れるか」「現況のままだといくらか」の両方を先に確認してから決めれば、この失敗は避けられます。買取であれば、建物が建ったままの現況で売却できます。

大阪市内の解体費の相場は大阪市の解体費用相場(構造別・区別)に、現況のまま売る方法は相続不動産を現況のまま引き渡す買取にまとめています。

なお、管理が行き届かず特定空家等に指定された場合にも住宅用地特例が外れる仕組みがあります。放置による税負担の増え方は空き家の固定資産税が6倍になる仕組みでご確認ください。

やってはいけない④|売る前にリフォーム・家財処分にお金をかける

古い住宅の室内に積まれた段ボール箱。実家の家財整理の様子

「このままでは恥ずかしいから」「片付けないと見てもらえないだろうから」。そう考えて、査定を受ける前に家財処分やリフォームに着手される方がいらっしゃいます。

お気持ちはよくわかります。ただ、費用対効果でみると分の悪い選択になりがちです。

理由は2つあります。1つ目は、かけた費用がそのまま売却価格に上乗せされるとは限らないこと。水回りを新しくしても、買主がその設備を気に入るかはわかりません。築年数の古い家では、リフォーム済みという事実より土地の条件のほうが価格を左右します。

2つ目は、買取の場合、家財の処分も解体も買主側で行うことが多いことです。私たちも、家財が残ったままの状態で査定にお応えしています。ご自身で業者を手配して数十万円をかけたあとに「そのままで良かったのですが」とお伝えすることになるのは、こちらとしても心苦しいところです。

順番としては、まず現況のままの査定額を知る。そのうえで、片付けたりリフォームしたりする価値があるかを判断する。これだけで、無駄な出費はかなり避けられます。

思い出の品の整理は、費用対効果とは別の話です。ご家族が納得のいくまで時間をかけていただいて構いません。分けて考えていただくのが良いと思います。

家財整理と売却の関係は遺品整理と家財の処分に、リフォーム費用が捻出できない場合の選択肢は実家のリフォーム費用が払えないときの3つの道にまとめています。

やってはいけない⑤|3年の期限を意識せずに放置する

最後は、税金の期限です。相続した実家の売却には、知らないと数百万円単位で結果が変わる期限が2つあります。

期限1:空き家の3,000万円特別控除は「相続開始から3年」

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例は、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。要件のうち、期限に関わるものは次のとおりです。

  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間の譲渡であること
  • 売却代金が1億円以下であること

対象となる家屋の条件も押さえておく必要があります。

  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
  • 区分所有建物登記がされている建物でないこと(分譲マンションは対象外です)
  • 相続の開始の直前において被相続人が1人で住んでいたこと

出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(2026年8月14日確認)

令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋および敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は、控除額が2,000万円までに減額されます。きょうだいが多いご家庭では、この点も計算に入れる必要があります。

「区分所有建物登記がされている建物でないこと」は見落とされやすい要件です。分譲マンションを相続された方がこの控除を前提に計画を立てていたケースに出会ったことがあります。マンションの場合は使えませんので、別の方法で検討する必要があります。

制度の詳細は相続した空き家の3,000万円特別控除にまとめています。

期限2:取得費加算は「相続税の申告期限の翌日から3年」

相続税を納めた方には、もう1つの特例があります。納めた相続税の一部を、売却時の取得費に加算できる制度です。

その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

出典:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」(2026年8月14日確認)

相続税の申告期限は原則として相続開始を知った日の翌日から10か月ですので、実質的には相続開始から3年10か月が目安になります。取得費が増えれば譲渡所得が減り、その分だけ税負担が軽くなります。

計算の考え方は相続不動産の取得費加算の特例にまとめています。いずれの特例も適用の可否はご事情によって変わりますので、実際の判断は税理士または所轄の税務署へご確認ください。

5つを避けるための判断の順番

やってはいけないことの裏返しが、進め方の順番になります。実家を相続されたら、この順で動いていただくと大きな失敗は避けられます。

順番 やること 目的
1 相続人が誰かを戸籍で確定する 後から相続人が増える事態を防ぎます
2 登記簿と固定資産税の課税明細で不動産の内容を確認する 何をいくつ相続したのかを把握します
3 現況のままの査定額を取る 話し合いと判断の材料になります
4 持ち続けた場合の年間コストを出す 売る・貸す・持つの比較ができます
5 3・4の数字を持って遺産分割を話し合う 感情論ではなく数字で決められます
6 結論に沿って相続登記を申請する 3年の期限に間に合わせます
7 税の特例の期限を確認して売却時期を決める 3年・3年10か月の期限を逃しません

ポイントは、査定を「売ると決めてから受けるもの」ではなく「決めるために受けるもの」として前に持ってくることです。数字がないまま話し合いを始めると、誰の意見にも根拠がないため平行線になりやすくなります。

宅建業者の視点
大阪市内の実家を相続された、きょうだい3人の方からご相談をいただいたことがあります。相続から4年が経っており、名義は亡くなったお父様のままでした。話し合いがまとまらないうちに、長男の方が「解体すれば売りやすいはず」と考えて更地にされていました。ところが前面道路が幅員2.4mで、更地にしても再建築ができない土地でした。解体費はすでに出ていき、翌年度から住宅用地の特例が外れて税負担は増え、空き家の3,000万円特別控除の期限も過ぎていました。最終的には土地として買い取らせていただきましたが、順番が逆であれば結果は違っていたはずです。解体も片付けも、いつでもできます。取り返しがつかなくなるのは期限のほうです。

まとめ

  • 相続登記は令和6年4月1日から義務です。所有権の取得を知った日から3年以内に申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります(法務省)。名義が故人のままでは売却もできません
  • 「とりあえずの共有名義」は将来の選択肢を減らします。共有物に変更を加えるには他の共有者の同意が必要で(民法251条1項)、相続が重なるほど共有者は増えていきます。3年以内にまとまらないなら相続人申告登記で義務だけ果たす方法があります
  • 売り先が決まる前の解体は不利です。大阪市では小規模住宅用地で固定資産税が価格の6分の1・都市計画税が3分の1に軽減されており、更地にするとこの特例が外れます(大阪市)
  • 査定より先にリフォーム・家財処分にお金をかけないでください。買取なら家財が残ったままでも査定できます。かけた費用が価格に反映されるとは限りません
  • 期限は2つあります。空き家の3,000万円特別控除は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(特例自体は令和9年12月31日までの譲渡が対象)、取得費加算は相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までです(国税庁)
  • 順番は「相続人の確定 → 現況査定 → 話し合い → 登記 → 売却時期の決定」です。査定は売ると決めてから受けるものではなく、決めるために受けるものです

5つとも、悪意なく、むしろ「きちんとしよう」という気持ちから起きるものです。ご自身を責める必要はまったくありません。すでにいくつか当てはまっている方も、今の状態から取れる手はあります。

無料査定・ご相談はこちらから

「まだ売ると決めたわけではないけれど、いくらになるか知りたい」「きょうだいと話す前に数字がほしい」——その段階のご相談を歓迎しています。査定は無料で、売却を強制することはありません。

LINE「空き家のミカタ」に相談する(無料)

無料査定フォームで相談する

大阪市24区の訳あり不動産を専門に扱っており、相続登記が未了・きょうだいで共有・家財が残ったまま・再建築不可といった状態でも査定にお応えできます。遠方にお住まいで現地を見に行けない方のご相談も承ります。秘密厳守で対応いたします。なお、相続人間の紛争や登記手続きは弁護士・司法書士へ、税額と特例の適用可否は税理士または所轄の税務署へ、補助制度は各自治体の窓口へご確認ください。


関連記事

無料査定の相談準備メモを作る →

相続不動産の出口戦略 — 完全ガイド

相続登記を放置した実家、まだ売れる?罰則が始まった今、3つの選択肢を宅建業者が解説【2026年版】

関連する売却ガイド

相続登記を放置した実家、まだ売れる?罰則が始まった今、3つの選択肢を宅建業者が解説【2026年版】

2024年4月から相続登記が義務化、10万円以下の過料が現実に。放置してきた実家でも今すぐ売れる方法があります。①今すぐ登記②登記と売却を同時並行(費用先出し不要)③相続人申告登記でつなぐ——3つの選択肢のメリット・費用・スケジュールを宅建業者が比較解説します。

鍵がない・立会いできない場合の相談準備|相続不動産

相続した不動産の鍵が見つからない、現地で立ち会える人がいない。そんな状態でも相談は始められます。鍵と立会いの状況を6通りに分けた伝え方と、相談の前に確かめておくことをまとめました。

解体費用は確定申告でどう扱う|相続した家の取壊し費用を取得費と譲渡費用に振り分ける【2026年版】

相続した家の解体費用を確定申告でどう計上するかを、国税庁の条文どおりに整理しました。売るために壊したなら譲渡費用(No.3255)、土地を使うために買って壊したなら取得費(No.3252)。賃貸物件の必要経費、相続税の債務控除との違い、3,000万円特別控除と取壊しの期限、大阪市の実家を解体して1,800万円で売った場合の税額シミュレーションまで、宅地建物取引業者が整理しています。

ご相談はこちら

相続・空き家・訳あり不動産のお悩み、
状況だけでもお聞かせください

相談だけで大丈夫です。売るかどうか決まっていなくても構いません。しつこい勧誘や営業電話は一切いたしません。

1

友だち追加

下のボタンを押すだけ。登録情報の入力は不要です

2

状況を送る

大阪・近畿の物件の場所と状況を、わかる範囲で送ってください。写真があればより正確です

3

代表が返信

買取できるか・いくらくらいかを、代表の八木が原則24時間以内にお答えします

\ いま友だち追加すると、5つの実用資料をプレゼント /

  • ① 空き家の維持費・放置コスト計算シート(書き込み式)
  • ② 相続した家の売却 期限つき段取りチェックシート
  • ③ 相続登記・売却の必要書類チェックリスト(取得先つき)
  • ④ 悪質な買取業者を見抜く10のチェックリスト
  • ⑤ 大阪市24区 空き家補助金・窓口 早見表 2026

友だち追加後、トークに「特典」と送るとその場で5枚まとめて届きます(無料)

LINEで無料相談する

友だち追加後、トークで話しかけてください(24時間受付)

代表の八木 宏樹が直接対応します

合同会社アルシェ(宅建業免許: 大阪府知事(1)第65646号)

メール: info.arshe@arshe-corp.com

相談・査定 無料秘密厳守大阪・近畿対応しつこい勧誘なし

\ 友だち追加で5大特典 / 維持費計算シートなど実用PDF進呈中

LINEで無料相談査定の相談準備入力任意・無料